アドビは、生成AI「Firefly」の大型アップデートを発表した。今回の発表には、クリエイターの制作ワークフローを起点から変革する、複数の重要な機能強化が含まれる。
まず、Fireflyのweb版ホーム画面が全面的に刷新された。これは単なるデザイン変更にとどまらず、画像生成から動画編集、アイデア出しにいたるまで、あらゆるクリエイティブ作業の起点となるよう設計されている。
次に、画像生成AIの中核をなすイメージモデルが進化した。次世代モデル「Firefly Image Model 5」(パブリックベータ)のプレビュー版が公開された。画質の向上に加え、最大の特徴はプロンプトによる対話型の画像編集機能(ベータ)である。従来、生成画像に修正を加えるにはプロンプトの書き換えと再生成が必要であったが、Image Model 5では、生成された画像に対し「夜のシーンにして」といった自然言語で指示するだけで部分的な変更が可能となった。この機能は、アドビのFireflyモデルだけでなく、サードパーティー製のパートナーモデルでも利用できる。
ビデオとオーディオの領域も大幅に拡張された。ビデオモデルには、新たにサウンドトラック生成機能(ベータ版)が追加された。これは「雰囲気」「スタイル」「目的」といったキーワードの組み合わせによって、動画に合った音楽を自動生成する機能である。動画ファイルをアップロードすれば、その内容を解析して最適な音楽を提案することも可能である。また、テキストを読み上げる音声生成機能(ベータ版)も搭載され、20カ国語に対応する。ベータ版として提供される動画編集機能は、タイムラインベースのUIを採用しており、素材の配置やテキストの追加、さらには編集中の動画から新たなシーンを追加生成することも可能である。
最後に、アイデア出しやコラボレーションを支援するムードボード作成ツール「Fireflyボード」が正式版としてリリースされた。無限のキャンバス上で画像やテキストを自由に配置でき、チームでの共同編集も可能である。正式版では、目的別の画像生成レシピである「プリセット」や、画像内の文字を検出して編集する「画像内のテキスト編集」といった新機能が追加され、ビジュアルコミュニケーションをさらに加速させるツールとして位置づけられる。
これらのアップデートにより、クリエイターはアイデアをより直感的に、そして効率的に形にすることが可能になるとしている。