アドビは、主要なAIチャットボットプラットフォームから同社のプロ向けツールを利用できる環境を拡大する。今回、新たにGoogleのGeminiとの連携を開始するほか、既存のClaude向けアドビプラグインにAcrobatツールを統合し、PDFやAdobe ExpressのデザインをClaude内で直接編集できる機能を導入する。
Geminiとの連携は提供を開始しており、すべてのGeminiプランで利用可能である。利用するには、Geminiの設定から「パーソナル インテリジェンス」を開き、連携するアプリとして「Adobe」を選択し、アドビアカウントでサインインするか、新たにアカウントを作成する。
Claude向けアドビプラグインも、デスクトップ版、モバイル版、web版のClaudeおよびClaude Codeで提供を開始する。ゲストとして利用することも可能だが、アドビアカウントでサインインすれば利用上限が引き上げられるほか、追加ツールやセッション間の継続性などを含むプラグインの機能を利用できる。従来のアドビコネクタがすでにインストールされている場合は、自動的に新しいアドビプラグインへ更新される。
アドビは、アイデアのブレインストーミングや問題解決、タスクの遂行といった作業がAIチャットボットプラットフォーム上で行われる機会が増える中、対話の中から直接アドビツールを呼び出し、そのまま制作や編集を進められる環境の構築を進めている。今回のGeminiとの連携開始とClaude向けアドビプラグインの強化も、その取り組みの一環である。
Geminiからアドビのクリエイティブツールを利用可能に
新たなGeminiとの連携により、Geminiとの対話を通じてAdobe Photoshop、Adobe Lightroom、Adobe Express、Adobe Fireflyなどのツールを活用し、写真の補正、マーケティングアセットの作成、デザイン制作などを行える。希望する成果を説明すると、アドビのツールが目的に応じた処理を実行する。
Googleのグローバルパートナーシップ、GDM & Gemini担当マネージングディレクターのニール・パンチョリ氏は、次のようにコメントしている。
パンチョリ氏:アドビとのパートナーシップを拡大し、業界をリードするクリエイティブツールをGeminiに直接組み込めることを嬉しく思います。これにより、誰でもチャット内で直接、アイデアを創作したり、編集し、形にすることができるようになります。
Geminiでアドビツールを活用する方法
- 統一感のある商品写真を作成:商品写真をアップロードし、仕上がりのイメージを説明する。アドビのツールがライティングや色の最適化、トリミングを行い、店舗、webサイト、マーケティング資料などで使用できる写真を作成する。
- 1つのデザインを各種SNS向けのコンテンツに変換:ブランディングやメッセージ性を維持したまま、投稿先のSNSに適したバージョンを作成するよう依頼できる。これにより、オーディエンスや配信先に合わせてコンテンツを展開できる。
- マーケティング用途に合わせてテンプレートをカスタマイズ:キャンペーンの内容、ターゲット層、希望するスタイルを説明すると、Adobe Expressを使ってデザインを調整する。さらにテキスト、画像、色などの変更を依頼し、目的に合わせたマーケティング資料を作成できる。
今回のリリースは、Googleとの連携を通じてアドビツールをGeminiから利用できるようにする取り組みの第一歩となる。アドビは今後も、創造性と生産性を高めるツールを追加し、Gemini上で利用できる機能を拡充していくとしている。
Claude向けアドビプラグインを強化。Acrobatツールも統合
アドビは2026年4月、プロ向けのクリエイティブツールをClaudeから利用できるコネクタを発表した。同社によると、提供開始以降、複数の写真の光や色、統一感を調整したり、クリエイティブディレクターがキャンペーン制作にかかる時間を短縮したりするなど、さまざまな用途で利用されているという。
今回のClaude向けアドビプラグインの強化では、Acrobatのツールを既存のクリエイティブツールと統合し、単一のアドビプラグインとして提供する。Adobe Acrobat、Adobe Express、Adobe Photoshop、Adobe Illustrator、Adobe Premiere、Adobe Lightroom、Adobe InDesign、Adobe Stockなど、80以上のプロ向けツールをClaudeの対話画面から利用できる。
また、希望する結果を説明してアドビプラグインに処理を任せるだけでなく、コンテンツを直接指定してPDFを編集したり、Adobe Expressのデザインをカスタマイズしたりできる新しい編集機能も導入する。
Claude向けアドビプラグインの新しい活用方法
- Claude内でAcrobatツールを活用:PDFのページ削除、結合、分割などの整理、機密情報の墨消し、PDFから他のファイル形式への変換などを行える。
- PDFを直接編集・分析:より細かな操作を行いたい場合は、インタラクティブエディターでPDFを開き、ページの並べ替え、テキスト編集、コメントやハイライトなどの注釈追加が可能。ドキュメントレビューのスキルを呼び出し、Claudeに文書を分析させ、エディター内に推奨事項や注釈を追加することもできる。
- Adobe Expressでデザインを調整:Adobe Expressデザイン向けのレイヤーベースのインタラクティブエディターにより、画像、テキスト、色、フォントなどの要素を個別に選択して編集できる。デザイン全体を生成し直すことなく、Claudeのワークフロー内で目的に合わせて調整できる。
今回の新機能は、画像の個別または一括調整、ベクターやレイアウトの作成、ビデオ編集、各種SNS向けのコンテンツ調整など、すでにClaudeから利用できるアドビのクリエイティブツール群を拡張するものだ。Acrobatツールも加わることで、クリエイティブ制作からドキュメントの編集まで、より多くの工程をClaude内で進められるようになる。
AIとの対話からアドビの本格的な制作環境へ
AIチャットボットプラットフォームの普及によって、アイデアを具体的な形にするまでのハードルは下がっている。一方、生成した画像やデザインには細かな調整が必要になる場合があり、コンテンツも配信先に合わせた最適化が求められる。ドキュメントであれば、確認、編集、共有といった工程も必要になる。
アドビは、こうした工程をAIとの対話から直接行えるようにする一方、より高度な機能や精度が必要になった場合には、主要なアドビアプリへ移行して作業を継続できる環境を目指している。
GeminiやClaudeとの連携によって、AIチャットボットをアイデアを考える場所だけでなく、実際の制作や編集を進める場所へと広げる。アドビは、対話の起点がどこであっても、クリエイターがアイデアを制作物へ発展させ、活用・共有できるワークフローを支援していくとしている。