富士フイルム株式会社は、32-90mm(35mm判換算:25-71mm相当)の焦点距離を持ち、映像制作に最適化されたフォーカスやズームリングの操作性と品位を両立した「GFレンズ」初となる電動パワーズームレンズ※2FUJINON「GF32-90mmT3.5 PZ OIS WR」を2025年10月下旬より発売する。

GF32-90mmT3.5 PZ OIS WRは、多くの映像制作現場で好評だというシネマカメラ用ズームレンズ「Premistaシリーズ※3」の操作性とデザインを継承しつつ、電動パワーズームに最適化されたレンズ構成やDCモーターを採用することで質量約2.1kgの軽量化を実現した。

近年、映像制作の現場では、「省力化」と「高品質化」の両立が求められているという。レンズ1本で広角から標準域をカバーできる電動ズームレンズは、レンズ交換の手間を省き、高品質な映像を撮影できるため、少人数の映像制作現場でその威力を発揮する。GF32-90mmT3.5 PZ OIS WRは、収差を極限まで低減させることで、ズームレンズながら単焦点レンズと同等の高い解像力を実現。「GFXシリーズ」と組み合わせることで、窓際に差し込む柔らかな朝の光や、浅い被写界深度を活かした人物を際立たせる撮影など、高い階調性能と緻密な描写性能を最大限活かした品の高い映像表現を実現する。

また、ズーム全域でT3.5という明るい開放値を維持し、制作者の意図に応じた細やかな露出調整が可能。作品を通じて撮影素材の色の統一性を保つことができ、ポストプロダクションにおいてもその優位性を発揮するとしている。

GF32-90mmT3.5 PZ OIS WRは、同日発表の同社映像制作用カメラ「GFX ETERNA 55」と組み合わせることで、長年単焦点レンズでの撮影が主流となっていた現場で、人手をかけない撮影スタイルを確立し、制作者の自由度を大幅に広げるなど、映像制作の新たな可能性を切り拓くとしている。

※1 対角線の長さが54.8mm(横43.8mm×縦32.9mm)で、35mm判の約1.7倍の面積を持つイメージセンサー。
※2 発売時点では電動パワーズーム制御はGFX ETERNA 55のみ対応。GFXシリーズのその他のカメラについては、順次ファームウェアアップデートにより対応予定。
※3 「Premista」シリーズは、ハイクオリティな映像制作を可能とする、ラージフォーマットセンサー搭載のシネマカメラに対応したズームレンズ。広角・標準・望遠タイプをラインアップ。

製品特長

(1)焦点距離全域でT3.5を誇るGFレンズ初となる動画用電動パワーズームレンズ

  • 32-90mm(35mm判換算:25-71mm相当)の焦点距離を備えた準広角から標準域をカバーする電動パワーズームレンズ。GFX ETERNA 55と組み合わせることで、カメラ側での電動ズーム操作が可能。
  • EDレンズ3枚、非球面レンズ3枚を含む19群25枚のレンズ構成を採用。それぞれのレンズ特性を最大限に活かした配置にすることで、効果的に収差を抑制。これにより、ズーム全域でT3.5の明るさを保ちながらも、高い解像性能を維持したまま小型化を実現した。

(2)シネマレンズの操作性と軽量設計の両立により、長時間撮影の負担を軽減

  • 長年のシネマレンズ加工で培ったレンズの薄肉化技術に加え、リアフォーカス方式を採用することで、ラージフォーマット対応の電動ズームレンズながらも全長約222mm、質量約2.1kgと大幅な小型・軽量化を達成。
  • フォーカス、ズーム、絞り(アイリス)を独立してマニュアル操作できる3連リングを搭載し、すべての操作リングにこれまでのFUJINONシネレンズと同一の0.8M(モジュール)ギアピッチ※4を採用。フォローフォーカスやレンズモーターなど、映像制作に欠かせない標準的な周辺アクセサリーを使用できる。
  • フォーカスリングは200°の幅広い回転角を採用。被写界深度の浅いシーンでも、滑らかなトルクによる精緻なフォーカシングが可能。

※4 操作リングに刻まれた歯車の歯と歯の間の距離。

(3)高度な光学設計技術に裏打ちされた卓越した描写性能

  • ナノGIコートを採用し、斜め方向から進入する光によって発生するフレアやゴーストを抑えることで、反射ロスを減らし光の透過率を向上。クリアな描写性能を実現。
  • 同社独自の光学設計技術とレンズ筐体の内部構成を最適な位置に配置することで、フォーカシング時の急な画角変動(ブリージング)を抑制し、構図の安定性を高める。
  • 円形に近い絞り形状を実現する13枚の羽根絞りをGFレンズで初めて採用。開放から少し絞った位置でもボケの円形度を高め、薄暗い屋内外での点光源などを活用した美しいボケ味を実現。

(4)強力な手ブレ補正性能と高速かつ滑らかな高精度AFを実現

  • 手ブレのセンシング精度の向上と、手ブレ補正機構の最適な設計により、強力な手ブレ補正を実現。ドキュメンタリーや機動力が求められるラン・アンド・ガンスタイル※5での撮影など手ブレの影響を受けやすい撮影で威力を発揮。
  • フォーカス、ズーム、絞り(アイリス)の各リング操作に応じてダイレクトにモーターを高速駆動させることで、リング操作への追従性と指標位置精度の両方を高いレベルで両立した。

※5 撮影者がカメラを持って動き回り、状況に合わせて即座に構図や位置を決めて撮影する撮影手法の一つ。