250616_DentsuCreativeX_top

株式会社電通クリエイティブピクチャーズは、映像コンテンツにおけるバーチャルプロダクション撮影の普及に向け、芸能プロダクションの有限会社フラームと共同でバーチャルプロダクション撮影した短編映画「mopim(ムパン)」「道子、未知満ちて。」の2作品を2025年6月13日(金)から8月31日(日)まで、電通クリエイティブピクチャーズおよびフラームの公式YouTubeチャンネルにて無料配信する。

電通クリエイティブピクチャーズは2024年1月、横浜市鶴見区に開業した撮影スタジオ「FACTORY ANZEN STUDIO」内に大型LEDディスプレイを常設する、バーチャルプロダクションスタジオを構えている。バーチャルプロダクション撮影はロケに行かずとも、ロケしたかのような映像をスタジオ内で撮影できるため、キャストやスタッフの移動、拘束時間の削減につながる。

この度、バーチャルプロダクション撮影の普及・推進に賛同するフラームと共同で、有村架純さんと鳴海唯さんに主演を務めてもらい、バーチャルプロダクション撮影手法のひとつであるスクリーンプロセスにより製作した短編映画2作品をYouTubeにて無料配信することになった。

※バーチャルプロダクション撮影(スクリーンプロセス):事前撮影した映像をスタジオ内の大型LEDディスプレイに投影し、被写体と一緒に撮影することでロケ撮影したかのような映像を制作できる手法

同社は今後も、新たな技術、手法、ワークフローにチャレンジしていくことで、高品質なコンテンツで多くの人々の心を動かし、社会に良い影響を届けるコンテンツを制作していくとしている。

バーチャルプロダクション撮影(スクリーンプロセス)の主なメリット

バーチャルプロダクション撮影のもう一つの手法であるインカメラVFX(被写体とCG背景をリアルタイムに合成)と比べ、準備期間や撮影費用を大幅に抑えられる他、さまざまなメリットがある。

時間や天候といった制約からの解放

夜明け前や日没直後の幻想的な光が差す時間帯(マジックアワー)のような一発勝負のシーンでも、何度でも必要な時間・回数だけ再現可能だ。時間や天候に影響されることなく、撮影スケジュールを立てることができるため、効率的な撮影進行につながる。

250616_DentsuCreativeX_01

海外や架空のロケーションも、スタジオ内で撮影

ロケ地の移動は、LEDディスプレイに投影する映像を切り替えるだけ。出演者やスタッフの移動リスク、拘束時間を大幅に軽減しながら、1日の中で複数のシチュエーションを撮影できる。

250616_DentsuCreativeX_02

自然な演技を引き出す視覚化された世界

従来のグリーンバック撮影と異なり、LEDディスプレイに投影される実際の映像背景を見ながら演じられるため、より自然でリアリティのある演技表現を引き出すことができる。

250616_DentsuCreativeX_03

自動車撮影で発揮される自然な反射と映り込み

左右や天井のLEDディスプレイに映像を投影することで、自動車のボディや窓、ミラーへの映り込みを自然に表現。グリーンバック撮影後に行う本編集での合成作業を大幅に簡略化できる。

250616_DentsuCreativeX_04

撮影現場でおおよその完成形を共有

実際の被写体と仮想空間の背景を同時に撮影し、被写体と仮想背景がリアルタイムで合成されるため、完成形に近いアウトプットをその場で確認できる。スタッフ、関係者全員とイメージを共有しながら撮影を進行できるため、編集段階での修正を軽減できる。

250616_DentsuCreativeX_05

移動、美術セットに伴う環境負荷を削減

最小限のスタッフでLEDディスプレイに投影する映像を撮影するため、通常のロケ撮影のようなスタッフやキャストの大移動が不要になる。また、美術セットはLEDディスプレイの手前に必要最小限のものを配置。移動や美術セットの廃棄による燃料消費やCO₂排出量を大幅に削減できる。

250616_DentsuCreativeX_06

「mopim(ムパン)」(約12分)

主演:有村架純 脚本・監督:水落豊 主題歌:高井息吹「moonlight」

250616_DentsuCreativeX_07

あらすじ

百歳の誕生日。深夜の病室で孤独な死を迎えようとしている老婦、栗田節のもとへ黒装束の男が“お迎え”にやって来る。残されたわずかな時間、神様の計らいで若き日の姿に戻ってどんな場所へでも連れて行ってやると言う男。瞳を閉じて祈ると、節が行きたかった望み通りの場所へ。…どこへでも行けるなら、ひとつだけ大きな心残りのある八十年前へ連れて行ってほしいと告げる節。あの時伝えることができなかった大切な言葉を、亡き夫に伝えるために。

250616_DentsuCreativeX_08

主演の有村架純さんは、次のようにコメントしている。

有村さん:今回初めてバーチャルプロダクションを用いての撮影に参加させていただきました。
場所や時間、天候に左右されない画期的な映像技術に心が躍り、まるで実際に運転しているような心地で撮影に臨むことができました。見てくださった方は、これらがスタジオで撮影されているという事実に驚かれるのではないでしょうか。
ストリートビュー撮影車の運転手として働き、人と関わることを避けてきた女性が、少しずつ、世の中との関わりを持てるようになるまでのお話です。ぜひ、新時代の映像美とともにお楽しみください。

脚本・演出の水落豊氏は次のようにコメントしている。

水落氏:バーチャルプロダクションの有用性を実証する施策でしたが、周年企画ということもあり、ただの使用例にならないようストーリーにもこだわりました。一度しかない人生でいつか後悔しないよう、伝えたいことをちゃんと言葉にする大切さ。それによって人生は180度違うものになるかもしれない。若い世代にこのメッセージが少しでも伝わればという想いで脚本を書きました。ちなみに、タイトルの『mopim(ムパン)』はwidow(未亡人)をひっくり返した造語です。

250616_DentsuCreativeX_09

キャスト

有村架純、オダギリジョー、泉澤祐希
山本ゆりえ、ココ、川畠正士、西村英明、山本良子、山本和彦、飯田哲平、黄今花、佐藤恵美、飯田朔太、飯田晴音、平田杏、尾形麻子、青木萌葉、西尾幸穂

スタッフ

プロデューサー:寒河江啓之 製作進行:山本靖也、奥井琢人、飯田哲平、盧家尭 撮影:小林悠紀 照明:宮城任 美術:水谷陽一 衣装:瀬川結美子、百地優里子、宇都宮いく子、桧森美恵、須藤綾子、吉田仁美 キャスティング:小峰顕介、鈴木遼太 CG背景:早川伸明 バーチャルプロダクションオペレーター:原田誠士

「道子、未知満ちて。」(約13分)

主演:鳴海唯 脚本・監督:武井咲華

250616_DentsuCreativeX_10

あらすじ

マップアプリの360゜カメラカーのドライバーとして働く道子。お気に入りのラジオとともに、街を眺めては空想に浸るのが、彼女にとって何よりの楽しみだった。天性の空想家である道子は、幼い頃から現実と折り合いをつけるのが苦手で、孤独感を抱えながら生きてきた。そんな彼女にとって今の仕事は、“ありのままで居ても許される”唯一の居場所となっていた。穏やかな日常を送る道子だったが、ある日、思いもよらない出来事が彼女の行動を変える転機となる。

250616_DentsuCreativeX_11

主演の鳴海唯さんは次のようにコメントしている。

鳴海さん:今回初めてバーチャルプロダクションを用いての撮影に参加させていただきました。
場所や時間、天候に左右されない画期的な映像技術に心が躍り、まるで実際に運転しているような心地で撮影に臨むことができました。見てくださった方は、これらがスタジオで撮影されているという事実に驚かれるのではないでしょうか。
ストリートビュー撮影車の運転手として働き、人と関わることを避けてきた女性が、少しずつ、世の中との関わりを持てるようになるまでのお話です。ぜひ、新時代の映像美とともにお楽しみください。

脚本・演出の武井咲華氏は次のようにコメントしている。

武井氏:現実と空想のあいだを漂って生きてきた女性が、小さなきっかけを経て、閉じていた心の扉を少しだけ開いていく…そんな些細な変化を描いた作品です。作中に劇的な転機や、壮大なカタルシスはありません。ただ、暮らしの中にある風や光、気配を、バーチャルプロダクションの映像空間で再現しました。忙しない日々のなかで、自分の気持ちをふと振り返るきっかけとして、この作品がお役に立てれば嬉しく思います。

250616_DentsuCreativeX_12

キャスト

鳴海唯、小手伸也
鈴木花奈、飯田晴瑠、犬塚マサオ、池谷美音、伊藤杏、長峰くみ、広瀬拓巳、芝﨑一城、四ノ宮梨乃、牛久拓弥、大橋満帆、大橋杏

スタッフ

プロデューサー:澤村充章 製作進行:火ノ見崇、恒川茜 撮影:明田川大介 照明:宮脇崇誌 美術:小林蘭 衣装:金順華 キャスティング:小峰顕介、中嶋陸大 バーチャルプロダクションオペレーター:原田誠士