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HYBE JAPANが満を持して送り出す、初の没入型楽曲体感ミュージアム「House of Vampire ~Dive into ENHYPEN Chronicle~」。そのプレス内覧会に潜入した。
本展は、グローバルグループENHYPENがデビュー以来築き上げてきた「ヴァンパイア」のコンセプトと、その重厚なストーリーを最新テクノロジーで再構築した、HYBE JAPANプロデュースによる初の没入型体感施設である。これまで同社は、韓国で制作されたコンテンツを日本向けに展開(ローカライズ)する形が主流であったが、本プロジェクトは企画から制作、演出にいたるまでをHYBE JAPANが主導した日本オリジナルの試みだという。
結論から言えば、本作はファンにとって期待を遥かに上回る体感ミュージアムといえる。最新技術が随所に活用され、深い没入感によって来場者をその世界観へと導く。特色あるエンターテインメント空間が構築されていた。
ENHYPEN(エンハイプン)は「I-LAND」発の7人組グローバルグループ。2020年デビュー以降、独自のヴァンパイアコンセプトで人気を集め、2nd Studio Album「ROMANCE : UNTOLD」がトリプルミリオン、通算3作でダブルミリオンを記録。2024〜25年のワールドツアーでは19都市32公演で約67.6万人を動員し、海外アーティストデビュー最速で日本スタジアム公演を実現。世界で活躍を続けている
■House of Vampire ~Dive into ENHYPEN Chronicle~
- 日程:2026年2月5日(木) – 3月16日(月)
- 開催時間:平日 11:00-22:00(最終入場20:30)/休日 9:00-22:00(最終入場20:30)
- 会場:新宿住友ホール 〒163-0290 東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビルB1F
新宿住友ホールに現れた「ヴァンパイアの館」。IMAGICA EEXがもたらす圧倒的リアリティ
筆者が会場に足を踏み入れてまず驚かされたのは、普段は展示会やビジネスセミナーのイメージが強い新宿住友ホールにおいて、これほどまでに濃密なミュージアムが具現化されているという事実だ。それは、空間設計を担ったIMAGICA EEXがもたらす圧倒的なリアリティのなせる業であろう。
「ヴァンパイアの館」というコンセプトのもと、ENHYPENの楽曲世界を五感で表現した設計。それは既存のテーマパークのアトラクションにも迫る、高い完成度である。各楽曲の世界観が重層的に構築されており、コアなファンであれば、これまで耳で聴き、MVで観てきた世界が三次元へと拡張された光景に狂喜乱舞するに違いない。正直に言えば、筆者のような原作の知識が乏しい者にとっては情報の洪水に置き去りにされる懸念も一瞬よぎるが、それを補って余りあるのが「技術による五感の制圧」とも形容したくなる演出の凄みである。
現実と仮想の境界を越えて。Immersive LED Systemがもたらす新たな空間体験
本プロジェクトの屋台骨を支えるのは、ヒビノが提供する最新の映像・照明・音響技術である。特筆すべきは、映像、音響、照明の三要素をすべてヒビノが一社で完結させている点だ。通常、これらは別々の業者が担当し、現場での連動に苦労するのが常だが、今回は三位一体のシステム構築により、運営チームがボタン一つで制御できる極めて高度な運用を実現している。
中でも目玉となるのが、アメリカのLiminal Space社が開発した3D LEDディスプレイシステムである。高輝度LEDの前面に偏光フィルターを施し、軽量なメガネで鑑賞するこのシステムは、映像の前に美術セットや出演者を配置しても演出照明が成立するという、現実と仮想をシームレスに融合させる代物である。
筆者はこれまで、ヒビノの「Immersive LED System」を、数多くのライブやイベント、展示会の現場で幾度となく体験してきた。しかし、今回の「House of Vampire」で実際に目にした光景は、過去の事例とは明らかに一線を画していた。
最大の差異は、実写のアーティストが極めて鮮明な立体像として現れる点にある。従来の音楽ライブや「未来型花火エンターテインメント」等における3D演出は、背景美術や演出効果といった「作品世界」の立体視に主眼が置かれていた。対して本作では、アーティストの実像そのものに肉薄するような、実写ベースの深い没入体験が可能となっている。

制作プロセスの詳細を聞き、その徹底ぶりに圧倒された。撮影にはソニーのハイエンドシネマカメラ「VENICE 2」に、カメラヘッドを延長できる「VENICEエクステンションシステムMini」を装着し、それを2セット用意して8Kのステレオ撮影を行ったという。人間の両目の間隔を精密に再現したリグを自作し、撮影を敢行。撮影現場からヒビノのラボへデータ伝送し、実際にImmersive LED Systemにて立体感を確認しながら作り上げるという、驚きのこだわりようである。昨今のCGによる過剰な飛び出し感とは異なり、実写ならではの生々しい奥行きと存在感は、実写3D撮影の限界に挑んだクリエイターたちの執念の産物といえる。
特に3Dの映像にも驚きだが、筆者が強く良さを感じたのは人工芝の上に座って巨大な3D映像を大勢で同時に共有する体験で、ヘッドマウントディスプレイによる孤独な没入とは一線を画す、ライブエンターテインメントの真髄を感じさせるものであった。
3D技術の再注目とENHYPENの活用。進化するハードウェアがもたらす新たな体験
一時期は沈静化していた3D技術だが、卓越したハードウェアと強力なIPが融合した今、再び確かな熱を帯び始めている。HYBE JAPANが提示したこの新しいエンターテインメントの形は、日本の高度な技術力とグローバルなコンテンツパワーが真正面からぶつかり合うことで生まれた、一種の奇跡的な空間といえる。
情報の密度があまりに高いため、一度見ただけでは気づけないほどの細やかな表現が幾重にも重なっている。しかし、かつては不可能と思われた世界を具現化させたその凄絶な凄みを体感することこそが、本ミュージアムの醍醐味だ。映像制作や技術に携わる者であれば、この新たな潮流を今まさに注視しておくべきである。