Bolin Technologyは、同社製カメラとコントローラー間の制御機能を拡張する新しい制御プロトコル「Bolin Control Expanded(BCX)」を発表した。これは、Bolin製カメラと制御デバイス間のコマンドアクセス範囲の拡大、応答性の高い通信、および制御・ステータス情報のリアルタイム双方向交換を実現するために設計された新しい制御プロトコルだという。
本記事は国内代理店からの情報ではなく、海外での発表内容を基に紹介する。
なぜ新たなカメラ制御プロトコルを作るのか?
BCXの目的は、プロ用AV業界や放送業界ですでに広く採用されている規格やプロトコルを置き換えることではないという。VISCA over IPなどの制御プロトコルは、異なるメーカーのPTZカメラを共通の操作体系で制御する手段として広く利用されている。一方、メーカー独自の機能や新たに追加された機能については、既存のコマンド体系だけでは十分に操作できない場合がある。
その一例が、BolinのPTZカメラ「Range」である。同製品は、通常のパン・チルト・ズームに加え、カメラのロール軸を制御する機能やローカル録画、映像安定化機能を搭載している。AIフレーミングとAIトラッキングについても、将来のファームウェア更新による対応が予定されている。
また、「R9-L420N」が備える「Cropped Image Output(クロップ画像出力)」も、従来のPTZ制御の枠を超える機能の一つだ。最大3つのクロップ領域を設定し、それぞれの領域をリアルタイムで調整しながら、出力する領域を選択できる。
こうした機能を活用するには、カメラの向きやズームを操作するだけでなく、各機種が持つ独自の機能に直接アクセスする仕組みが必要となる。Bolinは、この課題に対応するためにBCXを開発した。
従来のPTZの枠を超えた制御
BCXにより、制御デバイスは、従来の制御プロトコルでは利用できなかったBolin製カメラの機能に、より深くアクセスできるようになるという。これには、ロール軸の制御、クロップゾーンの調整、録画の開始、AI機能の管理、あるいは今後開発されるカメラ固有の機能へのアクセスなどが含まれる。
これにより、Bolinは、既存のプロトコルで定義された機能に相互作用を限定することなく、カメラとコントローラーをより広範な制作エコシステムの一部として設計することが可能になる。
その結果、カメラ自体とともに進化し得る制御アーキテクチャが実現するとしている。
新しい機能が導入される際、BCXは、互換性のあるコントローラーに対して、それらの機能を、レガシーなコマンドセットの制限に合わせるのを待つことなく提供できるフレームワークを提供する。
レスポンシブな双方向通信
現代のカメラ制御には、単にコマンドを送信するだけでは不十分だ。オペレーターは、入力に対してカメラが即座に応答し、制御インターフェースがカメラの現在の状態を正確に反映することを期待している。
BCXは、互換性のあるBolinデバイス間の双方向通信を可能にし、コントローラーがコマンドを送信すると同時に、カメラやパラメータの状態情報を返してもらうことができる。オペレーターがジョイスティックを動かしたり、画像パラメータを調整したり、機能を呼び出したり、タッチスクリーンを操作したりする際、その通信は高速かつ応答性に優れており、サポートされているステータス情報が制御インターフェースに反映されるよう設計されている。
BCXはBolin製品間の通信を目的に特別に設計されているため、すべての操作を汎用的な制御レイヤーに限定することなく、各製品の実際の動作に合わせて最適化できる。これにより、オペレーターはカメラの現在の状態をより明確に把握でき、より応答性の高い制御が可能になり、それに応じて調整を行うために必要な情報を得られる。
BCXの目標は、オペレーターがコントローラーを操作する際、カメラがその操作面の延長線上にあるかのように感じられるようにすることであるという。
KBD PlusとBCXの連携
Bolinの新しいPTZカメラコントローラー「KBD Plus」は、BCXの機能を活用することを想定して設計された最初の製品の一つである。
KBD Plusは、VISCA over IP、NDI制御、ONVIFといった確立された制御プロトコルをすでにサポートしている。この幅広いプロトコル対応により、マルチカメラ環境や複数メーカーが混在する環境でも動作可能だ。
KBD Plusを、新型RangeやR9-L420Nといった互換性のあるBolin製カメラと組み合わせると、BCXによってさらなる機能層が追加される。BCXは、Bolin製カメラの機能を汎用プロトコルで利用可能な一般的な機能に限定するのではなく、そのカメラが本来持つ設計上の機能をKBD Plusを通じてより多く引き出すことを可能にする。
この違いは重要で、業界標準のプロトコルは相互運用性を提供するが、BCXはより深い統合を実現する。この2つのアプローチは互いに排他的ではなく、相互に補完し合うものであるという。
既存規格との互換性を維持しながら独自制御を拡張
メーカーが独自のプロトコルを導入するたびに、当然の疑問が生じる。それは、ユーザーが閉鎖的なエコシステムへと追い込まれてしまうのではないか、ということだ。
まさにそれこそが、Bolinが避けたいことであるという。
BCXは、オープンで相互運用可能なプロフェッショナルAVおよび放送ワークフローへのBolinの取り組みを変えるものではないとしている。Bolinのカメラやコントローラーは、広く採用されているプロトコルや技術を引き続きサポートしており、サードパーティ製品や既存の制作環境との統合が可能だ。
BCXは、互換性のあるBolin製品を組み合わせて使用する場合に、単に新たな選択肢を追加するものだ。
相互運用性を優先する場合は、業界標準のプロトコルを使用のこと。ワークフローにおいて、Bolin製品独自の機能へのより深いアクセスが有益である場合は、BCXを使用することを推奨している。
これにより、システム設計者やオペレーターの選択肢が狭まるのではなく、むしろ選択肢が広がる。
カメラ制御は、カメラの進化に合わせて進化しなければならない
PTZカメラは変化しつつある。もはや、パンできる範囲やチルトの速度、光学ズーム倍率だけで定義されるものではないという。ロボット技術、インテリジェントな自動化、画像処理、ネットワーク機能、録画機能、そして制作ツールを1台のデバイスに統合する傾向が強まっている。制御層も、その進化に歩調を合わせる必要があるとしている。
BCXは、Bolinに次世代のカメラとコントローラー間の相互作用を構築するための基盤を提供すると同時に、同社の製品を業界全体とつなぐオープンプロトコルのサポートも継続する。これは、単にプロトコルをもう一つ作るためだけの話ではない。カメラの制御方法が、そのカメラの能力を制限することのないようにすることを目指しているという。
BCXは、制御の範囲をPTZを超えて拡張し、Bolinのカメラ、コントローラー、そしてそれらが支えるワークフローの間に、応答性が高く、より深みのある双方向の接続を構築するとしている。