株式会社焦点工房は、同社が取り扱うThypoch「Ksana(クシャナ)」シリーズのライカMマウント対応距離計連動交換レンズ「Ksana 35mm f/2 ASPH. ブラックペイント」を発売した。希望小売価格は税込117,000円。
「Ksana 35mm f/2 ASPH. ブラックペイント」は、真鍮製の鏡筒を採用し、深みのあるブラック塗装を施している。クラシックカメラにも馴染む落ち着いた外観に仕上げた。
カメラバッグから取り出す。絞りリングを回す。街を歩きながら何度もピントを合わせる。そうして使い込むうちに塗装が少しずつ摩耗し、その下から真鍮の色が覗き始める。
経年変化の仕方は、使い方や保管環境によって一本一本異なる。撮影した写真だけでなく、使い込む過程で外観そのものが変化していく点も、ブラックペイントモデルの特徴である。
ローレット加工を施した絞りリングは指を掛けやすく、三日月形のフォーカスレバーを採用。クラシカルな外観だけでなく、日常的な撮影での操作性にも配慮している。
街を歩きながら、見たものをそのまま切り取れる35mm
35mmは、スナップや旅、日常の記録まで幅広く使いやすい焦点距離である。
街を歩きながら光が差し込む路地を撮る。カフェのテーブル越しに人物を写す。旅先では、目の前の人物だけでなく、その場所の風景まで一緒に収める。自然な遠近感と適度な広がりを持つ35mmは、被写体と周囲の環境を一つの画面に取り込みやすい。
鏡筒長は約27mm、質量は約199g。真鍮製の鏡筒を採用しながらコンパクトにまとめられており、M型ボディと組み合わせて日常的に持ち歩きやすいサイズとなっている。
逆光を避けるのではなく、"光の表情"として楽しむ「Epoch Coating ’84」
「Ksana 35mm f/2 ASPH.」を特徴付けるのが、Thypoch独自の多層コーティング「Epoch Coating ’84」である。
1980年代のレンズが持つ独特の光の表情から着想を得て、当時のレンズに見られたゴールドやパープルの特徴的なフレア、シネマライクな描写を現代の光学技術で再構築した。順光では自然なコントラストと階調を保ちながら、強い光が差し込む状況ではゴールド系のフレアが現れ、画面に特徴的な表情を加える。
夕方の低い光や木漏れ日など、通常であればフレアを避ける場面でも、その光を画作りの要素として取り入れられる。光源の位置や角度によってフレアの現れ方が変化するため、逆光を積極的に生かした撮影にも対応する。
クラシカルな味わいと、現代レンズらしい解像感
特徴的なフレア表現を持つ一方、光学系には非球面レンズ1枚、EDレンズ1枚、高屈折レンズ2枚を含む5群8枚構成を採用する。ピントを合わせた部分に解像感を残しながら、背景へ滑らかにつながる描写を目指した設計である。
1980年代のレンズ表現をそのまま再現するのではなく、現代的な光学設計をベースにしながら、「Epoch Coating ’84」によってクラシカルな光の表現を加えている点が特徴となる。
0.5mまで寄れる。レンジファインダーとライブビューを使い分け
最短撮影距離は0.5m。料理やテーブルフォト、小物、旅先で見つけたディテールなど、35mmレンズで被写体へ近づいた撮影にも対応する。
ただし、距離計が連動するのは0.7m以上となる。フォーカスリングの0.7m位置にはわずかな抵抗を設けており、ファインダーを覗いたまま操作していても、距離計連動範囲を外れる位置を指先で把握しやすい。
0.7m以上ではレンジファインダーを利用し、0.5m以上0.7m未満ではライブビューでピントを確認する。レンジファインダーによる撮影とライブビューによる近接撮影を切り替えて使用できる設計である。
主な仕様
| 対応マウント | ライカMマウント |
| 対応撮像画面サイズ | 35mmフルサイズ |
| 焦点距離 | 35mm |
| レンズ構成 | 5群8枚(ASPH非球面レンズ1枚、EDレンズ1枚、高屈折レンズ2枚) |
| フォーカス | MF(マニュアルフォーカス)※距離計連動型 |
| 絞り | F2-F16 |
| 絞り羽根 | 10枚 |
| 最短撮影距離 | 0.5m |
| フィルター径 | 39mm |
| サイズ | 約Φ52×27mm(マウント部・突起部除く) |
| 質量 | 約199g |
| 付属品 | 前後キャップ |
| メーカー保証 | 1年間(自然故障が対象) |
※撮影距離0.5~0.7m未満の範囲では距離計連動しない。この範囲で撮影する際は、ライブビューでピントを確認する必要がある。