Blackmagic Design導入事例:テレムンド・デポルテス「2024年夏季オリンピック放送」の場合

Blackmagic Designによると、テレムンド・デポルテスが2024年夏季オリンピックの放送に4台のUltimatte 12 HDリアルタイム合成プロセッサーを使用し、フロリダ州マイアミのテレムンドセンターでパリのバーチャル環境を作成したという。このワークフローにより、15人のキャスターとゲストが19日間、8時間にわたって、455m2のホリゾントを使用し、エッフェル塔、トロカデロ広場、ノートルダム大聖堂などの多数の史跡を再現した仮想セットでレポートを行い、視聴者を臨場感あふれる美しい街並みに誘った。

NBCユニバーサルの一部門であるNBCユニバーサル・テレムンド・エンタープライズが所有するテレムンドは、ラテンアメリカの視聴者向けのコンテンツと番組を放送するスペイン語のテレビネットワークだ。テレムンドセンターのスタジオLは当初、2020年東京オリンピックの取材に使用され、バーチャルプロダクションのワークフローの一環としてUltimatte 12が使われていたが、先日、最新のテクノロジーを導入し、Ultimatte 12 HDを設置した最先端のバーチャルスタジオに転換された。

パリでの現地取材の量とオリンピック期間中の限られた物理的スペースを考慮して、テレムンドはマイアミに独自の仮想セットを構築し、この歴史的なイベントを取材することにした。リアルタイム・グラフィックの専門家であるファビアン・アルバラシン氏が率いるチームが仮想セットを担当し、制御された環境内で視聴者に対して極めてリアルな体験を提供した。彫刻から自然まで、美しいディテールと精密さを持った、可能な限りリアルな映像を創り出すために同氏らは全力を尽くしたという。

オリンピックの放送においては、同社は4台のUltimatte 12 HDに、コントロール用のUltimatte Smart Remote 4を4台組み合わせて使用した。カメラの信号に加え、フィル&キー用のUnreal EngineとChyronのPrime VSARの2つの信号は、それぞれUltimatte 12 HDに送信された。このセットアップにより、Unreal Engineで構築された2つの仮想セットを一台のカメラと同期して起動し、仮想セットと拡張現実の両方を実現した。

ワークフローにUltimatteを導入する前は、イベントの生放送にとって極めて重要であるクリーンなクロマキーを得ることが主な課題だった。これを正確に実行できる信頼性の高いツールを必要としていた同社にとって、クリーンなクロマキーとカラーレタッチ機能を備えたUltimatteは最適なソリューションだったという。これらの機能により、キャスターを仮想環境にシームレスに統合し、よりリアルで没入感のある映像を制作可能となった。特に2024年の夏季オリンピックでは、昼から夜にかけての放送を行ったため、変化する日光を正確に映し出す上で、Ultimatte 12 HDのカラーレタッチ機能が役に立ったという。これにより、太陽光の変化と、キャスターとゲストのレタッチをシームレスに行えた。

同社がUltimatteを導入して以来数年経つが、現在、同社のワークフローは一貫性のある信頼性の高いものとなっているという。バーチャルプロダクションのプロセスは、2024年夏季オリンピックのワークフローにより合理化され、この確立された手法を同社は将来のプロジェクトに引き続き適用していく予定だという。