FilmLightはIBC 2026(スタンド6.C19)に出展し、ワークフローの自動化からカラーグレーディング、メディア管理、クラウド連携まで、ポストプロダクションパイプラインを効率化する最新技術を展示する。ブースでは、主力カラーグレーディングシステムの次期バージョン「Baselight v8」を先行プレビューするほか、FilmLight API(FLAPI)、Daylight、Naraを組み合わせたワークフローを紹介する。
FLAPIによるポストプロダクションワークフローの自動化
FilmLightが今回の展示で重視するテーマの一つが、FilmLight API(FLAPI)を活用したワークフローの自動化だ。Netflixのテクノロジーブログ「Scaling Camera File Processing at Netflix(Netflixにおけるカメラファイル処理のスケーリング)」では、FLAPIがNetflixのMedia Production Suiteの中核を担っていることが紹介されている。FilmLightはIBCのブースを通じて、こうしたAPIベースの自動化を、複雑なカスタムワークフローにも応用できることを示す。
IBCでは、開発責任者のマーティン・トラスカル氏やイメージエンジニアのダニエレ・シラグサーノ氏を含むFilmLightのシニアスタッフが、今後のポストプロダクションワークフローについて紹介するとともに、Baselight v8に搭載される新機能をデモンストレーションする。
Baselight v8を先行プレビュー
ブースでは、FilmLightの主力カラーグレーディングシステム「Baselight」の次期バージョンとなるBaselight v8を先行プレビューする。FLAPIとの連携により、グレーディング、コラボレーション、ワークフロー統合を組み合わせ、複雑化する制作パイプラインの効率化を図るとともに、カラリスト向けの新たなクリエイティブツールも追加する。
Baselight v8で展示される主な新機能は以下の通り。
- 新たなアプローチを採用したグレインシミュレーション
- タイムライン上に専用トラックを設け、視認性を保ちながら正確なオーディオ編集やトリミングを可能にするオーディオトラック
- シーンを分析し、劇中のロケーションやカメラアングルに基づいてショットをグループ化する、機械学習ベースの「Groups View」。グループ単位でグレーディングする際のショット選択を効率化する
- その他、グレーディングツール、ワークフロー、ユーザビリティに関する各種機能強化
DaylightとNaraでメディア管理・コラボレーションを拡張
カラーグレーディングだけでなく、制作段階からメディア管理、レビューまでをつなぐエコシステムの拡張も今回の展示のポイントとなる。FilmLightは、視聴、ショット選択、制作メタデータ管理などをサポートするデイリーズ制作システム「Daylight」と、メディア管理およびコラボレーションプラットフォーム「Nara」の最新機能を紹介する。
DaylightはBaselightと同じコア技術をベースとしており、グレーディングとメタデータ管理ツールを組み合わせ、オンセットからデイリーズ制作までのワークフローに対応する。一方、Harborなどの施設で導入されているNaraは、メディアへのアクセスや管理、レビュー、コラボレーションを担い、制作からポストプロダクションまでの情報共有を支援する。
Naraでは、今後提供予定の主なアップデートとして以下の機能を紹介する。
- FilmLightのレンダーエンジンを利用し、シンプルなインターフェースからオンデマンドで処理できる「Consolidate & Transcode」
- クラウド上でのレビューやクライアント承認ワークフローを支援するFrame.ioとのネイティブ統合
- 包括的なストレージ分析レポートを作成できるFLAPIを利用したレポート生成機能
Amazon S3への直接読み書きに対応
さらにFilmLightは、Naraを含む製品群からAmazon S3オブジェクトストレージへ直接読み書きする機能をデモンストレーションする。中間ファイルシステムを介さずS3へネイティブにアクセスすることで、AWSクラウド環境上で高解像度メディアを直接保存、アクセス、処理できるようにし、クラウドベースのポストプロダクションにおける運用コストとシステムの複雑さを低減するとしている。
今回のIBC展示では、Baselight v8単体の機能強化だけでなく、FLAPIによる自動化、Daylightによるデイリーズ制作、Naraによるメディア管理とコラボレーション、Amazon S3との直接連携まで、FilmLightの各製品・技術を一連のポストプロダクションワークフローとしてつなげる方向性が示される。