Blackmagic Design導入事例:ミュージックビデオ 「The Stargate」の場合

Blackmagic Designによると、アメリカのデスメタルバンド、Blood Incantationの「The Stargate」ミュージックビデオが、DaVinci Resolve Studioを使用して編集およびグレーディングされたという。また、同ビデオのVFXには、同ポストプロダクションソフトウェアのFusionページが使用された。同ミュージックビデオの監督および撮影監督を務めたマイケル・レーガン氏が編集とVFXを担当し、カラリストのベラル・ヒブリ氏が、息を呑むようなイメージと不穏な雰囲気を特徴とする20分の冒険物語のグレーディングを担当した。

ミュージックビデオというよりはショートフィルムに近い「The Stargate」は、謎の物体とその犠牲者たちの壮大な物語を描いている。暗黒時代から始まり、深宇宙の虚空へと旅する同作品は、SFとフォークホラーを、異次元旅行と異世界のテクノロジーと融合させている。

レーガン氏は、次のようにコメントしている。

レーガン氏:この作品は、世界の始まり、世界を超えた世界、時間を超えた場所の探求です。

非常に複雑な構成なので、最初にResolveのテキストカードを使って曲全体の編集を構築しました。各ショットで起きることを簡単に説明したものです。時間やリソースが限られていたので、スケジュールに遅れずに必要なシーンを撮影する上で、この方法が鍵となりました。

Blackmagic Design導入事例:ミュージックビデオ 「The Stargate」の場合

レーガン氏:撮影が始まると、私は、撮影、編集、VFX、そして一時的なカラーコレクションの作業を行ったり来たりしました。

編集作業をResolveで行うことを決めた最も大きな理由は、編集中いつでもカラーページに移動して、一時的なグレーディングを行えることです。私は元々シネマトグラファーなので、編集中に正確なルックを得られることはとても便利ですね。特にこの作品のように、モノクロからカラーへのトランジションが含まれている場合に助かります。

レーガン氏はまた、編集作業に行き詰まった時は、DaVinci Resolve StudioのFusionページをクリックして、ショットの合成作業を行うことで、ギアを切り替えることができたという。

レーガン氏:Fusionページでは、平面トラッカーを使用して登場人物の顔の一部分をトラッキングし、2つ目のテイクを使って平面トラッカーで頭部の動きをスタビライズしました。次に、同じテイクからエレメントを抜き出して最初のショットに合成することで、複数の顔を持つミュータントの映像を生成しました。

レーガン氏によると、宇宙のショットでは、カメラがパンするパーティクルフィールドのアニメーションなど、基本的な3Dエレメントを使用した従来の合成作業が必要だったという。

レーガン氏:宇宙空間の背景の有機的なエレメントは、クリス・パークスがすべてカメラで撮影しました。クリスは流体エフェクトのエキスパートで、これまでに「ファウンテン 永遠につづく愛」や「ツリー・オブ・ライフ」などを手がけています。

クリスが撮影した複数のショットをFusionで重ねたり、新しい背景にワープさせて、宇宙船を透明な背景のEXRまたはPNGシーケンスとして取り込みました。この宇宙船は、私が最初に実際のミニチュアとして作成し、スキャンしてUnreal Engineで3Dキットバッシングを加えたものです。

Blackmagic Design導入事例:ミュージックビデオ 「The Stargate」の場合

DaVinci Resolve Studioのインスペクタのスタビライゼーションやリタイムツールもまた、レーガン氏の作業に不可欠であった。

レーガン氏:カラーページに関しては、個人的に一時的なグレーディングにノードを使うことはあまり好きではなかったのですが、結局はワープツールやデントツール、アナログダメージなど、多くのFXを積み重ねることになりました。

カラリストのヒブリ氏は、レーガン監督が同ミュージックビデオの様々なフェーズに対して、明確なビジョンを持っていたとコメントしている。

ヒブリ氏:70年代の低予算なSF作品に見られるような、生々しい光化学的なルックといった感じです。このルックは、VFXのアプローチと同様に、音楽を収録/ミックスするアナログ手法にマッチしています。

実際のグレーディングの際は、収録で聴くことのできるデンシティやレイヤリングに対応する方法で、ルックを調整するような形になりました。カラーパレットに加えて、グレイン、グロー、ハレーション、レンズフレアなどを異なる強さやスタイルで使用し、楽曲中の様々なシーンやトーンを区別できるようにしました。

パイロット版では、ビデオの終盤にコントロールが効かなくなり、音楽と編集がめちゃめちゃになってしまいました。このシーンは、クリス・パークスのマクロ撮影から、泡立つ液体のショット、惑星に取り込まれたバンドメンバーが溶けていくショットまで、様々なタイプの映像が混ざり合っています。

私たちは、シーケンスが一体となり、そのシーンのインパクトに追いつくように努力しました。スキャンした4種類のフィルムグレインをミックスして、他の編集と融合させ、エネルギーの流れを維持するショットがあったのですが、すべてがひとつになる瞬間があり、音と映像が一致したときの満足感は計り知れませんでした。

レーガン氏:自分達のことを信用してくれており、彼らのビジョンを解釈して制作する自由を与えてくれるけれど、同時に責任感が強く、協力的なバンドと一緒に仕事ができたことは、本当にラッキーでした。

一緒に作業したチームは素晴らしかったです。大変な作業でしたが、仕事をしている感じではなく、仲間と一緒に楽しんでいる感じでしたね。共通の芸術的な目標がある時に、映画製作はどのようなものになりうるかを思い出させてくれました。

Blackmagic Design導入事例:ミュージックビデオ 「The Stargate」の場合