Blackmagic Designの発表によると、大阪を拠点とするポストプロダクション「株式会社チョコフィルム」がDaVinci Resolve StudioおよびBlackmagic Cloudを同社の編集ワークフローとして活用しているという。

株式会社チョコフィルムは、テレビ番組をはじめ、CMなど幅広い映像コンテンツを手がけるポストプロダクション。NHKやMBS、関西テレビをはじめとする、さまざまなテレビ局の番組の編集を行っており、バラエティ、ドキュメンタリー、ドラマ作品と手がける作品も多種多様だ。

同社では、会社設立当初からさまざまなBlackmagic Design製品を導入している。DaVinci Resolveは当初、グレーディングの目的で導入していたが、最近は社内で行う編集工程をすべてDaVinci Resolveで行っているという。同社の編集スタジオの運用について同社代表でエディターの渡辺裕也氏に話を伺った。

会社設立を支えたBlackmagic Designのハードウェア製品

チョコフィルムでは、Blackmagic Design製品は、会社設立当初から導入しており、現在もSmart Videohub、SmartScope Duo、Teranex 2D Processor、UltraStudio 4K Mini、UltraStudio HD Mini、HyperDeck Studio、DaVinci Resolve Micro Color Panelを含むさまざまな製品を活用している。

渡辺氏:私がポストプロダクション・スタジオを立ち上げたのが2011年です。当時はVTR納品が主で設備投資にかなりコストがかかった上、創業間もない時期だったこともあり、資金繰りも楽ではありませんでした。そんな状況で、Blackmagic製品は圧倒的にコストパフォーマンスが良かった。DeckLinkやコンバーター類はもちろん、スタジオの主要な設備をHyperDeckやVideohubなど数多くのBlackmagic製品で揃えました。当時の私たちにとって、コストを抑えながら必要な機材を揃えられたことは本当にありがたかったです。

NHKのDaVinci Resolve導入が大きなきっかけに

DaVinci Resolve Studioに関しては、グレーディングだけ、エフェクトだけ、といったように部分的に使っていた同社。その状況が変わるきっかけになったのが、クライアントでもあるNHKによるDaVinci Resolve Studioの本格導入だった。

渡辺氏:以前からDaVinci Resolveのレンダリングの速さや動作の軽快さなどは実感していましたが、テレビ番組の編集として使うには機能的に足りないと感じていました。NHKがDaVinci Resolveを本格的に導入したことを聞いて、それならば弊社でもいけるのでは?と思って編集でも使い始めました。

レギュラー放送の料理番組でDaVinci Resolve Studioを採用

DaVinci Resolveを編集に本格的に導入するきっかけとなったのが、NHKの料理番組『激突メシあがれ』だった。同社では、同番組のパイロット版を別のNLEソフトウェアで制作していたが、レギュラー化にあたりワークフローの見直しが必要となった。

同番組は3人のアマチュアが料理に挑戦する構成で、それぞれに担当ディレクターが付き、料理の開発過程を追う。3人分の素材を扱うため、編集に必要なデータ量も多い。

渡辺氏:カメラの台数が多く、料理番組のため色調整の作業も多い。さらにテロップ数も500〜600枚くらい入るので、当時使っていたソフトウェアでは書き出しだけでかなりの時間がかかっていました。書き出し中にエラーが発生することもあったので、これをレギュラー番組として年間34本程度制作するのは無理ではないか、とパイロット版を作った段階で考えていました。

そこで、オンエアまでの半年間、徹底的にDaVinci Resolveの検証とトレーニングを重ね、レギュラー放送開始後は同番組の全エピソードをDaVinci Resolveで仕上げた。

渡辺氏:オフライン編集もDaVinci Resolveだったので、オフラインエディターから共有されたプロジェクトをそのまま引き継いでオンライン編集を行えるため、ワークフローもスムーズでした。また、DaVinci Resolve Editor Keyboardを使うことでさらに効率化が図れました。もう今ではキーボードなしでは考えられないくらい活用しています。

少人数で仕事を効率化するためのクラウドワークフロー

さらに同社では、Blackmagic CloudやCloud Store Mini 8TBを利用したクラウドワークフローも採用し、少人数でも効率的に仕事を回す環境を構築している。

渡辺氏:弊社は私を含めて4名のスタッフが在籍しています。そのうちの1人が家庭の事情で大阪を離れる必要がありました。DaVinci Resolveなら遠隔でも仕事ができるのではないかと考え、Cloud Store Mini 8TBなどを利用したリモート環境を構築。MacとDaVinci Resolveをセットアップして、遠隔で作業できる環境を作りました。番宣やミニ番組などの素材量の少ない案件はそのスタッフが遠隔で作業しています。

そのほか、ディレクターが立ち会えない仕事でBlackmagic Cloudのプレゼンテーション機能を使ってプレビューを行うといった活用をしている。

日々の編集作業を支える機能とパフォーマンス

DaVinci Resolveの導入によって、同社では編集作業そのものの効率も大きく向上した。特に、これまで時間のかかっていた細かな作業の短縮に効果を感じているという。

渡辺氏:以前は、DaVinci Resolveは予算が十分にあって、より高品質な作品を仕上げたいときに使うもの、という意識がありました。しかし、DaVinci Resolveを使うことで作業の時間短縮やスタッフの負担軽減につながることがわかり、グレーディングもほとんど必要ない比較的低予算の番組であっても、使用するメリットが大きいことがわかりました。

例えば、商店街でインタビューして、通行人の顔をぼかす必要がある場合も、Magic Maskですぐに対応できます。以前はエフェクト用のソフトウェアを使用して、全て手作業で行っていました。尺が変わると一からやり直しでかなり時間がかかっていましたが、DaVinci Resolveならトラッキングをとり直すだけです。

また、渡辺氏は合成やモーションエフェクトもFusionページですべて行っている。以前はレイヤーベースのソフトウェアを使用していたが、Fusionへの移行はスムーズだったという。

渡辺氏:ノードベースのFusionは、素材の差し替えや複数の処理の組み合わせなどがやりやすいので、以前使っていたソフトウェアよりも作業しやすいです。また、標準機能だけで十分クリエイティブな表現ができる点もメリットですね。

以前は、パーティクル効果など外部プラグインを追加していたので年間のサブスクコストもかなりかかっていました。DaVinci Resolveを使うことで、コスト削減にもなりました。

ユーザーのフィードバックを反映したアップデート

渡辺氏:DaVinci Resolve 21の新機能で一番嬉しかったのは、自分でもリクエストを出していた、エディットページのトラックを非表示にできる機能が搭載されたことです。作業に必要なトラックだけを表示して作業できるようになって、かなり便利です。地味だけど日々の編集がちょっと楽になるような機能がエディターとしては本当にありがたい。DaVinci Resolveはユーザーのフィードバックをちゃんと受けて開発してくれていて、使い勝手が年々良くなっています。