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Maxonは、Tencent Cloudと戦略的パートナーシップを締結し、Tencent HY 3D Global AIエンジンをCinema 4Dに統合すると発表した。HY 3D統合機能は2026年後半に導入予定で、追加の技術情報や具体的な展開スケジュールについては、リリース時期が近づき次第発表される。

この協業は、バルセロナで開催されたMobile World Congress 2026で公開されたもので、Cinema 4D内にAI支援ワークフローを導入する。これにより、アーティストはテキストプロンプトや画像リファレンスからベースとなる3DモデルやUVを生成できるようになる。生成されたモデルは、その後Maxonのプロフェッショナルツール群を用いて、リファイン、スカルプト、アニメーション、レンダリングが可能だ。

クリエイティブを加速するAI

Tencent Cloudが開発し、Tencentの膨大なゲームアセットをもとにトレーニングされたHY 3Dエンジンは、制作の立ち上がりをスムーズに構築し、クリエイティブな探求を後押しする。生成されたアセットはCinema 4D内で完全にカスタマイズ可能で、ZBrush、Redshift、Red Giantを含むMaxonのエコシステム全体と互換性を持つ。

MaxonのCEOであるデイビッド・マクガヴラン氏は次のように述べている。

マクガヴラン氏:Maxonの使命は常にアーティストを支援することです。今回の提携は、特にアイデア創出やプロトタイピングといった初期段階において、クリエイターが必要に応じてより迅速に制作を進められる追加のツールを提供するものです。最終的な成果物に対する完全なコントロールは、常にアーティストにあります。AIはコンセプトの検証や試行錯誤を支援しますが、著作性と創造的な方向性はあくまでクリエイターの手に委ねられています。

今回の統合は、アーティストの立場に寄り添いながら創造の自由を守るというMaxonの長年の哲学を反映したものだという。Cinema 4DにおけるHY 3D統合機能の利用は完全に任意であり、従来のモデリングワークフローを好むユーザーは、これまで通りの方法で制作を続けることができる。

MaxonのChief Technology兼AI Officerであるフィリップ・ロッシュ氏は次のように述べている。

ロッシュ氏:アーティストは著作性とオリジナリティを非常に重視しています。そしてそれは私たちも同じです。私たちはAI機能を責任ある形でツールに統合することに注力しています。完成されたアートを自律的に生み出すシステムを構築しているわけではありません。あくまでアーティスト主導の創作プロセスの中で、特定の工程を加速する技術を提供しているのです。

業界横断で広がる創造の可能性

Cinema 4Dは、映画、放送、モーション・グラフィックス、広告、製品ビジュアライゼーション、ゲーム開発など幅広い分野で活用されている。今回のAI支援によるベースモデル生成機能の追加により、厳しい納期のもとで制作するクリエイターや、複数のビジュアル案を同時に検討する現場において、新たな柔軟性がもたらされる。生成されたアセットはZBrushでリファインし、Cinema 4Dでテクスチャ設定やライティングを行い、Redshiftでレンダリングすることができる。これにより、アーティストは自身のコンセプトを、独自のスタイルと質感を備えた本格的なプロダクション品質の作品へと昇華させることが可能となる。

同提携は、Tencentがゲーム開発パイプラインにおいてMaxonの技術を継続的に活用してきた長年の関係を基盤としている。Tencent CloudのAI技術をMaxonのツールセットに直接統合するのは、今回が初めてだ。

本機能はデスクトップ版だけでなく、iPad版のCinema 4Dにも標準機能として提供される予定だ。Maxon自身が独自の生成AIモデルを開発しているわけではなく、あくまでTencent Cloudの技術をオプションのワークフローとして統合する立場をとっている。また、懸念されるデータの取り扱いについては、Maxonが顧客のコンテンツをAIの学習に使用することはないと明言しており、AI機能はTencent Cloudの独立したインフラを通じて提供される。

MaxonはAIの導入にあたり、「アーティストが主導権を持つこと」「AIツールはあくまでオプションであること」「AI支援機能で作成されたコンテンツは従来のCapsulesライブラリと同様に活用できること」という3つの原則を掲げている。

運用面では、Cinema 4D本体の価格改定は予定されていないが、AI機能についてはクラウドコンピューティングを利用するため、独自の価格設定が適用される可能性がある。導入のスケジュールについては、2026年後半にまずiPad版Cinema 4Dで先行リリースされ、その後デスクトップ版へと順次展開される見込みだ。