Blackmagic Designによると、制作会社BeeLabがBlackmagic Design製品を使用して、DAZNで配信された2025年のOktagonを制作したという。
イタリアのヴァッレ・ダオスタ州にあるアイススケートリンクであるThe Courmayeur Sport Centerで、ヨーロッパで最も長い歴史を持つ格闘技の祭典の一つ、Oktagonの第28回大会が開催された。ISKA世界タイトル戦の4試合を含む15試合が展開され、スポーツ配信プラットフォームであるDAZNによる世界中へのライブ配信が行われたこのプロダクションでは、型破りな会場で放送品質の制作を実現する必要があった。
クライアントの要求は野心的なものだった。日常業務を中断することなく、稼働中のアイスアリーナを、冗長性を備えた信頼性の高い放送環境に変換してほしいという依頼だった。制作会社のBeeLabは、販売店のMancoによるサポートの下、Blackmagic Designワークフローを搭載した2台の中継車で、この難問に立ち向かった。
BeeLabのテクニカル・ディレクターであるエンリコ・ベルトラーモ氏は次のようにコメントしている。
ベルトラーモ氏:機材をセットアップしたのは、薄い断熱カーペットで覆われた氷の上でした。そういったことから、ケーブルルートと信号の冗長性を根本から考え直す必要がありました。
屋内と屋外の温度差が15℃あったため、結露の危険を常にはらんでいた。
ベルトラーモ氏:ケーブルは高い位置に設置するか、カバーが施され、信号と電源は分離されてショートを防止しました。地面が滑りやすく、頭上のトラスがなかったため、カメラの配置、リグ組み、動きも影響を受けました。
同社は、この制作を行うにあたって2台の中継車を配備した。各中継車は完全に同期された状態で、異なる役割を果たした。メインの中継車はカメラの撮影、切り替え、ルーティング、オーディオを担当し、2台目の中継車はグラフィック、リプレイ、再生、DAZN以外のセグメントの配信を担当した。
このシステムの中核となったのは、ATEM 1 M/E Advanced Panel 10と組み合わせたATEM 4 M/E Constellation 4Kライブプロダクションスイッチャーだった。4つのマルチビューフィードが、ディレクター、ビジョンエンジニア、リプレイ担当者、照明デザイナーに送信された。
ベルトラーモ氏:外部のグラフィックや再生システムに負荷をかけずに、ATEMでは複雑なトランジション、スティンガー、マルチメディアのレイヤーを処理できました。
主要な試合の撮影は3台のURSA Broadcast G2カメラで行われ、SMPTEファイバーチャンネルが使用された。Blackmagic Studio Camera 4K Pro、Blackmagic Micro Studio Camera 4K G2、PTZ、ドローンが追加の固定アングルの撮影を行った。
すべてのカメラフィードは、モニタリング、個別収録、マルチビューのために中継トラックにルーティングされた。信号配信にはBlackmagic Videohub 40×40 12Gルーターが使用され、リターン信号の管理と冗長性を得るためにBlackmagic Videohub 20×20 12Gも追加で設置された。URSA Broadcast G2からの信号またはカメラへの信号は、Blackmagic Camera Fiber ConverterおよびBlackmagic Studio Fiber Converterで管理され、12G-SDI、タリー、電源、インターコムが双方向で送信された。
冗長性が得られるように、同社はデュアルファイバーとBlackmagic 2110 IP Converterを配置し、重要な信号すべてをSDIとIPのハイブリッドでバックアップした。
ベルトラーモ氏:ルーティングモデルは、ライブフィードだけでなく、DAZN、LEDウォール、実況、個別のインジェストなど、複数のリターンもサポートする必要がありました。
伝送にはLiveU LU800が使用され、バックアップとしてLU600を配備し、EIタワーサーバーを経由してDAZNにルーティングされた。
リプレイは同社の社内システムで管理され、DeckLink Quad 2キャプチャ・再生カードを介して4つのSDIフィードが収録され、瞬時の再生に使用された。LEDコンテンツはATEM Mini Extreme ISOライブプロダクションスイッチャーを介してResolume Arenaに送信され、静止画像の再生はHyperDeck Shuttle HD放送デッキが行った。前座試合は別のvMixセットアップを使用して配信された。
プログラム出力とクリーンフィードは、SSDを用いて、HyperDeck Studio 4K ProにProRes 422で収録された。同時に、ATEM SDI Extreme ISOがH.264でバックアップの収録を行うと共に、DaVinci Resolveプロジェクトを生成し、事前に同期されたマルチカムタイムラインに全カメラアングルがリンクされた。
ベルトラーモ氏:イベント終了直後にDaVinci Resolveプロジェクトを開いたのですが、全カメラアングル、カット、タイムコード、オーディオがすべてそのまま保存されていました。これにより、番組のハイライトやSNS用のコンテンツを非常に迅速に作成できました。このレベルの即時性は、堅牢で拡張性があり、機敏なワークフローを確立したからこそ可能となりました。そのため、固定インフラのない会場を完全に機能する放送スタジオに変身させることができました。