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Thundercomm MR HMD Pro(左)と、ワコムのVR Pen(右)を組み合わせて使用

株式会社ワコムは、IoT製品・ソリューションプロバイダーであるThundercomm(以下:サンダーコム)と協力して、VR(Virtual Reality:仮想現実)とMR(Mixed Reality:複合現実)環境において3D空間にペンで書きこむことを可能にする新たなプラットフォームを共同開発した。

このプラットフォームは、ワコムが商品化を目指して開発している「VR Pen」と、サンダーコムが開発・提供している「サンダーコム MR HMD Proレファレンス・デザイン(Qualcomm Snapdragon XR2+ Gen2 platformを利用)」を組み合わせたものである。

MR HMD Proは、利用者の頭の動きを追尾するカメラ4つと高解像度RGBカメラを2台搭載し、TOF深度センサー、4Kに迫る解像度と最大40 PPD(Pixels Per Degree:1度あたりの画素数)の高画質、Wi-Fi 7にも対応し、複数の3Dアプリケーションを同時に使用することができる。さらに、ワコムのペンタブレットIntuos Proを「VR Tablet」として組み合わせての利用も可能で、標準的なVRコントローラーと比較して、3D空間に直接ペンでより直感的に描きこむことが可能となる。

このプラットフォームでは、ワコムの「VR Pen」を使ってVR/MR空間にコンテンツを描いたり、デザインやスケッチしたりする際に自然な筆圧コントロールが可能で、ワコムがペンタブレット製品の開発で培ってきた技術を3D空間に展開して、空間での自然な描画体験を実現する。

空間でのデザインは、クリエイターやデザイナーが思い描いた立体物のデザインをそのまま立体として描くことができるため、2D表示のディスプレイ上で描くよりもダイレクトかつ直感的に作業できる。

一方で、細部を精緻に描き込んだり、デザインへのフィードバックなどで微細な文字を記入したりする際には、「硬い表面(Solid Surface)」が適している場合も多いため、このプラットフォームは「VR Tablet」とも連携できるようになった。

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VR Tablet

例えば、3D空間で原寸大で自動車の外装デザインをしながら、内装のコントロールパネル細部に取り掛かる際などに、VR PenとVR Tabletを持ちかえてシームレスに作業することができる。

ワコムでは、VR/MR空間でのペン使用が鍵となる自動車のデザインをはじめとした工業デザイン、3Dゲームなどのコンテンツ制作、さらには医療や教育の現場での3D活用など、様々な分野における用途を想定しており、このプラットフォームを使って市場開拓を目指すという。今後両社は、このプラットフォームを活用した多くのHMD提供企業の皆様と協力しながら、市場実装を進めていくとしている。

ワコム代表取締役社長兼CEO井出信孝氏は次のようにコメントしている。

井出氏:ワコムは、サンダーコムと協力のもと、近未来の新しいデザインワークフローの普及を目指します。両社は、精緻なペン入力や空間をキャンバスとして自在に使いこなすことで、VR/MR業界に新しいインプットツールのソリューションを提供し、クリエイター、工業デザイン、ゲーム開発、教育現場、医療現場等の幅広い使用ケースに向けて、全く新しいVR/MR体験の環境を実現してまいります。

サンダーコムCEO曹東昇氏は次のようにコメントしている。

曹東昇氏:この度のワコムとの協業により、サンダーコムが基盤となるMRリファレンスプラットフォームとシステムソフトウェア、AIに対応するための機能を提供し、VR/MR環境においてさらに直感的に空間で描画することを可能にするデジタルペンの体験を提供します。没入感ある空間でペンを使った次世代の使用体験を可能にするための、ワコムとの協業を大変楽しみにしています。

サンダーコムの使命は、同社の提供するend-to-endプラットフォーム、システム統合技術、グローバルなエンジニアリングサポートを通じて、パートナーの皆様の革新的なアイデアを実際の製品として形にするお手伝いをすることです。