アドビ、Lightroomをアップデート。画像の不要なものをAIで削除、HDR写真の作成サポートも

2025.02.13

アドビは、Adobe LightroomとAdobe Camera Rawの最新のアップデートにより、画像から不要な人物を削除したり、ワンクリックでHDR写真を強調したり、写真ライブラリの中から重複する写真を削除したりできるようにした。

Adobe Lightroom、Adobe Camera Raw、アダプティブプロファイル、そして「不要な要素の削除」に、AIを搭載した2つの新しい編集機能が追加された。これらのツールは、新しい画像編集へのアプローチを実現し、頻繁に行うタスクに必要な、面倒な繰り返し作業を軽減する。

また、Adobe Lightroomチームは、将来に向けた新機能に加え、ワークフローを合理化し、ユーザーを苦労から解放できるよう、コミュニティから寄せられたリクエストを反映した機能の開発にも取り組んでいる。

Adobe Lightroomモバイル版の最新機能および機能強化は、Apple App Store、Google Play Store、Samsung Galaxy Storeからダウンロードできる。Adobe Lightroomアプリは、スマートフォンのアプリストアから無料で入手可能。Adobe Lightroom Web版の機能はlightroom.adobe.comで提供されており、ダウンロードは不要。Adobe Lightroom、Adobe Lightroom Classic、Adobe Photoshopは、Adobe Creative Cloudデスクトップアプリからダウンロードできる。

アダプティブプロファイルでHDR写真をよりリアリスティックに

対応環境：Adobe Lightroom、Adobe Lightroom Classic、Adobe Lightroomモバイル版（iOSおよびAndroid）、Adobe Lightroom Web版、Adobe Camera Raw

2023年、Adobe LightroomとAdobe Camera Rawに、ハイダイナミックレンジ（HDR）写真の作成と編集のサポートが導入された。それ以来、Adobe Lightroomモバイル版からHDR写真をInstagramに直接投稿する機能など、エンドツーエンドのエクスペリエンスを向上させる数々の機能強化を行ってきた。今回、HDR画像をすばやく作成できるよう、Adobe Camera Rawにアダプティブプロファイルを初めて導入した。

素早く美しいHDR写真の作成をサポートするアダプティブプロファイルは、現在、カラーおよびモノクロでAdobe Lightroomエコシステム全体で利用可能だ。昨年秋に初めてAdobe Camera Rawで導入されたアダプティブプロファイルは、写真のトーンとカラーを動的に調整し、さらなる画像編集作業の起点となる高画質でリアリスティックな画像を作成する。

従来のユニバーサル設定のプリセットやプロファイルとは異なり、アダプティブプロファイルは個々の画像に適応される。AIモデルが写真を分析し、トーンとカラーを調整して最適な見栄えを実現する。これにより、実際のコントロールは元の中立の位置のまま、AIが露出、シャドウ、ハイライト、カラーミキサー、トーンカーブなどのコントロールを変更したかのような効果を得られる。

アダプティブプロファイルは、既存のHDRワークフローサポートに組み込まれる。2023年にHDRの作成・編集のサポートを初めて導入して以来行われてきたアップデートの最新バージョンだ。

写真から不要な人物を削除

対応環境：Adobe Camera Rawで早期アクセス版が利用可能、Adobe Lightroomでは近日提供予定

不要物の削除は、多くのフォトグラファーにとって長らく、手作業頼りの面倒なタスクだった。これまで、不要なものが含まれた画像に対しては、時間をかけて編集するか、不完全な画像をそのままにするしか選択肢がなかったが、今回のアップデートで、もっと簡単に画像内の不要なものを特定するだけでなく、数クリックで削除できるようにする。

不要な要素の削除は、例えば人物のような写真内に映り込んでしまった不要な要素を検出し、削除することができる。現在、同機能はAdobe Camera Rawでテックプレビューが利用可能で、まもなくAdobe Lightroomでも追加される予定。

撮影時に写り込んだ人物の削除から、家族旅行の写真に写り込んだ人ごみの削除まで、いつでも簡単にプロフェッショナルでクリーンな仕上がりを実現できるようになる。また、昨年12月には、「不要な要素の削除」の機能である「反射の削除」も発表している。

フォトライブラリの管理時間を短縮

対応環境：Adobe Lightroom Web版で早期アクセス版が利用可能

フォトライブラリに保存されている数百、数千もの写真を、整理・管理することは、画像の創作プロセスの中で最も面倒で時間のかかる作業のひとつだ。Adobe Lightroom Web版で、編集を続けるのに適した写真を簡単に特定したり、不要な写真の削除を容易にする強力な新しいツールの実験を開始した。

写真ライブラリに残ってしまう重複した画像は、早期アクセス版が提供開始となったAdobe Lightroom Web版の「クリーンアップ」機能の一部である「重複を検索」により、画像管理を容易にする。Adobe Lightroom Web版の機能の一つであるクリーンアップ機能は、クラウドに保存した写真を素早く表示、整理、管理できる軽量なツールだ。重複した画像を特定するだけでなく、ぼやけた画像やスクリーンショット、その他の不要な画像を検出することができる。

テザー撮影ライブビューでの直感的なフォーカスポイント選択

対応環境：Adobe Lightroom Classic

Adobe Lightroom Classicの新しいフォーカスポイント選択ツールにより、ライブフォトセッション中に完璧なショットを撮るのがこれまで以上に容易になった。Adobe Lightroom Classicにテザー接続したら、テザーライブビューウィンドウでカメラのオートフォーカスモードを変更し、目的の被写体をクリックするだけだ。オートフォーカスや手動の近距離/遠距離フォーカスボタンを操作する必要はもうない。ポイントしてクリックするだけで、常に適切なフォーカスが得られる。

これは、俯瞰撮影のために頭上の高い位置など、難しい場所にカメラを設置している場合に特に便利だ。さらに、大きなライブビューウィンドウでは、小さなカメラ画面よりもはるかに容易にフォーカスポイントを設定できる。モデルの目やその他のオブジェクトにフォーカスを合わせる場合でも、このツールを使用すると完璧なショットを撮影できるという確信を持てるだろう。同機能はソニー、ニコン、キヤノンの対象カメラで利用できる。

強化された共有体験

対応環境：Adobe Lightroomモバイル版（iOS）

写真やアルバムを家族や友人に、より速く、より容易に、そしてより直感的に行えるようアップデートをした。

共有可能なパブリックリンクの自動生成：共有するすべての人が閲覧可能なリンクをAdobe Lightroomモバイル版で即座に作成できるようになった。このシンプルなプロセスにより、よりスムーズでアクセスしやすい共有体験が実現する。
共有リンクの生成は4倍高速化：リンク生成を高速化し、待ち時間を75％短縮した。わずかな時間で共有リンクを生成できるようになり、写真の共有が迅速かつ容易に行えるようになった。
リンクのコピーの簡易化と共有オプション：リンクのコピーと共有がこれまで以上に容易になった。インターフェイス内に直接配置された、見つけやすく、直感的なオプションにより、リンクのコピー、ソーシャルメディアでの共有、連絡先への直接送信など、コンテンツの共有方法をすばやく決定できる。
リアルタイムのアプリ内カスタマイズプレビュー：リンクを共有する前に、共有アルバムまたはコンテンツに加えられたカスタマイズのリアルタイムプレビューを表示できるようになった。このアプリ内機能により、思った通りに共有できるよう微調整できる。

その他のAdobe Lightroomのアップデート

Adobe Lightroom Classicのパフォーマンス向上：最新のアップデートにより、マスクのブラッシング、切り抜き角度の回転、ホワイトバランス調整の際の応答性が向上し、特にマスクの多い画像で応答性が向上した。
背景を選択（対応環境：Adobe Lightroomモバイル版（iPhone/Android））：Adobe Lightroomモバイル版のAIマスクツールの改善により、大画面のデバイスに切り替えることなく、スマートフォンから直接、写真の背景を簡単に選択的に編集できるようになった。
デュアルモニターのサポート（対応環境：Adobe Lightroom）：2台のコンピューターモニターでAdobe Lightroomを使用できるようになった。2つの画面を活用することで、ワークフローを効率化できる。例えば、一方のモニターで編集ビューを開き、もう一方のモニターでグリッドビューを開くことで、最大限の効率性を実現できる。