ソニーは、ワイヤレスマイクロホン「ECM-W5」、ワイヤレスレシーバー「ECM-W5R」、ワイヤレストランスミッター「ECM-W5T」を2026年11月20日に発売予定だ。受注開始は3製品とも10月21日10時。希望小売価格は以下の通り。
- ワイヤレスマイクロホン ECM-W5 希望小売価格:税込59,400円
- ワイヤレスレシーバー ECM-W5R 希望小売価格:税込29,150円
- ワイヤレストランスミッター ECM-W5T 希望小売価格:税込18,700円
ECM-W5は、マイク(トランスミッター)2台、レシーバー1台、充電ケースなどを同梱するセットモデル。ECM-W5RとECM-W5Tは、それぞれレシーバーとトランスミッターの単体販売モデルである。



ECM-W5の特徴は、最大4chのワイヤレス収音に加え、トランスミッター内部とカメラ側に音声を記録できる点にある。32bit float音声記録や24bit/96kHz収録に対応し、ソニー製ヘッドホンを利用したワイヤレスモニタリング、タイムコード出力も備える。音声の収録から編集までを意識した構成だ。
| 付属品 | ECM-W5 | ECM-W5R | ECM-W5T |
|---|---|---|---|
| マイク(トランスミッター) | ●(2個) | - | ● |
| レシーバー | ● | ● | - |
| 充電ケース | ● | - | - |
| ウインドスクリーン | ●(2個) | - | ● |
| マグネット | ●(2個) | - | ● |
| USBアダプター | ● | ● | - |
| アダプター端子保護キャップ | ● | ● | - |
| マルチインターフェースシューアダプター | ● | ● | - |
| マルチインターフェースシュー端子保護キャップ | - | ● | - |
| ポーチ | ● | ● | ● |
3系統で音声を記録。カメラ内には最大4chのWAVファイルを保存
ワイヤレス音声収録では、伝送状態や設定によって、撮影後に音声の問題が判明する場合がある。ECM-W5は、対応カメラとの組み合わせで記録先を複数確保できる設計を採用した。

記録先は、マイク(トランスミッター)の内部メモリー、カメラで撮影した動画ファイルに含まれる音声、カメラ内に独立して保存するWAVファイルの最大3系統だ。カメラ内に保存される独立WAVファイルは、最大4chの音声を個別に収めた1つのファイルとなる。4ch分が4つのWAVファイルに分かれる仕組みではない。
トランスミッターはそれぞれ64GBの内蔵メモリーを備え、32bit float/48kHzで最大約90時間の録音に対応する。カメラへのワイヤレス伝送とは別に音声を残せるため、収録後にカメラ側の音声を確認する際にも、別の記録データを利用できる。
32bit float音声記録では、録音音量を自動調整する「Auto」と、-12~+12の範囲で設定できる「Manual」を選べる。ノイズカットとローカットのオン・オフもメニューから切り替え可能だ。32bit floatは48kHz時に対応し、24bit/96kHz記録も選択できる。周波数特性は32bit float/48kHz時が20Hz~20kHz、24bit/96kHz時が20Hz~40kHzとなる。
標準セットのトランスミッターは2台だが、別売のECM-W5Tを追加することで最大4台までワイヤレス接続できる。複数の話者を個別に収音し、対応カメラへ最大4chの音声を記録する用途が想定される。
| 項目 | ソニー ECM-W5 |
|---|---|
| Bluetooth | 対応 |
| 伝送距離 | 最大500m |
| 周波数特性 | 20Hz~20kHz(32bit float / 48kHz) 20Hz~40kHz(24bit / 96kHz) |
| 32bit float音声記録 ※1 ※2 | 対応(内部録音 / MI / UAC) |
| 24bit / 96kHz音声記録 ※1 | 対応(内部録音 / MI / UAC) |
| マイク(トランスミッター) ストレージ容量 / 最大録音時間 |
64GB / 最大約90時間 (32bit float / 48kHz) |
| 連続使用時間 | 約11時間(マイク / トランスミッター) |
| 充電時間 | 約55分 |
| タイムコード出力(レシーバー) | 対応(φ3.5 TRS / USB / MI、USB Sync Mode) |
※1 対応機種については、ソニー公式サイトを参照。
※2 32bit float音声記録は48kHz時のみ利用可能。
単体録音や外部マイクにも対応。小型トランスミッターの活用範囲
ECM-W5Tは幅31.0mm、高さ47.0mm、奥行22.3mm、質量約27.1gのトランスミッター。衣服にクリップや付属のマグネットで固定できるほか、手持ちマイクとしての使い方も想定されている。

トランスミッターは本体だけで録音できるため、レシーバーを使わない単体レコーダーとしても運用可能だ。また、レシーバーと付属のUSB Type-Cアダプターを使えば、USB Audio Class 2.0対応のスマートフォンやPCにも音声を収録できる。トランスミッター単体を対応するBluetooth機器へ直接接続し、ワイヤレス録音する方法も用意された。

外部マイクの利用も可能だ。トランスミッターとレシーバーには3.5mmモノラル外部マイク入力端子を搭載し、別売のラベリアマイク「ECM-L1」などを接続できる。トランスミッターを衣服の内側に収め、ラベリアマイクだけを表に出すといった収音方法にも対応する。


インタビュー、ポッドキャスト、スマートフォンを使った動画制作など、カメラの有無や収録人数によって構成を変えられる点が特徴だ。
対応ヘッドホンでワイヤレスモニタリングと収音
ECM-W5は、Bluetooth LE Audioに対応するソニー製ヘッドホンとの連携にも対応する。ヘッドホンをレシーバーに接続すれば、カメラから離れた位置でも収録音声をワイヤレスでモニタリングできる。ケーブルでカメラ付近に留まることなく、スタッフが音を確認できる仕組みだ。
対応ヘッドホンのマイクを使い、その音声をレシーバー経由でカメラに収録することも可能。ただし、ヘッドホンをマイクとして使用する機能とワイヤレスモニタリング機能は同時に使用できない。
また、「WF-1000XM6」と組み合わせたバイノーラル録音にも対応予定。ECM-W5発売後に予定するWF-1000XM6の本体ソフトウェアアップデートによって対応するとしている。
最大500mの伝送とタイムコード出力でマルチカメラ撮影を支援
無線伝送は、ソニー独自の設計により、見通しのよい環境で最大500mに対応する。従来モデル「ECM-W3」の最大150mから距離を伸ばした。実際の伝送距離は金属や人体などの障害物、反射面、周囲の電波状況によって変化する。
ソニーはさらに、混雑した電波環境での安定性について、ECM-W3と比べて約3倍の安定した通信を実現したと説明する。これは同社の内部測定による比較値だ。長距離での収録だけでなく、イベント会場など無線機器の多い環境での運用も想定している。
レシーバーにはECM-Wシリーズとして初めてAMOLEDディスプレイを搭載した。画面のタッチ操作に加え、ダイヤルからメニューや設定を操作できる。

対応するソニー製カメラでは、マルチインターフェース(MI)シューを介してデジタル音声を入力でき、レシーバーへの給電にも対応する。レシーバーの連続使用時間は約7時間、トランスミッターは約11時間。セット付属の充電ケースは、開くとレシーバーが起動して待機状態になる設計だ。

映像編集の工程に関わる機能として、レシーバーのタイムコード出力にも注目したい。接続した対応カメラへタイムコード信号を出力できるため、複数台で収録した素材の同期作業を効率化できる。
「FX5」はUSB Type-Cケーブルによるタイムコード同期に対応し、2026年10月の発表時点でこのUSB接続方式に対応するカメラはFX5のみ。それ以外では、FX3、FX3A、FX30、FX2、α1、α1 II、α9 III、α7S IIIについて、TRS–BNCケーブルと別売のVMC-BNCM1を使用した接続方法が示されている。
3系統の音声記録によるデータ保護から、最大4chの収録、ヘッドホンでの確認、タイムコードを利用した編集時の同期まで。ECM-W5は、撮影人数やカメラ構成が変わっても、同じシステムを軸に音声収録を組み立てられる製品である。