251030_MeetJapan_topA7gBrr2p

「Japan Mobility Show 2025」で展示するAIで拡張した「Meet Japan!」の映像導入イメージ(左:可動型没入体験空間「モバイルイマーシブシアター」、右:空間内で上映されるAIで拡張した「Meet Japan!」の映像)

TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPAN株式会社は、日本各地の風景や日本文化、地域の魅力が伝わる風物などをTOPPANの映像クリエイターが撮影・制作したオリジナル高品質4K映像コンテンツ「Meet Japan!」を提供している。

この度、「Meet Japan!」の高精細映像を、AIで拡張することにより、立体的で動的な映像表現を可能にし、合わせて、導入先のニーズに対応したLEDビジョンやプロジェクターなどのハードウエアの提供や設計も行う映像体験サービスの提供を開始する。

これまで、サイネージやチラシ、パンフレットでの活用が主だった「Meet Japan!」の表現をAIで拡張し再構成することにより、1面モニターへの投影だけでなく、カーブドスクリーンや複数面のプロジェクターなどへ対応が可能となり、高精細で没入感のある新たな映像体験を実現する。

TOPPANは、同サービスを通じて長年にわたり蓄積してきた「Meet Japan!」の映像コンテンツを、次世代の映像体験へ進化させ、文化・観光資源のさらなる価値向上を通じた国際観光推進・地域活性化に貢献していくとしている。

なお、AIで拡張した「Meet Japan!」の映像は、同サービスの提供開始に先立ち、2025年10月30日(木)から11月9日(日)まで開催される「Japan Mobility Show 2025」(会場:東京ビッグサイト)において、メインプログラムの1つである「Tokyo Future Tour 2035」(西展示棟1F)内に、トヨタ自動車株式会社とTOPPANが共同で出展する可動型の没入体験空間「モバイルイマーシブシアター」に導入されている。

同展示では、トヨタ自動車の「可動産サービス」で活用されているトレーラー内に、AIで拡張した「Meet Japan!」を前方・左右の3面のプロジェクターへ投影し、日本の四季の映像への没入体験を提供する。トヨタ自動車とTOPPANは、モビリティを移動手段から体験を届ける場へと拡張する試みにより、来場者に新たな体験価値を提案するという。

開発の背景

TOPPANの「Meet Japan!」は、国際観光推進や地域活性化を目的に、日本各地を撮影した高精細映像ライブラリである。日本の自然や伝統工芸、様々な文化を4Kで撮影した映像は、地域PR、商業施設での利用など、多様な場面で活用されてきた。

近年、映像の演出方法や利用シーンなどが多様化する中で、TOPPANは、AIにより、「Meet Japan!」の高品質な映像特性を活かして多様な表現を可能にする検証を行っており、この度、高品質4K映像体験サービスの開発・提供にいたった。

同サービスの特長

「Meet Japan!」で保有する映像にAIで新たな表現を生成

「Meet Japan!」の高品質な映像特性にAIで動きや視点の変化、3次元の奥行きを拡張し、立体的で動的な没入感のある映像表現を可能とした。自然風景の空間的奥行きの付加や、現実の撮影では入ることのできない視点・ドローン撮影のようなカメラワーク、草木や葉の微小な揺れ・木漏れ日の明滅・水面反射の変化といった動きを追加し、映像内の微細な変化に呼応する音響も合わせて、素材映像と馴染む動きで自然な表現を実現する。

これにより、風景などそのものの良さを表現するために静的な演出を主としていた「Meet Japan!」の映像に、新たな体験価値を創出する。ゼロベースからのAI生成アプローチではなく、高精度な実写映像をインプットとして活用することにより、その特性を保ちながら高品質かつリアリティを持った多様な表現を実現した。

251030_MeetJapan_01fQfCK4cD
「Meet Japan!」の元画像(左)をAIで拡張し、ドローンが低空飛行するような移動感のある映像(右)を生成

ハードウエアの設計・提供により、多様な映像活用ニーズに対応

AIにより拡張した「Meet Japan!」の映像素材と合わせて、TOPPANがこれまで培ってきたショールームや展示施設などにおけるLEDビジョン導入、コンテンツ制作、および上映の知見をもとに環境に最適なハードウエアの設計・提供も行う。

AIで拡張した映像は、1面モニターへの投影だけでなく、カーブドスクリーンや複数面のプロジェクターなどへの投影が可能である。また、TOPPANが提供するカラーマネジメントシステムにより、コンテンツの適切な色再現も行う。観光・文化施設、イベント展示、商業空間などへの幅広い活用ニーズに対応ができる。

価格

  • 「Meet Japan!」コンテンツリース料:1ショット(絵柄)20万円~
  • AI生成費(高品質4K出力を含む):1ショット15万円~

※制作における企画/プランニング、編集作業、上映に必要なハードウエア等は別途見積

今後の目標

TOPPANは、同サービスを観光やエンターテイメント業界へ拡販し、2028年度までに関連サービスも含めて約10億円の売上げを目指す。また、AIやXRなどの先端技術を活用した文化・観光分野における映像表現の高度化を推進する。今後も、「Meet Japan!」で培った制作ノウハウと高品質な映像資産を基盤に、地域・自治体・企業など多様なパートナーと連携し、日本の魅力を伝えるための映像ソリューションを開発していくという。

「Meet Japan!」について

Meet Japan!」は、TOPPANの映像クリエイターが印刷テクノロジーを駆使して撮影した、歴史的文化財や自然遺産をはじめ、伝統芸能、工芸、四季、食などの様々な日本の魅力を体感できる臨場感溢れる高品質4K映像が50,000ショット以上蓄積されているTOPPANオリジナル4K映像コンテンツライブラリである。近年、4K機器の標準化と普及により、世界各国の大使館や領事館をはじめ、日本の文化や魅力を伝える在外施設、国内のホテルや観光地などで活用されている。

「Japan Mobility Show 2025」展示イメージ

また、今後求められていく画像や映像といったデジタル視覚データのあるべき品質基準と、デジタルデータの知的財産に関する、安全安心なコンテンツ制作・活用の取り組みとして、地域社会とのアライアンスにより、著作権・版権をTOPPANが保有する、国際観光推進/地域活性化を目指すプロジェクトである。