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※画像は開発中の製品イメージ

Nextorage株式会社は、企業のオンプレミス環境における生成AIの性能を大幅に向上させることを目指し、外付けAIアクセラレーター兼高速ストレージ「aiDAPTIV Station(仮称)」の開発を開始した。

同製品は、32GBのDRAMを搭載したAIノートPCとの組み合わせでも、GPT-OSS-120Bのような大規模AIモデルを動作させることを目指している。また、128Kトークンに対応する大容量のKVキャッシュを複数格納することで、ドメイン固有のナレッジに基づく推論の飛躍的な高速化を狙う。これにより、クラウドへデータを送信することなく、トークンコストを気にせず、高性能な生成AIモデルをオンプレミス環境で活用できるとしている。

また、ハードウェアに加え、大規模言語モデル(LLM)実行エンジン、業務別のサンプルデータ、ナレッジ生成ツール、チャットボットなどを組み合わせ、購入後すぐに利用できる「AI標準パッケージ」の搭載に向けた開発を進めている。なお、同製品は2026年末に発売予定だという。

AI標準パッケージは、同製品を購入したユーザーが複雑な環境の構築やモデルの選定を行うことなく、電源投入後すぐに、Webブラウザから業務別のAI機能を試せる状態で提供することを目指しているとしている。

想定される用途は、大規模AIモデルの性能を生かした社内規程の照会、法令・公開裁判例の調査支援、製造設備の保守支援、セキュリティインシデント発生時の初動支援、行政手続きの案内、営業・技術提案支援などだ。搭載するモデル、データ、アプリケーション、提供形態および対応業務は現在、具体化を進めているといい、正式な仕様は今後決定する。

開発の背景

生成AIへの関心が高まる一方、企業が実際の業務で利用を始めるには、ハードウェアの準備だけでなく、LLMの選定・設定、社内データの整備、検索環境の構築など、多くの準備作業が必要とされる。また、近年はトークンコストの削減、ベンダーロックインの回避、機密データの安全な取り扱いといったニーズを背景に、高性能なオンプレミスAIソリューションへの需要が高まっている。

こうしたニーズに応えるため、外付けでAI PCのAI処理能力を強化できる同製品の開発に着手した。特に機密性の高いデータを扱う業務では、クラウドへ情報を送信せずに利用できることに加え、導入後すぐに生成AIの効果を実感できる、実用性の高いソリューションが求められている。

NextorageがaiDAPTIVの国内展開を進める中で、顧客やパートナー企業から「ハードウェアの導入後、何をどのように動かせばよいか分からない」「自社でモデルやデータを準備する負担が大きい」といった声が寄せられたという。

こうした課題を踏まえ、aiDAPTIV Stationを単なる外付けAIデバイスではなく、業務別のAI機能をあらかじめ組み込んだオンプレミス生成AIアプライアンスとして提供することを目指す。

主な特長

購入後すぐに使えるAI標準パッケージを搭載

日本語に対応したオープンソースLLM、用途別の公開データやサンプルデータ、質問例、出典表示機能、操作画面などを組み合わせ、購入後すぐに具体的な業務用途でAIを試せる構成で開発を進めている。

顧客固有データを追加し、個別の業務に適応

標準搭載機能を試した後、社内規程、契約書、技術文書、マニュアル、過去事例など、ユーザーが保有する文書を構造化し、自社専用のAIが参照できる仕組みの実装を進めている。これにより、KVキャッシュを用いたCAGを構築し、回答精度と応答速度の両立を目指す。

既存環境に追加しやすい外付け構成

Phison Electronics社のローカルAIソリューション「aiDAPTIV」を活用し、既存のPCやワークステーションにUSB-Cポートを介して接続できる外付け構成を採用する予定だ。対応OSはUbuntuおよびWindowsを予定している。大規模なAIサーバーを新設することなく、既存環境にオンプレミス生成AIの実行環境と業務別のAI機能を容易に追加できる製品を目指す。

持ち運びやすい軽量・小型設計

オフィス、研究室、展示会場などでの設置・移動を想定し、筐体の軽量化と小型化を進めている。ワークステーションやPCと組み合わせ、必要な場所へ持ち運びやすく、限られたスペースにも設置しやすい設計を目指す。

想定ユースケース

AI標準パッケージの候補は以下の通り。いずれも正式に決定したものではなく、今後、パートナー企業や想定ユーザーとの検証を通じて、搭載内容と提供方法を具体化するとしている。

  • 社内規程・法務調査支援:就業規則、経費規程、申請手順などの照会や、法令・公開裁判例・自社契約書を横断した論点整理を支援し、根拠となる文書を示すパッケージ。
  • 製造・セキュリティ・行政業務支援:設備マニュアルや故障履歴を用いた保守支援、社内手順に基づくセキュリティインシデント発生時の初動支援、条例・要綱・申請手順に基づく庁内案内など、外部に持ち出しにくい情報をローカル環境で活用するパッケージ。
  • 営業・技術提案支援:製品仕様、過去の提案書、FAQ、価格・構成情報などを基に、顧客要件の整理、推奨構成の提示、提案書の初稿作成を支援し、社内専用のAIセールスエンジニアとして機能するパッケージ。

今後の予定

Nextorageは、2026年末の国内正式発売に向け、ハードウェア仕様の策定と並行して、搭載するAI標準パッケージの選定を進めるとともに、オープンソースLLMのライセンス条件、収録データの権利関係・更新方法、操作性、回答精度、顧客固有データの追加手順などを検証する。AI標準パッケージの搭載内容、詳細仕様、予定価格については、今秋以降、順次発表される予定。

Nextorageは、戦略パートナーであるPhison Electronics社および国内のパートナー企業と連携し、ハードウェアの供給にとどまらず、モデル、データ、アプリケーションを一体化した「購入後すぐに使えるオンプレミスAI」の実現を目指すとしている。さらに、顧客固有データの整備から、RAG/CAGの構築、モデルの最適化、ファインチューニング、運用設計までを支援し、企業が生成AIを具体的な業務成果につなげられる環境の整備を進める方針だ。