
Blackmagic Designによると、国内最大級の野外フェスティバルのひとつである「RISING SUN ROCK FESTIVAL」において、Blackmagic Designのワークフローが使用されたという。同フェスティバルのステージのひとつ「ボヘミアンガーデン」では、URSA Mini Pro 4.6K G2、Pocket Cinema Camera 6K ProおよびMicro Studio Camera 4K G2デジタルフィルムカメラやATEM Television Studio 4K 8プロダクション・スイッチャーが使用され、DaVinci Resolve Studioでポストプロダクションが行われた。
RISING SUN ROCK FESTIVALは北海道石狩市・小樽市の石狩湾新港樽川埠頭横野外ステージで2日間に渡って開催される野外音楽フェスティバル。複数のステージが用意され、同時進行で参加ミュージシャンが演奏を行う。第24回目となった2024年の開催では、台風の影響にもかかわらず、来場者数は6万8000人に登った。また、同イベントでのパフォーマンスは、後日スペースシャワーTVで放送された。
同イベントの企画および運営をおこなう、WESSの高崎晃氏は次のようにコメントしている。
高崎氏:大きめのステージは、テレビ局の中継車による撮影クルーが担当して、ENGのズームレンズを使ったシステムカメラで撮影しましたが、ボヘミアンガーデンは森の中にある自然の豊かなステージなので、シネマチックな映像が映えると考えました。そのため、このステージだけはBlackmagic Designのカメラを使って23.98Pで撮影しました。
使用された機材は、メインカメラとしてURSA Min Pro 4.6K G2を3台、サブカメラとしてBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K Pro1台とMicro Studio Camera 4K G2を2台。Micro Studio Camera 4K G2にはモニタリング用にVideo Assist 3Gが装着され、固定カメラとして運用された。URSA Min Pro4.6K G2にはキヤノンのシネマズームレンズ、Pocket Cinema Camera 6K Proはキヤノンスチル用望遠ズームレンズ、Micro Cinema Camera 4K G2にはパナソニックレンズを装着。これらカメラの映像はATEM Television Studio 4K 8でスイッチングされ、HyperDeck Studio HD Plusで収録された。

ボヘミアンガーデンのディレクターを務めた株式会社アーティザナルの工藤遼氏は次のようにコメントしている。
工藤氏:カメラ本体でBlackmagic RAWで収録しつつ、ATEMからのスイッチング出力はProResで収録しました。このスイッチング映像はすぐに高崎さんを通じてアーティストのマネジメントと共有しました。多くのアーティストが参加しているため、それぞれに許諾をもらうためには、ライブ後すぐに映像を確認してもらう必要がありました。テレビ放送では各アーティスト1〜2曲のみが使われるので、放送に使う楽曲の決定にもスイッチング映像が役立ちました。
カメラ本体での収録は4K 23.98P、コーデックはBlackmagic RAW 12:1で行われた。事前にカメラマンとLUTを作成し、当日はそれを使って撮影が行われた。
工藤氏:ボヘミアンガーデンでは14組のアーティストがそれぞれ約50〜70分のパフォーマンスを披露しました。そのため圧縮コーデックを低くするとバックアップもままならないこともあって、カメラテストを重ねて12:1でも画質的に十分耐えうるということで選択しました。収録データはアーティストの間のセットチェンジのタイミングで、データマネージャーがどんどんバックアップを撮っていきました。
メインのURSA Mini Pro 4.6K G2はステージ前方に設置しました。前方にくるカメラに関しては、光量がアーティストによってかなり変わるので内蔵NDフィルターがあることはとても良かったですね。画が破綻しないので、カメラマンだけでなく、素材を編集した私にとってもメリットがありました。撮影は基本的には三脚を使っていましたが、ライブの臨場感を伝えるために、あえてカメラのブレを生かす狙いで、URSA Mini Pro 4.6K G2をハンディで担いでアーティストに目一杯寄って迫力のある画を撮ったり、感動して泣いている観客の表情を撮ったりしました。そのためURSA Mini Pro 4.6K G2は、いつでもハンディに切り替えられるようにURSA Mini Shoulder kitとURSA Viewfinderをつけて運用しました。
また、ポストプロダクションにはDaVinci Resolve Studioが使われた。
工藤氏:ポストプロダクションにはあまり時間はかけられなかったので、スイッチングのデータをベースにBlackmagic RAW素材で編集とグレーディングをしました。カラーは撮影で使ったLUTをベースにしつつ、照明や天候の変化に合わせて調整していきました。Blackmagic RAWはダイナミックレンジが広いので、色を調整しやすく、画を破綻させることなく高品質な仕上がりにすることができました。反響は非常に良く、同業者からは、「どんな撮影をしたんだ?」と驚きの反応をもらいました。


