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株式会社メディアナビは、最新のAI技術を活用して自動的に顔ぼかしを行うソフトウェア「AVCLabs Video Blur AI」(Windows版/Mac版)を放送業界向けに提供を開始する。希望小売価格は税込21,980円。

また、2024年11月13日(水)から11月15日(金)に幕張メッセで開催される「Inter BEE 2024」において、NHKテクノロジーズ社のブース(映像制作/放送関連機材部門 小間番号8501)内で同製品最新版を展示する。

AVCLabs Video Blur AIは約1年に渡り、株式会社NHKテクノロジーズの監修を受け、放送業界特有のニーズと課題を反映し、業界における最適な活用が可能となるようにアップデートをしてきたという。同社の専門的な知見により、放送業界の市場で求められる要素を取り入れ、さらに製品機能を強化していくとしている。

同製品は、利用中の動画編集ソフトの制限を受けずにスタンドアローンで動作することが特長。簡単な操作でモザイク入れの作業時間を短縮できるだけでなく、アシスタントなどメインの動画編集担当者以外のチームメンバーに作業を割り当てることで、作業の分散化が可能になり、映像編集者が本来おこなうべきクリエイティブな作業に専念できる。

「AVCLabs Video Blur AI」の製品情報

最新AI技術で動画内の顔・物体を自動認識してモザイク処理

AVCLabs Video Blur AIは、モザイクやぼかし処理に特化したソフトウェア。動画内の移動する人物や車のナンバープレートを自動で追跡し、モザイクやぼかしで隠すことができる。複数の人物の処理にも対応しており、AI技術を用いて対象を認識し、映像内の顔を正確に隠する。特定の人物のみ、または特定の人物以外を隠す設定も可能で、複数の人物を指定できる。

さらに、最新の物体認識AIを搭載しており、オブジェクトトラッキングによるぼかし処理が可能。例えば、パソコンの画面やプロジェクター、運転免許証、機密情報の書かれた資料、看板などを認識し、自動的にぼかすことができる。これは単純なモーショントラッキング(タイムラインのある1点から別の1点までぼかし枠が移動する)とは異なり、1フレームごとに物体を認識しながら処理を行うため、確実かつ精細なぼかし処理を実現する。

映像編集の工数を大幅に削減

従来の顔ぼかしや背景ぼかし(人物以外の背景を切り抜いてぼかす)の作業は1フレーム単位で確認をしながら手作業で行う必要があり、数分の映像でも数時間かかることもある。

AVCLabs Video Blur AIを使えば、AIによって全フレームを一括で処理でき、大幅に作業時間を短縮できる。

「任せる」ことで作業の分散化と効率化を実現

AVCLabs Video Blur AIは、WindowsおよびMac上でスタンドアローンで動作するアプリケーションのため、映像編集ソフトの利用環境に依存しない。また、操作が非常に簡単で、10分程度の練習で習得可能なため、映像編集の経験が少なくても容易に扱うことができるという。

例えば、メインの映像編集を行っている間に、アシスタントが別のPCでぼかし処理を進めるという分業も可能になる。これにより、映像編集者はよりクリエイティブな作業に専念でき、作業全体の効率化と時間短縮につながるとしている。

NHKテクノロジーズ社監修、放送業界に最適化

AVCLabs Video Blur AIは、2024年より株式会社NHKテクノロジーズの監修の下、放送業界のニーズに応える精密な機能強化を実現。専門的な知識と経験を活かしたアップデートにより、メディアナビは今後も放送業界での活用を見据えたさらなる改良を進めていく方針だ。

同製品は、2023年7月の発売以来、買い切り型のリーズナブルな価格設定にもかかわらず、高度なAI技術を利用できると評判を呼び、個人の映像クリエーターやYouTuber、動画の内製化を進める一般企業を中心に広く利用されてきたという。今回の取り組みにより、手軽で簡単な操作性を保ちながら、プロの編集現場でも活用されるツールとして進化した。

販売対象は、従来の個人の映像編集者や一般企業に加え、新たに放送局やCATV局といったプロフェッショナルな映像制作企業にも拡大して展開していくとしている。

主な機能

顔ぼかし:AIが顔を自動検出

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AIで一気に顔検出。顔を選んでまとめてぼかす

映像内の顔を自動的に検出し、全フレーム内から同一人物を特定し追跡。精密に匿名化できる。プレビュー画面や顔の一覧からモザイク処理をすべき人物を人間の目で判断し、選択が可能。「指定した顔」「指定した顔以外」の選択ができる。

任意物体の自動ぼかし:指定したオブジェクトを追従

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マウスクリックで対象物を選択して物体認識
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認識した物体(画面)にモザイクを入れる

動画内の対象を自由に選択し、追従して隠すことが可能。マウスクリックだけで対象を選択可能。人物、ロゴ、看板の写り込みや、写り込んでしまった書類やディスプレイなどをぼかす目的で利用できる。

単純に枠を指定してぼかすのではなく、オブジェクトを全フレームで追跡してぼかす。そのため、手が被さった場合も手はぼかさず、動きがわかるように処理できる。

背景自動ぼかし:AIが手前の人物を判定、施設の特定を避ける

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背景の自動ぼかし

映像の背景をぼかし処理できる。不要な要素を非表示にし、必要な要素だけを表示できる。例えば場所の特定につながるような風景や部屋の中を隠したり、人物を消すことも可能だ。

ナンバープレートの自動ぼかし

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AIが映像内のナンバープレートを自動検知・追従し、隠すことができる。

その他特長

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動画のトリミングや複数の処理の様子とAIモデルの設定画面

動画のトリミングや複数の処理を同時に実行可能

動画の開始と終了のトリミングができます。出力する範囲を調節できる。また、複数の編集も可能。例えば、「顔のモザイク」と「車のモザイク」を同時に編集できる。

さまざまな動画に対応、グラフィックカードの加速設定対応

グラフィックカードの選択や、メモリの消費量など、より高速に処理するための設定ができる。NVIDIA TensorRT加速、ハードウェアアクセラレーションに対応。4K動画、スマホ縦長動画の読み込みにも対応し、解像度はフリーだ。出力フォーマットは、MP4、MKV、MOV、AVI、WEBM、MXFから選択できる。

AIのモデル設定はパラメーターで調整可能。検出精度(顔として検出する度合い)や認識精度(同一人物として認識をする度合い)など、さまざまなパラメーターを調整して好みに合った精度に調整できる。

主な仕様(動作環境)

対応OS Windows 11/10、macOS 12 およびそれ以降(M1チップ)
CPU 最小要件: 2015年以降のIntel CPU(第4世代)/2016年以降の AMD CPU推奨: Intel i7(第7世代)以降(4GHz以上)または Ryzen 7以降(4GHz以上)
GPU Windows 10 ver. 1903以降:
NVIDIA Kepler(GTX 600 シリーズ)またはそれ以上;
AMD GCN 1st Gen(Radeon HD 7000 シリーズ)またはそれ以上;
Intel Haswell(第4世代 Intel Core)HD Integrated Graphics またはそれ以上
Windows 10 ver. 1903以前:NVIDIA GTX 1050 Ti またはそれ以上
RAM 8GB、またはそれ以上
空き容量 15G以上
対応動画 入力:3G2、3GP、AVI、DIVX、FLV、F4V、M2TS、MTS、MOV、MP4、M4V、MPEG、MPG、DAT、MKV、OGM、RMVB、RM、TS、TP、VOB、WMV、WTV、ASF、DV、WEBM、MXFなど
出力:MP4, MOV, MKV, AVI, WEBM、MXFなど