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九州大学芸術工学研究院と株式会社コルグは、「Live Extreme」技術を活用して、DSD アンビソニックス配信技術を共同で開発するプロジェクトを開始した。

アンビソニックスは、立体音響を収録・再現するための音響技術のひとつで、VR動画などに活用されている。このアンビソニックスと、時間領域での再現性が極めて高いダイレクト・ストリーム・デジタル(DSD)とを組み合わせた技術がDSD アンビソニックス配信技術で、音を知覚するという体験へのパラダイムシフトが期待されている。

概要

九州大学芸術工学研究院・城一裕准教授は、2023−2025年度の研究として「特異な音響空間内における音を知覚する体験の設計とその配信技術の開発」を開始するにあたり、その研究設備として「Live Extreme」を導入した。

Live Extremeは、コルグが2020年9月に発表したインターネット動画配信システム。最大4Kの高解像度映像とともに、ロスレス/ハイレゾ・オーディオのマルチチャンネル音声伝送が可能で、ソフトウェアにより容易に機能拡張が行えるため、研究分野での応用も期待されてきたという。

同研究は「音響測定設備としての無響室と残響室を、音を聴取する空間として捉え、その特異な音響空間内において、直接的に音を知覚する体験を設計すると共に、その体験を配信する技術を開発する」ことを目的としており、文部科学省の科学研究費助成事業(科研費・挑戦的研究(開拓)・23K17267)の対象となっている。

コルグは同研究のために「Live Extreme」の8ch DSDライブ配信システムを提供するとともに、「原音場の再現性に優れたアンビソニックスと、時間領域での再現性が極めて高いDSDとを組み合わせた配信技術」を九州大学芸術工学研究院と協働で開発する予定。

アンビソニックスは、「チャンネル・ベース」「オブジェクト・ベース」とも異なる「シーン・ベース」という独自の考え方に基づく立体音響技術で、3次元空間の360°全ての音声を記録、ミキシング、再生することが可能。このアンビソニックスと、PCMの64~128倍の時間分解能を持つDSDとの組み合わせは、世界初(コルグ調べ)の画期的な試みとだという。

共同研究により得られる成果(開発された配信機能)は、将来的に全てのLive Extremeのユーザー(配信者)に開放される予定で、主に研究開発並びにVR分野での利用が期待されているという。

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8ch DSD音声ライブ配信概略図:この技術により、無響室内にアンビソニックスにて収録した音を、インターネットを経由してDSDで配信することで、PCに接続した複数のスピーカを通じて臨場感のある音を聴取できる