Blackmagic Design導入事例:上出遼平氏YouTubeドキュメンタリー「TRAIL」の場合

Blackmagic Designによると、上出遼平氏のYouTubeドキュメンタリー「TRAIL」がBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K ProとDaVinci Resolve Studioで制作されたという。

「TRAIL」はYouTubeチャンネル「muda」内のコンテンツであり、俳優の仲野太賀氏とテレビ東京の「ハイパーハードボイルドグルメリポート」シリーズを手がけた映像ディレクターの上出遼平氏がアラスカの「Wonder Lake」を目指して4日間で80キロのトレイルロードを歩く様子に密着したドキュメンタリーである。

Blackmagic Design導入事例:上出遼平氏YouTubeドキュメンタリー「TRAIL」の場合

同作は上出氏とカメラマンの石井邦彦氏によってPocket Cinema Camera 6K Proで撮影され、編集は上出氏とAkira Kamitaki氏がDaVinci Resolve Studioで行った。同作で撮影を担当した上出氏と石井氏は共にPocket Cinema Camera 6K Proを使用した。

同製品の導入理由について上出氏は、次のようにコメントしている。

上出氏:元々Pocket Cinema Camera 6K Proを持っていて、今もほぼそれで撮影をしています。一番使い勝手がいいカメラということに加えて、重量的な面やバッテリーのマネジメント面を考慮して、このカメラを採用しました。山での撮影だったので、12Vで給電できる点やNDフィルターが内蔵されていることはとても助かりました。

見た目は重そうなのですが、持ってみると思ったより軽い印象でした。また、何よりこの大きなティルトスクリーンと、直感的に操作できるインターフェースが気に入っています。他のメーカーのものと違って本当に必要なものが明確で、余計なものがない感じ。必要なことがちゃんと表示されてわかるということがすごくありがたいです。

また、起動が速い点も良いですね。僕らみたいな(ドキュメンタリー撮影)スタイルだと起動のスピードがかなり重要で、台本があって取材をしていくということがほとんどないので、ずっとカメラを回し続けるか必要な瞬間に撮るかという二択になるんです。そういった点ではこのルックと起動の速さを実現している点が気に入っています。

同作の撮影はとてもタフな環境であったという。現地ではPocket Cinema Camera 6K Proにハーフリグを取り付け、マイクとSSDを接続するという装備で1日それぞれ8時間程度撮影していた(コーデックはBlackmagic RAWで6K出力)。現地では電源などはなくバッテリー充電ができないため、事前に4日間分バッテリーを持ち込んだという。

上出氏と「TRAIL」の撮影に同行した石井氏は以前から極地などでの野外撮影経験が豊富で、「世界の果てまでイッテQ!」「ダーウィンが来た!」などで撮影を担当した人物だ。その豊富な経験が同作の制作を支えた。

石井氏はバッテリーマネジメントについて、次のようにコメントしている。

石井氏:98ワットのVマウントのバッテリーを3つとNPFバッテリーを20~30個持っていきました。Vマウントのバッテリーでは1日もたないので、その後はNPFバッテリーを交換しながら撮影していました。

上出氏:DaVinci Resolveでは、Pocket Cinema Cameraで収録したBlackmagic RAW素材をそのまま編集できるのが大きなメリットでした。場合によってはプロキシを作成することもありましたが、そのプロセスにもストレスがありません。

撮ったRAW素材をそのままシーケンスに放り込んで、イメージしやすいように全てのクリップにまとめて仮の色を乗せ、すぐにストーリーテリングにフォーカスできる。それが完了したプロジェクトを、僕の住むニューヨークからアメリカ内陸部に住むKamitakiさんに送り、グレーディングまで行ったものを東京のクライアントに送る、というフローはDaVinciならではだったと思います。

常にオルタナティブを示したいという思いがあらゆる側面であります。みんなが"こうじゃなきゃいけない"と思っている時にそうじゃないことをする。そういう思いが「TRAIL」にもありますし、今後もそうしていきたいですね。

Blackmagic Design導入事例:上出遼平氏YouTubeドキュメンタリー「TRAIL」の場合