Blackmagic Design導入事例:「NHKスペシャル」の場合

Blackmagic Designによると、NHKのドキュメンタリー番組枠「NHKスペシャル」で放送された「創られた"真実" ディープフェイクの時代」の制作に、Blackmagic URSA Cine 12K LF、Blackmagic Cinema Camera 6K、DaVinci Resolve Studio、DaVinci Resolve Advanced Panelが使用されたという。同番組は、日本の優れた放送作品(テレビ、ラジオ、報道活動、TVCMなど)や放送関係者を表彰する「ギャラクシー賞」を受賞している。

NHKスペシャルは、NHKが制作・放送しているドキュメンタリー番組シリーズで、高い取材力と映像技術の高さに定評がある。そのNHKスペシャル枠で放送された「創られた"真実" ディープフェイクの時代」は、ドキュメンタリーを交えたテレビドラマというユニークな構成で、生成AIが生み出すディープフェイクによる実際の事象を題材に、現実に起こりうる出来事を描いている。

同作のドラマパートの撮影には、Blackmagic URSA Cine 12K LFとBlackmagic Cinema Camera 6Kが使用され、撮影監督は西村博光氏、グレーディングは株式会社オムニバス・ジャパンの小林亮太氏が担当した。

Blackmagic Design導入事例:「NHKスペシャル」の場合

西村氏:メインカメラにはBlackmagic URSA Cine 12K LFを使いました。SIGMAの単焦点レンズを使って、基本的には4Kで撮影したのですが、一部のシーンは12Kで撮っています。橋の下を歩くシーンは、望遠レンズがなかったこともあり、12Kで撮影して後から編集で寄っているんですが、そうした柔軟な対応ができる点も魅力だと思います。

撮影時にはBlackmagic URSA Cine EVFを使っていましたが、使いやすくて良かったですね。もともと、フィルム育ちなのでファインダーでフレーミングする方が心地いいんです。いいファインダーがあると撮影しやすいです。

また、演出上スマートフォンで撮った動画も使われており、その撮影にはBlackmagic Cameraアプリが使用された。

Blackmagic Design導入事例:「NHKスペシャル」の場合

西村氏:いくつかiPhoneで撮ったシーンがあるのですが、主人公の子どもが家族を撮っているというシーンに関しては、子役の女の子に実際にiPhoneで撮影してもらったんです。自分が撮るよりもリアリティが出ますし、スマホネイティブの世代だからか子役の子も上手に撮ってくれました。

グレーディングに関して、小林氏は次のようにコメントしている。

小林氏:本作はフィクションですが、AIが日常に浸透しつつある現在の状況も踏まえ、ある程度のリアリティを担保したトーンにしたいと考えました。また、Blackmagic Designのカメラを使っているので、スキントーンはきれいに見せたいという思いもありました。

その上で、西村さんは比較的硬めの映像が好みだと感じたので、暗部をしっかり作りつつ、色が変に濁っていないものをベーストーンとして作っていきました。またAIがテーマとはいえ、あまりにもデジタルすぎるトーンにはしたくなかったため、フィルムルックも意識して色作りをしました。今回はBlackmagic Designのカメラで揃えたおかげで、カラースペースが統一されており、コントロールがしやすかったです。

今回、初めてBlackmagic URSA Cine 12K LFの素材をグレーディングしたのですが、テストショットの段階から他のカメラの素材とは異なる印象を受けていました。RGBの個別チャンネルで確認してみても、色のザラザラした感じがなくて、カラリストの視点でも、Blackmagic URSA Cine 12K LFは色が非常に綺麗で、とても良かったです。

Blackmagic Design導入事例:「NHKスペシャル」の場合