株式会社旭東エレクトロニクスは、Lexar製品の日本国内総代理店として、PCIe 5.0対応M.2 NVMe SSD「Lexar Professional NM1090 PRO」を、2026年7月より日本国内で順次発売している。
同製品は専用DRAMキャッシュと232層3D TLC NANDを搭載し、ローカルAI、高画素RAW、4K・8K映像制作、ゲームの録画・配信・編集を支えるプロフェッショナル向けSSDだ。
PC上での生成AI実行や高画素RAWデータの一括処理、あるいは4K・8K素材からSNS用の短尺動画やサムネイルまでを同時に作り分けるといった高度な作業。さらにはゲームの録画・配信・編集を1台のPCで完結させる。
現在の高性能PCにおいて、ストレージは単なる「保存先」ではない。素材の読み込み、プレビュー、キャッシュ更新、録画、生成、保存、書き出しといった複数の処理をつなぐ「作業領域」として、PC全体のワークフローを支えるとしている。
Lexar Professional NM1090 PROは、こうした大容量データの読み書きが複雑に重なる環境を想定して設計された、プロフェッショナル向けPCIe 5.0 SSDだ。
最大読み込み14,000MB/s、最大書き込み13,000MB/s
NM1090 PROは、M.2 2280規格およびPCIe 5.0 x4インターフェースに対応している。
最大シーケンシャル読み込み速度は、1TB、2TB、4TBの全容量で14,000MB/s。最大シーケンシャル書き込み速度は、1TBモデルが10,000MB/s、2TB・4TBモデルが13,000MB/sに達する。
また、2TB・4TBモデルでは最大2,100K IOPSのランダム読み込み性能を実現。大容量ファイルの連続転送だけでなく、細かなファイルアクセス、素材の読み込み、キャッシュ更新、保存、書き出しが交差する制作環境を想定した仕様である。
ただし、NM1090 PROの価値は最大速度の数字だけではないという。SSDを選ぶ際に重要なのは、「最大速度がどれだけ高いか」に加えて、その性能をどのような作業で生かすために設計されているかだ。
専用DRAMキャッシュとSLC Dynamic Cacheを搭載
NM1090 PROは、SSD本体に専用DRAMキャッシュを搭載している。
SSD内部では、PCが認識するデータの論理アドレスと、NAND上の実際の保存場所を対応させるマッピング情報が管理されている。データはウェアレベリングやガベージコレクションによって移動するため、コントローラーは「どのデータが現在どこにあるか」を継続的に把握しなければならない。
専用DRAMキャッシュは、このマッピング情報を高速に参照するための作業領域として機能する。大量の小ファイルを扱う処理、ランダムアクセス、読み込みと書き込みが同時に発生する環境において、SSD内部の効率的なデータ管理を支える。
さらに、SLC Dynamic Cacheを採用。TLC NANDの一部を一時的にSLCのように動作させ、短時間に発生する書き込みデータを高速に受け止める。
ファイルをSSDへコピーすると、データはまず高速なSLCキャッシュ領域に書き込まれ、その後、コントローラーによってTLC領域へ整理される。専用DRAMキャッシュがデータの所在を効率よく管理し、SLC Dynamic Cacheが書き込みの初動を支えることで、複数の読み書きが並行するワークフローに対応する。
232層3D TLC NANDと6nmコントローラーを採用
NANDフラッシュには、232層3D TLC NANDを採用している。TLCは1セルに3bitを記録する方式で、容量効率、書き込み性能、耐久性のバランスを取りやすい構成だ。さらに、6nmコントローラーとAdvanced Thermal Control Designを採用し、PCIe 5.0世代の高い性能を支える。
総書き込み容量は、1TBモデルが700TBW、2TBモデルが1,400TBW、4TBモデルが2,800TBWだ。TBWはSSDへ書き込める総データ量の目安であり、キャッシュ、生成物、録画データ、編集データ、書き出しファイルを繰り返し扱うワークドライブを選ぶ際の重要な確認項目となる。
ローカルAIを支える「データの流れ」
高速SSDを搭載したからといって、LLMのトークン生成速度や画像生成の演算速度がそのまま大幅に向上するわけではない。AI推論の中心を担うのはGPU、NPU、ビデオメモリー、システムメモリーであり、モデルの量子化方式やソフトウェア実装なども処理速度に影響する。
一方、ローカルAI環境では、数GBから数十GB規模のモデル、データセット、キャッシュ、プレビュー、生成物、ログ、チェックポイントなどを継続的に読み書きする。
モデルを読み込み、生成結果を写真現像ソフトや動画編集ソフトへ渡し、アップスケールやノイズ除去を行う場合、同じPC内で大容量ファイルが何度も移動する。演算そのものが高速でも、モデルの展開、生成物の保存、次工程への受け渡しで待ち時間が積み重なれば、作業全体のテンポは低下する。
NM1090 PROはAIの演算装置ではない。モデルや素材を読み込み、生成物を保存し、次の処理へ移るまでのデータフローを支えるワークドライブとして、その性能を発揮するとしている。
高画素RAW、4K・8K、縦型動画時代の制作環境へ
高画素ミラーレスカメラや高ビットレート動画の普及により、1回の撮影で数百GB規模の素材を扱うことも珍しくなくなった。
RAW現像ではプレビュー、カタログ、調整情報が更新され、動画編集ではプロキシ、サムネイル、音声波形、最適化メディア、レンダーキャッシュなどが同時に動く。
さらに現在は、1本の素材から横型の本編、縦型ショート、SNS用クリップ、広告用の短尺版、サムネイルなどを作り分けるワークフローが一般化している。
元素材を何度も読み出し、キャッシュを更新し、異なる解像度やコーデックで書き出す。こうした環境では、ストレージは完成データを保管するだけの場所ではなく、制作工程そのものに組み込まれている。
写真の一括処理と動画の書き出しを並行する場合や、AI機能を活用したノイズ除去・アップスケールを組み合わせる場合など、読み書きが複雑に重なる場面でNM1090 PROの設計が真価を発揮するという。
ゲームの録画・配信・編集を1台のPCで
各容量の主な特徴は以下の通り。
- 1TBモデル:最大書き込み10,000MB/s、専用DRAM 2GB、700TBW。容量を抑えつつ専用DRAM搭載モデルを導入したいユーザーや、整理して運用する制作データの保存に適している。
- 2TBモデル:最大書き込み13,000MB/s、専用DRAM 2GB、1,400TBW。ローカルAI、高画素RAW、4K・8K編集など、性能と作業容量のバランスが取れた中心モデルだ。
- 4TBモデル:最大書き込み13,000MB/s、専用DRAM 4GB、2,800TBW。大規模なAIモデル、複数案件、長尺映像などを同じ作業領域に保存し、データ移動の回数を減らしたいパワーユーザーに適している。
| 容量 | 最大書き込み速度 | DRAM / TBW | 主な用途 |
| 1TB | 10,000MB/s | 2GB / 700TBW | OS+主要アプリ、整理して運用する制作データ |
| 2TB | 13,000MB/s | 2GB / 1,400TBW | ローカルAI、RAW、4K・8K編集 |
| 4TB | 13,000MB/s | 4GB / 2,800TBW | 大規模モデル、複数案件、長尺素材 |
NM1090 PRO:性能と活用のポイント
- 世界最速クラスの転送速度:全容量で最大14,000MB/sの読み込みを実現。特に2TB・4TBモデルは書き込み13,000MB/s、ランダムアクセス2,100K IOPSと高速性能を備える。
- プロジェクト規模で選べる3容量:1TB(OS・アプリ用)、2TB(バランス重視の中心モデル)、4TB(長尺映像や大規模AIモデル向け)の3種類を展開。
- クリエイター・AIユーザーに特化した用途:高画素RAW現像、4K・8Kの空撮映像制作、ローカルAI環境の構築、さらにはゲームの録画から編集までを1台のPCで完結させたいユーザーに適している。
- 高い信頼性と最新機能への対応:5年間の限定保証に加え、ゲームやアセットの読み込みを高速化するMicrosoft DirectStorageにも対応している。
主な製品仕様
| フォームファクター | M.2 2280 |
| インターフェース | PCIe 5.0 x4 NVMe |
| 最大読み込み速度 | 14,000MB/s |
| 最大書き込み速度 | 10,000MB/s(1TB)、13,000MB/s(2TB/4TB) |
| キャッシュ | 専用DRAMキャッシュ+SLC Dynamic Cache |
| NAND | 232層3D TLC NAND |
| コントローラー | 6nmコントローラー |
| 保証 | 5年限定保証 |