Appleは、Macで初めてディスプレイのタッチ操作に対応した新しいMacBook Proを発表した。タンデムOLED技術を採用した「PROLED XDRディスプレイ」を搭載し、14インチと16インチの2サイズを展開する。日本では2026年10月29日(木)から予約注文を受け付け、11月6日(金)に発売する。ラインアップと希望小売価格は以下の通り。
- M5 Pro搭載14インチMacBook Pro:税込499,800円から
- M5 Pro搭載16インチMacBook Pro:税込599,800円から
- M5 Max搭載14インチMacBook Pro:税込769,800円から
- M5 Max搭載16インチMacBook Pro:税込829,800円から
PROLED XDRディスプレイは、最大2,000ニトのピーク輝度、10,000,000:1のコントラスト比、10〜120Hzの可変リフレッシュレートに対応する。P3とAdobe RGBの広色域をカバーし、写真編集やカラーグレーディングなど、色再現性が求められる作業を想定した設計となっている。
新モデルはM5 ProまたはM5 Maxチップを搭載し、M5 Max搭載モデルでは最大128GBのユニファイドメモリと最大16TBのストレージを選択可能。タッチ操作に加えてDynamic Islandを採用し、Spotlightやライブアクティビティ、Siri AIとの連携にも対応する。Siri AIはmacOS 27.2でベータ版として提供される。
本体重量は14インチモデルが1.38kg、16インチモデルが1.82kg。バッテリー駆動時間は構成と利用条件によって異なり、16インチのM5 Pro搭載モデルではビデオストリーミング時に最大24時間となる。Thunderbolt 5ポートや12MPセンターフレームカメラ、6スピーカーサウンドシステムなども備える。
Appleの最高ハードウェア責任者であるジョニー・スルージ氏は、次のようにコメントしている。
スルージ氏:PROLED XDRディスプレイ搭載の新しいMacBook Proは、Macにとって記念すべき大きな躍進といえます。PROLED XDRは世界最高のノートブックディスプレイです。最先端のタンデムOLEDテクノロジーと、Appleのディスプレイエンジンの先進的なアルゴリズムを組み合わせ、まさにプロが待ち望んだビジュアル再現性を実現します。
また、MacBook Proにタッチ操作の魔法が加わり、M5 ProとM5 Maxの革新的なパフォーマンスと組み合わせることで、私たちはプロがコンテンツを操作する際のワークフローをこれまでにない新たなレベルへと引き上げる、まったく新しい方法を生み出しました。新しいMacBook Proは、Appleシリコン、ハードウェア、ソフトウェアの密接な統合の成果であり、これに匹敵するものはほかにはありません。
タンデムOLEDを採用したPROLED XDRディスプレイ
新しいMacBook Proは、2つの自発光ピクセル層を組み合わせたタンデムOLED技術を採用する。ディスプレイ全体で輝度とグレースケールの均一性を保ち、従来のOLED構造で生じやすい内部反射を低減。明部と暗部の階調を精細に表示する。
HDRコンテンツ表示時のピーク輝度は最大2,000ニト、フルスクリーンでの持続輝度は最大1,000ニト。屋外ではSDR表示でも最大2,000ニトのピーク輝度を実現する。コントラスト比は10,000,000:1で、HDR映像のハイライトから暗部までの描写に対応する。
ディスプレイエンジンと高精度な色再現
ディスプレイエンジンは各ピクセルの色と輝度をサブミリ秒単位で制御し、コンテンツやパネルの使用状況、温度、周囲の環境に応じて補正する。工場出荷時にはパネルごとにキャリブレーションを実施し、表示の均一性を高めている。
ProMotionは10〜120Hzの可変リフレッシュレートに対応。表示するコンテンツに応じて更新頻度を調整し、滑らかな表示と電力効率の両立を図る。
色域はP3とAdobe RGBの双方をカバーし、グリーンからシアンにかけての再現範囲を拡大。Rec. 2020のカバー率は80%以上で、HDR映像の編集やカラーグレーディングに対応する。輝度、ホワイトポイント、色域は工場出荷時に調整され、用途に応じた色空間の切り替えも可能だ。
屋外での視認性とプロ向け表示機能
反射防止コーティングを採用し、明るい場所での視認性を確保した。オプションのNano-textureガラスは表面への映り込みを抑え、屋外や照明の多い制作環境での表示確認に対応する。
また、映画制作や写真編集、印刷などに対応するリファレンスモードとキャリブレーション機能を備え、外出先でも色や階調を確認するためのディスプレイとして活用できる。
Macで初めてタッチ操作に対応
MacBook Proのディスプレイが、Macとして初めてタッチ操作に対応した。ウェブページのスクロール、ピンチ操作による写真の拡大、プレゼンテーション間でのスライド移動、ウインドウの拡大やタイル表示などを画面上で実行できる。
タッチセンサーはディスプレイパネルに直接組み込まれ、入力時の遅延を低減。従来のキーボードショートカットやトラックパッドのジェスチャーと併用できる。タッチ操作時の揺れを抑えるため、ヒンジも新たに設計された。
グラフィックデザイナーは画面上でスケッチや描画ができ、ミュージシャンはソフトウェア音源を指で演奏できる。アプリ開発者はiOS・iPadOSアプリのタッチ操作をMacBook Pro上で確認可能だ。
Apple製アプリは新しい操作に最適化されており、macOSは既存アプリへのタッチ入力をクリックとして扱う仕組みも備える。新しいシステムジェスチャーAPIにより、開発者はタッチ操作に適したインターフェースを実装できる。
他社製アプリでは、Notion、Canva、Zoom、Microsoft Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Adobe Lightroom、DaVinci Resolve、Blender、Cinema 4D、ZBrush、Shapr3D、djay Proなどでタッチ操作を活用する計画が示されている。これらの対応機能には年内提供予定のものも含まれる。
MacにDynamic Islandを導入
iPhoneで採用されているDynamic IslandをMacに導入し、ライブアクティビティやSiri AIなどの情報や操作を画面上部に集約する。AirDropのリクエストへの応答や再生中の音楽の操作などにも対応する。
SpotlightはSiri AIが利用可能で有効になっている場合にDynamic Islandからアクセスできる。Siri AIはmacOS 27.2でベータ版として提供されるため、利用できる機能や言語には条件がある。
薄型・軽量化した本体デザイン
14インチモデルは従来より約220g軽い1.38kg、16インチモデルは約320g軽い1.82kgとなった。厚さも14インチモデルで約0.5mm、16インチモデルで約1mm削減。OLEDディスプレイの構造変更と筐体設計の見直しによって薄型・軽量化を図った。
ディスプレイの対角サイズは14.2インチと16.3インチで、従来より細いベゼルを採用する。排熱機構も再設計し、薄型化した筐体でもM5 ProとM5 Maxの性能を持続できるよう配慮している。
M5 ProとM5 Maxによる制作性能とオンデバイスAI
M5 ProとM5 Maxは、高速なユニファイドメモリとCPU・GPU性能を備え、映像編集、3D制作、ソフトウェア開発、AI処理などの負荷が高い作業に対応する。M5 Proは複数の8K ProRes映像ストリームの編集などを想定し、M5 Maxはさらに大規模なVFXや3Dアニメーション、8Kポストプロダクション向けの構成となっている。
M5 Max搭載モデルは最大128GBのユニファイドメモリを選択でき、数千億パラメータ規模の大規模言語モデル(LLM)をデバイス上で実行できるという。最大ストレージ容量は16TB。
各GPUコアに搭載するNeural Acceleratorは、ローカルLLMを使用したコーディングエージェントなどのAI処理を高速化する。GPUには改良されたシェーダコア、第3世代レイトレーシングエンジン、Dynamic Cachingを採用。Cinema 4DのRedshiftレンダリングやBlender、Unreal Engineなどを使った制作への活用を想定する。
低音再生を強化した6スピーカーシステム
6スピーカーサウンドシステムを改良し、新設計のウーファーによって低音再生能力を従来比50%向上させた。新しいツイーターとドルビーアトモスによる空間オーディオにも対応する。
スタジオ品質のマイクを内蔵するほか、本体を閉じて外部ディスプレイと使用する際の専用オーディオチューニングを採用。映像編集や音声確認、オンライン会議などを想定した構成となっている。
映像制作向けのリファレンスモードと同期機能
PROLED XDRディスプレイは、Apple Pro Displayキャリブレータを使った調整に対応し、映像・写真・印刷などの用途に応じてリファレンスモードを切り替えられる。DICOM医療用画像リファレンスモードも備えるが、用途は研究および教育に限定される。
「Apple Color Matching Function 2026」により、iPhone 18 ProやStudio Display XDRと組み合わせた際の色の一貫性を高める。また、genlockによる表示同期にも対応し、カメラ撮影とディスプレイのリフレッシュレートを同期させることで、バーチャルプロダクションなどで生じるゴーストやティアリングの低減を図る。genlockの有効化には対応する他社製ハードウェアとソフトウェアが必要となる。
Apple Creator Studioのアプリもタッチ操作に最適化される。Pixelmator Proでは画面上での描画や選択、Logic ProではMulti-Touch対応の鍵盤やドラムパッドの演奏、Final Cut Proではクリップの配置や範囲指定、タイムラインの拡大縮小などをタッチ操作で行える。
Thunderbolt 5やWi-Fi 7に対応
本体には3基のThunderbolt 5ポート、HDMI、SDXCカードスロット、MagSafe、ヘッドフォンジャックを装備する。外部ディスプレイはM5 Pro搭載モデルで最大3台、M5 Max搭載モデルで最大4台まで接続可能。
無線接続はWi-Fi 7とBluetooth 6に対応し、Touch IDも利用できる。USB PDによる高速充電では約30分で最大50%まで充電可能。充電時間は使用する電源アダプターや構成、使用条件によって異なる。
macOS 27 Golden GateとSiri AI
新モデルはmacOS 27 Golden Gateを採用する。タッチ操作に合わせたインターフェースを備えるほか、Apple IntelligenceやSiri AIと連携する。Siri AIはmacOS 27.2でベータ版として提供され、日本語にも対応する。利用にはApple Intelligenceの有効化や対応言語の設定が必要で、一部の機能には提供地域などの制限がある。
Siri AIは、メッセージやメール、写真などの情報を手がかりにした検索、質問への回答、複数アプリにまたがる操作に対応。Spotlightやシステム全体のコンテクストメニューから利用でき、画面上の内容に関する質問や文章の作成・編集も可能となる。
Apple Intelligenceにより、Safariでのタブ整理やウェブサイトの変更通知、ショートカットアプリでのオートメーション作成、写真アプリでの画像編集などにも対応する。また、Liquid Glassの透明度や色の濃さを設定画面から変更できる。
再生素材の採用と環境への配慮
新しいMacBook Proは、筐体に100%再生アルミニウム、バッテリーに100%再生コバルトを採用。複数のコンデンサに100%再生タンタルを使用するなど、デバイス総質量の55%に再生素材または再生可能素材を使用している。これらの割合はパッケージや同梱アクセサリーを含まない。
サプライチェーンで使用する製造用電力の45%を風力や太陽光などの再生可能電力でまかない、パッケージは繊維ベースの素材を100%使用する。Appleは2030年までにApple全体のカーボンフットプリントでカーボンニュートラルを目指す方針を示している。