スウェーデンのカメラメーカー、Hasselbladは、業界初となるエンドツーエンドの高ダイナミックレンジ(HDR)撮影を実現した1億画素の中判ミラーレスカメラ「X2D II 100C」と、標準ズームレンズ「XCD 2,8-4/35-100E」を正式に発表した。前モデル「X2D 100C」を基に、オートフォーカス性能の強化や手ブレ補正機能の向上など、多岐にわたる進化を遂げている。

希望小売価格は以下の通り。

  • Hasselblad X2D II 100C:税込1,155,000円
  • XCD 2,8-4/35-100E:税込715,000円
  • Vandra カメラリュック税込63,800円
  • UV 86mmフィルター:税込41,250円
  • ND8 86mmフィルター:税込46,200円
  • CPL 86mmフィルター:税込74,800円

X2D II 100C:AF-CとHDR対応で表現力を強化

X2D II 100Cには、Hasselbladのカメラとして初めてAF-C(連続オートフォーカス)が搭載された。このシステムはディープラーニング技術を活用したアルゴリズムにより、動く被写体の検出と追跡を行う。

位相差AF(PDAF)の測距点は425点に拡大されており、LiDARアシストフォーカスと連携して動作する。また、新たにAF補助光が搭載され、低照度下でのオートフォーカス性能を向上させている。この補助光は、セルフタイマーのインジケーターとしても機能する。

センサーには1億画素の中判裏面照射型(BSI)CMOSセンサーを採用。16ビットの色深度に対応し、約281兆色の再現が可能である。ネイティブISO感度は50から設定でき、ダイナミックレンジは15.3ストップとなっている。

画質面での大きな特徴は、中判カメラとしてエンドツーエンドのHDR(ハイダイナミックレンジ)撮影に対応した点であるという。独自のカラーサイエンスを応用した「HNCS HDR」技術により、極端な明暗差がある状況でも露出オーバーを効果的に抑制し、豊かな階調を持つ自然な色合いの画像を生成するとしている。

撮影されたHDR画像は、カメラ内でHDR HEIFまたはUltra HDR JPEGとして記録される。これらの画像は、従来モデルより75%明るい最大1400nitのピーク輝度を持つ3.6インチのOLEDタッチスクリーンですぐに確認できる。また、専用アプリ「Phocus Mobile 2」を使えば、HDR画像の編集やRAWファイルへのHNCS HDR処理の適用も行える。

ボディには5軸の手ブレ補正システムを搭載し、その補正効果は最大で10段分に達する。これにより、従来は三脚が必要であった数秒間の長時間露光撮影も手持ちで行うことが可能になる。

iOSデバイス用のアプリケーション「Phocus Mobile 2」は、HasselbladのXシステムおよびVシステムのカメラとの連携に対応している。このアプリを利用することで、ワイヤレスでの画像転送、ライブビューを見ながらのリモート操作、ファームウェアのアップデートが可能となる。また、電源がオフの状態からカメラを起動させる機能も備える。編集機能としては、HDR画像の編集や、AI技術を活用してRAWファイルのノイズを低減する「ハッセルブラッド ナチュラルノイズリダクション(HNNR)」などが提供される。

本体は前モデルから約7.5%軽量化された。外装にはグラファイトグレーのマットコーティングが施され、グリップの表面も長時間の撮影を考慮して再設計されている。ストレージには1TBの内蔵SSDを搭載し、これに加えてCFexpress Type Bカードスロットが新たに追加された。

背面の3.6インチOLEDスクリーンは、上方に90°、下方に約43°の範囲で角度を調整できるチルト式を採用した。この機構は電子ビューファインダー(EVF)に干渉することなくスクリーンを引き出せるため、ハイアングルやローアングルでの撮影が容易である。また、新たに追加された5Dジョイスティックにより、フォーカスポイントの選択やメニュー操作が直感的に行える。撮影者の使い方に合わせて機能を割り当てられるカスタマイズボタンも8つ備えている。

XCD 2,8-4/35-100E:単焦点に匹敵する性能を持つ標準ズーム

同時発表された標準ズームレンズ「XCD 2,8-4/35-100E」は、広角から中望遠まで(35mm判換算で28-76mm相当)をカバーする。製品名の「E」は「Exclusive(エクスクルーシブ)」を意味し、同社の単焦点レンズに匹敵する光学性能を持つことを示している。レンズ構成は非球面レンズ3枚、EDレンズ5枚を含む13群16枚。XCDレンズシリーズで最速となるステッピングモーターを搭載し、静かで高速なオートフォーカスを実現した。レンズの重量は894gで、内蔵のリーフシャッターにより最高1/4000秒まで全速でフラッシュ同調が可能である。

Vandraカメラリュックと各種フィルターも同時発売

このほか、カメラ本体とレンズ2本などを収納できる容量約20リットルの「Vandra カメラリュック」と、新レンズに対応する86mm径のUV、ND8、CPLフィルターも発表された。