Blackmagic Design導入事例:ドキュメンタリーシリーズ「Law of the Goat」の場合

Blackmagic Designによると、ドキュメンタリーシリーズ「Law of the Goat」の撮影に、Blackmagic URSA Mini Pro 12Kが使用されたという。

早い時期からクリエイティブでいることに目覚めたアレックス・ザーファティ氏はリードシンガー兼ギタリストとしてアートの世界に足を踏み入れた。常にオーディオとビデオの関係を大切に考える同氏は、同氏の所属するバンドの新しいシングルにはミュージックビデオが必要だと考え、自ら撮影と編集を手掛けた。

ザーファティ氏は、次のようにコメントしている。

ザーファティ氏:今そのミュージックビデオを見直してみると酷い出来なんですが、それでも笑顔にしてくれます。というのも、これがきっかけで映像制作に夢中になったからです。

自分の音楽に合わせて視覚面も作成するというのは、究極的にクリエイティブなことだと思います。数年後、Netflixのドキュメンタリー用に作曲を手掛けたのですが、それを気に映画とドキュメンタリー業界に足を踏み入れることになりました。

その後すぐに同氏は最初のカメラを購入し、伝えたい物語を探し始めたという。その2年後、同氏は題材を見つけただけではなく、Blackmagic URSA Mini Pro 12Kデジタルフィルムカメラにも出会った。

ザーファティ氏:実際の物語を実際の人々に伝えることに非常にやりがいを感じます。

人々に声と自らの物語を語る場を与えることで、それ以外の方法では表舞台に出ることのない人たちの話を伝え、題材を異なる視点で世界に見せることは何にも変え難い経験です。もちろんフィクションでも似たようなことはできますが、個人的にはドキュメンタリーの方が影響力が強いと感じています。

小規模のプロジェクトの監督・撮影を行い始めてから数年経ったある日、同氏は地元のジムのオーナーからプロモーションビデオの撮影を依頼された。

ザーファティ氏:最初にジムに足を踏み入れた瞬間、これが私が求めていた物語だと気づきました。

ジムは興味深い人たちで溢れていました。ほとんどの人たちが第三世界からで、抑圧的な政府から逃れ、家族、家、生き方すべてをあきらめてアメリカに来て、UFCで活躍することを夢見て汗を流している人たちです。

勝ち目のない人たちを描いた物語は誰もが好きなジャンルで、多くの人に希望を与えます。成功しようと、失敗しようと、それは問題ではありません。すべてを投げ打って、目標を達成しようとする勇気を持っていること自体が、インスピレーションと共感を与えます。

Blackmagic Design導入事例:ドキュメンタリーシリーズ「Law of the Goat」の場合

シネマライクなドキュメンタリーシリーズの制作

同じ規律に従い、同氏はドキュメンタリーシリーズ「Law of the Goat」を制作した。このシリーズでは、最強の格闘家になるために努力を続けるアスリートの姿を追っている。

ザーファティ氏:彼らの生活を深く掘り下げ、トップクラスの試合に出場するために犠牲にしなければならないことを映し出しています。

本作では、キャリアにおける晴れ舞台に立つ日のための準備をする彼らの家での生活、トレーニング、食事、考え方に迫っています。このシリーズを制作するにあたってのゴールは、生の感覚を視聴者に与えることです。あたかも、彼らの生活に深く関わっているかのようにしたいのですが、映像や音楽が時として映画のような感覚を与えるものにしたいとも思っています。

ドキュメンタリーの撮影に関しては、完璧なショットを演出するのではなく、見つけることを楽しんでいるという。

ザーファティ氏:ゴールは、このドキュメンタリーに映画のような感覚を与えつつ、それぞれの瞬間の真実味を維持することです。

そういった点でカメラの選択は重要な要素です。

撮影は、Blackmagic Pocket Cinema Camera 6Kデジタルフィルムカメラで始まり、その後メインのAカメラがURSA Mini Pro 12K、補助のBカメラがPocket Cinema Camera 6K Proにアップグレードされた。

ザーファティ氏:Pocket Cinema Cameraのインターフェース、サイズ、美しい画質が低コストにも関わらず得られることを非常に気に入っています。

12Kカメラは試合のシーンを8Kで撮影し、ショットをクロップしてリフレーミングするために導入しました。生のスポーツイベントの撮影では、その瞬間を撮影するチャンスは一度しかありません。それを踏まえると、ポストプロダクションでそういった柔軟性が得られるのは助けになります。

12Kを使用することにしたもう一つの理由は、その優れたカラーとイメージです。第5世代のカラーサイエンスは素晴らしいですね。真のシネマカメラです。

Blackmagic RAWで撮影することにより、URSA Mini Pro 12Kのダイナミックレンジとハイライトの扱い方の素晴らしさを理解できたともコメントしている。

ザーファティ氏:少し露出過多でも、復元の仕方に優れています。Pocket Cinema Camera 6K ProをBカメラとして使用したのですが、URSAと完璧にマッチしました。すべてのインタビュー映像の第2カメラとして、試合の夜では第3、第4カメラとしても使用しています。

Blackmagic Design導入事例:ドキュメンタリーシリーズ「Law of the Goat」の場合

YouTubeの活用

これまでに2話が制作され、今後も新しいエピソードの制作が予定されている同作は「Law of The Goat」のYouTubeチャンネルで公開されている。一方、舞台裏映像や映像制作のチュートリアルは同氏のYouTubeチャンネル「Alex Zarfati」にアップロードされている。

ザーファティ氏:YouTubeと映像制作における私のキャリアは密接に関連しています。私のYouTubeチャンネルはクリエイターとして成長させてくれただけでなく、「Law of The Goat」や私が監督を務める他の作品の制作のために雇用した何千もの映像作家と繋がりを築く上で大いに役立っています。

また、新しいクライアントをひきつけ、新しいブランドや企業との仕事の機会も得ています。私のドキュメンタリーをYouTubeで見た別のプロモーターから、コンテンツの制作と監督の依頼を受けました。

YouTubeを配信プラットフォームとして活用することは、本作と映像作家としての自身の仕事において大きな転機となったという。

ザーファティ氏:私にとって、自分が作りたいと思うコンテンツを制作する上で、非常に大きな助けとなっています。映像作家として多くのことを学び、その過程でこれまで行ったことを別の方法ですれば良かったと思うことはたくさんあります。そういった同じ間違いを若い映像作家が経験しないように、私のこれまでの経緯を見せ、私の経験から学んでもらえたらと思っています。

YouTubeは簡単ではありません。初めは、多くのことをしなければなりませんが、続けていくうちに収入が得られるようになるだけでなく、自分のクリエイティブなビジョンを実現することができます。

Blackmagic Design導入事例:ドキュメンタリーシリーズ「Law of the Goat」の場合