Blackmagic Designの発表によると、イギリスの撮影監督ベン・サファー氏が、「To Fly or Float」の撮影において、Blackmagic URSA Cine 17K 65デジタルフィルムカメラを採用したという。
監督のシャーロット・ピーターズ氏と緊密に協力して制作された同作の撮影では、Blackmagic URSA Cine 17K 65デジタルフィルムカメラにより、ハンドヘルドの16mmの感情的な近さがありながら、65mmフォーマットの彫刻的な空間に変換し、視聴者が瞬間を見ているのではなく、その瞬間の中にいるような感覚になるようにしたという。
プロデューサー兼脚本家のオリビア・メイデン氏は幼少期の悲しみの経験に基づいて本作を形づくり、サファー氏が「ケス」、「Ratcatcher」、「フィッシュ・タンク」などを参考にして、映像として表現した。
サファー氏は、次のようにコメントしている。
サファー氏:最初の会話の時点で、トーンと質感に関して、シャーロット、オリビア、私の三人の意見は一致していました。
リファレンスに使用した作品が、ロケ地や美術の色使いから、照明やレンズの計画まで、すべてを形づくりました。
フォーマットの選択における考慮事項や、フォーマットが親密さと距離感にどのような影響を与えたかについて、また、ポストプロダクションまで引き継がれた現場での意思決定について、サファー氏が詳しく語る。
Q. URSA Cine 17K 65を使用した理由は?
サファー氏:
昔からフィルムのルックが大好きなので、露出に関して自分の直感をそのまま使えるカメラを求めています。私にとって、それはセンサー内でカラーフィルターが自然に機能し、シーンの重要なディテールを捉えられるセットアップを意味します。本作では、Blackmagic URSA Cine 17K 65を使用することをシャーロットと共に決め、それに基づきパッケージを構築することで、深み、興味深いコントラスト比、スケールを維持しながらも感情的な親密さを備えた重構造のイメージが得られました。
Q. どのようなルックを目指していましたか?70年代の設定であることは、どのように影響しましたか?
サファー氏:
興味深いコントラスト比を重ね合わせたルックを目指していました。ショット内には必ずと言っていいほど何か明るいものがあり、それがシャドウを固定したので、とても役立つと思います。本作は1970年代を舞台としているため、深みのあるレイヤーが常に得られるようなフォーマットを望んでいました。ハンドヘルドの16mmの感情的な近さがありながら、65mmフォーマットの彫刻的な空間に変換できるカメラとレンズのセットアップを求めていました。つまり、瞬間を見るのではなく、その瞬間の中にいるような感覚になるようなセットアップです。

Q. 65mmが風景だけでなく室内にも使えると考えた理由は?
サファー氏:
最初に65mmでの撮影を考慮し始めた際、プロデューサーたちは、壮大な屋外の風景撮影には最適なフォーマットだと同意しましたが、狭い屋内ではどう機能するのか疑問を持っていました。その直感は理解できました。ロバート・リチャードソンが65mmを屋内の撮影に使用したことで、上手く機能することは証明されていると思います。そのおかげで、本作のような物語でこのフォーマットを使用することに対する私の考えが明確になりました。
Q. オープンゲート8Kのレンズの使用計画とカバー範囲に関して考慮したことは?
サファー氏:
URSA Cine 17K 65のフルセンサーでカバーできる範囲に基づき、カメラのイメージサークルである55.91mmを使用し、オープンゲート8Kで撮影することで、65mm – 5パーフォレーション相当の映像が得られました。つまり、最初からラージフォーマットのフレーミングと奥行きを使用し、それに合わせてレンズパッケージを構築できました。すなわち、2つのCooke Panchro 65/iレンズ(40mmと75mm)、ワイドショットとタイトショットにGecko CamのOPIAを使用しました。
Q. 実際にURSA Cine 17K 65を使用した感想は?
サファー氏:
実際にURSA Cineで撮影して特に印象に残ったのは、使い方がいかに簡単であるかという点です。Blackmagic URSA Cine 12K LFとBlackmagic URSA Cine 17K 65の両方でフィクション映画を撮影した今、この組み合わせは優れたAカメラとBカメラになると思います。ステディカムのオペレーターは両方のカメラを使用していましたが、セットアップが非常に似ていたため、どちらのカメラを使用しているのかを忘れるほどでした。URSA Cineカメラはどちらもほぼ同じ重量で、アクセサリは交換可能なので、長編映画やテレビ番組の撮影に今後使用するでしょう。

Q. 65mmが屋外でのフレーミングと空間の感覚に与えた影響は?
サファー氏:
私が常に追い求めているのは、視聴者を物語から引き離すことなく、複数の選択肢が得られるフォーマットとレンズの組み合わせです。65mmでは、アナモルフィックで通常シーンを撮影するのとは異なるクリエイティブな方法で撮影できます。運河でのシーケンスのような屋外での撮影では、70年代のバーミンガムを表現したいと考えていました。このシーンは日光のみを使用して撮影され、片側に木があり、反対側に水面に反射した光があり、望んでいたものがすべて得られました。地理や空間の感覚を表現するために、通常は50mmまたは60mmのレンズを使用してアナモルフィックで撮影します。しかし、65mmの大きなフォーマットでは、一歩下がっても同じレベルの圧縮が得られます。URSA Cine 17K 65で撮影することで、極めて長焦点である75mmのCooke Panchro 65/i球面レンズを使用しても、今まさにそこにいるという感覚を維持できました。
Q. 邪魔になったり、距離感を感じさせずに、親密さを感じさせるコツは?
サファー氏:
そのバランスは大切ですね。親密なシーンでは、俳優の顔のすぐ前にいると、何かを邪魔しているように感じるので、それは避けています。それと同時に、長いズームは使用したくありませんでした。覗き見しているような、あるいはジャーナリズム的な感覚の映像になるからです。そういった意味でフォーマットは非常に重要です。もっと小さいフォーマットのセンサーを使用して、広角で撮影していたら、背景の圧縮がすべて失われ、もっと離れている印象になったでしょう。65mmフォーマットでは、アナモルフィックでの撮影において、新しいクリエイティブな選択肢が得られます。
Q. 同カメラでのスキントーンの扱い方についての印象は?
サファー氏:
URSA Cine 17K 65は、スキントーンの下部が極めてクリーンです。輝度ノイズはフィルムグレインのような感じなのであまり気になりませんが、クロマノイズは絶対に避けたいものです。良いカメラの特徴は、あまり手間をかけずにセンサーのトーンカーブを最大限に活用できることだと思います。
Q. これらすべてが上手く共鳴し合ったシーンは?
サファー氏:
その良い例のひとつは、キッチンのシーンですね。本作のほとんどのシーンはかなり狭い空間で撮影されたので、可能な限り柔らかい光を保つようにしました。このシーンは、単一のソースで自然でありながら、かなり大きく感じられるようにしたいと考えていました。キッチンには、8×8の大きなシルクが付いたVortex8を使用し、光源がシルクに反射するようにしました。これは、ブックライトのようなものですが、極めてシンプルな作りの照明です。撮影中、男性の後ろの窓から強い光が差し込んできました。最終的なルックは、照明、カラーパイプライン、美術の組み合わせによって実現できました。しかし、それは65mmフォーマットで撮影することから生まれたものでもあります。これは、ある少女に関する親密な物語ですが、それと同時にスケール感を与えたいと考えていました。その理由は、これらの出来事は彼女の人生における最大の出来事であるため、それを表現したいと思いました。そして、65mmでは確かにその重要性を感じさせられる映像が得られました。
URSA Cine 17K 65のギャラリーページでは、「To Fly or Float」における同氏の作業のさらなる詳細が紹介されており、また同作の一部をBlackmagic RAWでダウンロード可能。
