Blackmagic Designによると、HBOオリジナルシリーズ「30 Coins」の第二シーズンのグレーディングやオンライン編集などにDaVinci Resolve Studioが使用されたという。
監督にはアレックス・デ・ラ・イグレシア氏、撮影監督にはパブロ・ロッソ氏を迎えた同作は、悪魔の憑依、神話上の地獄の生き物、恐ろしい風景、先祖伝来のカルト、その他多くの恐怖が詰まった複雑なストーリーで知られており、こういったホラージャンルを愛する視聴者にさえ不安感と驚愕をもたらす作品だ。
第二シーズンではスペインが物語の大部分の舞台となったが、ローマ、バチカン、ロンドン、パリ、ニューヨークなど、様々な場所でも撮影が行われた。
スペインのポストプロダクション会社であるLa Bestia Produceのカラリストであるホルヘ・モリナ・クケレラ氏は、次のようにコメントしている。
クケレラ氏:古代の彫刻と一致する歴史的参考資料からインスピレーションを得て、地獄を連想させる赤、オレンジ、黄色に焦点を当てて作業しました。
クケレラ氏:本作のグレーディングでは、色あせた彩度の低い色調に焦点を当て、悪魔のような雰囲気を増幅させることを目的としました。DaVinci Resolveのミッドトーンディテール・ツールでこれらのディテールの微細な調整を行いました。また、テクスチャーポップOFXを使用して、肌の質感、傷、想像上の生き物の見た目を強調しました。
また、カナリア諸島で撮影された赤い砂のシーケンスは、火星を彷彿とさせるもので、巨大なUFOが存在するため、ショットの一致と光のバランスが課題だったと同氏はコメントしている。
クケレラ氏:特に、複数のカメラを使用し、送風機やヘリコプターによって砂が吹き飛ばされるシーンでは、かなりの困難に直面しました。
あるカメラアングルでは砂を捉えてはっきりとしたコントラストを表現する一方で、砂のない別のアングルではコントラストが欠けており、別の時間帯に撮影されたように見えたため、課題となりました。
連続するショット間で、バランスの取れたコントラストのレベルを得ることは難しく、特に主人公のメイクが生ける屍のようだったため、この作業には数週間掛かりました。
しかし、この過程はDaVinci Resolve Mini Panelにより能率化されたという。
La Bestia Produceは、ACESカラーマネージメントを用いることで、フレッシュなルックを作成でき、LUTを使用する必要がなかったため、よりクリエイティブに作業が行えた。
クケレラ氏:ACESカラースペースを使用する主な利点は、VFXアーティストと同じカラースペースでカラリストが作業できることです。
カメラからのラフカットとポストプロダクションのショットの間に違いはありません。このワークフローは、各エピソードで300を超えるVFXショットが含まれる本作では特に有益でした。
EXRを使用することで、RAWイメージをVFXアーティストに渡すことができ、私たちが設定したカラーのパラメーターを用いてVFXを適用したファイルを送り返してもらえました。これは、当初予定されていなかった新しいエフェクトが複数取り入れられた本作にとって特に重要でした。ショットの再承認は要りませんでした。
オンラインの過程では、各チャプターにおいて複数回の改訂が行われたという。
クケレラ氏:ResolveでACESを使用することで、各部門が同じカラースペースを使用できたので、作業が簡素化されました。
詳細は、2024年6月6日にマドリードにて行われる「DaVinci Resolve Live」における同氏の講演にて語られる予定。