2024年4月12日発表された株式会社ニコンによる米国RED.com, LLC(以下:RED社)の完全子会社化は、大きな話題に上った。発表当時は、買収金額を明かさなかったが、2024年3月期連結決算(IFRS)が発表され、その買収額が明らかになった。その金額は、131億6700万円(8500万ドル)であったことが明らかになった。
買収前に実はニコンはRED側から「動画圧縮に関する特許侵害」についての訴訟を起こされていた。その後、訴訟は取り下げられ、事実上、ニコンはカメラ内の圧縮RAW記録を搭載し続けることが許可された。その後、買収を検討し始めたことを明らかにした。ニコンは、REDが求めていたライセンス料や関連する損害賠償金を支払うよりも、REDを買収した方が効率的かもしれないと気づいたことを意味する。
2005年RED設立以来、デジタルシネマカメラ分野のリーディングカンパニーとして、RED ONE 4Kや独自のRAW圧縮技術を持つ最先端のV-RAPTOR [X]など、数多くの製品を発表してきた。 REDの映画業界への貢献は、アカデミー賞を受賞だけではなく、数々のハリウッド作品に選ばれるカメラとなり、世界中の監督や撮影監督から称賛されていることはいうまでもない。
ニコンは、自社のシネマレンズの登場を期待するだけではなく将来的にはREDカメラにZマウントを追加することも検討する意向を示唆しているという。ニコンとREDは、両社の強みを融合し、急成長する業務用デジタルシネマカメラ市場の拡大が期待される。