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総務省は、テレビ放送における視聴覚障害者や高齢者への配慮を目的とした字幕放送、解説放送、手話放送の普及促進に取り組んでおり、その一環として令和6年度の実績を取りまとめ、公表した。

この調査は、令和5年10月に改定された「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」に基づき各放送事業者が進める取り組みの結果をまとめたものである。

字幕放送

NHK・キー局で目標達成も、放送形態で差

字幕放送については、「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」が定める普及目標の対象番組において、NHK総合(放送センター)、在京キー5局、在阪準キー4局、在名広域4局が、いずれも字幕番組の割合100%を達成し、前年度から横ばいを維持した。

一方、総放送時間に占める字幕放送時間の割合では、NHK総合が91.9%(前年度比0.2ポイント増)、在京キー5局が71.0%(同0.6ポイント増)となった。

系列県域101局では、目標対象番組における字幕番組の割合が89.1%(同0.3ポイント減)とわずかに後退したが、総放送時間に占める割合は59.1%(同0.9ポイント増)と向上した。独立県域13局では、目標対象番組で46.4%、総放送時間で18.3%と、依然として低い水準にある。

BS放送では、NHK BSが目標対象番組で73.5%(同8.9ポイント増)と大きく改善。民放キー局系BS事業者5社(2K/4K)でも、目標対象番組における割合がそれぞれ60.9%(同2.0ポイント増)、57.0%(同3.6ポイント増)と普及が進んでいる。

「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」の普及目標の対象となる放送番組における字幕番組の割合 総放送時間に占める字幕放送時間の割合
NHK(総合 放送センター) 100.0%[±0.0ポイント] 91.9%[+0.2ポイント]
NHK(教育) 98.3%[+1.1ポイント] 90.6%[+2.2ポイント]
在京キー5局 100.0%[±0.0ポイント] 71.0%[+0.6ポイント]
在阪準キー4局 100.0%[±0.0ポイント] 69.2%[+0.5ポイント]
在名広域4局 100.0%[±0.0ポイント] 62.8%[+0.2ポイント]
系列県域101局 89.1%[-0.3 ポイント] 59.1%[+0.9ポイント]
独立県域13局 46.4%[-0.1ポイント] 18.3%[+0.1ポイント]
NHK(BS) 73.5%[+8.9ポイント] 65.3%[+1.7ポイント]
NHK
(BSプレミアム4K/BS8K)
93.9%[+8.9ポイント]
/89.4%[+16.4ポイント]
87.7%[-0.3ポイント]
/81.6%[-0.8ポイント]
民放キー局系BS事業者5社
(2K放送/4K放送)
60.9%[+2.0ポイント]
/57.0%[+3.6ポイント]
33.6%[+2.7ポイント]
/35.4%[+3.1ポイント]

※[ ]は対前年度差分

解説放送

全体的に普及途上、放送局間で大きな開き

解説放送の普及率は、字幕放送と比較すると全体的に低い水準にとどまっている。

指針の普及目標対象となる番組における解説番組の割合は、在名広域4局が24.2%(同2.3ポイント増)と最も高い。

しかし、独立県域13局では1.1%(同0.3ポイント減)、民放キー局系BS事業者5社(2K/4K)では2.4%と、普及が進んでいない状況がうかがえる。総放送時間に占める割合でも、多くの放送局で10%を下回っている。

「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」の普及目標の対象となる放送番組における解説番組の割合 総放送時間に占める解説放送時間の割合
NHK(総合 放送センター) 17.0%[-1.9ポイント] 14.2%[-1.0ポイント]
NHK(教育) 22.6%[+0.5ポイント] 20.4%[+0.5ポイント]
在京キー5局 21.6%[+1.7ポイント] 8.1%[+0.7ポイント]
在阪準キー4局 20.8%[+1.3ポイント] 6.8%[+0.6ポイント]
在名広域4局 24.2%[+2.3ポイント] 6.7%[+0.6ポイント]
系列県域101局 14.3%[+0.9ポイント] 5.5%[+0.3ポイント]
独立県域13局 1.1%[-0.3ポイント] 0.5%[-0.2ポイント]
NHK(BS) 15.9%[+7.1ポイント] 9.7%[+4.9ポイント]
NHK
(BSプレミアム4K/BS8K)
18.7%[+0.9ポイント]
/17.0%[+2.1ポイント]
13.6%[-0.6ポイント]
/10.6%[+0.7ポイント]
民放キー局系BS事業者5社
(2K放送/4K放送)
2.4%[±0.0ポイント]
/2.4%[-0.1ポイント]
1.4%[±0.0ポイント]
/1.4%[±0.0ポイント]

※[ ]は対前年度差分

手話放送

NHK教育が突出、民放では独立県域局が健闘

1週間あたりの手話放送時間(1局あたり平均)では、NHK教育が4時間42分(同9分増)と突出して長く、次いで独立県域13局が1時間22分(同1分減)、NHK総合が1時間12分(同37分増)と続いた。

民放では、在京キー5局が31分、在阪準キー4局が20分、在名広域4局が24分といずれも30分前後の放送時間にとどまっている。

1週間当たりの手話放送時間(1局当たりの平均)
NHK(総合 放送センター) 1時間12分[+37分]
NHK(教育) 4時間42分[+9分]
在京キー5局 31分[+0分]
在阪準キー4局 20分[+1分]
在名広域4局 24分[±0分]
系列県域101局 22分[-1分]
独立県域13局 1時間22分[-1分]

※[ ]は対前年度差分