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ソニーは、「動画」に対応した真正性証明技術(C2PA規格対応を含む)を開発し、業界で初めて、この技術を活用した真正性カメラソリューションを、2025年10月30日より報道機関向けに提供を開始した。

※ C2PA(The Coalition for Content Provenance and Authenticity):デジタルコンテンツの出所と信ぴょう性に対し、オープンスタンダードと技術仕様を策-定する標準化団体

提供開始する動画対応の概要

真正性検証サイトの動画対応

これまでの静止画に加え、動画の真正性検証も可能になった。

  • AIなどで生成されたものではなく、実際のカメラで撮影された動画コンテンツであることを検証
  • カメラからの3D深度情報を含む独自のメタ情報を使用し、動画コンテンツにおいても実在する被写体を撮影したものであることを高精度に検証
  • 署名を保持したまま必要な部分だけを切り出して検証できるトリム機能により、大容量の動画ファイルでも迅速な真正性の検証が可能

※ XDCAMメモリーカムコーダー「PXW-Z300」は3D深度情報の検知に対応していない

ソニーの提供するイメージ検証サイト(有償)は、当面は報道機関向けに提供する。

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動画向け電子署名ライセンスの提供

カメラでの署名機能利用には、電子署名ライセンスおよびソニー対応カメラへの電子署名ライセンスのインストールが必要である。今回、動画向け電子署名ライセンスの提供を開始する。

静止画ライセンスと同様に1年間の有期限ライセンスである。静止画・動画ライセンスの単独販売に加え、両ライセンスをセットにしたパッケージ販売も用意する。

「Ci Media Cloud(シーメディアクラウド)」での真正性情報表示

ソニーの映像制作向けクラウドメディアストレージ「Ci Media Cloud」においても、報道機関を対象として、静止画および動画コンテンツの真正性を証明するC2PA規格準拠の電子署名情報の表示が新たに利用可能になる。

動画への真正性情報の記録に対応するソニー製カメラ

  • デジタル一眼カメラ「α1 II」「α9 III」
  • Cinema Line カメラ「FX3」「FX30」
  • XDCAMメモリーカムコーダー「PXW-Z300」
  • デジタル一眼カメラ「α1」「α7R V」「α7 IV」:2025年11月以降対応予定
  • デジタル一眼カメラ「α7S III」:2026年以降対応予定

開発背景

生成AIの急激な進化は新しい表現の可能性をもたらす一方、改ざんされた画像やフェイク画像のまん延による影響が懸念されている。特に報道機関では、正確で信頼できる情報を提供する重要性が増している。

この社会課題の解決に向けて、ソニーは、画像の改ざん検証の仕組みとして、C2PA規格への対応のみならず、独自のデジタル署名技術およびカメラからの3D深度情報を含むメタ情報の活用を加えた、高精度な真正性カメラソリューションを提供している。C2PAは、デジタルコンテンツの出所と信ぴょう性に対し、オープンスタンダードと技術仕様を策定する標準化団体である。ソニーは、2022年3月から運営委員会メンバーとして参画し、デジタルコンテンツの透明性の担保に貢献しているという。

静止画への対応に加え、動画コンテンツへの真正性対応の要望が高まっている。これを受け、ソニーは英国の公共放送BBCの研究開発部門と協力し、動画コンテンツの真正性を検証する実証実験行うなど技術開発を進めてきた。

ソニーは、動画の真正性対応により、報道における動画コンテンツの信ぴょう性向上への貢献を目指すとしている。