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ライカカメラ社(以下:ライカ)は、2025年6月27日に第46回「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」が開催された。なかでも注目を集めたのが写真史上最も希少価値が高いアイテムのひとつである「Leica O-series No. 112」:現存する数少ない「Leica I」のプロトタイプが、今回720万ユーロ(落札手数料を含む)で落札された。

オークションは、「Leica I」の誕生から100年を迎える今年、世界各地でセレブレーションを展開しており、イツ・ウェッツラーのライツ・パークにて行われたライカ100周年記念イベントの一環。

技術革新・文化的意義の双方において、写真はこの100年間で急速に発展を遂げてきた。1925年に世に送り出された世界初の量産35mm判カメラ「Leica I」はこの絶頂期の幕開けとなったのだ。1925年に生産が開始される前に、ライカカメラ社(前身はエルンスト・ライツ社)はいくつかのプロトタイプ(シリアルナンバー 101~125のいわゆる「Leica O-series」)を製造していた。

これらの「Leica O-series」のうち十数台の存在が今日でも知られており、写真史の金字塔として、またフォトジャーナリズムの先駆者として、現在ではコレクターの間で非常に人気が高い。ウェッツラーにてオークションに出品された「Leica O-Series No. 112」もそのひとつだ。

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歴史的に重要かつ価値ある逸品

「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」の代表であるアレクサンダー・セドラック氏は、次のように述べている。

セドラック氏:「Leica I」誕生100周年という記念すべき年に「Leica O-series」を出品することは、私たちのオークションハウスにとって本当に特別な機会です。この特別な「Leica O-series」は、製造後にオスカー・バルナック2が受け取ったものですから、なおさらです。

「Leica O-series」が現代写真に与えた影響は、いくら強調しても足りないほどだという。

セドラック氏:これらのプロトタイプは先駆的な「Leica I」―フォトジャーナリズムを新たな領域へと導き、当時は贅沢な趣味だった写真をどこにでもある現象へと変貌させた存在―の開発に用いられたのです。

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推定落札価格150万~200万ユーロであった「Leica O-series No. 112」は今回の「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」にて720万ユーロ(落札手数料を含む)で落札された。

セドラック氏:この歴史的にも特別な逸品にふさわしい価格です。

これにより「Leica O-series No. 112」は史上2番目に高額で落札されたカメラとなった。世界記録は、2022年6月に開催された第40回「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」にて落札された「Leica O-Series No.105」の1440万ユーロ(落札手数料を含む)だ。