
ソニーは、カムコーダー「PXW-Z200」「HXR-NX800」ファームウェアVer. 2.00を公開した。下記アドレスからダウンロード可能。
当該カムコーダーは、2024年9月13日の発表時より「2025年6月以降のアップデートで利用可能」と予告。それらの機能について、今回公開を開始したので、実際にその内容を紹介する。2025年6月18日15時より、ユーザーはSDカードを使用したバージョンアップを実行できるようになった。アップデートは、専用ウェブサイトからアップデート用ファイルをダウンロードし、SDカードへ保存したうえでスロットBへ挿入することで、システムが自動的に更新される仕組みとなっている。
アップデートの内容は以下の通り。
XAVC(MXF)記録(1920×1080 インタレース含む)(※PXW-Z200のみ)
無償ソフトウェアアップデートでフルHDでのインターレース記録に対応する。また、このフォーマットはXAVCのIntraおよびLong GOPの両方に対応している点が特筆される。
フォーマット | 圧縮方式 | ファイルシステム | カラーサンプリング | ビット深度 | 最大ビットレート | 記録画素数 / フレームレート | 記録時間 | 音声フォーマット |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
XAVC Long | AVC/H.264 | exFAT | 4:2:0 | 8bit | 150Mbps | 3840×2160 / 59.94p, 50p, 29.97p, 25p, 23.98p | 約115分 | LPCM 24-bit 48kHz 4CH |
4:2:2 | 10bit | 50Mbps | 1920×1080 / 59.94p, 50p, 29.97p, 25p, 23.98p | 約300分 | ||||
50Mbps | 1920×1080 / 59.94i, 50i | 約300分 | ||||||
50Mbps | 1280×720 / 59.94p, 50p | 約300分 | ||||||
XAVC Intra | AVC/H.264 | exFAT | 4:2:2 | 10bit | 600Mbps | 3840×2160 / 59.94p, 50p, 29.97p, 25p, 23.98p | 約30分 | LPCM 24-bit 48kHz 4CH |
222Mbps | 1920×1080 / 59.94p, 50p, 29.97p, 25p, 23.98p | 約75分 | ||||||
111MBps | 1920×1080 / 59.94i, 50i | 約140分 | ||||||
111MBps | 1280×720 / 59.94p, 50p | 約140分 |
MPEG HD422 アップグレードライセンス(有償)(※PXW-Z200のみ)
報道用途では、取材した映像を速やかに放送するため、放送波で使用されるコーデックとの互換性が求められる。この要件に対応するため、送出コーデックと互換性のあるMPEG HD 422が有償ライセンス形式で提供される。
有償ライセンス「CBKZ-SLMP」は別売で、価格は税込7万1,500円。本ライセンスを導入することで、放送局をはじめとする映像制作現場で広く採用されている、記録ビットレート50Mbps、フルHD、4:2:2サンプリングに対応した高画質収録フォーマット「MPEG HD422フォーマット」に対応する。
フォーマット | 圧縮方式 | ファイルシステム | カラーサンプリング | ビット深度 | 最大ビットレート | 記録画素数 / フレームレート | 記録時間 | 音声フォーマット |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
MPEG HD422 *オプション |
MPEG-2 422P@HL |
exFAT | 4:2:2 | 8bit | 50Mbps | 1920×1080 / 29.97p, 25p, 23.98p | 約280分 | LPCM 24-bit 48kHz 4CH |
1920×1080 / 59.94i, 50i | 約280分 | |||||||
1280×720 / 59.94p, 50p | 約280分 |

インターバル撮影
本機に搭載されているインターバル撮影機能は、内蔵メモリを活用し、映像を間欠的に記録する機能である。これは、主に動きの少ない被写体の撮影において有効な手法とされている。撮影を開始すると、設定されたフレーム数(Number of Frames)分の映像が、指定されたインターバル(Interval Time)で自動的に記録される。
この撮影方法は、長時間の定点撮影に特に適している。メディアに連続して記録するのではなく、撮影間隔と1テイクあたりのコマ数を設定することで、必要なメディア容量を抑制しつつ、長期的な変化を記録することが可能である。例えば、オーロラや、特定の場所における時間経過に伴う変化の記録などに活用できる。
ピクチャーキャッシュレック ※PXW-Z200のみ
ピクチャーキャッシュレック機能は、カメラが捉えた映像を、指定された時間(例:5秒、10秒、20秒)にわたり内蔵キャッシュメモリーに一時的に蓄積する機能である。これにより、ユーザーが記録開始操作を行った時点から遡って映像を記録することが可能となる。
この機能の利点は、特にスポーツ撮影のような予測が難しい瞬間的な動きを捉える際に顕著である。例えば、フィギュアスケートのジャンプにおいて、実際に記録を開始する以前の助走部分なども含め、一連の動作を網羅的に記録できる。カメラの内蔵記録メディアを活用することで、被写体の動き始めから着地までといった連続した動作を確実に捉えることが可能となる。本機能は、報道分野やスポーツ分野など、決定的な瞬間を逃すことなく記録する必要がある場面で有効に活用されている。
アイリスのレンズリングへのアサイン
レンズリングにアイリス機能を割り当てることが可能になった。これにより、従来の「フォーカス・ズーム」の割り当てに加え、「フォーカス・アイリス」、あるいは「ズーム・アイリス」への割り当てが可能となり、より柔軟なカメラコントロールを実現する。
「ズーム・アイリス」を選択した場合、前面のリングはズーム機能を維持し、ボディ側のリングがアイリス調整に割り当てられる。この際、タッチフォーカスやプッシュオートフォーカスとの併用が想定される。
もう一方の「フォーカス・アイリス」を選択すると、前面のリングはフォーカス調整、ボディ側のリングはアイリス調整となる。ズーム操作はハンドルズームにて行うことになる。

デジタルエクステンダー
デジタルエクステンダーは、被写体へのさらなる接近を可能にする機能である。HDモードでは最大60倍の高画質に対応するが、4Kモード時には使用できない。本機能を使用すると画質の劣化は伴うものの、報道やスポーツといった限定的な用途において、HD画質での最大60倍の拡大表示が可能となる。
ノーマル (光学) |
デジタルエクステンダー 使用時 |
デジタルエクステンダー + 全画素超解像ズーム使用時 |
|
---|---|---|---|
ズーム比率 | 20倍 | 30倍 | 60倍 |
オートフランジバック調整
レンズマウントの取り付け面から撮像素子面までの距離であるフランジバックは、本機により自動で調整される。この調整が正確に行われることで、一度フォーカスを合わせた後にズーム位置を変更しても、フォーカスは合った状態を維持する。
レンズ一体型の本機は、オートフランジバック調整機能を備えている。これにより、フランジのずれが生じた場合でも、レンズ一体型でありながら調整が可能である。本機能は従来のカムコーダーにも搭載されていたが、今回ソフトウェアによる対応も実現した。
1つのシーンファイルでペイントとルックを簡単に共有
「Sceneファイル」は、基本ルックを含めて1つのファイルとして管理が可能。カスタムモードでは、Sceneファイル内のストア/リコールの対象となる項目の設定をメディアに保存したり、他のカメラに読み込んだりすることが可能。
美肌効果
本機に搭載された美肌効果は、どのような照明条件下でも被写体の肌をなめらかに描写する。階調表現能力の強化により、ポートレートにおける肌の色合いやハイライトのロールオフがより美しく表現され、動画撮影に最適化された肌の色が実現された。
この美肌効果は、従来のS-Cinetoneが提供するシネマティックなルックに加え、肌を美しく描写する機能として特筆される。インタビュー撮影や会議室のような照明下での撮影においても、被写体の肌をきれいに写し出すことを目的とし、カムコーダーに導入された。この技術は、αシリーズやVLOGCAMで培われたものが、そのままカムコーダーに応用されたものである。
Monitor&Control Ver. 2.3対応(一部有償)
Z200は、広角で撮影した映像から特定の範囲を切り出し、HDMI出力、または内部記録するオートフレーミング機能を搭載している。
このオートフレーミング機能では、固定されたカメラのフレームの一部をクロップし、機械的なパン、チルト、ズームのようなカメラワークを可能にする。クロップとフレーミングの位置は手動での調整が可能である(手動フレーミングの設定と調整はMonitor&Control Ver. 2.3にて行える)。
さらに、IRISバーコントロールとNDバーコントロールが新たに対応し、IRISやNDの設定値を直感的に変更することが可能となった。これにより、クロップおよびフレーミング位置の手動調整も可能となる。
UVC(USB Video Class)
本機はUVC(USB Video Class)およびUAC(USB Audio Class)機能に対応しているため、PCとUSB接続するだけで、高性能ウェブカメラとして手軽にストリーミング配信を行うことが可能である。
UVC Output
- 3840 x 2160 (29.98p) 25fps
- 1920 x 1080 (59.94p, 50p, 29.98p) 25fps
- 1280 x 720 (29.98p) 25fps
- YUV2 or MJPEGは、UVC受信ソフトウェアによって決定
ネットワーク関連UXの向上
ネットワーク関連の設定が簡単に。カメラとポータブルデータトランスミッター「PDT-FP1」、もしくはスマートフォンをUSBケーブルで接続。設定メニュー(簡易メニュー)を開き、USBテザリングを有効にするだけでカメラとの接続が完了する。

