Blackmagic Design導入事例:映画「Final Destination: Bloodlines」の場合

Blackmagic Designによると、「ファイナル・デスティネーション」の最新作、「Final Destination: Bloodlines(原題)」が、Blackmagic Designのカメラで撮影され、DaVinci Resolve Studioソフトウェアを使用してカラーグレーディングされたという。

New Line Cinemaのヒットシリーズの最新章は、死神の歪んだ正義感の始まりへと観客を連れ戻す。繰り返す悪夢に悩まされている大学生のステファニーは、負の循環を断ち切り、避けることのできない凄惨な破滅から家族を救うことのできる唯一の人物に会いに行く。最新作の監督を務めたアダム・スタイン氏とザック・リポフスキー氏は、2007年にスティーヴン・スピルバーグとマーク・バーネットの番組、「On The Lot」で、クリスチャン・ゼバルト撮影監督(ASC)と出会った。

ゼバルト氏は次のようにコメントしている。

ゼバルト氏:アダムとザックは映像制作コンペティションの参加者だったんです。私はその番組で、彼らと一緒にショート映像を撮影するのが好きでした。彼らのストーリーテリングは非常に芸術的で、いつも面白いアイデアを持っていました。そして「Final Destination: Bloodlines」の話が来たんです。まさに私たち3人にとって完璧なプロジェクトです。

同氏は、Blackmagic URSA Mini Pro 12KやBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K Proデジタルフィルムカメラなど、複数のBlackmagic Designカメラを使用した。これらのカメラは、映画全体を通して様々なアングルで撮影する上で重要な役割を果たしたほか、特殊効果ショットや多数のグリーンバックのスタントショットにも使用された。同作はIMAXでの公開が予定されており、すべてのカメラがIMAXの厳格な品質要件に準拠するかテストされた。

ゼバルト氏:IMAXのポストプロダクションおよびイメージキャプチャの責任者であるブルース・マルコーが、撮影で使用できるカメラについて、制作とスタジオにアドバイスしてくれました。

私たちは、カメラごとにフォーカスとコントラストのチャートを撮影し、そのフッテージをLAのIMAX本社に送りました。彼らはすべてのフッテージをIMAXフォーマットに変換しました。そしてブルースは私たちに会うためにバンクーバーまで飛んできて、巨大スクリーンでテストを視聴しました。Blackmagic Designのカメラは全く問題なく、IMAXの承認を得ました。

Blackmagic Design導入事例:映画「Final Destination: Bloodlines」の場合

ファイナル・デスティネーション・シリーズは、登場人物に独創的な死をもたらす複雑で残酷な設定や舞台装置で知られており、今回の「Bloodlines」もその例外ではない。オープニングシーンからして非常に複雑である。

ゼバルト氏:ブリティッシュコロンビア州バンクーバー近郊のBridge Studiosで、スカイビューレストランのシーンのためにカスタム制作されたLED Volumeの巨大なスコープは、映画の最初の20分間に不可欠であり、準備段階での私の最大の懸念事項でもありました。

このレストランのシーンでは、スタントマンが120メートル強の高さから落下して死ぬように見せる必要があったため、ほとんどをグリーンバックで撮影しました。これらのショットの多くはBlackmagic Designのカメラで撮影しました。その中には、巨大なガラス板に向かって30°の傾斜を滑り落ちるスタントマンによる手持ちショットも含まれています。手持ち撮影が可能なカメラでシネマライクな高品質のイメージを得られるので、非常にユニークで価値のあるショットを撮影できました。

他のシーケンスも同様に複雑であり、可能な限り多くの撮影を行う必要があったという。

ゼバルト氏:森の中に外観と内部の撮影用に大きな小屋を建てました。そこで数日間撮影しましたが、最後にはすべてを爆破したんです。高さ25メートルの巨大な火の玉を作成し、8台のカメラで48fpsから96fpsの速度で撮影しました。

運転中のショットなど、コンセプトが単純な他のシーンは、衝撃による特殊効果の爆発で大きな金属製の門をRV車が突き破るというスタントショットになった。

ゼバルト氏:URSA Mini Pro 12Kは、RV車が門のすぐそばを通り抜けられるように道路に埋めて、Pocket Cinema Camera 6K ProはRV車に取り付けました。

メインの撮影が終わると、映像はPicture Shopのカラリスト、ポール・ウェスターベック氏に即座に送信された。同氏はこのシリーズの強烈で直感的なトーンと新鮮な美的感覚をバランスよく取り入れたビジュアルスタイルを形作るのに貢献した。

ウェスターベック氏は次のようにコメントしている。

ウェスターベック氏:クリスチャンと私は、超自然的な要素をベースとして緊張感を増幅させる、心地よく鮮やかなルックを実現したいと考えていました。現代のシーンは、コントラストが強く、鮮明で自然なパレットを採用し、緊迫感あふれる雰囲気を高めています。一方、オープニングの過去のシーンでは、視覚的な統一感を保ちながら、現代のタイムラインと区別するために、シュールなビンテージルックを採用しました。

Blackmagic Design導入事例:映画「Final Destination: Bloodlines」の場合

同氏にとって、スカイビューレストランのシーンは、DaVinci Resolve Studioで完了したグレーディング作業の中で最大の課題であったという。

ウェスターベック氏:巨大なLED Volumeウィンドウで、ダイナミックで高輝度な背景を作り出しました。刻々と変化する鮮やかな背景から俳優を分離するには、正確なキーイングとマット処理でカラースピルを防ぎ、クリーンなエッジを維持する必要がありました。特にフォーカスが重要なクローズアップではなおさらです。巨大なLED Volumeは優れていましたが、色温度が定期的に不安定になるので、背景を損なうことなくスキントーンを自然に保つために慎重な調整が必要でした。

同映画には、多くのVFXも含まれており、グレーディングで統一性を保つために慎重な作業が必要であった。

ウェスターベック氏:ノルディン・ラハリ監督が率いるVFXチームは、特にスカイビューレストランと転落死のシーンで素晴らしい仕事をしてくれました。LED VolumeウォールがVFXで強化され、ダイナミックな背景がより強化されたので、私のグレーディングがVFXチームの努力を補完するよう、綿密な調整が必要でした。アルファチャンネル付きのVFXプレートを受け取った後、ライブアクション映像とマッチするよう慎重にバランスを調整し、カラーと輝度を調整してシームレスに統合しました。

VFXショットのグレーディングでは、合成したエレメントを実際の映像と自然に馴染ませることに重点を置きました。グレーディング時間のおよそ30%は、視覚的な一貫性を維持するためのVFX関連の調整に費やされたと思います。

同氏は、クオリファイアー、Power Window、カラーワーパー、フェイス修正などの DaVinci Resolve Studioのツールを重宝したという。

ウェスターベック氏:これらのDaVinci Resolve Studioのツールと、クリスチャンの卓越した撮影技術、そして監督の明確なビジョンが組み合わさることで、グレーディングのプロセスが困難でやりがいのあるものとなり、スリリングな物語を引き立てる印象的なルックの映画を生み出しました。

「Final Destination: Bloodlines」は、現在デジタル配信中である。

Blackmagic Design導入事例:映画「Final Destination: Bloodlines」の場合