PXW-Z280の後継、「PXW-Z300」登場

ソニーは、XDCAMハンディカムコーダーのフラッグシップモデル「PXW-Z300」を2025年9月下旬以降に発売する。希望小売価格は税込1,197,900円。

ソニーのXDCAMおよびNXCAM製品群において、同社はショルダーカムコーダーとして「PXW-Z750」「PXW-Z450」「PXW-X400」の3機種を展開している。それに対し、より機動性に優れたハンディカムコーダーの分野では、現在「PXW-Z280」「PXW-Z200」「HXR-NX800」の3機種が提供されている。

左からPXW-Z750、PXW-Z300、PXW-Z200

このうちPXW-Z280は、2017年から販売が開始された機種で、世界初の4K 3CMOSハンディカムコーダーであった。昨年PXW-Z200とHXR-NX800が新たに市場に投入された際、ユーザーからは「PXW-Z280の後継機」に関する問い合わせや、「3連リング」、「3板式カムコーダーのモデルの有無」について多くの要望が寄せられていた。こうした背景から、今回PXW-Z280の後継機種として、フラッグシップハンディカムコーダーの新モデルが発表される運びとなったとしている。

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PXW-Z280の美点と最新技術を融合

PXW-Z300は、既存のPXW-Z280と昨年発売されたPXW-Z200の良い点を踏襲しつつ、フラッグシップモデルにふさわしい新技術を盛り込んだカムコーダーである。主なターゲットは、PXW-Z280と同様に幅広い用途としており、特に報道やドキュメンタリー撮影に適していると同社は考えている。これは既存のPXW-Z200と同じターゲット層を想定しているという。

本機の主な特徴を説明すると、PXW-Z280の良い点は継承されており、多くの現場で過酷な使用に耐えるよう、堅牢性と取り回しやすさが向上している。7年前から進化した最先端テクノロジーを搭載したカメラとして展開される。

まず、PXW-Z280の良い点として、レンズ部分には、フォーカス、ズーム、絞りをマニュアルで操作できる3連フルマニュアルリングがそのまま搭載されている。昨年発売されたPXW-Z200が2連リングであったのと比較すると、これは大きな違いであり、本モデルは3連リングで自由に操作できる点が特徴である。

3連フルマニュアルリングでシームレスな操作が可能

レンズはF1.9の明るいレンズを搭載しており、ズームしても明るさが変わらない。また、内部機構の改善により、これまで発生していた画像の歪みが適切に補正され、より高品質な映像が得られるようになっている。

ワイド端からテレ端までF1.9の明るさで撮影可能

多様な記録フォーマットに対応

本機は、PXW-Z280で採用された4K 1/2型3CMOSセンサーを踏襲している。感度も同じくF12と高く、明るい環境での撮影が可能である。フォーマットは多岐にわたり、4Kでは60p、50p、30p、25p、24pに対応し、HDではこれに加えて60i、50iの周波数展開も可能。

■システム周波数

  • 4K(60P/50P/30P/25P/24P)
  • HD(60P/60i/50P/50i/30P/25P/24P)*1
*160Pの59.94P、60iの59.94i、30Pの29.97P、24Pの23.98Pは省略されている。

記録フォーマットは、日本の放送局で広く使われている「MPEG HD422」を標準搭載しているため、購入直後から利用できる。加えて、XAVCコーデックにも対応している。プロキシに関してはHEVC録画形式のプロキシを内蔵しており、今後のバージョンアップでMP4形式にも対応する予定だが、時期は未定である。

■記録フォーマット

MXF録画ではMPEG HD422、さらにXAVC Intra(4K/HD 4:2:2 10bit)、XAVC Long(4K 4:2:0 8bit/HD 4:2:2 10bit)に対応

■プロキシ

HEVC録画形式(MP4)*2にも対応(HEVCはPXW-Z200・HXR-NX800から対応)
*2AVC 6Mbps、HEVC 9Mbps、HEVC 16Mbpsから選択可能。HEVC 6Mbpsには将来的に対応予定(対応時期は未定)。
MPEG HD422とXAVC収録に対応

新設計LCDアームと再配置MIシュー

今回のモデルでは、フレキシブルなLCDパネルのアーム部分が大幅に強化され、様々な角度に調整可能になった。これにより、撮影環境やユーザーの見やすい位置に合わせてモニターを前後に調整が可能である。

新開発の3軸稼働アームにより、視野角を柔軟に調整が可能。LCDモニターをレンズ前方に配置したり、光軸に揃えたりすることも可能

ビューファインダーは廃止され、その位置にMIシューが移動された。MIシューを後部に配置したことで、オーディオ機器をカメラ後方に取り付けられるようになり、これにより、従来のモデルでオーディオ機器装着時にハンドルが持てなくなるという問題が解消され、カメラの持ち運びやすさが向上した。

MIシューの位置が変更され、ワイヤレスマイクのレシーバー装着時でもハンドルを握れるようになった

サイドVマウント搭載で周辺機器の統合と機動性向上

新たにサイドVマウント機構が搭載された。これはカメラ側面にVマウントの接点を設けたもので、電力供給ではなく物理的な取り付けを目的としている。ここに同社の「PDT-FP1」のようなトランスミッターや、後述するUSBパワーデリバリー対応の100ワット以上の出力を持つモバイルバッテリーを側面に装着して運用することや、ワイヤレスレシーバーを別途取り付けることを想定している。

サイドVマウントをカメラ側面に追加
スマートフォン、PDT-FP1、ワイヤレスレシーバー、モバイルバッテリーなどが装着可能
チャージャーはUSB PD(20V)に対応

BIONZ XRとAIプロセッシング搭載で画質とAFが進化

画像処理エンジンには、ソニーの最新「BIONZ XR」が搭載された。これにより、PXW-Z280と比較して、より高品質で幅広い表現が可能な映像が得られるようになった。さらに、AIプロセッシングユニットも組み込まれたため、被写体認識およびオートフォーカスの性能が向上している。

ネットワーク機能も強化された。PXW-Z200がRTMPプロトコルに対応していたことに加え、昨今のライブ配信で広く利用されているSRTプロトコルにも対応した。

このカメラは多用途に対応するよう設計されており、複数のカメラを使用する現場が増えている現状を考慮し、3D LUTやプリセットルックなど各種設定に対応している。

特に大きな点としては、FX6やPXW-Z200にも搭載されているS-Cinetoneに対応していることが挙げられる。これにより、これらのカメラと組み合わせて使用することが可能になる。また、ソニーのシステムカメラでよく使われる「709tone」も搭載されているため、システムカメラとの連携運用も想定されている。

FX9やFX6などで採用されたS-Cinetoneを搭載し、肌の質感を美しく表現可能
メモリーカードスロットは「SLOT A」「SLOT B」共に、CFexpress Type AメモリーカードまたはSDXCメモリーカードに対応する

近年、FXシリーズのカメラで対応し好評を得ているM&Cアプリ(モニタリング&コントロール)にも対応する。これにより、PXW-Z200やFX6などとマルチカメラ運用する際にも、同時に録画を開始したり、設定を調整したりすることが可能となる。

PXW-Z300/PXW-Z200/HXR-NX800比較

最後に、PXW-Z300/PXW-Z200/HXR-NX800の比較を紹介する。主な点として、デジタルエクステンダー機能が挙げられる。PXW-Z200がHD画質で2倍までだったのに対し、PXW-Z300は4Kで1.5倍、HDで4倍まで対応する。

メディアについては、PXW-Z200と同様にCFexpress Type AカードまたはSDXCメモリーカードが使用可能。バッテリーも「Z200」と同じタイプが使える。給電に関しては、USBパワーデリバリーで20V以上の入力が推奨されている。

PXW-Z300/PXW-Z200/HXR-NX800比較
PXW-Z300 PXW-Z200 HXR-NX800
センサー 1/2型 Exmor R CMOSイメージセンサー 3板式 1.0型 Exmor RS CMOSセンサー 単板式 1.0型 Exmor RS CMOSセンサー 単板式
レンズ 30.3-515mm(35mmフルサイズ換算)、17倍 F1.9 24-480mm(35mmフルサイズ換算)、20倍 F2.8~F4.5 24-480mm(35mmフルサイズ換算)、20倍 F2.8~F4.5
デジタルエクステンダー機能 4K:x1.5
HD:x2、x3、x4
HD:x1.5 HD:x1.5
プロセッシングユニット BIONZ XR + AIプロセッシングユニット BIONZ XR + AIプロセッシングユニット BIONZ XR + AIプロセッシングユニット
AFシステム コントラストAF 像面位相差AF 像面位相差AF
フレームレート/解像度(最大) 4K 60p 4K 120p 4K 120p
NDフィルター 可変ND(1/4-1/128相当) 可変ND(1/4-1/128相当) 可変ND(1/4-1/128相当)
記録フォーマット MXF MXF、MP4 MP4
記録フォーマット(Proxy) MP4 MP4 MP4
ネットワーク RTMP/S、SRT Wi-Fi(5G/2.4G) RTMP/S、SRT Wi-Fi(5G/2.4G) RTMP/S、SRT Wi-Fi(5G/2.4G)
動画への真正性記録 ○(今後のアップデートにより対応予定)
インターフェース SDI(12G)、TC(BNC)、HDMI-A、USB-C、LAN、REMOTE、Genlock SDI(12G)、TC(BNC)、HDMI-A、USB-C、LAN、REMOTE HDMI-A、USB-C、LAN、REMOTE
オーディオ 4ch 4ch 4ch
液晶モニター 3.5型 約276万画素 3.5型 約276万画素 3.5型 約276万画素
フレキシブルLCDアーム
ビューファインダー 0.39型 有機EL 約236万画素 0.39型 有機EL 約236万画素
サイドVマウント
バッテリー BP-U35/70/100 BP-U35/70/100 BP-U35/70/100
カードスロット SDXC/CFexpress Type A兼用×2 SDXC/CFexpress Type A兼用×2 SDXC/CFexpress Type A兼用×2
電源給電 USB Power Delivery(PD) ACアダプター ACアダプター