アドビとNVIDIAは、両社のパートナーシップを拡大し、Adobe Photoshop、Premiere、Substance 3D、Frame.io、Brand Conciergeといったアドビの主力ツールを最適化することで、AIを活用した制作、プロダクション、パーソナライゼーションの高速化を実現すると発表した。

今回の取り組みは、3月に発表されたアドビとNVIDIAの戦略的パートナーシップを基盤とするものだという。同パートナーシップでは、アドビのクリエイティブおよびマーケティングのワークフロー、モデル、テクノロジーと、NVIDIAのオープンモデル、ライブラリ、研究、高速化コンピューティングを融合させ、動画、画像、3D、その他のクリエイティブメディアにわたるクリエイティブ、制作、マーケティングのワークフローを加速させる。この協業には、Frame.ioにおけるメディア取り込みとインテリジェンスのためのGPUアクセラレーションに加え、Adobe Substance 3D、Adobe Firefly Foundry、および企業顧客向けの3Dデジタルツインワークフローに関する継続的な取り組みも含まれている。

アドビのクリエイティブプロフェッショナル向けプロダクトマーケティング担当バイスプレジデント、ディーパ・スブラマニアム氏は次のようにコメントしている。

スブラマニアム氏:クリエイティブワークフローはかつてないほどマルチモーダル化しており、多くのプロジェクトが画像、動画、音声、モーション、3Dにまたがっているため、クリエイターがアイデアや制作そのものに集中し続けるためには、パフォーマンスが極めて重要となっています。

NVIDIAと提携し、Photoshop、Premiere、Substance 3DをRTX Spark向けに最適化し、クラウド上のFrame.ioを高速化することで、クリエイターがアイデアを具現化するために必要なパフォーマンスを提供しています。

NVIDIAのローカルAI担当バイスプレジデント、ジェイソン・ポール氏は、次のようにコメントしている。

ポール氏:AIエージェントは、クリエイターが慣れ親しんだAdobeアプリケーションを活用し、より深く豊かなワークフローを実現できるよう支援しています。

RTX Sparkを搭載したAdobeの最適化ツールは、最大2倍のパフォーマンスを発揮し、こうした新しいワークフローを加速させます。

NVIDIAによって再設計された、より高速なAdobeツールでクリエイターを支援

昨今のクリエイティブプロフェッショナルは、画像、動画、モーション、3Dといった分野を横断して作業を行っており、時にはそれらすべてを1つのプロジェクト内で扱うこともあるという。AIがクリエイティブプロセスにますます組み込まれるにつれ、自身のアイデアのスピードやワークフローの複雑さに追従できるテクノロジーを必要としている。クリエイティブ分野の業界リーダーであるアドビのツールは、数十年にわたるクリエイティブな専門知識を活かして人間の可能性を最大限に引き出し、アイデアをインパクトのある作品へと迅速かつ容易に変えることを可能にするという。

アドビは、NVIDIAが今月初めに発表した「NVIDIA RTX Spark」スーパーチップのパワーを、同社の主要なクリエイティブアプリケーションである「Photoshop」、「Premiere」、「Substance 3D」に導入している。RTXによる高速化が施され、RTX SparkのユニファイドメモリとAI演算能力を最大限に活用するように最適化されたこれらのアプリケーションは、AI処理、編集、カラーグレーディング、エフェクトの処理速度を最大2倍に向上させ、クリエイターがより迅速に試行錯誤を行い、クリエイティブなフローを維持できるよう支援する。

アドビは、GPUアクセラレーションによる合成を軸にPhotoshopのアーキテクチャを再構築し、「Remove tool」による不要な要素の削除から、キャンバス上で直接ガウスぼかしや「Light leaks」などのエフェクトを適用する作業にいたるまで、クリエイティブなタスクの処理速度と応答性を向上させた。

Premiereにおける、再生やレンダリングからエフェクト、カラーグレーディング、AI搭載ツールにいたるまで、最も負荷の高いポストプロダクションワークフローの一部は、RTXによる高速化が施され、RTX Spark向けに最適化されているという。これにより、「Enhance Speech」や「Object Mask」といったPremiereの人気のあるオーディオおよびビデオ機能において、実感できるほどの速度向上が実現している。また、「Substance 3D Painter」を使用する3Dアーティストにとっては、RTX Sparkによってテクスチャリングに関連する最も負荷の高い工程が高速化される。

Frame.ioとNVIDIAによるクラウド動画ワークフローの高速化

アドビはまた、NVIDIAのアクセラレーション技術を活用して、Adobe Frame.ioにおけるクラウドメディア処理とインテリジェントなコンテンツ検索を高速化し、制作チームが拡大し続けるメディアライブラリからコンテンツをより迅速に見つけ、活用できるよう支援している。更新されたFrame.ioのパイプラインでは、ハードウェアアクセラレーションによるデコードを行うNVIDIA NVDECや、コンテンツの前処理および埋め込み生成にCUDAを搭載したNVIDIA TensorRTなど、NVIDIAの動画アクセラレーション技術が採用されている。

計算負荷の高いビデオのデコード、前処理、および埋め込み生成をNVIDIA GPUに移行することで、Frame.ioはメディアの処理を高速化し、検索可能になるまでの時間を短縮すると同時に、大規模なコンテンツライブラリ全体でより応答性の高い検索を実現する。

Frame.ioのトランスコードおよび検索ワークロードの一部を対象とした初期のパフォーマンス結果によると、以下のことが示されている。

  1. 埋め込み生成が約5倍高速化
  2. P95処理レイテンシが4~5倍改善
  3. 検索用プロキシのサイズが約80%縮小

クリエイティブチームにとって、これらの改善により、アップロードされたコンテンツがより早く検索可能になり、大規模なライブラリの更新がより効率的になり、メディアの量が増加しても、コンテンツの発見やレビューがスムーズに行えるようになるとしている。

NVIDIA Nemotronで最適化されたAdobe Brand Conciergeによるパーソナライズされた会話体験

ブランド企業は、パーソナライズされた体験を支えるAIモデルから、さらなる選択肢と価値を求めているという。オープンモデルは、そのニーズに応える一助となり、エンタープライズ規模で高品質かつ応答性の高い会話を柔軟かつ効率的に実現する手段を提供する。

アドビとNVIDIAは協力し、NVIDIA Nemotronオープンモデルを用いて「Brand Concierge」を最適化した。このバージョンは、2026年後半にエンタープライズ顧客向けに提供される予定だ。また、NVIDIAは、組織のデータやコンテンツに基づいたパーソナライズされた会話体験を実現するために、「Brand Concierge」を採用した。これにより、NVIDIAは顧客のニーズに応じて自社ウェブサイト上のやり取りをカスタマイズすると同時に、Nemotronを活用して、大規模かつ迅速で高品質な応答を提供することが可能になる。

創造性を最大限に引き出す

2026年11月10日から12日まで開催される「Adobe MAX」では、3日間にわたるクリエイティブスキルの向上、先見性あふれる基調講演、そして貴重な人脈作り役立つプログラムが準備されている。

アドビとNVIDIAは、ハードウェアパートナー各社とともに、クリエイター向けの最新技術を紹介する。