ゼンハイザージャパン株式会社は、Neumannの3ウェイ・スタジオモニター「KH 310 II」と「KH 350」の国内展開を発表した。「KH 310 II」は2026年11月18日に発売、「KH 350」は同日より受注を開始する。
両モデルは、従来モデル「KH 310」を進化させた「KH 310 II」と、新設計の「KH 350」により、ニアフィールドからミッドフィールド、イマーシブオーディオまで幅広いモニタリング環境に対応する製品だ。
両モデルとも、自社設計のドライバー、高出力アンプ、32ビットDSPを採用。Neumannの音場補正システム「MA 1 Automatic Monitor Alignment」に対応し、設置環境に応じた周波数特性や位相の補正が可能となる。
接続方式はアナログ入力に加え、AES3id規格による75Ω同軸デジタル接続に対応。ステレオ、サラウンド、イマーシブオーディオなど、さまざまな制作環境で統一したモニタリングシステムを構築できる。
「KH 310 II」は、従来モデルの密閉型キャビネットと中域再生の特性を継承しながら、アンプやウーファー、DSPなどを再設計。最大音圧レベルを従来の「KH 310 A」から5dB向上させた。
一方、「KH 350」はバスレフ型キャビネットを採用し、27Hz(±6dB)までの低域再生に対応。広いコントロールルームやイマーシブオーディオ環境に向けたモデルとなる。
また、両モデルとも製造時の公差管理を厳格化することで個体間の特性差を抑え、複数台のスピーカーを使用する環境でも一貫したモニタリング性能を目指している。
Neumannのプロダクトマネージャー、Roman Kramer氏は次のようにコメントしている。
Kramer氏:「『KH 310』は、世界中のレコーディング、ミキシング、マスタリングを手がけるエンジニアから非常に高い評価を得てきました。『KH 310 II』では、従来モデルでユーザーが高く評価してきた要素をすべて受け継ぎながら、ほぼすべての面で性能を高めることに時間を費やしました。同時に『KH 350』は、より優れた低域再生能力と、ニアフィールドからミッドフィールドまで幅広い環境に柔軟に対応できる性能を求めるエンジニアに、新たな可能性をもたらします」
共通のドライバー構成と32ビットDSPを採用
「KH 310 II」と「KH 350」は、Neumannが自社設計した3インチのソフトドーム・ミッドレンジドライバー、1インチのツイーター、8.25インチのウーファーを共通して採用している。
これらのドライバーとDSP処理を組み合わせることで、正確な周波数特性、位相特性、音像定位を実現するという。また、製造時の公差管理を厳格化して個体間の特性差を抑え、複数台のスピーカーを組み合わせる環境でも安定したモニタリング性能を確保している。
32ビットDSPは、Neumannの音場補正システム「MA 1 Automatic Monitor Alignment」に対応。設置環境の影響を考慮した周波数特性や位相の調整を可能にし、モニタリング環境に応じた音響特性の最適化を図る。
Neumannのプロダクトマネジメント・ディレクター、Stephan Mauer氏は次のようにコメントしている。
Mauer氏:「『KH 310 II』と『KH 350』は、同じ音響設計のDNAを受け継ぎ、忠実なサウンド再生へのこだわりを共有しています。現在のエンジニアは、さまざまな音響環境やフォーマット、制作スタイルで作業しています。私たちの目標は、同じ信頼性の高いリファレンス基準を保ちながら、ユーザーが自身のワークフローに最適なモニタリング方法を選べるよう、2つのソリューションを用意することでした」
密閉型キャビネットを継承した「KH 310 II」
「KH 310 II」は、プロフェッショナルスタジオで使用されてきた3ウェイ・スタジオモニター「KH 310」の後継モデルだ。従来モデルで評価されてきた中域の明瞭さや正確な低域再生を継承しながら、主要コンポーネントを刷新している。
従来モデルと同じ密閉型キャビネット構造を採用し、音の立ち上がりや収束に対する応答性の高さと、群遅延の少ない低域再生を継承している。
また、Neumannを代表する3インチのソフトドーム・ミッドレンジドライバーも引き続き採用。ボーカルや楽器の中域を自然かつ明瞭に再生する特性を維持している。
一方、ウーファーやアンプ、DSPなどの主要コンポーネントは大幅に再設計された。歪みの低減や周波数特性の直線性改善に加え、最大音圧レベル(SPL)は従来モデル「KH 310 A」より5dB向上した。
キャビネットの外形寸法は従来モデルと同一のため、既存の「KH 310」を使用したスタジオへの導入にも配慮されている。
Neumannの公式仕様によると、周波数特性は29Hz~21kHz(±6dB)。主に高精度なニアフィールド・モニタリングを想定した製品となる。
低域再生能力を高めたバスレフ型「KH 350」
「KH 350」は、ニアフィールドからミッドフィールドまでの幅広いモニタリング環境に対応する新設計の3ウェイ・スタジオモニターだ。
「KH 310 II」より大型のキャビネットと縦型のスピーカーユニット配置を採用。低域再生能力を高めるために、バスレフ方式を採用している。
低域は27Hz(±6dB)まで再生可能。より広いリスニング環境や高い音圧レベルが求められる制作現場に対応する。
また、大型のMMD(Mathematically Modeled Dispersion)ウェーブガイドを採用し、周波数帯域全体での指向性を精密に制御。安定した音像定位と、異なる再生環境でも制作意図を再現しやすいモニタリング性能を目指している。
イマーシブオーディオ環境では、LCR(左・中央・右)チャンネルやサラウンドチャンネルのスピーカーとしても使用可能。音楽制作、映画音楽制作、ポストプロダクション、放送など、幅広い制作分野での利用を想定している。
「KH 350」は、「KH 310 II」と上位モデル「KH 420」の中間に位置し、より深い低域再生や広いリスニング環境への対応を求めるエンジニアに向けた選択肢となる。
KHシリーズで統一したモニタリング環境を構築
「KH 310 II」と「KH 350」の登場により、Neumannの3ウェイ・スタジオモニターのラインアップが拡充された。
同社のKHシリーズは、周波数特性の直線性、低歪み、設置環境への適応性を重視した共通の設計思想を採用している。これにより、異なるKHシリーズのスピーカーを組み合わせたサラウンドやイマーシブオーディオのシステム構築にも対応する。
KHシリーズは、ドイツの音響機器メーカー「Klein + Hummel」の技術を受け継いだ製品群だ。同社は1967年に3ウェイ・スタジオモニター「OY」を発表しており、アクティブクロスオーバーを備えたパワード・スタジオモニターの先駆的な存在として知られている。
Neumannは、こうした技術的な蓄積を基盤に、最新のDSPや音場補正技術を組み合わせることで、現代の音楽制作、放送、ポストプロダクション、イマーシブオーディオに対応したモニタリング環境を提供するとしている。
「KH 310 II」「KH 350」の主な特長
共通
- Neumannが自社設計したカスタムドライバーを搭載
- 3インチ・ソフトドーム・ミッドレンジドライバー、1インチ・ツイーター、8.25インチ・ウーファーの3ウェイ構成
- 32ビットDSPによる高精度な信号処理
- 音場補正システム「MA 1 Automatic Monitor Alignment」に対応
- アナログ入力およびAES3id同軸デジタル接続に対応
- 高出力かつエネルギー効率に優れたアンプを搭載
- ステレオ、サラウンド、イマーシブオーディオ環境で統一した音響特性
- 製造公差の厳格化により、個体間の特性差を抑制
KH 310 II
- 密閉型キャビネットによる優れたトランジェント応答と低い群遅延
- ニアフィールド・モニタリング向けに最適化
- 歪みの低減と周波数特性の直線性を改善
- 従来モデル「KH 310 A」と比較して最大音圧レベル(SPL)が5dB向上
- 従来モデルと同一のキャビネット寸法
- 周波数特性29Hz~21kHz(±6dB)
KH 350
- 低域再生能力を高めたバスレフ型キャビネット
- ニアフィールドおよびミッドフィールド・モニタリングに対応
- 大型MMDウェーブガイドによる精密な指向性制御
- 27Hz(±6dB)までの低域再生に対応
- 広いコントロールルームやイマーシブオーディオ用途に対応
- LCRおよびサラウンドスピーカーとしても使用可能