コシナは、フォクトレンダーブランドからフルサイズ対応のソニーEマウント専用設計の広角レンズ「APO-LANTHAR 28mm F2 Aspherical E-mount」を2025年12月に発売する。希望小売価格は税込154,000円。

APO-LANTHAR(アポランター)は、フォクトレンダーレンズの中でも高性能モデルに付与される名称であり、APOはアポクロマート設計に由来する。光の3原色RGBの軸上色収差を極力ゼロに近づけるアポクロマート設計は、カラーフィルムの登場以降に求められてきた技術であり、高画素化が進んだ現在のデジタルセンサーにおいても高度な色収差補正手法として重要度が増している。

APO-LANTHAR 28mm F2 Aspherical E-mountは、マクロレンズを除く既発売の「APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical」「APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical」に続く、フォクトレンダーのハイエンド広角レンズとして位置付けられる。フルサイズのソニーEマウントセンサーに最適化され、アポクロマート設計により軸上色収差をはじめとする各種収差を徹底的に抑制しつつ、高い解像力とコントラスト再現性を追求した構成となっている。

レンズ構成は8群12枚で、異常部分分散ガラス6枚と両面非球面レンズ2枚を採用する。さらにフローティング機構を内蔵し、最短撮影距離0.28mから遠距離まで破綻の少ない描写を実現する。28mm F2という大口径広角レンズのカテゴリーにおいて、高い描写性能を志向した設計となっている。

外形はマウント面からの全長58.8mmとコンパクトで、準広角レンズ「APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical」よりも短いサイズにまとめられている。12枚構成の絞り羽根は円形に近い形状を採用し、点光源を含むボケ表現を自然に描写できることを狙った設計となっている。

本レンズは電子接点を備え、対応ボディと組み合わせることで撮影データのExif情報にレンズ情報を記録できる。距離エンコーダーも内蔵しており、被写体距離情報を利用する5軸ボディ内手ブレ補正機能を搭載した機種にも対応する。フォーカスリング操作に連動したファインダー拡大表示にも対応し、マニュアルフォーカス時の精密なピント合わせをサポートする。

絞りリングは1/3段刻みのクリック付き仕様で、動画撮影向けにクリックレスへ切り替え可能な絞り切り替え機構も備える。付属品として、装着時のコンパクトさを考慮した金属製の円形ねじ込み式フードが同梱される。