
富士フイルム株式会社は、小型軽量性とクラス最高の30倍ズームを両立した4K対応の放送用ズームレンズ「FUJINON LA30x7.8BRM-XB2」(以下:LA30x7.8BRM)を開発した。2025年中に発売する予定。
LA30x7.8BRMは、2/3インチセンサーを搭載した放送用カメラに対応し、広角7.8mmから望遠234mmの幅広い焦点距離をカバーしつつ、全長190mm・約1.8kgと小型軽量を実現。ズームやフォーカス、アイリスの位置情報を高精度で検出可能な新開発のドライブユニットを搭載。バーチャルプロダクションやリモート撮影などの用途に最適だとしている。
同社は2025年4月6日~4月9日に、アメリカのラスベガスで開催される国際放送機器展「NAB2025」にてLA30x7.8BRMを参考展示する。
開発の背景
近年、動画配信プラットフォームの急拡大により、報道・ドキュメンタリー・スポーツ・ライブなどの多様な映像コンテンツが増えている。一方、映像コンテンツの撮影現場では、増え続けるコンテンツに人手が追い付かず、制作費をおさえながら、高品質な映像を少人数で効率的に撮影できる機材へのニーズが高まっている。こうしたニーズに対し、同社は2019年に4K対応の放送用ズームレンズ「FUJINON LA16x8BRM-XB1A」を発売。全長163.8mm・約1.6kgと小型軽量、かつコストパフォーマンスに優れたレンズとして、好評を得ている。
今回開発したLA30x7.8BRMは、4Kに対応した放送用ズームレンズで、広角7.8mmから234mmの幅広い焦点距離をカバーするクラス最高の30倍ズームと、全長約190mm・質量約1.8kgの小型軽量性を両立し、撮影現場での機動性を高める。また、新たに搭載したドライブユニットはズームやフォーカス、アイリスなどの高精度な位置検出に対応しており、被写体と仮想の背景を組み合わせて撮影するバーチャルプロダクションや同時に複数台のカメラを操作するリモート撮影に最適だという。
同社は、長年、カメラオペレーターのきめ細かなニーズをとらえた放送用レンズを開発・提供する中で、2015年には世界で初めて4K対応放送用レンズを発売。8K対応放送用レンズもラインアップし、映像の高画質化をリードしてきた。同社は今後も、高性能なレンズ、さらには快適な撮影をサポートするアクセサリーを開発・提供し、多様化する映像制作現場のニーズに応えていくとしている。
主な特長
クラス最高の30倍ズームと全長約190mm・質量約1.8kgの小型軽量性を両立
リアフォーカス方式を採用し、同社が長年培ってきた独自のレンズ設計技術を生かしてレンズ構成や制御方法を最適化することで、クラス最高の30倍ズームと、全長約190mm・質量約1.8kgの小型軽量性を両立した。
小型軽量ながら広角7.8mmから234mmまでの望遠撮影が可能なため、カメラを肩に担いで撮影する「肩担ぎスタイル」での負担を軽減し、1本で多彩なシーンを撮影できる。
新開発のドライブユニットを搭載し、高い運用性と機能性を実現
レンズのズーム・フォーカス・アイリスの位置情報を16bitの分解能で出力することで、高精度な位置検出が可能。被写体と仮想の背景映像を組み合わせて撮影する、バーチャルプロダクションに最適だ。また、複数台のカメラを同時に操作するリモート撮影などにも対応し、撮影セットの簡素化や省人化など、効率的な運用が可能だ。
広角端から望遠端までのズーミングにおいて、最高速1.0秒、最低速120秒を実現。スポーツ中継では、素早く動く被写体を的確にとらえた映像を、音楽ライブ配信では、スローかつスムーズなズーミングにより表現力に富んだ映像を撮影できる。
ズーム全域で4K対応の高い光学性能を発揮
同社独自の光学シミュレーション技術を活用し、画面周辺の解像力低下とあらゆる収差を抑えることで、ズーム全域で4K画質を実現。また、同社独自の多層コーティング処理「HT-EBC(High Transmittance Electron Beam Coating)」により、光の透過率や色再現性を高めている。
快適な撮影をサポートする機能を搭載
ドライブユニットにあるボタン一つで調整可能な電動式フランジバック調整機能を搭載。スピーディーで効率的な調整を実現する。
フォーカスリングをスライドさせることで前玉から0.05mまで至近距離撮影を可能にするマクロ機能を搭載。料理や小物などアップが求められる被写体を4K高画質で演出可能だ。
