Blackmagic Designによると、制作会社LittleBigが、アフリカン・エネルギー・ウィーク(AEW)のコンテンツ制作においてBlackmagic Designのワークフローを採用し、コンテンツ納品を変革した。
アフリカン・エネルギー・ウィーク(AEW)は、アフリカン・エネルギー・チャンバーが開催する主要イベントであり、アフリカ大陸において最も重要な集会となっている。2021年に創立され、2030年までにエネルギー貧困を根絶することを目指す毎年4日間の会議には、アフリカのエネルギー業界のリーダーたち、世界的な投資家たち、そして政府高官たちが一堂に集う。2025年度は、世界各国の国会議員や企業幹部を含む3,000人以上の代表者がケープタウンに集結した。
複数の会場で同時にセッションが行われるこの大規模イベントで、コンテンツを作成・納品することは大変なタスクだった。そして、このプロジェクトの技術面全般(ステージ設計、撮影、配信、オンサイト編集、プロジェクト管理など)を担当したのは、ケープタウン、アムステルダム、キプロス、ドバイに拠点を置く制作会社、LittleBigであった。
LittleBigの創設者兼CEO、ローランド・スウィート氏は、次のようにコメントしている。
スウィート氏:イベント中は、毎日の終わりに各トラックとセッションの編集を作成し、一日一日のハイライト映像やSNS用の編集も行いました。目的は、会議で話し合われた情報を、一般の方々が聴けるようにすることです。
このプロダクションは8つの会場で並行して行われ、21台のカメラから毎日8時間生放送された。各セッションは、Blackmagic URSA Broadcast G2とBlackmagic Studio Cameraを組み合わせて撮影され、すべての映像はATEM Television Studio HD8 ISOライブプロダクションスイッチャーでミキシングされた。映像ミキサーは、IMAGプロジェクションと配信の両業務を分担して担当した。個別収録された映像は、10Gbイーサネット経由でBlackmagic Cloud Store Mini 16TBネットワークストレージに直接取り込むか、または SSDでDITに引き渡された。
そこから、7人のエディターのうちの1人がすぐにDaVinci Resolve Studioで編集作業を開始した。完成した編集は、品質チェックを経てレンダリングされ、Dropboxと同期された Blackmagic Cloud Store Mini 8TBを介してクライアントに納品された。
LittleBigのテクニカル・オペレーション・マネージャー、ディオン・スミット氏は、次のようにコメントしている。
スミット氏:10Gb接続とソリッドステートRAIDを備えていたことで、複数ユーザーによるアクセスが可能になりました。Cloud Storeはエディターや写真チームが共同で作業できる中央ストレージとして機能し、同日納品を実現する上で重要な役割を果たしました。
カバー範囲を拡大するために、ワイヤレスのローミングカメラとしてDJI SDRトランスミッションおよびMiddleThings APCコントロールを備えたURSA Broadcast G2、そしてRonin RS4 Proジンバルに搭載されたBlackmagic Pocket Cinema Camera 6Kが使用された。
URSA Broadcast G2カメラを導入したことで、LittleBigは完全なカメラコントロール、タリー、通信機能を維持することができた。さらに、AEW期間中に一部の会場では、センサーから約50メートル離れたステージで肩から上のショットを撮影する必要があったが、B4レンズの柔軟性によってそれが容易に実現した。Blackmagic URSA Broadcast G2カメラは、同じステージの他のBlackmagicカメラと自然にマッチした。
オーディオビジュアルに関しては、基調講演ホールに2つの大型LEDウォールと同規模のリピータースクリーンが設置され、各ブレイクアウトルームには小型のLEDウォールが用意された。Barco E2プロセッサーでスケーリングとカスタム再生を処理し、ATEM Television Studio 4K8からのライブフィードを受信した。さらにこのATEMで、Datatonメディアサーバーにレイヤー化されたコンテンツを送り、Magnimage EC90プロセッサーがブレイクアウトディスプレイを駆動した。
スミット氏:信頼性は絶対条件でした。すべてのカメラで独立したオーディオバックアップとともに内部収録を行い、FOH機材はUPSで稼働し、LEDウォールにはデュアルファイバー接続と冗長プロセッサーを使用しました。
コンテンツの同日納品が求められる状況で、スウィート氏は、Blackmagic URSA Broadcast G2を標準カメラとし、Blackmagic Studio Cameraを補完的に導入する判断を下した理由について、次のように説明する。
スウィート氏:私たちは45分〜1時間のセッションを、35本以上、同日の午後9時までに納品する必要がありました。レンズ選択の柔軟性、完全なカメラコントロール、他のBlackmagicワークフローとの直接的な統合性を備えたカメラを使うことが理にかなっていました。セッションごとに完全なカラーグレーディングを行う時間はなかったため、カメラコントロール機能はポスト作業において大きな利点となりました。
毎晩、参加者が会場を後にする頃には、全セッションの編集、ハイライト映像、SNS用コンテンツがすでにクライアントの手に渡っていた。これまで数週間を要していた作業が数時間で完了したことは、Blackmagic Designによる放送およびオーディオビジュアル・ワークフローの統合が、大規模イベント制作をいかに変革できるかを示す好例となった。
制作チームは、今回の資金投資の正当性を問われた際に"時間と品質"という答えを返したという。
スウィート氏:Blackmagic製品のエンド・トゥ・エンド環境を標準化したことで、セットアップ時間が短縮され、異なるプロジェクトでも一貫した品質を維持できるようになりました。また、プロジェクトをクライアントの予算内に収めることもできるので、彼らとの信頼関係が深まり、自分たちの投資収益率目標を上回る成果も達成できています。