FUJIFILM LTO Ultrium10(30TBおよび40TB)データカードリッジ
富士フイルム株式会社は、神奈川事業場小田原サイトに約100億円を投資し、データストレージ用磁気テープの製造能力を約5倍*1に増強することを決定した。生成AIの普及に伴い高まるデータアーカイブ需要に対応するため、磁気テープの安定供給体制を強化するとしている。今回の投資は2026~2028年度にかけて製造設備の増強および生産体制強化のための人員増などに充てるものだ。
*1 出荷容量ベース、2025年度比。
生成AIやクラウドサービスの急速な普及により、世界で生み出されるデータ量は飛躍的に増加している。それに伴い、AIの学習・推論や企業活動のデジタル化によって蓄積される膨大なデータを安全かつ効率的に保存・活用できる環境の整備は、デジタル社会を支える上でますます重要になっているという。磁気テープは、大容量データを低コストで長期間保存できるほか、媒体をネットワークから切り離して保管できる特長を有している。近年では大手クラウド事業者やデータセンター事業者を中心に採用が拡大しているほか、サイバー攻撃の高度化を背景に、ランサムウェアなどの脅威からデータを保護する手段としても注目が高まっているという。
同社は1950年代に磁気テープの研究を開始し、その後放送用ビデオテープや家庭用ハイビジョンテープを発売するなど、時代とともに変化するデータ記録・保存ニーズにこたえながら事業を拡大させてきた。2000年にデータストレージ用磁気テープ「FUJIFILM LTO Ultrium1」を発売して以降、独自の材料技術や精密塗布技術を生かし、磁気テープの性能向上に取り組んできた。2011年に世界で初めて「バリウムフェライト磁性体」*2を磁気テープの材料として実用化し、2025年には「バリウムフェライト磁性体」と「ストロンチウムフェライト磁性体」*3の技術を融合した「微粒子ハイブリッド磁性体」*4を採用した最新世代「FUJIFILM LTO Ultrium10」を発売するなど、技術革新によって磁気テープの高容量化を牽引。現在、同社は磁気テープ市場で世界トップシェア*5を有している。
今回の投資では、最新世代のデータストレージ用磁気テープ「FUJIFILM LTO Ultrium10」を中心に、製造設備の増強や安定供給のための増員を行う。約100億円の投資は、同社のLTOテープ専用設備への投資としては過去最大規模となるという。これにより、拡大するデータアーカイブ需要への対応力を高めるとともに、ユーザーへのさらなる安定供給を実現する。
同社は、今後も磁気テープの高容量化と安定供給を通じて、生成AIやクラウドサービスの普及に伴い増加するデータの長期保存を支え、持続可能なデジタル社会の実現に貢献していくとしている。
*2 同社が世界で初めて磁気テープの材料として実用化した独自の磁性体。高密度記録を可能にすることで、データストレージ用磁気テープの大容量化を実現し、市場拡大を支えてきた基盤技術。
*3 データストレージ用磁気テープのさらなる高容量化に向けて同社が開発した独自の磁性体。磁気特性が非常に高く、微粒子化しても安定して高い性能を維持することが可能。
*4 「バリウムフェライト磁性体」と「ストロンチウムフェライト磁性体」、それぞれに活用されているナノ粒子設計技術を組み合わせて同社が開発した独自の磁性体。磁性体のさらなる微粒子化と磁気特性の向上により、高密度記録が可能。
*5 生産者シェア。同社調べ。
| 項目 | 投資概要 |
| 投資拠点 |
富士フイルム 神奈川事業場 小田原サイト 〒250-0001 神奈川県小田原市扇町2-12-1 |
| 総投資金額 | 約100億円(2026~2028年度) |
| 投資内容 | 磁気テープの製造能力増強のための設備や増員など |