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© Christoph Welkowitz

ウィーンで開催された第47回「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」にて、前ローマ教皇フランシスコが所有していたライカカメラが650万ユーロ(約10億円)で落札された。そのほか、エリザベス2世女王に献上された「ライカM3」や希少な「ライカMP」なども高額で取引された。落札金は全額チャリティーとして寄付される。

ライツ・フォトグラフィカ・オークションは、歴史的に価値のあるカメラ関連製品を専門に取り扱う「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」を定期的に開催している。

「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」では非常に希少なアイテムから特別限定モデル、プロトタイプまでユニークな来歴を有するアイテムが常時出品されており、貴重なアイテムを出品・入手できる場として世界中のコレクターに認知されている。

11月22日、第47回「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」がウィーンのホテル・インペリアルにて開催された。今回出品された希少なアイテムのひとつには、前ローマ教皇フランシスコ(1936-2025)が所有していたライカのカメラがあった。予想落札価格は6万~7万ユーロだったが、最終的に650万ユーロで落札された。

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Leica M3 Queen Elizabeth ©Leitz Photographica Auction

その他にも、イギリスの前女王エリザベス2世(1926-2022)へ献上された特別デザインの「ライカM3」や希少価値が高いブラックペイント仕上げの「ライカMP」が大きな注目を集めた。

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Leica MP black paint no.MP-114 ©Leitz Photographica Auction

前ローマ教皇フランシスコは、長年にわたり人道主義を説きながら社会問題へ積極的に関わり続けた。ライカはその功績を称えて、特別デザインの「ライカM-A」と「ライカ ノクティルックスM f1.2/50 ASPH.」のセットを2024年に献上した。

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Leica M-A Pope Francis

ライカカメラ・クラシックス社とライツ・フォトグラフィカ・オークションの社長を務めるアレクサンダー・セドラク氏は次のようにコメントしている。

セドラク氏:これらのカメラとレンズには、シリアルナンバー「5000000」が刻印されています。ライカでは、特別な個体に区切りの良いシリアルナンバーを付与するという慣習が長年続けられています。そうした特別な個体は著名人に贈呈されるケースが多いです。

慈善活動への支援にも精力的に取り組んでいたことから、フランシスコ前教皇は献上されたライカのカメラとレンズのセットをチャリティーアイテムとしてオークションに出品し、その落札金を全額、援助を必要としている人々を救済する目的で寄付することにした。

セドラク氏:このアイテムを今回、チャリティーアイテムとして提供できたことを光栄に思います。このアイテムについては、通常、落札金額に応じて設定しているオークションハウスの手数料を徴収しないことにしました。落札金650万ユーロは、全額がフランシスコ前教皇の慈善団体に寄付されます。

メディアにも頻繁に登場する著名人で、今回オークショニアを務めたヴォルフガング・パウリッチ氏が競売開始を告げる頃にはすでに予想落札価格の6万~7万ユーロを超える事前入札が数件あった。その後、落札まで激しい入札合戦が繰り広げられた。

セドラク氏:私たちが開催した過去のオークションの中でも最も白熱した入札合戦のひとつだったのは間違いありません。それゆえに、あれほどの高値がこの特別なアイテムについたのです。

女王へのギフト、報道写真用のカメラ、「ルクサス」にも高値が

著名人のために製造されたとある1台のカメラも、今回のオークションのハイライトのひとつだった。そのカメラとは、新たに誕生したドイツ連邦共和国(西ドイツ)のテオドール・ホイス初代連邦大統領が1958年10月に当時のイギリス女王だったエリザベス2世に外交上のギフトとして献上した「ライカM3」である。

実はライカは紛失した際の予備として、同じカメラをもう1台製造していた。今回出品されたのはその予備機で、エリザベス女王のイニシャルである「E II R」がトップカバーに、「エリザベス女王陛下へ – 1958年10月20日 – テオドール・ホイス」という文言のドイツ語がベースプレートにそれぞれ刻印されている。予想落札価格が9万~12万ユーロだったこのアイテムは、15万6,000ユーロ(落札手数料を含む)で落札された。

今回のオークションはブラックペイントの「ライカMP」の人気が依然として高いことが改めて実感できるものでもあったという。"M Professional"を意味する「ライカMP」はルポルタージュ撮影用に開発され、1956年に初登場したモデルで、数多くの報道写真家に愛用された。このときライツ社によって製造された「ライカMP」はわずか412台で、そのうちブラックペイントは141台しかなかった。

今回出品されたのはシリアルナンバーが「MP-114」の個体で、予想落札価格は70万~80万ユーロだったが、結果は90万ユーロ(落札手数料を含む)での落札となった。

オークション開始後間もなく登場したアイテムも今回のハイライトのひとつである。それはロット番号7の「Leica I Mod. A Luxus special outfit」だ。1929年に製造が開始され、わずか95台しか製造されなかった"ルクサス(ラグジュアリーの意)"は現存するのが数台のみと非常に希少である。

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Leica I Mod. A Luxus ©Leitz Photographica Auction

今回出品されたのはその中の1台で、1929年に製造されたシリアルナンバー「34808」の個体である。「special」と名付けられているのは、付属しているアクセサリーが主な理由である。

このアイテムには今回、同じ外観デザインの「ルクサス」双眼鏡3×20と、ゴールドのメッキが施された「ライツ・フィノット」ケーブルレリーズと「フォファー・ルクサス」距離計が付属しており、4点セットとしてオークションに出品されたのは今回が初めてだった。そうした珍しさから、30万~36万ユーロでの落札が予想されていたが、最終的には36万ユーロ(落札手数料を含む)で落札された。