「光の中のアリス」は、劇作家である松原俊太郎氏による戯曲を二人組の舞台作家、小野彩加氏と中澤陽氏が設立したスペースノットブランクが演出し、2020年に初演した作品。同作は、2024年に再演をはたし、初演に続き荒木知佳と古賀友樹、そして新キャストとして伊東沙保と東出昌大が加わった。
今回の公演では、文化庁が広く舞台芸術界と連携して進めるアーカイブ支援事業であるEPADの支援を受け、デジタルアーカイブの目的でURSA Mini Pro 12Kで撮影された。EPADは舞台映像、戯曲、美術、ポスター、その他資料のデジタルアーカイブ化や利活用を進めるとともに、その収録、保存、配信、上演、教育利用などの標準化と、その利用を可能にするための権利処理サポートを行っている。
同プロジェクトの撮影とポストプロダクションを担当した日景明夫氏は次のようにコメントしている。
日景氏:EPADからの指定で8K60Pでの納品になるため、高解像度で撮影でき、かつ長時間安定して収録できるカメラが必要だったことからURSA Mini Pro 12K OLPFを選択しました。舞台全体の記録映像なのでカメラワークはなく、定点カメラで撮影しました。東出さんが開場中に登場するパフォーマンスの時点から撮影したため収録時間は2時間を超えました。外部SSDに収録しましたが熱対策をすることで安定して収録できました。
また、プロモーション用に稽古の様子を撮影してSNSにアップしていましたが、そこでもURSA Mini Pro 12KとBlackmagic Cinema Camera 6Kを使いました。
初代のBlackmagic Cinema CameraからBlackmagicのカメラを使っているので新しいカメラも戸惑うことなく使うことができました。納品は8Kでしたが、12Kで撮っています。大量のスモークが照明を反映する印象的な場面があるのですが、煙の表現の細かさは12K解像度ならではだと思いました。
稽古の撮影では、URSA Mini Pro 12Kを固定カメラとして、手持ちカメラはBlackmagic Cinema Camera 6Kを使っていたのですが、Blackmagic Cinema Camera 6Kのジャイロセンサーが強力で、手持ちでの撮影でもDaVinci Resolveでスタビライズが高精度でかけることができて、助かりました。
DaVinci ResolveでのカラーコレクションにはDaVinci Resolve Micro Color Panelを使用したという。
日景氏:DaVinci Resolve Mini Panelも使っていたのですが、持ち運びができるところが気に入ってMicro Color Panelに切り替えました。Bluetoothで繋がるのが最高です。
筐体の質感など、Mini Panelの方が優れている点ももちろんありますが、価格も安くてこのモデルを出してもらってありがたいです。
これにより、複数人のチームでクリエイティブ制作にあたる方々の写真や動画撮影の管理を効率化する。
複数人(複数アカウント)で撮影案件の予約・進行管理ができる「チーム管理機能」は、部署内や、外注先・提携先など取引先も含めた複数人で案件管理をしたいニーズに応える。
進捗管理はもちろん、撮影内容の打ち合わせ、納品データの共有などが可能なため、コミュニケーションコストを下げ、制作作業の効率化をサポートする。法人アカウントであればマイページから誰でも利用可能。
「親アカウント」は、最大4つの「子アカウント」を発行できる。
たとえば、Web制作チームの場合、プロジェクトマネージャー(責任者)が親アカウントを持ち、子アカウントに、ディレクター、デザイナー、エンジニア、コピーライターなどの制作スタッフを入れることで、状況を共有したり、撮影内容の打ち合わせをスムーズに行える。
また、外注先企業の担当者に子アカウントをもたせることで、予約〜撮影内容の打ち合わせ〜データダウンロード〜制作までをスムーズに行えるようになる。
用途:全国の検索予約ポータルサイト
依頼件数:月10〜20件程度
課題:撮影数が増え、担当者1名での撮影手配が難しくなり撮影予約〜制作までを社内でチーム体制を築き、チーム内で分担したい
成果:チーム体制を構築し、撮影依頼業務を分担・共有したことで作業効率向上、コミュニケーションコスト減少を実現
従来、PIXTAオンデマンドでは、撮影を依頼する担当者1人つき1アカウントを発行し、カメラマンの手配から納品、請求書の受取までを行っており、以下のような課題があった。
チーム管理機能は、これらの課題を解決すべく開発した。「◯◯さんがいないとできない・わからない」などの属人化を防ぎ、チームで撮影案件の進行管理・共有を可能にすることで、コミュニケーションコストを下げ、作業効率を向上させることができる。
親アカウントが一括請求で受け取れるため、経費処理等の事務作業の効率化も図れる。撮影の管理をスムーズにすることで、関係者とのコミュニケーション課題を解決し、制作工程の効率化をサポートする。
PIXTAオンデマンドは法人向け出張撮影サービスとして、今後も写真・動画問わず、対応可能なカメラマンを探したい企業や個人事業主に「どこでもすぐ簡単に撮影手配できる」という価値を提供していく。
カメラマンの手配や依頼が初めての方にも、わかりやすく悩まないサービス設計と、創業20年を迎えるピクスタが培ってきた確かなカメラマンネットワークと撮影クオリティで、安心して依頼できる撮影サービスを目指していくという。
また、カメラマン手配だけでなく、人物モデルの手配や撮影ディレクションなど撮影に関わる業務を丸ごとお任せいただける法人向け撮影サービス「PIXTAカスタム」とも連携し、ご要望に合わせてクライアント企業の写真・動画撮影に関するあらゆる課題を解決していくとしている。
]]>セッションでは、「Cloud概要と最新情報」「Blackmagic Camera App、劇場映画、テレビアニメーション、TV番組、ウェディング映像によるケーススタディ」を予定している。
Blackmagic Cloudのクラウドベースワークフローを使うことで、遠隔地にいるクリエイターとのコラボレーション作業がシンプルに行える。コラボレーターたちとのメディア共有も可能とし、複数のコンピューター間で同期をすることでローカルコピーにて素早い編集作業ができる。
また、ライブカメラ同期を使えば撮影現場のカメラからDaVinci Resolveへリアルタイムでメディアを共有できる。撮影中に現場から送られてくるメディアを使用してエディターが編集作業を実施するという、これまでにない革新的なワークフローが実現する。
セッションでは各ジャンルにおけるBlackmagic Cloudの使用事例や今後の展開、最新情報などを知ることができる。当日は遠方にお住まいの方向けに限定配信も予定している。
14:00~ | 開場 |
14:20~ | Blackmagic Cloudクラウドワークフロー概要と最新情報/岡野太郎 |
15:00~ | ケーススタディ:Blackmagic CameraとiPhoneの可能性/takumifone |
15:40~ | ケーススタディ:劇場映画映画制作 SEEK/田巻源太 |
16:20~ | ケーススタディ:アニメーション制作 テレビアニメ「ねこに転生したおじさん」/小町直 |
17:00~ | ケーススタディ:TV番組制作 長野朝日放送「藤森慎吾の信州観光協会」/村井洋太郎 & 永田太郎 |
17:40~ | ケーススタディ:ウェディング映像制作 HIGHLAND TOKYO/酒井洋一 |
18:10~ | Q&A/フリータイム |
takumifone氏(山﨑拓実氏)
iPhoneographer 、ビデオグラファー、ライター、ディレクター、エディター(日本語・英語両対応)。
企業のプロモーション映像やミュージックビデオなどをiPhoneで撮影し、iPhoneで撮影したようには見えない映像を制作することが主なお仕事。
他にも、iPhoneでいかにシネマカメラのような映像を撮影するかのセッティングに関するセミナーや記事執筆なども行なっている。
Webサイト・takumifone.com Instagram/X・@takumifone
田巻源太氏
1982年、新潟県生まれ。
高校時代より映画製作に関わり始め、ラジオ・テレビディレクターを経て映画編集・カラーグレーディング・合成に携わる。
主な作品に、「共喰い」('13/青山真治監督)、「生きてるだけで、愛。」('18/関根光才監督)、「空に住む」('20/青山真治監督)、「Winny」('23/松本優作監督)、NHK「決してマネしないでください」('19)、TVO「名建築で昼食を」('20,'21,'22)、CX「全領域異常解決室」('24)など
小町直氏
(インターセプター)
DaVinci Resolve 認定トレーナー。
大学でアニメーションを学びつつ、カメラやPCなどデジタル機材への造詣を深める。
アニメーション業界でPCやデジタル機材のヘルプデスク業務を行いつつ、コンポジットや編集業務も行う。
-参加作品-
短編アニメ「青い羽みつけた!」撮影・編集
短編アニメ「エフェメール」システム管理・撮影・編集
TVアニメ「ねこに転生したおじさん」編集
村井洋太郎氏
長野朝日放送 報道制作局報道制作部(ABNサービス所属)
2009年在京制作プロダクション入社。
2013年ABNサービス入社。長野朝日放送で主に情報番組、ドキュメンタリー番組を担当。
永田太郎氏
(インターセプター)
映像ディレクター・監督(フリー)
プロジェクトに応じて、企画~撮影・編集まで、映像制作過程の1部または全てをマルチにこなす。
ジャンルもCM•PV・MV•TV・映画と多岐にわたる。YouTubeチャンネル「映像とまと」運営。
酒井洋一氏
(株)HIGHLAND代表。
神田外語大学英米語学科を卒業後 ハリウッドに渡りLos Angeles City College映画学科卒業。
3年の間現地でCM、PV、ショートフィルムなどの現場に参加し、フィルムでの映像制作を習得。帰国後2006年、ミュージックビデオプロダクションの最大手(株)SEPに入社。150本以上のアーティストの映像制作に携わる。
2009年、クリエイティブブランド「HIGHLAND」を設立。ウェディング撮影を中心に活動を開始。
近年では、あらためて8mmフィルムをウェディング撮影に取り入れ、16mmフィルムでMV/ショートフィルムを制作。2022年に8mmフィルム現像/4Kスキャンサービスを提供する、HIGHLAND SUPER8 LABを設立。
2023年、16mmフィルム撮影で東京ステーションホテルのオフィシャルPVを完成させるなど、デジタルはもちろんフィルムを用いた映像制作にさらに力を入れている。
スタジオブロスのUnreal Engine Service Partner および Unreal Authorized Training Center のGold Badge認定は初。また、Unreal Authorized Instructor のGold Badge認定は2024年に続き2年連続となる。
※Unreal Engine Service Partner:Unreal Engineに関するスキル評価やテクニカルチームとの面接など、Epic Games社が実施する審査プロセスを経て、知識とプロフェッショナリズムが認められ、信頼できると判断された企業をパートナーとして認定する制度。Unreal Engine Service Partnerは、開発・共同開発サービス、カスタムプロジェクト、API サービス、コンサルティングなど、幅広い専門的支援を提供することが可能。
Unreal Authorized Training Center:Unreal Engineのトレーニングを提供する認定機関で、ライブによるオンライン授業、もしくは対面式の授業を提供することができる。
Unreal Authorized Instructor:Unreal Engine を活用して知識やスキルを教えることができる認定を受けたエキスパート
スタジオブロスは、2022年2月にEpic Games社よりノンゲーム分野※で日本初のUnreal Authorized Instructor認定を受け、国内におけるUnreal Engineを活用した広範なゲームエンジンスキルのトレーニングを実施するTraining Centerとして人材の育成を推進してきた。
※ゲーム開発以外の分野を指しており、建築ビジュアライゼーション、プロダクトデザイン、映像制作等が含まれる。
それにより、2024年4月にはUnreal Engine Service Partnerおよび Unreal Authorized Training CenterでSilver Badge、Unreal Authorized InstructorでGold Badgeに認定され、今回はそれら3分野でGold Badge(2025)の認定を受けた。
スタジオブロスは今後もリアルタイムCG技術を活用したビジュアライゼーションにおいて、教育、建築、メディア、エンタテインメント、自動車、医学研究など、ノンゲーム分野の様々な領域で最先端の技術サポートと各種トレーニングを提供し、リアルタイムCG技術の活用と発展に引き続き貢献していくとしている。
また、2020年よりノンゲーム分野向けの入門書「Unreal Engine 5 リアルタイムビジュアライゼーション」を刊行しており、2025年3月11日にはオフラインレンダリングに近いリアルなCG制作方法を解説した、最新版の入門書「Unreal Engine 5.5 リアルタイムビジュアライゼーション」を発売した。
]]>ナイジェリア人プロデューサーのケレ・アイキータ氏とチメジー・イモ氏はナイジェリアのカットを監督し、ベルリンを拠点とするポストプロダクションスタジオのSignalsから、カラリストのクラウディア・マネカ・マハラジ氏とサウンドデザイナー兼コンポーザーのルーカス・パナイー氏を起用した。
ベルリンからリモートで、DaVinci Resolve Studioを使用してカラーグレーディングとオーディオポストプロダクションに取り組んだマハラジ氏とパナイー氏は、色とサウンドの相乗効果を表現することで、プロデューサーのクリエイティブな意図に焦点を当てた独特な視聴体験を作り上げた。
同作品でオーディオポストプロダクションと音楽制作を担当することになったパナイー氏は、DaVinci Resolve StudioのFairlightの会話音声・SFXの編集、サウンドデザイン、ミキシング機能を理由に、同ソフトウェアを使用する決断をした。また同氏は、ナイジェリアとカザフスタンの音風景を区別できるDaVinci Resolve Studioの能力を最大限に活かして、同作における色の選択を補完するサウンドスケープを作り上げた。
パナイー氏:これらの異なる空間に息を吹き込む必要がありました。ラゴスには活気に満ちた混沌としたエネルギーがあった一方で、カザフのロケ地はもっと穏やかで落ち着きがありました。
技術的な要求がより高いシーンでは、DaVinci Resolve Studioの新しいダイアログ編集ツールが不可欠であることが証明された。
パナイー氏:Fairlightページの会話レベラーと音声分離機能は、登場人物が叫び声と囁き声を交互に使うなど、様々な強さで話すシーンで非常に役立ちました。
特に、あるシーンでは、会話音声、音楽のエレメント、背景ノイズが重なり合うハイエネルギーのパフォーマンスが含まれ、細心のオーディオバランスが要求された。
パナイー氏:最もクリーンで音の良い会話音声のテイクを選び、不要な背景ノイズを最小限に抑えながら、ロシア語、ナイジェリア・ピジン語、英語のブレンドを、個々の演技に含まれる自然な特徴とニュアンスを失わないように管理しました。
Resolveの統合ツールがこの作業を能率化してくれたおかげで、サードパーティ製プラグインの必要性が最小限になり、均一な音質と管理しやすいセッションを維持できました。
パナイー氏はまた、DaVinci Resolve Studioを使用したことで映画用リリースの技術的な要求を満たし、5.1およびステレオミックス用の様々な納品ファイルを効率的に管理できた。
パナイー氏:ResolveのFairlightページにあるカスタム5.1テンプレートを作成できる機能によって、クライアントの劇場およびデジタルフォーマットの仕様に適合させるのが簡単になりました。
同作の独特なビジュアルスタイルを作り上げるために、マハラジ氏はプロデューサーたちと、撮影監督ズィアド・アブド・エルバシット氏からのリファレンスを使用した。マハラジ氏はそれぞれの環境の対比と心理状態を反映するカスタムLUTをデザインした。
マハラジ氏:ナイジェリアのシーンでは、ラゴスの活気を想起させるために、富士フイルムEternaフィルムストックにインスパイアされたCM8543 LUTを使用して、明るさ、高彩度のカラー、温かいスキントーンを強調しました。
雰囲気を引き立て、プロダクションデザインの重要な要素を際立たせるために、落ち着いた緑色を強調しました。
カザフスタンのルックには、ソビエト時代の写真とEastman Color Negative 100Tフィルムが参照された。
マハラジ氏:CM5254 LUTをカスタマイズしたことで、アンドレイ・タルコフスキーの「Mirror」を彷彿させる、それまで出ていなかったアーシーなトーンとシアンの色相を解放できました。
同プロジェクトを回想しながら、マハラジ氏とパナイー氏は「Adam Bol」が国際的に上映されることへの期待を示す。
マハラジ氏は次のようにコメントし、パナイー氏も同じ感想を述べた。
マハラジ氏:非常にユニークな映画で、その一部になれたことを光栄に思います。またこれは、技術の進歩によってますます可能になる国際的なコラボレーション映画の未来を告げる作品でもあります。
ISLE 2025には、100カ国以上から22万人以上のバイヤーが訪れた。1,000社を超えるオンラインおよび会場出展者が、80,000平方メートルの展示面積に、ディスプレイおよび統合システムにおける最新の製品とソリューションを展示した。
現代において最も変革的なテクノロジーの1つとして、AIはディスプレイ業界における用途のシナリオを再定義しつつある。スマート会議、ホーム・シアター、業務用ディスプレイ、教育・医療用ディスプレイ・ソリューションの分野では、数百の企業がインテリジェント・オペレーティング・システムを搭載したAI搭載製品をISLE 2025で発表した。
これらの最先端ソリューションは、新たな技術トレンドに沿ったもので、スマート・ディスプレイの機能を最適化し、ユーザ・エクスペリエンスを向上させる。
ISLE 2025では、ビジュアル・プレゼンテーション、サウンド、インタラクションの融合が新たな高みに到達した。出展各社は、大規模なライブ・ショーやデモンストレーションを通じて、最先端の統合システム・ソリューションを紹介。1000平方メートルの「YUE Glamour Gloshine」没入型ビジュアル・ショーは、来場者にとってスリリングで豊かな体験となったという。
NovaStarのLEDディスプレイ・コントロール・システムやARTSOUNDのステージ音響機器など、数十のブランド出展者のシームレスな融合とコラボレーションが、映像と音響の正確な同期を実現し、観客に魅惑的で没入感のある感覚体験を提供した。
中国のイノベーションと最先端製造業の拠点である深圳は、技術に精通したサプライヤーを見つける上で独自の利点をバイヤーに提供する場となった。ISLEに出展した各社は、高輝度ディスプレイ、エネルギー効率の高いデザイン、インテリジェントなインタラクティブ・ソリューションなど、差別化された戦略を採用し、国際市場での足跡を広げている。
ISLE組織委員会は、何万点もの出展物の中から、優れた性能、効率的なメンテナンス、環境に配慮した製品などを表彰する「エクセレント・プロダクツ・アワーズ(Excellent Products Awards)」を100点選出した。
次回のISLEは2026年3月6日から8日まで、深圳国際会展中心で開催される。
なお、largeモデルの販売時期は後日発表する予定だ。
約8年ぶりに進化を遂げたWacom Intuos Proは、板型ペンタブレットとして初めてWacom Pro Pen 3に対応し、デザインとセンサーを刷新。さらに高精度な描画体験を実現した。
新設計のICチップを採用し、前モデルよりもコンパクトかつ軽量化を実現しながら、広い作業領域を確保。細部にまでこだわった設計により制作効率が向上し、スムーズなワークフローでプロの創作環境を支える。
今回の発表は、SIGGRAPH 2023でのViconマーカーレスプロトタイプの没入型展示に続くもの。この技術は、ViconのVisual Effects(VFX)パイオニアプログラムを通じて広範なベータテストが行われ、VFXおよびバーチャルプロダクションコミュニティは、マーカーレスモーションキャプチャがどのように業界に適用できるかを発見、理解、定義する機会を得た。
ベータ版の参加者には、Industrial Light & Magic、Gearbox Entertainment、Dimension | DNEG360、Dreamscape Immersive、Framestore Pre-production Servicesなどが含まれていた。これらの取り組みの集大成として、3月19日にVFX向けのVicon Markerlessが一般公開される。
Vicon Markerlessは、メディア、エンターテインメント、エンジニアリング、ライフサイエンスの業界リーダー向けに、高忠実度のモーションキャプチャソリューションを構築してきた40年の経験に基づいて構築されている。これにより、ユーザーはアイデアを即座に視覚化して、早期の創造性を向上させることができるため、迅速なクリエイティブな反復を完全に変革するとしている。
Viconのマーカーレスシステムは、新しいマーカーレスモーショントラッキングカメラ(「Vanguard」)と、高度なコンピュータビジョン、機械学習、およびマーカーなしで人間のパフォーマンスをキャプチャするための実績のあるアルゴリズムを組み込んだ新しいソフトウェア(「Shōgun Markerless」および「Shōgun Post」)で構成されている。
Gearbox Entertainmentの創設者兼社長であるRandy Pitchford氏は、次のようにコメントしている。
Pitchford氏:Viconのマーカーレスモーションキャプチャは魔法のようです。Gearboxに、ゲームの開発とストーリーテリングにおいて信じられないほどの柔軟性とスピードを提供します。Gearboxの誰でも、私を含めて、Viconマーカーレスモーションキャプチャボリュームにすぐに飛び込むことができます。私服を着ていても、Borderlandsを含むエキサイティングな将来のプロジェクトを実現するために必要なデータを迅速に取得できます
プレビジュアライゼーション、リアルタイムディスカバリー、ロケーション設定、ブロッキング、リハーサルなどのユースケースに対応できる柔軟でアクセス可能なオプションがない場合、スタジオは手動アニメーションと、反復回数の少ないフルモーションキャプチャ撮影に頼らざるを得なくなる。
ViconのCEOであるImogen O’Connor氏は、次のようにコメントしている。
O’Connor氏:Vicon Markerlessは、数年にわたって細心の注意を払って開発され、ゲーム、映画、エピソードTV、没入型エクスペリエンス全体でモーションキャプチャの新しい標準を打ち立てます。VFXチームは、初期のクリエイティブなアイデアや反復をマーカーなしで迅速に洗練することができ、必要に応じて光学式モーションキャプチャへのシームレスな移行を提供できます。マーカーレスモーションキャプチャは、VFX業界に可能性の世界を開き、革新的なエンターテインメントの作成における効率を向上させます。
シームレスなパイプラインとエコシステムの統合により、Vicon Markerlessは視覚化までの時間を短縮し、プロトタイピングやプレビジュアライゼーションからリアルタイムアニメーションまで、小道具を使用した場合でも迅速な反復を可能にする。クリエイティブチームは、マーカーなしでアイデアを迅速に探索し、必要に応じて完全な光学式モーションキャプチャに効率的に移行できる。
ベータ版の参加者であるIndustrial Light & MagicのバーチャルプロダクションオペレーションマネージャーであるBen Kolakovic氏は、次のようにコメントしている。
Kolakovic氏:Viconの新しいマーカーレスシステムは、クリエイティブプロセスを大幅に加速し、より迅速に結果を得ることができるようになりました。以前よりもはるかに迅速にモーションキャプチャデータを受信できるようになったため、アーティストはほんのわずかな時間で新しいアイデアを試すことができます。この合理化されたワークフローは、創造性を促進するだけでなく、効率的に反復してパフォーマンスを微調整する能力も向上させます。
Vicon Markerlessは、既存のVicon光学式モーションキャプチャパイプラインにシームレスに統合され、キャリブレーション、キャプチャ、データクリーニングパイプライン全体で単一のエコシステムにより、チームの効率を向上させる。
ストラタス フォト 18Lは、現代のフォトグラファーやクリエイターのためにデザインされた、コンパクトながら収納力に優れたカメラバッグだ。
両サイドに大きく開くサイドパネルを備え、バッグを下ろすことなく機材への素早いアクセスが可能。サイドパネルの内側には、メモリーカードやレンズキャップなど小物の収納に便利なジッパー付きメッシュポケットが備わっている。また、上蓋を開けることでもバッグ内部にアクセスできる。
カメラ収納部にはミラーレスカメラボディとレンズ数本、アクセサリーを収納可能。ラージサイズ、ミディアムサイズ、さらにカスタマイズに便利なXディバイダーの3種類のディバイダーが同梱され、それぞれ取り外しが可能だ。
ブラック、ワサッチグリーン、ウユニパープルの3色展開。
サイズ | H47.6×W30.5×D18.4cm |
サイズ(サイドアクセス) | H12.7×W25.4cm |
容量 | 18L |
重量 | 1.61kg |
ニンバス 18Lは現代のクリエイターのためにデザインされた、デイリーユースにも適したバックパック。上部からメインコンパートメントにアクセスでき、A4サイズの書類やファイル、ポーチ、着替えなどさまざまな日用品を収納できる。
バッグ上蓋内側と背中側の上部にはジッパー付きメッシュポケットが設けられ、それぞれ小物の収納に適している。さらに上蓋内側のポケット裏側にはAirTag用ポケットも設けられている。
サイズ | H47.6×W30.5×D15.9cm |
容量 | 18L |
重量 | 1.19kg |
ワンダードの「キャリーオールダッフル」が、新サイズとともに登場する。バックパックとしてもダッフルバッグとしても使用できるバッグで、週末の旅行や近場のジムに行くときなど、幅広いシーンで活躍する。
メインコンパートメントはダブルジッパーで大きく開き、ポーチや着替えなど、嵩張る荷物もたっぷり収納できる。蓋の内側には大きなジッパー付きメッシュポケットが付いている。60L、40L、30Lの3サイズ展開。取り扱いはブラックのみ。
60L | 40L | 30L | |
サイズ | H35.6×W61×D25.4cm | H32.9×W55.9×D25.4cm | H32.4×W48.3×D22.9cm |
サイズ(メインコンパートメント) | H31.5×W42cm | H30.5×W36.5cm | H28×W29cm |
容量 | 60L | 40L | 30L |
重量 | 1.45kg | 1.34kg | 1.14kg |
Telestream の波形モニタ「PRISMシリーズ」に、奥行き 12.5cm のコンパクトな新機種が登場する。1画面表示のMPSと2画面表示のMPDが用意され、用途に応じて選択可能だ。
PRISMは、インターフェースと機能によって3つのモデルがラインアップされている。
SDIとIP、HDと4Kの混在表示に対応し、設置場所や消費電力の削減に貢献する。JPEG XSオプションにも対応し、Tally(TSL5.0)や3D LUT入力など、最新機能も搭載されている。
IP/SDI放送システム同期信号発生器「SPG9000」は、2つの独立したPTP用1G/10Gポート、マルチGNSSレシーバ(GPS, GLONASS, BeiDou, Galileo, QZSS みちびき)を備える。
BB(SMPTE318M 準拠)/3値同期を生成可能、IP系とSDI系の機器との同期を1台で実現可能。リファレンス喪失時には、Stay Gen Lock&Clean Holdover recoveryで安定した動作を維持する。12GSDIおよびST2110 ストリーム出力機能のほか、新たにSecondary Clock対応する。
オプションはライセンス形式で後付け可能だ。
Vantageは、120種以上の映像音声フォーマットに対応したトランスコーダ。クラウド(Vantage Cloud、Vantage Gateway)とオンプレの両方で利用可能だ。ワークフローを自由にデザインし、煩雑な作業を自動化する。
最大16bit 4:4:4::4での処理により、入力画像の品質を損なわずに高品質なトランスコードを実現。MP4、H.265、XAVC、XDCAM、MXF など、様々なフォーマットに対応する。フレームレート変換、QC など多彩なオプションも用意されている。
専用のLightspeed Serverを使用することで、最大実時間の9倍の速度向上が可能。新Lightspeed Server VLS100/200/300も発表され、処理速度は従来型より最大30%向上している。
Vantage を中心としたエコシステムでは、以下の機能が提供される。
Lightspeed Live Capture は、SDI入力やIPストリーム入力をファイル化するインジェスタだ。
Live Schedule Pro で収録の時間やチャンネルを管理可能。ソフトウェア版も用意されている(ST2110およびSDI非対応)。
また、新サーバ「VP300」も発表される。
SDIは1.5G/3G×最大16。従来モデルの最大2倍の処理能力を持ち、XDCAM、XAVCは最大16系統同時ファイル化が可能だ。ローカルストレージは30TB(従来モデルは7TB)。OS用SSDは2×800GB NVMe(RAID 1)となっている。
こども達は、俳優の仕事や撮影するドラマのテーマ、役柄の意味などの説明を聞いた後、全員で台本の読み合わせを行い、それぞれの役柄に合わせたセリフを暗記する。各自の役柄の動きやカンペ(スタッフが出演者に伝達する小道具)を確認しリハーサルを経て、リアルなセットの中で行う本番ではそれぞれの役を演じる。演じたドラマの台本は持ち帰り可能。
さらにイベント期間中、キッザニア東京に来場したこども達がドラマに関する豆知識を知ることができるクイズラリーを実施し、全問正解するとプレゼントがもらえる。
TBSとKCJ GROUPは、同イベントを通じてこども達が、テレビのドラマや番組ができるまでの一連の流れや、1つの番組には様々なスタッフが関わっていることなどを学ぶとともに、ドラマ俳優が見る人を楽しませる仕事であることを知り、ドラマ制作の楽しさを感じて欲しいと考えているという。
「Your Gateway to the Future of Video Technology」(映像技術の未来への扉)をテーマに、ハイブリッドSDI/IP、NDIチェッカー、クラウドモニタリングなど、最新の映像技術を紹介する。
また、Leader製品とPhabrix製品の技術統合による新製品「LPX500」を新しい製品ブランド「LeaderPhabrix」として出展する。両ブランドの技術統合による、革新的で将来性のある製品を紹介し、映像技術の未来に向けた取り組みを示すとしている。
主な出展機種は以下の通り。
LPX500は、IPとSDIの両方に対応したコンパクトな波形モニター。中継車、スタジオ、ポストプロダクションなど、あらゆる映像制作現場で活躍するとしている。
LV5600Wは、SDIとIPの両方に対応した高性能なハイブリッド波形モニター。LV5600Wは、放送局や映像制作現場における高度な映像信号の測定・管理に貢献するとしている
LT4670は、放送・映像システムにおける高精度な同期信号発生器。放送局や映像制作スタジオなど、高度な同期管理が求められる環境での使用に適しているという。
QxPは、世界初の4K 25G-IP/12G-SDIハイブリッドポータブル波形モニターであり、バッテリー駆動が可能だ。放送、制作、配信などのプロフェッショナルな現場において、高品質な映像・音声の監視・測定を強力にサポートする。
NDIチェッカーは、ネットワーク上のNDI信号を簡単に監視できるPC用ソフトウェアだ。
Cloud Live Solutionは、放送局の放送配信センターやマスターコントロールにおけるライブ信号監視を目的としたソリューション。
足利スクランブルシティスタジオは、これまで数多くの映画・ドラマ・MVの撮影場所として活用され、聖地巡礼スポットとして愛され続けてきた。2019年のオープン当初より2度行った一般公開では、様々な界隈のファンがスタジオに足を踏み入れ、SNSを中心に盛り上がりを見せた。そしてこの度、多くの熱い希望に応え、同スタジオは3度目となる一般公開イベントを開催した。
当日はオープン前から大行列ができ、先着400名限定の足利ステッカーは開場からわずか10分で配布終了。過去最高となる4,700人の来場者数を記録した。場内には、推しキャラのグッズを持っていたり、着物やアーティストのライブTシャツを着ていたりなど、思い思いに"推し活"を楽しむ人たちで溢れかえった。
来場者107名に行った満足度アンケートでは、88%の方が「満足」、71%の方が「もう一度行きたい」と回答した。
さらにアンケートには、「忠実に再現されていてビックリした」(10代男性)「コスプレイベントをやってほしいです!」(30代女性)「来るの2回目です!また行きます!」(40代女性)「MVで使われたところが見られるのは嬉しいです」(50代女性)など、数多くのコメントが寄せられた。
足利スクランブルシティスタジオは、これからも地域の皆様に愛されるスタジオとして、足利市の文化に関する活動や地域の活性化に貢献できるような取り組みを積極的に行っていくとしている。
ギークコミュニティである株式会社ヌーヴェルヴァーグが、2019年7月、栃木県足利市内に実用サイズのスクランブル交差点のオープンセットを建設した。国内外の映像・グラフィック作品等において多くの制作者が活用できる「足利スクランブルシティスタジオ」として、2020年6月より同社が運営している。
かつて映像のモニタリングと言えば有線で行うしかなく、ケーブルを結線するだけでも、ケーブル長や太さ、取り回し方法、断線のリスクなど、撮影現場においてかなりの時間と労力を必要とする作業であった。それはスケジュールの厳しい現場になればなるほど煩雑で、現場間移動の多い撮影や野外での撮影などでは大変な労力が掛かっていた。
そんな煩雑なモニター環境を劇的に変えたのが、2012年に発売されたTeradek Boltだ。5GHz帯のワイヤレスSDI/HDMI伝送を採用し、遅延ほぼゼロとされた。最大数百メートルの伝送距離をカバーした同社製品は撮影現場に革命をもたらした。
その後各メーカーよりワイヤレス伝送機器がリリースされたが、どれも遅延が大きかったり、不安定だったりと煩雑な撮影現場で使用するには満足する性能が得られず、しばらくはTeradekのシェア独占状態が続いた。
しかしながらTeradek社の製品はコストが高く、潤沢な予算の撮影案件を除き、中小規模の低予算の撮影現場で常に使用できるとは限らないという状態が続く。
2018年、そんな「隙間」に目を付けたのがHollyland Marsシリーズに代表される中国ブランドである。安価で高性能を謳った製品が数多くリリースされたが、安定性や遅延時間においてTeradekに遠く及ばないものが多かった。
技術革新が進む中、今回Accsoonから「CineView Master 4K」がリリースされた。他の機種の性能を圧倒的に凌駕するだけでなく、安価な価格も非常に魅力的な製品だ。今回はCineView Master 4Kについてレポートする。
商品の特徴と言えば、まず挙げられるのが、HDMI入力で最大(3840×2160)24/25/30/50/60 fpsのビデオ入出力フォーマットをサポートしているという点だ。現場4Kモニタリングの必要性はさておき、最新のTeradek製品にも迫る性能でこの価格は驚異的だ。
また、独自に開発したRTMS 4.0プロトコルに基づき2.4GHz+5GHz+6GHzの周波数を統合し、3つの帯域を使用することで安定した伝送を実現するとしている。周波数帯に関しては使用時に特に気にする部分ではないが、搭載されているフルカラーLCDには現在の周波数状況が表示される。そのため送信/受信機共に周波数毎で大きさの異なる6本のアンテナが実装された。
送信機側の入力として3G-SDI、HDMI2.0の入力に加え、HDMI2.0スルーアウト、iPhone等をモニターとして使うためのMFI認証USB-C出力端子が実装されている。受信機側は3G-SDIとHDMI2.0の出力となり、送受信共に12V2AのDC入力端子が実装されている。背面には送受信機共に、NP-Fバッテリースロットも実装され、オプション品ではあるが送信機用にカメラ側Vマウントにダイレクト接続できるマウントも発売されている。
この機種の特徴として、専用アプリを使用し、iPhone/Androidなどのモバイル機器でも同時受信できる点があるが、受信機の数と組み合わせには制限が有るので要注意だ。これには5通りのコンビネーション、最大4つの受信が可能となっており、受信機とモバイル機器の合計が4つまで自由な組み合わせで使用可能となっている。仮に受信機を2つ使用した場合、モバイル機器は2つまで使用可能となる(有線接続も1系統可能なので最大5つのモニターが同時使用できる)。
さて、この種のワイヤレス機器、特にお隣の中国製品においてもっとも撮影現場で気になるのは以下の3点ではないだろうか?
今回は以上の3点について簡単ではあるが検証してみた。
まず、気になる点として実用レベルで何メートルまで送受信できるのかと言うことだろう。本体設定は製品の出荷時のまま、Wireless Bitrate Settingはデフォルトの9、VBR/CBR SettingもデフォルトのCBRとした。今回は野外においてHD-HDI/30fpsで入力された信号が晴天で見通しの良い条件下で何メートルまで受信可能か試した。
結果はほぼ遮蔽物がない環境下で330メートルまでの受信距離を確認できた。それ以上離れると映像のコマ落ちが見受けられ、最終的にブラックアウトとなった。メーカー公称値は2.5kmとなっており、検証時の実測距離とかなりの差があったのが気になる点だ。
しかしながら本体のビットレート設定などで距離の違いが出る可能性も高く、この点は引き続き検証していきたい。少なくとも今回の検証結果である300メートルの距離があれば、特殊な撮影環境を除き通常の撮影時にほぼ困ることはないとも感じた。
次に気になるのが遅延速度だ。メーカーは25ms・0.025秒としているが実際はどうなのか?
同じくHD-SDI/30fpsにてBlackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2を使用し撮影、送信した信号をBlackmagic Video Assist 7インチ 12G HDRにて表示し、遅延フレームを計測した。計測した遅延時間として0.2秒・約6フレームという結果が出た。URSA Mini Pro 4.6K G2とBlackmagic Video Assistはメーカーによるとそれぞれ内部遅延が1フレーム未満と言うことなので、仮に2フレーム分を差し引いて計算すると、結果として計算上で4フレーム・133msの遅延となった。これも飛距離と同じく設定ビットレートによっては違いが出てくると思われる。
こちらもメーカーカタログ値と違う結果となったが、実測値でこれだけ低レイテンシであれば、現場での仕様に重大な支障が出ることは少ないと思われる結果となった。
次に電源投入時のスタートアップ時間を計測した。結果は以下のようなものになった。
撮影時に想定される状況としてはカメラバッテリー交換などで3.が一番可能性の高い状況かと思う。両方オンの時でも最大約60秒で映像出力されるので、忙しい撮影現場でもあまりストレスは感じなくて済みそうだ。
最後に製品のクオリティーに関して。ボディはアルミ製で非常に頑強な印象だ。張り出したアンテナ部分は若干気を使うが、安っぽさは一切感じない。表示面積は小さいがフルカラーのLCDもとても見やすかった。この製品、プロ機材という括りで言えば低価格な部類になると思うが、その割に高性能で非常にコスパのいい製品と言える。
価格は2025年2月末現在、約138,000円で販売されておりコストパフォーマンスはかなり高い。個人的にはかなりお勧めできる機材だ。みなさんも導入を検討してみてはいかがだろうか?
「くすぶりの狂騒曲」は、吉本興業所属の実在の芸人たちをモデルにした作品。埼玉県の大宮市にある吉本の劇場で活動する芸人たちは、「大宮セブン」というユニットを組んで日々お笑いの世界で切磋琢磨していた。そのメンバーである芸人コンビ、タモンズは、仲間たちがだんだんとショーレースや動画配信などで躍進していく中、なかなか活路を見出せず迷走していく。
同作品の撮影監督でありカラリストも務めた地村俊也氏は、初代のBlackmagic Cinema CameraからBlackmagic Designのカメラを愛用してきたという。
地村氏は、次のようにコメントしている。
地村氏:Blackmagic Cinema Cameraが出た時期は、一眼レフのカメラで試行錯誤しながらRAW収録していました。そんな中、個人で所有できるカメラでSSDに直接RAW収録ができることが、本当に尊いものだと思っていました。
この作品はクリエイティブに携わる人間からすると、少なからず共感があります。そういった感情を映像に載せていくような撮影をチーム全体で心がけました。限られた状況下でも、高いクオリティを出したいという思いの中で、個人でも所有できるカメラはすごくありがたいです。
私が所有するURSA Mini Pro 4.6K G2とPocket Cinema Camera 4Kそして別のスタッフの所有のPocket Cinema Camera 6K Proを使用しました。カメラを所有していることで、事前の試行錯誤がしやすく、機材に対するノウハウや個体ごとのクセへの理解などが高い次元で維持できるので、納得のいく撮影ができました。
また、舞台のシーンはすべてマルチカメラで撮影されたという。
地村氏:もともと、舞台収録はそういった撮り方が多いのと、そういったシーンはライブ性の高い演出が入っていたので、そこをしっかり記録するため。カメラ3台で撮影しました。カメラのコントロールもしやすかったですね。
監督の立川晋輔氏と地村氏は、「感情が揺れる瞬間をダイレクトに捉える」ことを重視し、手持ち撮影を多く取り入れた。
地村氏:手持ちといっても、大きなスクリーンで映写するので、画面の揺れが過剰にならないように工夫しました。シネサドルやジンバルを使ってある程度安定感を保ちながら撮影しました。
夜の帰宅シーンやファンの出待ちのシーンでは、カメラがずっと動きながら回り込むように撮りたかったので、Pocket Cinema Cameraを小型のジンバルに載せて、セグウェイに乗って撮影しました。
地村氏は同作のカラリストも務めており、DaVinci Resolve Mini Panelを使って同作のグレーディングを行った。
地村氏:彩度については、パラメーターを細かく調整してフックの効いた色を作りながらも、スキントーンは破綻しないように気を使いました。顔や手などはマスクで抜いて細かく調整しました。
最後に地村氏は特に印象に残っているシーンについて次のようにコメントしている。
地村氏:物語の後半で、外光が全く入らないシーンがあります。照明の数に限りがある中、URSA Mini Pro 4.6K G2の設定で感度を上げたほうが、撮影は楽だったのですが、どうしてもISO 800で撮りたかったんです。そのため、照明を工夫してその設定で撮影できるように調整してもらいました。そのシーンはグレーディングしていてもしっとりと美しく仕上げることができて、エモい映像になったと感じました。
ヤードバーズは、1960年代の最も影響力のあるイギリスのバンドのひとつであるが、これまでに決定的な回顧ドキュメンタリーで同バンドに焦点が当てられたことはなかった。同バンドのストーリーはこれまでにも取り上げられてきたが、ベーシストのポール・サムウェル・スミス氏の息子であるニック・サムウェル・スミス氏が、ロンドンに拠点を置くHangmanの監督兼撮影監督のジェームズ・トンキン氏にアプローチして初めて、真に包括的なドキュメンタリーが制作された。
同プロジェクトの監督とカラリストを務めたトンキン氏は次のようにコメントしている。
トンキン氏:2023年に元ギタリストのジェフ・ベックが亡くなったのですが、その時に、今この映画を制作しなければ、当時のバンドのメンバーや親しい人たちと話す機会を逃してしまうかもしれないと思ったんです。
ニック氏が父親や元バンドメンバーと密接な関係を築いていたことは、Hangmanがドキュメンタリー「The Yardbirds:In Their Own Words」を制作するにあたってまたとない状況であった。最初の撮影は、2023年10月にフランスで行われ、ポール・サムウェル・スミスとドラマーのジム・マッカーティを撮影した。続いて2024年初頭に元ギタリストのジミー・ペイジへのインタビューが行われた。
プロモーション用のティーザー動画は当初、代替の高解像度シネマカメラとLeica Rプライムを使用して撮影された。
トンキン氏:画質には満足でしたが、今後のインタビューのために制作ワークフローを最適化する必要があることはわかっていました。2024年半ばにプロジェクトに対する完全なゴーサインが出ると、このドキュメンタリーに最適なカメラパッケージを検討する必要がありました。
ヤードバーズが残した伝説をキャプチャーするには、バンドのメンバーや関わりのある人々、あるいは同バンドから影響を受けた人々へのインタビューに頼る必要があった。これを実現するために、トンキン氏は素晴らしい映像と効率的な制作ワークフローの両方を実現できるカメラを必要としていた。
トンキン氏:ロケ撮影できる時間は限られていました。
ホテルや人々の自宅でのインタビューの準備、照明、音響の設定、そして最もよく考えられたシネマライクなインタビュー映像の構成など、すべての作業を迅速に行う必要がありました。
このワークフローにおいて、URSA Cine 12K LFは、快適に使用できる唯一のカメラでした。特にサウンドをカメラで直接収録し、1回のインタビューで2〜3時間撮影することが多かったからです。
可能な限りの最高解像度で撮影することで、ワイドなフレームを構成し、そこからミディアムショットを切り抜くことができたので、1台のカメラで2つのショットを得られました。
いくつかのテストを行ったのですが、最も感銘を受けたのは、URSA Cine 12Kの幅広いダイナミックレンジと、新しいラージフォーマットセンサーによる信じられないほどシャープな画質でした。このプロジェクトでは、インタビューのミディアムショットで12Kフレームを200%拡大する可能性があるとわかっていたので、シャープネスが非常に重要でした。
制作スタッフはトンキン氏と制作総指揮のみで構成されていたため、効率が重要であった。セットアップにかけられる時間が限られていたため、インタビューには1台のカメラしか使用できず、すべてのショットが重要であった。英国、ヨーロッパ、米国で制作が行われたため、機材の慎重な運搬と管理が求められた。
ワークフローを効率化するために、撮影現場でプロキシを作成し、トランスクリプト、編集、レビュー用に即座にポストプロダクションへと送信した。過去のインタビューの内容と映像の両方にアクセスできたことは非常に貴重であり、構成とトーンの一貫性を保つことができた。さらに、DaVinci Resolve Studio 内の静止画ギャラリーが、プロジェクト全体を通じて視覚的な統一性を維持するのに役立った。メインの撮影が始まると、同様の照明アプローチとレンズの選択が継承され、統一感のある美的感覚が強化されたという。
トンキン氏:私はカラリストなので、撮影と照明に対するアプローチに関して有利だと思います。映像で何が達成できるか、ハイライトとシャドウで何を維持する必要があるか、そしてポストプロダクションでRAWイメージをどれだけ処理できるかということをわかっているからです。
インタビューでは、フレーム内で撮影場所が見えるだけのスペースを確保してフレーミングし、2.35:1のアスペクトレシオを選択しました。この幅広いフレームは、視聴者が映像をどのように認識するかに微妙な影響を与えると思います。
照明は、単一のキーライトを光源として被写体を照らし、奥行きを加えるために実用的な照明や窓からの自然光を使用するというシンプルなアプローチであった。グレーディング、オンライン、フィニッシングの段階では、DaVinci Resolve Studioはルックを向上させる上で重要な役割を果たした。
トンキン氏:マスキング機能を使用してビネット調整と選択的分離を行い、フレーム内で焦点を微妙に調整しました。また、フィルムルック・クリエイターのプラグインは、ハレーションやグレインを追加したり、全体的なカラールックを形作るための不可欠なツールとなりました。
同ドキュメンタリーには、多くのアーカイブ映像が含まれているが、その多くは解像度が低すぎるため、アップスケールなしで使用することは不可能であった。
トンキン氏:この処理には数週間かかり、解像度を上げるのと同時にノイズとアーチファクトを低減しました。解像度に満足してから、フッテージの再グレーディングと処理を始めました。
Hangmanは、この90分間の長編ドキュメンタリーの最終版を4K SDRでSky Artsに納品した。
トンキン氏:ヤードバーズというバンドの物語を1時間に凝縮するのは簡単ではなかったため、長編ドキュメンタリーを制作できたことを嬉しく思います。
同ドキュメンタリー制作では、URSA Cine 12K LFが理想的な選択であったとトンキン氏は振り返る。
トンキン氏:これほど高解像度で撮影でき、同じフレームから2つの別々の映像を快適に得られるカメラは他にないと思います。長時間にわたって中断することなくインタビューを収録できる機能も非常に重要でした。何より素晴らしいのは、URSA Cine 12K LFが、協力者の自宅や撮影現場に視聴者を連れて行くような素晴らしい映像を作り出したことですね。ヤードバーズのストーリーを伝えるのに最適なカメラでした。
2005年の設立以来、TVU Networksはライブ・ビデオコンテンツの制作・配信方法の変革に取り組んできたという。IPベースの技術、モバイル接続、クラウドサービスのパワーを活用することで、TVUは放送局、コンテンツ制作者、メディア関係者が、従来のインフラストラクチャの制約を受けることなく、世界中のどこからでも高品質のライブ・ビデオを配信できるように対応してきた。この絶え間ないイノベーションの推進により、顧客がライブコンテンツをより効率的に、スケーラブルに、そしてコスト効率よく制作できるエコシステムを構築した。現在、TVUのメディア・プラットフォームは何百ものマイクロサービスを提供し、何百万ものプロデューサーが、かつてない柔軟性をもって、どこからでもライブを行うことを可能にしている。
2025年4月6日~9日にラスベガスで開催されるNAB 2025において、TVUは同社ブース(ブース番号:W2120)で、クラウドベースのライブワークフローのコストを大幅に削減することを目的とした、画期的なイノベーションを発表する予定だ。最も効率的でスケーラブルなツールでメディア企業に力を与えるという継続的なコミットメントの一環として、TVUはライブ・ストリーミング・ワークフローにおける手頃な価格とパフォーマンスを再定義する新しいソリューションを紹介する。ブースでは、これらのイノベーションがクラウドベースのオペレーションをどのように最適化するかを直接確認できる。
さらに、NABの来場者は、メディアアナライザー、スキャン変換、SCTEサービスなど、最近TVUクラウドプラットフォームに統合されたいくつかの新しいアプリケーションや、生産性を大幅に向上させるために設計されたAI搭載の機能を体験できる。これらのイノベーションは、制作ワークフローの合理化を目的とした数十の他の強力なマイクロサービスに追加される。
TVU MediaHubは、ライブ映像のための最も先進的なクラウドルーティングソリューションとして2024年に発表された。MediaHubは、主要なクラウドプロダクションのバックボーンとして急速に普及しており、2024年には6つの主要賞を受賞するなど、業界で広く認知されている。同プラットフォームは、BBCが選挙中継のために記録的な369のライブフィードを提供したことから、France Télévisionsが2024年パリ大会のために災害復旧ソリューションを提供したことまで、昨年最大のクラウドベースの放送ブレイクスルーにおいて極めて重要な役割を果たした。また、ムンバイで開催された「Red Bull Dance Your Style」でも中心的な役割を果たし、クラウドを利用した一流イベントのライブ中継に不可欠なツールであることを証明した。
TVU Networksの創設者兼CEOであるポール・シェン氏は次のようにコメントしている。
シェン氏:TVUの技術革新は、常に顧客とパートナーのニーズに支えられてきました。
20年間、私たちは業界の真のパートナーであることに尽力してきました。この協力的なアプローチが我々の成功の原動力となり、ライブプロダクションの未来を共に切り開くことを可能にしてきました。
NAB 2025におけるTVU Networksの詳細、またはミーティングの予約については、こちら。
]]>筆者がApple Logで撮影した映像のリール
そんな中、新型の「Galaxy S25 Ultra」がSamsungから発表されましたが、なんとそれと同時に「Samsung Log」も発表。iPhoneだけであったLog撮影がGalaxyでも可能になりました。もはやスマートフォンでのLog撮影が普通になりつつあります。今回はS25 Ultraをお借りして、iPhone 16 Pro MaxとApple Logの性能との比較を行っていきたいと思います。
先代のGalaxy S24 Ultraと比較すると、プロセッサがQualcommのSnapdragon 8 Gen 3 for GalaxyからGalaxy S25 UltraはSnapdragon 8 Elite for Galaxyに変更になっています。肝心のカメラは、超広角カメラの画素数が約1200万画素から約5000万画素にアップデート。メインの約2億画素の広角カメラ、約5000万画素の5倍、約1000万画素の3倍の望遠カメラ、そしてインカメラの約1200万画素のアップデートはありません。
メモリは12GB、ストレージは256GB、512GB、そして1TBから選択できます。iPhone 16 Pro MaxとS25 Ultraの筐体を比較すると、サイズはほぼ一緒と言ったところでしょう。
本体の厚みもほぼ同じです。ただ重量が若干iPhone 16 Pro Maxの方が重いです。
Galaxy S24 UltraとiPhone 15 Pro Maxが最新だった去年では、ハードウェアの進化を目指すGalaxyと、自社のソフトウェアを自社のハードウェアに最適化するというAppleならではの進化というそれぞれの方向性の違いが出ていましたが、今回はGalaxyも独自のLogを持つことによって、iPhoneとGalaxyの方向性に似たところも出てきました。
スマートフォンによるLog撮影はApple Logの登場以前からサードパーティーのアプリなどで不可能ではありませんでしたが、自社オリジナルのスマートフォン用Log撮影はApple Logがブレイクスルーでした。これに続きSamsungもSamsung Logを発表したというわけです。Galaxy純正のプロモードカメラアプリにも、画面左上にLog撮影のオン/オフが可能なボタンが出現しました。
前置きが長くなりましたが、iPhoneのApple LogとGalaxyのSamsung Logを比較してみました。iPhone 16 Pro Maxの使用アプリは、以前PRONEWSでもレビューさせていただいたFinal Cut Camera。このアプリはAppleからリリースされている無料のカメラ撮影アプリで、シャッタースピードやISOなどの細かい設定がiPhone上で可能なだけではなく、iPad用Final Cut Proと連動させればiPhoneをマルチカムとしても使用できるアプリ。
一方のGalaxy S25 Ultraは純正のカメラアプリで、詳細な設定が可能なプロモードを使用して撮影しました。それぞれApple Log、Samsung Logで撮影し、Apple、Samsung公式からそれぞれリリースされているLUTを適用してカラーコレクションをしています。
どちらのスマートフォンでも撮影時の色温度は固定で、コーデックはHEVCで統一して撮影しました。iPhone 16 Pro Maxによって撮影された映像は物体のエッジが目で見たものと同じように自然である一方、S25 Ultraの映像は物体のエッジがシャープになっているように見えます。
この比較を踏まえた上でApple Log、Samsung Logを表にまとめるとこのような形になりました。
項目 | Apple Log | Samsung Log |
ターゲット機器 | iPhone | Galaxy デバイス |
目的 | キャプチャデータの忠実な保存、ポスプロ向け | ダイナミックレンジ最大化、カラー編集柔軟性 |
トランスファー関数 | 対数+パラボラ(負信号保持特化) | S字カーブ(暗部階調保持特化) |
カラースペース | BT.2020-2、D65、独自 RGB座標 | BT.2020-2、D65、他色空間比較図示 |
エンコード/デコード | 浮動小数点対数関数、逆数は指数関数 | 2つの対数関数、逆数は指数関数 |
ポスプロ対応 | 専門的なグレーディング向け | Galaxy端末でのRec.709補正ガイド |
実用例の有無 | なし | 3D LUT適用、端末内編集ガイド |
つまり、Apple LogとSamsung Logでは大きな違いはないものの、Apple Logはポストプロダクションにてグレーディングが前提のものに対し、Samsung Logはスマートフォン内でのLog撮影の映像へのLUT適用を前提としているようです。
上の画像のように、S25 Ultraではカメラアプリ内でLogの映像をRec.709に変更することが可能です。
また、Apple Logはミニマルなプロセスで映像収録するのに対し、Samsung Logはダイナミックレンジを最大化するのが目的とのこと。S25 Ultraの映像内の物体のエッジがシャープだったのもこれで合点がいきます。同じLog撮影だからと言って、各社の方向性は必ずしも同じではないということがよくわかります。
続いて暗所性能を比較して、2つのLog撮影の比較をさらにしてみたいと思います。
どちらの映像にもあまり違いはないように見えますが、iPhone 16 Pro Maxの撮影による映像はノイズが少なく、S25 Ultraの撮影による映像は逆に暗部のディティールを保てているように見えました。さらに言うと、日中の撮影はS25 Ultraによる撮影の映像の方が高輝度域のハイライト保持が得意ということでしょう。
Galaxy S25 UltraとiPhone 16 Pro Maxの比較、いかがでしたでしょうか?iPhoneだけではなく、Galaxyからも登場したLog撮影。近い将来、カメラはスマートフォンに取って代わられるのか。iPhoneographerの筆者がしばらくその行方を追ってみたいとさらに思えるようなレポートでした。
takumifone(山﨑拓実)|プロフィール
iPhoneographer 、ビデオグラファー、ライター、ディレクター、エディター(日本語・英語両対応)。企業のプロモーション映像やミュージックビデオなどをiPhoneで撮影し、iPhoneで撮影したようには見えない映像を制作することが主なお仕事。他にも、iPhoneでいかにシネマカメラのような映像を撮影するかのセッティングに関するセミナーや記事執筆なども行なっている。
Webサイト●takumifone.com Instagram / X●@takumifone
今年もSXSWでは、多彩なジャンルの作品が幅広くラインナップされ、合計200本以上の作品が上映されます。上映部門は、大きく以下の4つに分類されます。
さらに細かく分類すると、全23のカテゴリーに分かれています。
SXSWの音楽フェスティバルは、インディーズミュージシャンが世界的にブレイクするきっかけを掴む場として知られていますが、映画祭においても同様に、個性的で挑戦的な作品が多くラインナップされるのが特徴です。特に近年は、ホラー作品の充実ぶりが際立っています。上映作品の一覧はこちらのページをご覧ください。
「ヘッドライナー」と呼ばれるカテゴリーでは、人気俳優が出演する話題作や、著名な監督による新作がラインナップされます。これらの作品は、映画祭のメイン会場であるParamount Theaterで上映され、監督や出演者がレッドカーペットに登場する華やかな演出も見どころの一つです。その姿をひと目見ようと、多くの観客が詰めかけ、映画祭全体の熱気が最高潮に達します。
今年特に注目される作品を、いくつかピックアップしてご紹介します。
Anna Kendrick主演のPrime Videoの新作映画。2018年公開の作品「A Simple Favor」の続編となるお話で、女同士の復讐を描くホラー作品です。初日の上映にはAnna Kendrickがレッドカーペットに登場しました。
A24が手掛ける新作コメディホラー映画。SXSWでは、A24は2023年にEverything Everywhere All At Onceをプレミア公開し、翌年のアカデミー賞を受賞したことで一躍有名になりました。今年の作品にも期待できそうです。
Nicole Kidman主演のPrime Videoの新作映画。アメリカのミシガン州ホランドという田舎町に引っ越した家族に訪れる恐怖を描くスリラー作品です。上映は現地時間の9日に予定しており、Nicole Kidmanのレッドカーペットにも期待が集まります。
ミュージシャン、音楽プロデューサーとして活躍するFlying Lotusが監督するホラー映画が登場です。トレイラー映像からは、エイリアンシリーズのような宇宙船内で繰り広げられるSFホラー作品が想像できます。Flying Lotusは自身のライブで様々な新しい映像表現のチャレンジをしているので、映画の中ではどんな音楽と映像の表現をするのか今から楽しみです。
SXSWで行われるカンファレンスセッションでは、先端技術や社会課題に関する議論が活発に行われています。映画祭のドキュメンタリー部門はそれと呼応するように、私達の社会が抱える課題を描き出し、問題提起やメッセージ性の高い作品が並びます。ドキュメンタリー部門の上映作品の中からも、いくつかピックアップしてご紹介します。
アメリカの元政府機関職員や、元軍人34名のインタビューを集めたUFOに関するドキュメンタリー。カンファレンスではNASAの宇宙飛行士が登壇するセッションが開催されたり、宇宙に関する技術的な議論が行われている一方で、映画祭ではUFOに関するドキュメンタリーが上映されるというのもSXSWの面白さと言えるでしょう。
俳優であり映画プロデューサーでもあるIssa Raeによる、アメリカの映像業界で活躍する黒人達の姿を描くドキュメンタリー作品。Issa Raeはアメリカでとても人気のある俳優で、カンファレンスのKeynoteとしても登壇が決まっています。
Sam Altman本人へのインタビューを断られたという作者が、代わりに彼の発言を学習させたAIを作り、そのAIに対してインタビューをする様子を描くというちょっと変わったドキュメンタリー作品。OpenAIのCEOであるSam AltmanはSXSW2024のカンファレンスに登壇し、AIと人間の関係性について語っていたので、彼に対する皮肉的な意味合いが込められているのかもしれません。
デンマーク出身の監督による日本を舞台にしたドキュメンタリー作品で、孤独を抱えながら生きる人々の様子を映し出します。近年のSXSWのカンファレンスではメンタルヘルスの問題に関する議論が活発になっており、映画祭のセレクションにもそれが表れているように思います。また、海外から見た日本がどのように捉えられているのかについても気になります。
今回紹介した他にも、短編作品やミュージックビデオなど、SXSW2025では様々な映像作品がラインナップされています。この中から来年のアカデミー賞や、日本でも話題となるような作品が現れるのでしょうか?
XR部門の作品については別の記事で取り上げるのでそちらもお楽しみに。
第97回アカデミー賞の短編実写映画賞にノミネートされた「A Lien」は、サム・カトラー・クロイツ監督とデイビッド・カトラー・クロイツ監督による作品。グリーンカードのインタビュー当日に、危険な移民手続きに直面する若い夫婦を描いている。
パスキネリ氏は、同作のルックや雰囲気について、アンドレア・ガヴァッツィ撮影監督と緊密に協力しあったという。同氏は次のようにコメントしている。
パスキネリ氏:私たちはこの作品の雰囲気についてじっくり話し合いました。存在感がありながら、ストーリーを圧倒したり邪魔したりしないようなルックにする必要がありました。物理的にも感情的にも、環境の冷たさを表現したかったんです。中でも、建物が最も無機質な場所に見えるようにしました。
壁が迫ってきて、登場人物が絶望しているような雰囲気にしたかったので、父と娘が悪夢のような状況に陥っていくにつれて、スキントーンが周囲の環境と同じトーンになるようにグレーディングしました。キートラッキングとウィンドウを使用して、スキントーンを分離し、周囲のトーンをわずかに調整しました。
最初の車内のシーンでは、温かく親密な家族の雰囲気を演出しましたが、建物の奥深くに入っていくにつれて、悪夢やホラー映画のような雰囲気になっていきます。アンドレアと私はResolveでカスタムLUTを作成したので、最終的なグレーディングの段階では、どのような雰囲気の映像になるのかを全員が大体把握していました。作業を進める基本となるルックがすでにわかっていたのです。
幸運な偶然により、パスキネリ氏とガヴァッツィ氏は、運転シーンでカメラをマッチさせている際に新しいルックを見つけたという。
パスキネリ氏:この作品の大部分は1台のカメラで撮影し、まずはその映像をグレーディングしました。仕上がりには非常に満足でした。そして運転シーンの撮影用に別のカメラをセットアップしていた際に、偶然にも、適切なカラースペース変換(CST)を行わずに、メインカメラの映像のルックを適用してしまったんです。ところがそのルックが非常に良くて全員が気に入ったため、メインの映像に戻って新しく発見したルックにマッチさせ、さらにCSTを使用してLog Cショットにマッピングしました。
私にとってこの映画は、非常に重要なテーマです。そして長年共に仕事をしてきた友人であるアンドレアと協力し合う機会となりました。制作過程を通して、誰もが新しい試みに対して非常にオープンであり、必要に応じて新しい方向に進む姿勢を持っていました。このことが、最終的な作品を通して反映されていると思います。
パスキネリ氏のコメントを受け、ガヴァッツィ氏は次のようにコメントしている。
ガヴァッツィ氏:私は生涯を通じていくつかの国で移民として過ごしてきたので、自分がどこに属するのかわからないという気持ちはよくわかります。移住、憧れ、アイデンティティの探求といった感情に深く共感できたので、このプロセスが非常に力強いものになったと思います。このような経験を意味のある表現に変換し、表現することが難しい感情を言葉にして伝える機会となりました。
今年もテキサス州オースティンで、年に一度のお祭り「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」が開幕しました!
今年の会期は3月7日から15日の9日間。SXSWは映画、音楽、そしてインタラクティブ(最新テクノロジーやその他のトピック)の3本柱を軸に、オースティンの街全体で同時多発的にさまざまなイベントが開催される、他に類を見ない大規模な複合フェスティバルです。
例年、数十万人がこのSXSWのために世界中から集まりますが、今年も初日から人気セッションには長蛇の列ができています。SXSW2025初日のオースティンの雰囲気を、いくつかの写真とともにご紹介します。
SXSWの中心となるのは、オースティン市内中心部にあるオースティン・コンベンションセンターです。ここには大規模なカンファレンス会場や展示スペースがあり、各イベントへの入場に必要なバッジの引き換え所も設置されています。そのため、まずはここを訪れる参加者が多いです。
今年はバッジの引き換え所が周辺のホテルにも増設された影響か、初日の行列は例年ほど長くなく、比較的スムーズに引き換えが行われていました。
今年のSXSWでは、ヘッドラインスポンサーとしてアメリカのEVメーカー「Rivian」の名前がいたる所で目に入ります。コンベンションセンターの入り口にもRivianのEVが展示され、強い存在感を放っていました。
テキサス州の州都であるオースティンは、近年、多くのテック企業が移転し、移住者が増加しています。毎年訪れるたびに新しいビルが建設されており、今年も昨年よりさらに高いビルが建設中でした。SXSWとともに、オースティンの街も成長を続けています。
街中でもひときわ目立つのが、Fairmontホテルの壁面を利用した巨大広告。今年はParamount+のドラマシリーズ「Yellowjackets」と「1923」の新シーズンの広告が設置されていました。また、Paramount+はCLIVE Barというクラブを貸し切り、プロモーションイベントを開催する予定です。
近年のSXSWでは、映像配信プラットフォーム各社が新作のプロモーションに力を入れており、熾烈な競争が繰り広げられています。Netflixは「Love is Blind」のプロモーションの一環として街中に撮影スポットを設置し、新シリーズのウォッチパーティーを開催予定。
一方、Prime Videoは映画祭でのプレミア上映が予定されている映画「Another Simple Favor」や、ニコール・キッドマン主演の「Holland」の広告をシャトルバスにラッピングして展開しています。
映画祭のメイン会場となるのは、Congress StreetにあるParamount Theaterです。収容人数は約1,200名で、SXSWの上映作品の中でも著名な監督やキャストが関わる「ヘッドライナー」作品が上映されます。劇場の前にはレッドカーペットが設置され、キャストが舞台挨拶に登場する際には多くの人が詰めかけ、映画祭ならではの華やかな雰囲気を楽しむことができます。
初日の夜には、オープニングナイトTVプレミアとして、Apple TV+の新作「The Studio」がプレミア上映され、脚本・監督・主演を務めるセス・ローゲンがレッドカーペットに登場しました。
SXSW2025の映画祭は3月15日まで開催され、期間中には数多くのプレミア上映が予定されています。同時に、キャストや監督らが登壇するパネルセッションも多数実施されます。
今年はHBOによる人気ゲームの実写ドラマ化「The Last of Us」シーズン2のキャストが集結するセッションや、日本からはゲームクリエイター・小島秀夫監督が登壇し、「Death Stranding 2」について語るセッションも予定されており、注目が集まっています。
次回は、今年の上映作品ラインナップから注目作をピックアップしてお届けします。どうぞお楽しみに!
私とF2との出会いは1980年、高校3年生のときであった。当時「ニコンF3」が発表されたばかりで、カメラ誌は全て同モデル一色。いずれも多くのページを割き、しかも複数号に渡って紹介するなどセンセーショナルな扱いであったことを記憶している。もちろん天下の"F一桁機"最新モデルであるため話題に事欠くことはなかった。特に電子制御式シャッターや絞り優先AEの採用、イタリアのインダストリデザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロによるモダンなボディデザインなど、プロユースを考慮したカメラのそれまでの概念を大きく覆すものであり、写真愛好家の注目を集めないわけにはいかなかったのである。
ところがそれゆえに一部の論客がF3に対しいろいろ疑問をぶつけた記事も散見された。電池がないと作動しない電子制御式シャッターや、当時アマチュア向けと捉えられることの多かったAEの搭載に加え、ファインダーに収まる当時は比較的新しいデバイスで耐久性に不安のあった液晶パネルの採用など、ニコンのフラグシップである"F一桁機"に相応しくないと辛口の論評も見受けられたのである。そして、甚だしく読解力の不足する私は次のように解釈してしまったのである。
「本格的に写真に打ち込むための相応しいカメラは、機械式のシャッターを搭載したものであり、露出にAEは不要。液晶パネルのような最新デバイスは搭載しないものが好ましい」と。
今となって思えば笑い話もいいところだが、当時は子どもなりにいたって真面目に考えた末の結果であった。そしてちょうどニコンの一眼レフ購入を考えていた私は、最新のF3よりも先代モデルとなるF2が自分に最も相応しい1台であると確信してしまうのである。
ちなみに、ニコンの一眼レフが欲しかった理由は、当時好きな写真家や身近にいる大人の写真愛好家の多くがニコンユーザーであったこと、そして新宿西口の某カメラ量販店が販促用に配布していた黄色い価格表の影響である。その価格表は東京に住む従姉妹が以前に送ってくれたもので、ニコン以外のメーカーのカメラやレンズに関しては定価から割引後の店頭価格が記してあったが、ニコンのところだけブランクになっており、それが子ども心としては特別な存在であるように思えたのである。なお、カメラ購入の費用は、学校には内緒で通ったサイダー工場の瓶洗いのアルバイトなどで得たものであった(一部はお年玉や親からもらった小遣いも含まれるが)。
早速地元のカメラ店をあたってみた。狙いは新品の「F2フォトミックA」。しかしながらどこにも店頭に並んでないのである。F2フォトミックAはおろか、露出計のないF2アイレベルファインダーもである。旧モデルとなってしまったこと、買い手の少ないフラグシップモデルであったからだろう。一刻も早く手に入れたいがために、県庁所在地のカメラ店をあたってもらおうとその地に住む叔父に連絡をとる。この叔父もカメラの好きな人間で、当時モータードライブ付きの「コンタックスRTS」と「プラナー85mmF1.4 AE」をはじめとするツァイスレンズを所有しており、幼気なカメラ小僧を大いに羨ましがらせた人であった。そして見つけてくれたのが、"ニシタチ"と呼ばれる歓楽街近くのカメラ店であった。
喜び勇んで現金を握り締め電車に乗りお店に向かったのだが、そこでちょっとした誤算が。ショーウィンドウに鎮座していたのはフォトミックAではなく、それよりも値段の張る「フォトミックAS」。レンズも同時に買うつもりでいたのだが、手持ちでは足りないのである。しばらくお店で考えた結果が当初買おうとしていた「Ai Nikkor 35mm F2」と「Ai Nikkor 85mm F2」は諦め、「Ai Nikkor 35mm F2.8」と「Ai Nikkor 105mm F2.5」に、またカメラ店のお情けで値引きしてもらいなんとか予算内に収めることができた。そして晴れて憧れの"F一桁機"のオーナーとなったのである。
手に入れたF2フォトミックASはレンズも含め気に入り、写真を本格的に勉強するために大学に入った後も長くメインカメラの一台となった。もちろんそれまで機械式シャッターにより電池の心配をすることはなかったし(フォトミック用の電池は必要だが)、当時モノクロフィルムで撮ることがほとんどで、プリントも自分で行っていたため、マニュアル露出でも大きく外さない限り大きな問題になることは少なかった。何よりカメラを操り、写真を撮る楽しさをそれまで以上に知ることができ、ピントや露出を合わせてシャッターを切る一連の動作もより自然と身についたように思えている。さらにフラグシップらしく極めて精度の高いつくりなど、大いに写真を撮る気にさせてくれた。もっとも、今その当時のことを思いだすと、カメラ誌に書いてあったことを深く考えもせず勝手に解釈してしまい、当時最新のカメラではなく旧態然としたカメラを購入したこの天邪鬼な若輩者に呆れ返ることもあるが。
高校時代は、手に入れたF2フォトミックASをほぼ毎日学校に持っていき、教室や校舎の屋上などで友人や女の子たちをよく撮影させてもらった。現在手元にあるF2はそのときのものではないが(そのときのF2は新しいカメラを手に入れるために売ってしまったことを未だ後悔している)、時折空(から)シャッターを切る度に、戦前は旧制中学でもあった高校の古びた校舎の匂いや休み時間の喧騒、屋上から見たちっぽけな街の景色など、おぼろげながら思い出す。同時に月日の流れの速さを強く認識してしまうのである。
※2024年1月20日にアップした「ライツミノルタCL編」では、ニコンF2を手に入れたのは1979年と記していますが、今回改めて確認したところ1980年の間違いでした。お詫びいたします。
大浦タケシ|プロフィール
宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマン、デザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌をはじめとする紙媒体やWeb媒体、商業印刷物、セミナーなど多方面で活動を行う。
公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。
一般社団法人日本自然科学写真協会(SSP)会員。
80,000m2の会場で、最新のディスプレイ技術、LED業界全体、AV統合、音・光・映像の融合と応用における最新技術と革新的なアプリケーションが披露される。ISLE 2025では、以下を含む数百の新製品がデビューする。
同製品群は、新しいMac Studio、M4Pro、M4 MacBook Pro、M4Pro Mac mini、およびThunderbolt 5ポートを搭載したその他のコンピュータで帯域幅を大量に消費する高性能PCIeカード2枚を同時に最大のパフォーマンスで使用することを可能にし、前世代のThunderbolt PCIe拡張シャーシと比較してスロットあたりの利用可能なPCIe帯域幅を2倍(最大6,000MB/秒)にする。
Echo II DV Thunderbolt 5モジュールは、Sonnetモジュールラックマウント筐体、およびApple Mac Studioコンピュータ用のxMac Studio pro 3UラックマウントやThunderbolt拡張システム用のアップグレードとして使用できる。
Echo II DV Thunderbolt 5デスクトップは持ち運びが簡単なスタンドアロン拡張システムで、ラックマウントバージョンは追加の拡張モジュール用のスペースを備えた2Uスタンドアロン拡張システム。
xMac Studio/Echo II DV Thunderbolt 5は、Echo II DVモジュールを含む事前構成済みのシステムだ。
全てのEcho II DV Thunderbolt 5製品の心臓部であるEcho II DV Thunderbolt 5モジュールは、2枚のPCIeカードをThunderbolt 5でコンピュータに接続できる。同モジュールは2基のx16 PCIe 4.0スロットを備え、それぞれにThunderboltインターフェイスが装備されフルハイト、フルレングス(長さ12.28インチまで)のPCIeカードに対応し、付属のThunderbolt 5(120Gbps)ケーブル2本でコンピュータのThunderboltポートに接続する。また、追加の電力を必要とする非GPUカード用の75W補助電源コネクタを2基搭載、統合された400Wのユニバーサル電源を搭載している。
プロオーディオ/ビデオユーザーは、ワークフローに必要なI/O、デジタル信号処理、ビデオキャプチャ、プレイバックをサポートする為に特定のインターフェースを必要とすることが多いという。Echo II DV Thunderbolt 5システムは、新しいMac Studio、MacBook Pro、Mac miniなど、プロユーザーに支持されているThunderbolt 5対応コンピュータにこれらのソリューションを追加することを可能にする。また、Echo II DV拡張システムでは、持ち運び可能なデスクトップ、またはラックマウント筐体1台に、それぞれThunderboltインターフェースでサポートされる(最大)フルサイズのPCIeカード2枚をマウントし、Thunderboltケーブルでコンピュータに接続することで、スペースとコストを節約できる。
さらに、同社の拡張システムでPCIeカードを使用することで、プロユーザーはこれらのカードを異なるコンピュータに簡単に接続して使用できる柔軟性が得られ、プロダクションスタジオのような共有ワークスペースでの作業に最適だという。
M4 Pro、M4 Max、M3 Ultraチップを搭載したMacコンピュータ(最新のMac mini、MacBook Pro、Mac Studio、一部のプロ用PCを含む)には、それぞれ6,000MB/秒のPCIe帯域幅を提供する120Gbps Thunderbolt 5ポートが2基以上搭載されており、ThunderboltとPCIeカード拡張システムの接続に最適だという。
Echo II DV Thunderbolt 5システムは、各カードスロットに独立したThunderboltインターフェイスを採用し、独立したPCIe帯域幅を持つ2台のコンピュータのThunderbolt 5ポートに接続することで、各スロットにフルThunderbolt PCIe帯域幅を提供する。同設計により、ユーザーは2枚のカードの潜在的な性能を同時にフル活用することができ、DV I/O、NVMe SSDストレージ、マルチポート25Gbイーサネットアダプターなど、広帯域幅を必要とするカードの使用に最適だという。
Echo II DV Thunderbolt 5製品は2025年4月6日~9日にラスベガスで開催されるNAB Showの同社ブース(ブース番号:SL10016)で展示予定。
新製品は、今年度の第2四半期後半から第3四半期前半にかけて発売される予定。価格は未定。
]]>LUMIXとコラボレーションしたLUMIX S1R II用ケージシリーズは、カメラ本体にぴったりフィットし、優れた保護性と拡張性を提供する。
LUMIX S1R II/S5 II/S5 IIX/G9 II 用ケージ[4902]は、ねじれ防止の三点ロックシステムを採用し、安定性を向上させる。ケージの底部はアルカスイス形状で、三脚とDJI RSシリーズスタビライザー間でスムーズにカメラを移行できる。また、1/4"-20 ネジ穴、3/8"-16ネジ穴、コールドシューマウント、NATOレールなど、複数の拡張用インターフェースを備え、様々なアクセサリーを自由に搭載可能。
LUMIX S1R II用ケージキット[4903]には、ケージ、トップハンドルとケーブルクリップが含まれており、軽量なトップハンドルにより快適なローアングル撮影が可能。新機種専用のHDMI&USB-Cケーブルクリップは、安定したデータ伝送を保証する。
DMW-BG1/2バッテリーグリップを取り付けた状態でも使用できるケージ[5147]も用意されており、コンパクトで包括的な保護を提供する。
ライカと言えば写真の世界で知らない人はいない、至高のシステムとも言っていい代名詞的存在だ。それはレンジファインダーで撮るその所作に脈々と受け継がれた良さがあり、デジタル機となって現代的な機能が加わりながらも独自の撮影の世界を提供し続けている。そこから派生して、近代に寄せたコンセプトとして生まれたのが「ライカSLシステム」だ。EVFを搭載するミラーレス機であり、動画撮影もできるわけだ。
初代SLではモデルとしては1機種のみであったが、第2世代となるSL2シリーズではじめて動画機能を強化したSL2-Sが登場した。その第3世代となるSL3シリーズの中の動画機能強化モデルがSL3-Sであり、SL2-Sの後継機となる。
私物のSL2-Sを横に並べて比較してみると、外観はSL2-Sより一回り小さくなり、相変わらず美しいプロポーションが見て取れる。トップ部分には大きなダイヤルが1つ増え、直感的な操作がよりしやすくなった印象だ。トップのサブ液晶に表示される情報もより実用的になっており、軍鑑部サイドにはセンサー位置マークが刻まれている。電源操作がスイッチから自発光リング付きのボタン操作に変更となり、サイド部にはイヤホン端子、マイク端子、HDMI Type Aの端子が並ぶ。LCDモニターは固定式からチルト式になった。
底部を見ると、1/4ネジ穴に対して回りどめピン穴がついた。私のザハトラー三脚のタッチ&ゴープレートを装着してみたが、1点留めであってもプレートが回ってしまうこともこれでなくなる。
センサー解像度はSL2-Sと同じ2400万画素だが、やはり大きく異なるのはLCDがチルト可能となったこと、そして電源がボタン式になったことで、動画機として観察するとより実用的になった印象だ。ライカ自らが挑戦的な姿勢で製品開発を行ってみようとする意思が感じられる。
収録スペックとしては6Kオープンゲート収録や、ProRes内部収録が可能だったりとSL2-Sからはスペックアップしており、AFは位相差AFに刷新されAF精度が向上している。そして、SL2-Sでもそうだったが、低照度環境での高感度特性は特筆もので、その耐性はさらに向上しておりISO 12800程度まで上げても十分に実用に耐えるほどの素晴らしい性能を発揮する(個人差はあるのでご自身で体感してほしい)。
またボディ内手ぶれ補正のIBISも搭載されている。収録メディアはCFexpress Type BとSDXCのデュアルスロットとなり、USB-CにSSDを接続して収録することもできるようになった。
また個人的に素晴らしいと感じているのはSL2-Sと同様、非常にクリアで見やすいEVFを搭載していることだ。その見え性能にはさらに磨きがかかっており、ピーキングを効かさなくてもピントピークがつかめる程のクリアさで、積極的にEVFを使いたくなる品質だ。この見えの体験はぜひとも実機を手に取って実際に覗いてみてもらいたい。
このように基本スペックについてはSL2-Sから順当なアップデートと見られるが、大きな違いとしては、「Leica Looks」が利用できることだ。この「Leica Looks」はSL3、ライカQ3、ライカQ3 43でも使えるが、ライカ特有のカラーサイエンスとなるスタイルが複数用意されており、スマートフォンアプリである「Leica FOTOS」で確認できる。そして、選んだスタイルをカメラボディへ転送することで使用できるというものだ。SL3-Sで動画撮影する意義の一つになるのではないかと筆者はこのレビューを通じて強く感じた。
今回はSL3-SとApo Summicron 50mmが数日と短い間だが貸し出された。そこでシンプルに持ち歩いてV-log的な使用方法で楽しみながら記事としてレビューする。
SL3-Sではメニュー画面として静止画モードと動画モードの大きく2つに分かれており、それぞれで詳細メニューが異なる。このレビューでは動画モードについて言及するが、このメニュー構造については「独特」という言葉がどうしても出てしまう。この点についてはエールを込めて実感を述べたいと思う。
SL2-Sから大きく変わったのは「収録設定を事前にプリセットとして作っておき、その中からセレクトする」という運用方法だ。おそらくこうすることで、コーデックの違い、ビットレートの違い、解像度の違いなど多くのパラメーターにおいて選択可能な組み合わせを自動的に調整されるようにした、ということなのだろうと思う。がしかし、このプリセット運用というのはあまり直感的ではなく、プリセット内の何か設定を変えると他の設定値が自動的に変化してしまい、今現在がどの設定になっているのかわからなくなってしまうのだ。
一つを変えたら別の何かが勝手に変わってしまう、ということで事前にしっかりとプリセットを作って確認しておかないと事故の原因になりかねない。現場でパラメータ設定を変えようとしても、即座に変えることはなかなか難しいと感じた。
もう一つ、ホワイトバランスのマニュアル設定についてだ。これはSL2-Sも同様なのだが、色温度のステップが500ケルビンステップになっていることだ。例えば、5000、5500、6000という設定は可能だが、通常よく使う5600というケルビン値を選ぶことができないわけだ。せめて100ケルビンステップで調整ができるようにしていただきたいと強く感じた。
せっかくの素晴らしいハードウェアスペックなので、この部分については正直なところもったいない。今後のファームウェアアップデートでの改善を望みたいところだ。
フルフレームモードでは4K30Pまでの設定が可能となり、4K60PにするにはAPS-Cクロップとなる。
このようにいろいろとソフト面においては改善要求を出したくなるのだが…それでもパッと撮って出てくる画はしっかりとしており、不思議な魅力があるカメラであることには間違いはない。裏返せば、まだまだ伸び代が大きくあるカメラとも言える。今後の展開に期待したいところだ。
その上でSL3-Sでの動画機としての魅力を高めるのはやはり「Leica Looks」の存在だ。2025年2月現在では、Brass、Chrome、Eternal、Contemporary、Classic、Blue、Selenium、Sepia、というカラースタイルが「Leica FOTOS」アプリのリストに並ぶ。ここにこそライカで映像を撮る醍醐味があると筆者は感じつつ、その中から今回はEternalをセレクトした。今回のレビューではProRes収録の4K24Pとし、Leica Looks EternalのカラースタイルでSL3-Sを手持ちだけで撮ってみた。
撮影したフッテージをiPad Pro M4に直接吸い上げ、Final Cut Pro for iPadで色調整をせずストレートに使用して1時間程度でカット編集しただけの作例である。
まず撮影してみてやはり便利なのは、LCDのフリップ機構だ。アイレベルでの撮影ではEVFを積極的に覗いて撮影していたが、手を伸ばしてハイアングルから狙ったり、ローアングルから狙う時にはLCDフリップの恩恵は計り知れない。また、このフリップ機構はレンズの中心軸上にLCDが来るため狙いが定めやすく、個人的に好みの機構だ。
今回のテストではバッテリーは1本あたり概ね70分程度持った(保った)ので、途中で1回交換を行ったが、概ね標準的なバッテリー持ち(保ち)だった。電源がボタンプッシュ式になったわけだが、短く押すとスタンバイモード、長く押すと完全にOFFということで、スタンバイモードを多用すればもう少しバッテリー持ち(保ち)を良くすることもできるだろう。
このEternalというスタイルはかなりクセの強いスタイルだが、筆者的には好みの雰囲気だ。他のスタイルも魅力的なものが揃っているので、もっと時間があればそれぞれで撮り比べてみたかった。
筆者自身は必ずしもLog収録を行わず、カメラが持つこれらの独特のルックを使用することが多い。なぜなら、Logというものは階調性をより重視してダイナミックレンジを稼ぐための撮影法であり、ポスト作業においてターゲットとするルックへ戻すこと、さらに自らが考えた味を加えることが前提の収録方法だからだ。
つまり撮影時データはあくまでも中間ファイルのような扱いであり、あらかじめターゲットとするルックを頭に入れておく、思い描いておくことが重要でもある。色の世界観を自らでプロデュースする力が必要であり、常に意識しておく必要がある。可能であればビューイングLUTとしてカメラ内または外部モニターに仕込み、Logストレート時の波形、LUTを当てた状態の波形も見ながらじっくりと撮影したいものだ。もちろん必要に応じてLogやRAWも使用することがあるが、目的を持って選択している。
しかしワンマンでシンプルにカメラを持ち歩きドキュメンタリースタイルで撮影するとなると、波形に意識を持っていかれるより、目の前で起こる事象、撮りたくなる一瞬を逃さないよう集中したいのだ。その点、各カメラメーカーが自信を持って用意するカラーサイエンス(ここでの「Leica Looks」)はアナログで、いわば「フィルム銘柄を選ぶ」行為に近いものであり、そのフィルム特性に身を委ね撮影現場で直感的に色を感じながらターゲットを狙う方が自分にとっては正解なのだ。
EVFなどを通じてそのカメラ独特のルックを味わいながら、思いもしない良い描写に出会うこともあれば、想像より良くない見えだったり、全てを現場で完結できる緊張感が私は好きだ。撮影者によって好き好きがあると思うが、そうしたベクトルを持つ撮影者にはわかっていただける感覚なのではないかと思う。
今回のレビュー用撮影では、築地場外市場をSL3-S片手に2時間程度撮って回った。バッテリーはカメラバッテリー2本だけ(SL3-S貸出機についていた1つと、私物のもの1つ)、とにかく機動力良くしたかったので私物のTilta製のVNDをApoSummicronSL 50mmの前玉にクリップオン型マットボックスのmirageを使って装着、マイクとしてはゼンハイザーの小型ガンマイクであるMKE-400-II 508898を装着しただけだ。非常にシンプルな構成で手持ちスタイルでの50mm一本勝負ということで楽しんでみた。ホワイトバランスはマニュアルで5500ケルビンとした。
AFを積極的に使用してみたわけだが、若干の迷う場面はあるものの総じて実用的な範囲と感じた。SL2-SのAFではいわゆるウォブリングを起こすことが頻繁にあったが、その点では比較的に少なくなった印象だ。人物追尾や動物追尾のカットも作例に入れ込んでおいたのでAFの雰囲気も確認いただきたい。また、手ぶれ補正のIBISもONで撮影している。挙動の癖も感じ取っていただけるのではないだろうか。
今回のカラースタイルであるEternalのルックは、築地場外市場の日常の空気感をうまく引き立ててくれている。若干マゼンタ色を帯びたルックでコントラストが強く彩度も高めのルックだが、ここまでの強い個性を持ったルックをポスト処理で行うとのっぺりとしてディテールが潰れてしまうことが多いと思う。だが、このフッテージではその場の空気感やディテールを損なうことのない質感が得られているように感じる。それはSL3-Sが持つハードスペックが下支えしているからこその結果のように思う。
最後に、メーカー公認ではないテストをしてみたいと思う。忖度のないユーザーレビューをしたいためだ。
映像制作を行っていると、どうしてもズームワークを行いたくなるもの。ではSL3-Sボディを使う上でスローズームを行うにはどうするか、考えてみた。
いくつか方法論が考えられる。ライカ純正ズームレンズにリングギアを巻き、フォローフォーカスまたはモーターコントロールをできるようにする、というのが通常だろう。しかしその方法論ではベースプレートでロッド出しが必要になったり電源周りに工夫が必要になる。どんどんシステムが大きくなりせっかくの機動力がそがれてゆく。
そこで、今回ふと、CN-E 18-80mm T4.4をもしマウント変換で装着したらどうなるか、という好奇心が湧いた。私の手持ち機材で思いつきでテストしてみた。結果、なんと、ちゃんとレンズ認識して使えてしまった!
マウント変換アダプターはLマウントアライアンスとしてのシグマ製「MC-21」。その電子接点を介して、レンズプロファイルを認識しているではないか!そしてパワーズームが何事もないように作動したのである。スローズームもこの組み合わせなら何の問題もなく使用できてしまうわけだ。Lマウントアライアンスの素晴らしさを改めて感じる瞬間だ。これには歓喜の声が出てしまった。
映像制作では「このような表現がしたい、このように撮りたい」という狙いから逆算して、それをなるべく無理なく実現できる機材構成を考える思考プロセスになるので、固定概念は一旦横に置いて、使えるものは積極的に使っていくようにしていきたいものだ。そうした観点で様々な使い方ができるシステムというのは試行錯誤の甲斐があり、個人的にそうしたワクワク感が好きだったりする。
ライカSL3-Sは独特の癖はあるものの、「Leica Looks」の恩恵を受けてライカならではの色世界観で撮影ができるムービーカメラとして唯一無二のシステムと言えるのではないか、今回のレビューを通じてそのように感じた。そこに、Lマウントアライアンスによる拡張性があり、ユニークな撮り方を探れる大きな可能性があり、未来的に大きな伸び代が隠れているのだ。
最大30日間の無料トライアルには人数制限があるが、応募者全員に「自分で組み立てる!実寸大クラフトキット α7C II」がプレゼントされる。組み立てる楽しみだけでなく、普段使っているカバンやリュックに入れて、持ち運び時のサイズ感、グリップ感、ファインダーをのぞいた時のポジションなども確認できる。
第1回 | |
応募期間 | 2025年2月27日(木)10:00~2025年3月10日(月)10:00 |
貸出機材の受取り期間 | 2025年3月17日(月)~2025年4月1日(火) |
貸出機材の返却期日 | 2025年4月15日(火) |
第2回 | 応募期間 | 2025年3月27日(木)10:00~2025年4月7日(月)10:00 |
貸出機材の受取り期間 | 2025年4月12日(土)~2025年4月27日(日) |
貸出機材の返却期日 | 2025年5月11日(日) |
今後も定期的な開催が予定されている。
応募方法 | 応募フォームにアクセスし、必要事項を入力のうえ応募する。 |
当選人数 | 各回10名 |
当選・落選発表 | 応募資格を満たした人の中から厳正なる抽選の上、応募者全員にMy Sonyに登録のメールアドレスへ連絡。応募期間終了後、約1週間で連絡予定(前後する可能性あり)。My Sony マイページの「メール・クーポンなどの受信設定」を確認。「ソニーストアのメール」欄に「希望する」のチェックが入っていない場合、メールを受け取れないため注意。ソニーからのEメールでの連絡は、「@mail.sony.jp」のドメインのアドレスから。受信設定を確認。当落に関する問い合わせは一切受け付けない。 |
デジタル一眼カメラ「α7C II」のレンズキットモデル。
カラーは指定不可。同製品にはUSBケーブルやACアダプターは同梱されていない。充電する際は、市販のUSB Type-Cケーブル(USB-CーUSB-C)とUSB PD(USB Power Delivery)対応機器を用意。3A以上対応のUSB Type-Cケーブル(USB-CーUSB-C)、および出力18W(9V/2A)以上のUSB PD対応の機器を使用すること。
同製品は、柔軟な運用を可能にするスナップ式設計と高い電力供給性能を兼ね備え、映像制作者やクリエイターに最適なソリューションを提供する。RAID公式サイトでの販売価格は税込44,000円。
Edge Snapの最大の特徴は、複数のユニットを簡単に並列接続できるスナップ式構造だ。ホットスワップ可能で積み重ねできるデザインにより、バッテリーを手軽に追加・取り外しでき、充電時でもアクセサリーに連続して給電可能。この革新的な仕組みにより、電源管理がシンプルになり、撮影現場での機材運用が途切れることなくスムーズに行える。
Core SWX社の画期的な新型AUX接続「PD Pro」を搭載。2つのPD Pro端子は5V~28Vの幅広い電圧出力が可能。さらに標準のPtap端子も2基装備されており、最大4つのアクセサリーに同時給電できる圧倒的な柔軟性を実現している。カメラ、照明、モニターなど撮影現場に欠かせない機材への安定した電源供給を保証し、円滑な運用をサポートする。
PD ProポートはUSB-C PD経由での充電にも対応。革新的なスタック構造により、複数のバッテリーを1本のUSB-C PD充電ケーブルで同時に並列充電でき、効率性と利便性が一段と向上するという。
Snapバッテリーには1/4-20ネジ穴が1つ付属し、別売のEdge Snap QRCプレートを使用することで、複数の1/4-20や3/8の回転防止ネジ穴に取り付け可能。さらに小型のDSLR・シネマカメラへの直接固定や、標準的なVロックシューマウントにも対応し、様々なマウント方法を提供する。また、バッテリーの状態をひと目で確認できるRGB LEDインジケーターを備え、用途ごとに色分けも可能。
各バッテリーにはVoltbridge iDチップが内蔵され、累積バッテリーデータやファームウェア情報、高度な機能に簡単にアクセス可能。スマートフォンをバッテリーにかざすだけで、重要な情報をすぐに確認できる。例えば、バッテリーの最大容量が低下した場合も認識できるため、交換時期の目安にすることが可能。
国際放送機器展「Inter BEE 2024」において、アドビの製品・サービスやテクノロジーの最新情報を紹介するイベント「Adobe Day」が開催され、6つのセッションが行われた。講演は生成AI「Adobe Firefly」に関する話題が多くあったが、なかでもAdobe Firefly Video modelとPremiere Proの生成拡張についての講演は立ち見が出るほどの盛況ぶりで、来場者の関心度の高さが伺えた。
編集部註:「Firefly Video Model」は、2025年2月に開催された「Adobe MAX Japan 2025」でパブリックベータ化され日本語でも対応可能となった。詳細な情報は以下の記事を参考にしてほしい。
今回はビデオ生成AIによって私たちのワークフローがどのように進化し、クリエイティビティを拡張できるのかを伝えてくれた「クリエイティビティを"拡張"する!Firefly Video model&Premiere Pro 生成拡張 実践例」をレポートする。たくさんの実践例とFirefly Video Modelユーザーだけが知り得るようなTipsも多数紹介された。
登壇者はエディター・コンポジター・モーションデザイナーを務める白戸裕也氏。これまで大手制作会社でTVCMやWebCMの制作を経験し、サイバーエージェントが展開する新しい未来のテレビ「ABEMA」、サイバーエージェントグループの株式会社6秒企画を経て、2023年より株式会社Cyber AI Productions(CAI)に所属している。
このセッションでは大きく3つのブロックに分けて解説が行われた。
白戸氏:皆さんに覚えて帰ってほしいのは、「Firefly Video Modelはあらゆるクリエイターの強力な相棒になっていく」ということです。
Firefly Video modelを使うのは、どのような場面が考えられるだろうか。
白戸氏:TVCMだと15秒を1本、30秒を1本など、いわゆる"珠玉の1本"を作ります。一方、WebCMはいろんな媒体に向けてタテ・ヨコ・スクエアの縦横比で作ったり、訴求違いで大量のパターンを作るんですね。こういうときにFirefly Video Modelを使えるんじゃないかと考えています。
Firefly Video modelの画面をスクリーンに映し出して指定項目などの紹介が行われた。なお、今回の実践例は、Firefly Video Modelのベータ版(2024年11月時点)を使用している。
画面左上の「Camera(カメラ)」では、文字通りカメラに関する設定をする。クローズアップ、ミディアム、ロング、エクストリームロングなど、ショットサイズを指定できる。
「Camera angle(カメラアングル)」は、空撮やアイレベル、ハイアングル、ローアングル、真俯瞰など、さまざまなアングルを指定できる。
「Motion(動き)」は、ズームイン、ズームアウト、左に動く、右に動く、ティルトアップ、下から上に、上から下になど、カメラの動きを指定できる。もちろん動きの固定もできるし、ハンドヘルド(手持ち)で手ブレ感があるような画も設定可能だ。そして画面下側にあるのがプロンプトだ。2024年11月現在では、4語以上175語以下という語数制限がある。
手始めに「犬が窓際でまどろんでいる」というシーンが例として生成された。
「サイズ」をミディアム、「アングル」はちょっと上からのアングル、「カメラの動き」は右に動く設定。生成を開始して、少し待つと完了した。数語のプロンプトでかわいい犬が生成されるのを白戸氏は高く評価した。
以降、さまざまな作例をもとに、実践的な設定方法やTipsが紹介された。
ホワイトシチューの真俯瞰カットのシーンが示された。
「シズルカット」とは、肉の焼けるジュージューした感じや、ツヤのある寿司のクローズアップなど、お腹が減ってくるような表現を意味する。プロンプトは現時点で英語のみ対応している。「ウィズベジタブル(以下:英語表記のものも日本語で表している)」と記述すれば野菜が一緒に生成されるし、ほかにも「カレーライス」などの指定もできる。この例について、白戸氏はいくつかの注意点も添えてくれた。
白戸氏:少しおかしな生成がされているところもありますが、そこは適宜編集で削って使っていただければと思います。また、スライドにプロンプト例を載せていますが、あくまで例です。同じプロンプトを入力をしたからといって、完全に同一のものが生成されるわけではないのでご注意ください。
シチュー繋がりということで次の例が示された。商品のヨリから引いていくとパッケージが映り込むという、カメラの動きがあるCMでよく見かける表現だ。
白戸氏:生成AIは単純な動きしかできないだろうと思って意地悪をしてみたのですが、案外うまくいったところがすごいなと思っています。ディテールの部分は及第点ですね。
次は化粧品のCMでよく見かける表現。「森の中にある1つのボトル」という例が挙げられた。この世界観は実写で撮影しないとなかなかできない表現だが、生成AIなら、ある程度トライアンドエラーを重ねられるメリットがある。
「レンズフレア」や「ボケ」といったワードが含まれているほか、「ソフトフォーカス」「葉っぱの間を通っていく光」などの細かいイメージも記述している。
商品カットなら人物を出演させたいときもあるとして、商品と人物が同居する、ハイブランド化粧品のワンシーンをイメージした例も示された。生成された違和感のないムービーを見て、白戸氏は「素晴らしいですね」と述べた。
「実はこんな表現もできます」と、大作映画のようなVFXカットも示された。
プロンプトには「スペースバトルシップ」や「ディープスペース」などの記述がある。これらのプロンプトをすべて自分で考えて書くのは難しいが、そういった方のために、プロンプトの書き方のポイントもあとで解説する。
写実的な表現だけではなく抽象的な表現も可能だ。このような抽象的なシーンはVP(ビデオパッケージ)のタイトルの背景素材として使われたりする。
プロンプトは意外とシンプルで「グラデーション」や「バックグラウンド」、あとは「色のトーン」の記載もある。「パステルカラー」など、色についてプロンプトに記述することで好みの色にすることも可能だ。
抽象表現の例としてもうひとつ示されたのが、3DCGで制作したようなモーションデザインのシーンだ。
こちらは「Text to Video」で直接生成したものではなく、いったん「Text to Image」で画像を作ってから、その画像を動画化したものだ。[プロンプト例]の最初3行が画像を作るときのプロンプト、下1行が Firefly Video Modelに入力したプロンプトだ。
「これを必要とする方はあまりいないかもしれませんが…」という前置きをしつつ示されたのが湯気の素材。白戸氏は食品のCMをたまに担当するということで、商品をより美味しく熱々に見せるために使えそうだと語っている。
白戸氏:いまは湯気が画角から切れていますが、「もっと(カメラを)引く」とか、そういったプロンプトの追加次第で自由自在に調整できると思います。湯気って条件に合う素材を見つけるのがなかなか難しいですよね。もちろんAdobe Stockでも購入できますが、このようにFirefly Video modelで生成もできます。
Premiere Pro ベータ版を使用した生成拡張の実践例も紹介された。ビデオクリップでは最大2秒、オーディオクリップは最大10秒拡張できる。
実践例として、先ほど生成した「化粧品のボトルを持った女性」のクリップが使用された。クリップをシーケンスに載せて、画面左側のツールパネルにある「Generated Extend Tool」を選択。クリップを選択して端の部分を伸ばしていく。
白戸氏:光やフレアもちょうどいい感じに入って、2秒分尺を伸ばすことができました。
次の例は白戸氏が札幌旅行の際に撮影したジンギスカンのクリップ。「ちょっと意地悪な素材」とのことだったが、肉をひっくり返す動きをしっかり生成できた。クリップの下部にある「AI-generated」の箇所を右クリックすると再生成も可能だ。生成結果が気に入らない場合は、何度かトライアンドエラーを重ねることをオススメしていた。
もう1つ例として使用されたのは、列車が写ったロングショットのクリップ。これがどのように生成拡張できるのかを試した。
列車が進行している様子がうまく拡張されるのか気になるところだったが、しっかり表現できていた。小さく映っている自動車も破綻なく生成できている点に白戸氏も着目していた。
生成拡張で作られたクリップは、単純なネスト構造になっていることを白戸氏は説明している。
白戸氏:ネストを開くと、元クリップの上に生成したクリップがあります。ちょっと裏技になりますが、開いたネストの中でもう一度拡張もできます。ただし、うまくいかない可能性は大いにあります。
生成したクリップは「Generative Assets」というフォルダに格納される。プロジェクト設定で、好みの場所を指定できる。
白戸氏:オフライン編集のときに生成拡張で尺を伸ばすと、オンライン編集の際に伸ばした分のデータが存在しない…というミスも起きると思います。生成されたクリップを必ず渡してください。
Adobe Firefly Video modelの効果的なプロンプトについては、アドビのヘルプセンターでドキュメントが公開されている。
そのポイントは3つ挙げられている。
この3つを噛み砕いて説明してくれた。
Fireflyが理解できるように、明確かつ説明的に記述する必要がある。
まずはショットのタイプの説明。カメラの遠近感や動きだ。つぎにキャラクターの説明。キャラクターは誰なのか、どのような見た目をしているのか、さらにキャラクターのアクションや場所。何をしていて、どこにいるのかなどの記述が必要になってくる。
白戸氏:美観とはショットの雰囲気のことですね。35ミリフィルムで撮った感じとか、荒々しいルックなど、そんなイメージを指定する必要があります。
より具体的な情報を与えるコツとして、ヘルプのスクリーンショットが抜粋して示された。
視覚的なスタイルを指定するには「シネマチック」「リアリスティック」「アニメーション」「アーティスティック」などを記述するのが効果的だ。また、アクションを明確に定義するには、説明的な形容詞を使用して記述することがオススメだ。「静かな朝もやが立ちこめるビーチ」「ビーチチェアから漏れる柔らかい日差し」など、まるで小説のように情景がわかる記述をするのがポイントだ。
これらを踏まえた比較例として、白戸氏がテストした画像も紹介された。
左上は単純な4語のプロンプト「a car is driving」だ。
白戸氏:夕日になっているのは、おそらくFireflyが補完して考えてくれたのではないか。
それに「midnight」というプロンプトを追加したのが左下。そして右はさらに「snowy day」という言葉を追加した。
このように、より具体的な情報を与えることで、自分が求めるシーンに近づけることができる。
プロンプトの左側に、画像をアップロードするボタンがある。ここから参照画像をアップロードすることで、画像から動画を生成できる。
白戸氏:ちょうど福岡空港を離陸したときの、窓外の風景です。この画を「夜にしたい」というオーダーを受けたらあなたはどうしますか? 夜にするには空を合成しなきゃいけないし、山際も調整が必要です。街もあるのでなかなか難しいオーダーですよね。
結果は、思っていたよりもいい感じに生成できたとの評価だった。
白戸氏:特にうまく表現できていると思ったのはこのフラップのところです。ちゃんと街の明かりを受けた光になっている。これを手作業でやるとしたらなかなか難しい。ディテールに関しては及第点の部分はありますが、これがどんどん進化していくとDay for Night(昼に撮影した素材を夜に見せること)など、難しい表現も生成AIでできるようになると信じています。
そして先ほど紹介したモーションデザイン的なシーンも、「参照画像を使用する」を利用したことが明かされた。こちらは「Text to Image」で画像を生成して、それをFirefly Video Modelに読み込んで動画化したものだ。
さまざまな画像をアップロードできるが、もちろん他者の権利を侵害する画像を読み込むことは禁止だ。
これまで見てきた「思い通りに生成する方法」は、実は撮影や照明に関する知識やノウハウを活かせると白戸氏は語っている。
白戸氏:生成AIと聞くと、何やら得体の知れないまったく新しいもののように感じますが、エディターだけではなくカメラマンや照明、デザイナーなどいろいろなクリエイターにとって便利なツールになり得るんですよね。 プロンプトを考えるのが難しく感じる場合もあるかもしれません。あくまで個人のやり方ですが、私はClaudeやChatGPTなど文章生成AIにプロンプトを書いてもらうこともあります。
このとき、Fireflyの語数制限もプロンプトに追加している。次が例だ。
「下記の内容を踏まえて175語以下で、Adobe Firefly用のプロンプトを生成してください」「ニューヨークのオフィス街、昼、金髪の美しい女性が化粧品のボトルを持っている。カメラ目線」
すると先ほどの化粧品を持った女性のクリップが生成された。
白戸氏:これらの文章生成AIは現時点でFirefly Video modelの存在を未学習であり、最適化はされていません。そのうちFirefly Video modelを学習して、より最適化されたプロンプトが生成できるのではと思います。
セッションの最後では、いくつかのポイントをおさらいした。
サイトに記載されている「アドビのアプローチ」を取り上げつつ、白戸氏は次のように語った。
白戸氏:いろいろな生成AIサービスがありますが、学習に使われている素材が権利的にクリアではない場合もあり、クライアントワークでは安心して使えないというのが実状です。そんな中、Adobe Fireflyは「安心して商用利用できるよう設計している」と宣言しているんですよね。皆さんにも安心して使っていただけると思います。
そして、白戸氏は冒頭の言葉でセッションを締めくくった。
白戸氏:Firefly Video modelはあらゆるクリエイターの強力な相棒になっていく。
同セッションは実践的な例と細かなTipsが満載で、より身近になった生成AIの現状を知ることができる貴重な講演となった。
Adobe Firefly Video modelとPremiere Pro生成拡張に関する基本的な情報や、広告・ショートフィルムにおける事例などは他のセッションでも解説されている。
世界中のドキュメンタリーチームを追った「Destinations of the Damned with Zak Bagans」では、超常現象に関する真実の物語と、それらに取り憑かれた呪われた場所の調査を行う。
Maxのヒットシリーズの制作チームは、第一シーズンを通して十数ヶ国を旅したため、様々な撮影環境に適応して柔軟に対応する必要があり、キットも同様に移動しやすいものである必要があった。
撮影監督を務めたジャスティン・ブルックス氏は次のようにコメントしている。
ブルックス氏:可能な限り小さな荷物で世界中を旅しなければならなかったので、機材のサイズは重要でした。そういった点で、Pocket Cinema Camera 6K Proを採用する上での迷いはありませんでした。このカメラを組み込むことで、小型で汎用性の高いパッケージで、素晴らしい映像が得られるとわかっていました。
結局のところ、映像がすべてであり、Blackmagic Designのセンサーの優秀さについて議論の余地はほとんどありません。このカメラのカラーサイエンスを大変気に入っており、本作の撮影のニーズを満たせると確信していました。この種のスタイルと品質の番組を撮影する際は、質を損なうことなく、身軽に移動できる機材が必要です。Pocket Cinema Camera 6K Proでは、決して妥協する必要はありませんでした。
ブルックス氏:本作では、非常にタイトなスケジュールで、映画のような再現映像を含む、ハイレベルな作品を制作しなければなりませんでした。時間同様、スタッフの数が限られていることも承知していました。通常は5~6人で現場に出ます。
Pocket Cinema Camera 6K ProのデュアルネイティブISOは、比較的少ない照明を用いて、ほとんど夜間に撮影された本作において非常に役立ったという。
ブルックス氏:本作の撮影はほぼ夜間のみに行われたので、すべてのカメラが低照明条件での撮影に対応できる必要がありました。また、多くの場合、60WのLEDフレネルが最も明るい照明であったため、わずかな照明を最大限に活かして撮影しなければなりませんでした。
Pocket Cinema CameraのデュアルネイティブISOのおかげで、実際に作品で使える、シネマライクなイメージが常に得られると自信を持って撮影できました。超常的な状況と場所の性質により、ジンバルに取り付けたPocket Cinema Cameraと懐中電灯だけで建物内に入ることが多かったのですが、そういった状況での映像が本シリーズで最も気に入っている映像です。
ドキュメンタリーやリアリティ番組をたくさん撮影していますが、本作は特別でした。劇場映画の照明や撮影から得た技術をドキュメンタリー形式の番組で使用することができました。
クリエイティブな照明がとても好きなので、それをドキュメンタリーで導入でき、夢が叶いました。
同作では、コロンビアの火山噴火現場、マレーシアとチリの異世界への入り口、シンガポールとカナダの復讐に満ちた島々、幽霊の出るチェコの城、フィリピンの廃ホテル、不気味なカナダのロードハウス、イタリアの精神病院などにおける超常現象を調査する様子が捉えられた。各ロケ地ではそれぞれ独自の撮影上の課題があり、撮影チームはそれに適応する必要があった。
ブルックス氏:こういった廃屋は多くの場合、とても狭いんです。コンパクトで軽量のセットアップは、ダイナミックで興味深い構図が得られるだけでなく、操作性と安全性においても重要でした。
Pocket Cinema Camera 6K Proは小型なので、ゴーストハンターを撮影するのに最適なリグを組めました。また、場所を問わず、再現映像にハイエンドの映画のようなルックが得られました。
ドキュメンタリー形式の撮影では、可能な限り小さなパッケージで、できる限り高い品質の映像を撮影できるよう常に努めています。本作では、13ヶ国以上に行ったので、大きな負担にならず、しかも極めて優れた品質のシネマライクな映像が得られるカメラパッケージが必要不可欠でした。そういった点で、Pocket Cinema Camera 6K Proは私にとって欠かせませんでした。
撮影にBlackmagic Designのカメラを使用することで、すばやく簡単に撮影できる機材を常に携帯しているだけでなく、最も重要な点である高品質の映画のようなイメージを得られます。プロジェクトの種類に関わらず、キットの中に常にBlackmagicの製品を入れておくつもりです。
コルグは「東京・春・音楽祭 2015」にて、世界初のDSDライブ・ストリーミング配信実証実験に成功して以来、10年にわたりインターネット配信技術の高音質化や臨場感の向上に取り組んできた。
2020年9月にはインターネット動画配信システム「Live Extreme」を発表し、オーディオ・クロックを配信システムの軸とした「オーディオ・ファースト思想」や、ロスレス/ハイレゾ・オーディオに対応した高い音質が好評を博し、これまでに200公演以上のコンサートやイベントの配信に採用されてきた。
Live Extremeは「AURO-3D」「MPEG-H 3D Audio」など立体音響のライブ配信にも対応しているが、「Dolby Atmos」については、疑似ライブ配信(収録済みコンテンツのライブ配信)とオンデマンド配信のみの対応に留まっており、リアルタイム配信への対応が課題となってきた。
このたびコルグは、2025年4月にリリース予定の「Live Extreme Encoder v1.16」に、Dolby Atmosのライブ配信機能を搭載することを決定した。
Dolby Atmosは、オブジェクト・オーディオに基づく空間オーディオ記録再生方式で、既存の音楽配信サービスや映画配信サービスにおけるデファクト・スタンダードとなっている。Live ExtremeがDolby Atmosのライブ配信に対応することで、高音質配信や立体音響配信のさらなる普及が見込まれるとしている。
配信方式 | HLS、MPEG-DASH | |
動画 | コーデック | H.264 High Profile、H.265 Main Profile、H.265 Main10 Profile |
解像度 | 4K UHD(3840×2160、最大60fps) | |
HDRフォーマット | HDR10、HLG | |
ビットレート | 最大65Mbps(4段階のAdaptive Bitrate配信に対応) | |
音声 | コーデック | Dolby Digital Plus with Dolby Atmos |
サンプルレート | 48kHz | |
ビットレート | 384、448、640、768(kbps) | |
チャンネル数 | 5.1.4ch、7.1.4ch、9.1.6ch |
「東京・春・音楽祭」は、20年以上の歴史を誇る国内最大級のクラシック音楽の祭典で、今年は2025年3月14日(金)から4月20日(日)まで約40日間に亘り、70公演以上を予定している。
今年度はほぼ全ての公演についてライブ配信も予定されているが、オープニング公演の「ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽」のみ、通常配信に加え、Live Extremeを使った初のDolby Atmosライブ配信を実施する。
コルグ取締役の大石耕史氏は次のようにコメントしている。
大石氏:ハイレゾライブ配信の起点となった「東京・春・音楽祭 2015」から10周年の節目の年に、Live Extremeの最新機能とともに、東京春祭に戻って来られたことを大変嬉しく思っています。今回の配信では、音質に万全を期すために、株式会社NHKテクノロジーズ様ご協力のもと、5.1.4chに対応した音声中継車「T-2」を利用して制作が行われる予定です。至高の響きを余すことなく伝える、最高音質の配信をお楽しみください。
種別 | デバイス | アプリケーション | 備考 |
PC | Mac | Safari(最新版) | 2018年以降発売のMacBookシリーズ ▶内蔵スピーカー再生に対応 |
スマホ/タブレット | iPhone | Safari(最新版) | iPhone SE(第2世代) ▶対応ヘッドホン*1での再生に対応 |
iPhone | Safari(最新版) | iPhone XSシリーズ iPhone XR iPhone 11以降 ▶内蔵スピーカーおよび対応ヘッドホン*1での再生に対応 |
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iPad | Safari(最新版) | 2018年発売以降のiPadシリーズ ▶対応ヘッドホン*1での再生に対応 |
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Android | Live Extreme Experience*2 | Dolby Atmos対応モデル(下記ページ参照) https://www.live-extreme.net/dolby-android |
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STB | Apple TV(AirPlay) | (AirPlay) | Apple TV 4K(第1-3世代) Mac、iPhone(iOS18)、iPad(iPadOS 18)からAirPlayで再生 |
Fire TV | Live Extreme Experience*2 | Fire TV Stick(第3世代) Fire TV Cube(第3世代) Fire TV Stick 4K(第2世代) Fire TV Stick 4K Max(第2世代) Fire TV Stick HD ▶公演のシリアルコードを入力して再生 |
|
Android TV | Live Extreme Experience*2 | Nvidia Shield TV(第3世代) Nvidia Shield TV Pro(第3世代) NChromecast with Google TV(HD、4K) Google TV Streamer ▶公演のシリアルコードを入力して再生 |
*1 AirPods(3以降)、AirPods Pro(全世代)、AirPods Max、Beats Fit Pro、Beats Studio Pro、Beats Studio Buds、Beats Studio Buds+、Power Beats Pro
*2 Google Playストアで無償配布中(⽇本国内のみ)
Lomo Daylight Developing Tank 35mmはフィルム愛好家や自家現像デビューする方におすすめの現像タンクだという。オールインワンシステムの現像タンクは、フィルム現像を簡単で便利、そしてクリエイティブにする。フィルム装填用のクランクと内蔵のフィルムカッターを備えた直感的なスプールシステムは、フィルム現像の面倒な要素を排除して、ダークバックや暗室を使わずに、フィルムを装填して現像することができる。
さらに、液体を注ぎやすい機構と、防水で液体がこぼれにくい蓋が汚れない作業スペースを生み出す。
本書は、初心者からプロまで幅広いユーザーを対象としている。初心者は、わかりやすく簡潔なレッスンを通してDaVinci Resolve 19の使用方法を習得できる。他のシステムからの移行を検討しているプロは、基本的な編集やトリミングから、オーディオ作業、テキストやエフェクトの追加まで、実践的な使用方法を習得できる。また、プロによるヒントや作業のコツも多数掲載されており、DaVinci Resolve 19への移行を円滑に進められる。
■概要
UCE33100は、Cat 6Aケーブルを用いてUSB接続を最大100m延長し、高速データ通信を実現する2台1組のUSBエクステンダー。会議室をはじめとするオフィス内での利用や、工場、放送局、研究施設、教育機関など、長距離の高速データ通信が求められる環境での活用を想定している。
同製品は、ローカルユニット(UCE33100L)とリモートユニット(UCE33100R)で構成される。リモートユニットにはUSB Type-Aポートを4基搭載し、フラッシュドライブ、キーボード、マウス、ウェブカメラ、インタラクティブ・ホワイトボードなど、様々なUSB周辺機器との接続が可能。また、双方向RS-232パススルーや、産業用カメラ・アプリケーション向けの双方向フレーム同期(FSYNC)GPIOパススルーにも対応する。
双方向24Vパワー・オーバー・ケーブル(PoC)機能により、ローカルまたはリモートのいずれかで給電が行われていれば、追加の電源アダプターは不要である。
UCE33100は、オフィス内での会議室の利用、工場の生産ラインや制御システム、放送局、研究開発施設、教育機関など、様々なシーンでの活用を想定。特に高速データ転送と長距離伝送が求められる環境に最適としている。
■製品仕様
同社ブース(SL4511)では、次世代のIPベースの放送への道を切り開きながら、今日のライブプロダクションワークフローを最適化するように設計された最新のイノベーションを体験できるという。
ライブプロダクションワークフローを効率化するために設計された、業界をリードするソリューションである「Monarch EDGE」「ConvertIP」「Vion」「Avio 2」および「Matrox ORIGIN」を展示する。
Monarch EDGEは、4KおよびマルチHDワークフローをサポートする、高性能、低遅延のIPベースのエンコーダーおよびデコーダーペアだ。NABでは、Matrox Videoは、リモートプロダクションおよびコントリビューションワークフロー向けの最新の補助データトランスポート機能を含む、低遅延SRTエンコードおよびデコード機能を紹介する。
ST 2110およびIPMXブリッジングソリューションとして、Matrox ConvertIPは、柔軟で将来を見据えたAV展開のためにHDMIとSDI間の統合を可能にする。NABでデモされるシリーズの最新製品である「Matrox ConvertIP SDM」は、ST 2110およびIPMX入力をサポートするIntel Smart Display Module(SDM)であり、多様なシステム間での互換性を確保しながら、IPを介してゼロ遅延4Kビデオを提供する。
注目すべきもう1つの新しいデバイスは、ST 2110、IPMX、SRT、およびNDI形式にわたるマルチチャネルエンコード、デコード、およびトランスコードをサポートする堅牢なIPビデオゲートウェイである「Matrox Vion」だ。NABでは、Matrox Videoは、NDI、SRT、ST 2110 / IPMX、およびJPEG XS間でトランスコードするVionの機能を紹介し、複数のストリームを同時に処理する汎用性を実証する。
Matrox Avio 2は、世界初のNMOS対応、オープンスタンダードベースのST 2110 / IPMX IP KVMエクステンダー。最大4K解像度をサポートする優れた画質とパフォーマンスを提供すると同時に、超低遅延、安全なリモートアクセス、および多様なシステム間でのシームレスな統合を提供する。
NABでは、Matrox Videoは、Avio 2がKVMA信号を他のST 2110デバイスとネイティブに共有し、NMOS経由でシームレスに統合する方法を紹介する。
NAB 2025はまた、次世代のライブプロダクション向けに設計された非同期メディアフレームワークであるMatrox ORIGINの採用を推進するためのプラットフォームとしても機能する。Matrox ORIGINは、標準のIT機器で実行されるメディア対応フレームワークであり、オンプレミスまたはパブリッククラウドのいずれであっても、ソフトウェア定義の放送インフラストラクチャを構築できる。
ST 2110やSDIなどのクロック同期プロトコルで相互接続された専用放送ハードウェアを、非圧縮ファブリックで相互接続された分散COTS環境で動作するソフトウェアメディアサービスに置き換える。これらはすべて非同期で実行される。
DSX LE5 D25 LPおよびLE6 D100 ST 2110ネットワークインターフェイスコントローラー(NIC)カードは、放送局向けの費用対効果が高く柔軟なIPワークフローを可能にする。10/25/100GbEを介したマルチチャネルビデオI/Oを提供し、メディア処理が豊富なMatrox DSX SDKを活用して、これらのカードはCOTSハードウェアでスケーラブルなHD-8Kソリューションを実現する。
Matrox Videoの製品管理担当バイスプレジデントであるスピロ・プラガキス氏は、次のようにコメントしている。
プラガキス氏:Matrox Videoは、スケーラブルで相互運用可能、かつ将来に対応できるデバイスを革新し、常にイノベーションの最前線にいます。NAB 2025では、放送局、ライブイベントプロデューサー、OEM、およびその他の業界リーダーに、当社のIPテクノロジーが効率的で柔軟なワークフローを可能にし、将来に必要な品質とスケーラビリティを提供する方法を紹介することを楽しみにしています。
――まず新しく発売されました「開放絞り値F1.4単焦点Lレンズシリーズ」はキヤノンのレンズラインナップの中で、どのような位置づけの製品なのか?グレードやシリーズなどを含めて教えていただけますか。
奥村氏:「開放絞り値F1.4単焦点Lレンズシリーズ」は名称からもおわかりいただけますように、開放「F1.4」の「L」という括りのシリーズになっております。
RFレンズの中に「Lレンズ」「スタンダードのRFレンズ」、そして「RF-Sレンズ」という傘があり、それぞれに「ズームレンズ」や「単焦点レンズ」が存在します。今回はLレンズのシリーズですので、RFレンズの中のLレンズ、その下にF1.4の単焦点レンズがあるという位置付けになります。
EFレンズの時代にも幾つかの焦点距離でF1.4のレンズが存在しましたが、RFレンズではまだそのような製品はございませんでした。そのため、キヤノンにおいてこれまで全く存在しなかったわけではありませんが、RFマウントとしては初めての製品となります。
――「開放絞り値F1.4単焦点Lレンズシリーズ」はこれまでのレンズと、どのような違いがありますか?
奥村氏:「開放絞り値F1.4単焦点Lレンズ」とEFレンズ時代との主な違いとしましては、シリーズ全体でのサイズ感の統一やアイリスリングの搭載などが挙げられます。昨今の動画撮影市場の拡大に伴う需要の高まりを受け、ハイブリッドのレンズという位置づけのシリーズとして展開しております。
ワンオペレーションでの動画撮影を行う方や小規模な制作会社様など、市場の拡大に合わせてお客様のニーズに応えるべく、EFレンズ時代とはコンセプトを一部変更しております。
弊社のカメラ自体が、静止画と動画の両方のお客様にご利用いただける設計となっており、比重の違いこそあれ、動画対応製品も増えてきています。
レンズも同様の考えに基づいており、これまで発売してきたレンズで動画撮影が不可能というわけではもちろんございません。しかし、あえてハイブリッドと謳い、動画性能について強調しているのは、アイリスリングによる操作性、シリーズ全体を通して優れたフォーカスブリージング抑制、そしてサイズ感の統一といった点にあります。
静止画ユーザーの方であれば、レンズのサイズが完全に統一されていることをそれほど重視されないかもしれませんが、リグに組み込んだ際の使いやすさや、表現方法の幅広さを考慮し、シリーズの単焦点レンズを現場で使い分けながら動画撮影を行うユーザーのニーズに応えるため、これらの点を特に重視した製品として打ち出しております。
――小型・軽量を特徴とする「開放絞り値F1.4単焦点Lレンズシリーズ」に、質量が大きいフォーカスユニットの駆動に適したVCM(ボイスコイルモーター)を搭載して登場したことは、一見すると不思議に思われるかもしれません。「開放絞り値F1.4単焦点Lレンズシリーズ」にVCMが搭載された理由についてお聞かせいただけますか。
齋藤氏:VCMは、今回このシリーズで初めて搭載された機構です。このシリーズでは、重い大口径レンズの駆動に適したVCMを使用しております。
一見すると、小型軽量であるため、VCMは不要ではないかと思われるかもしれません。弊社が他のレンズで採用しているSTMやナノUSMといったアクチュエーターもありますが、VCMはそれらよりも大きな推力を得られるという特長があります。
「開放絞り値F1.4単焦点Lレンズシリーズ」では、フォーカスレンズの質量がフォーカス群全体で約80gと、他の大口径レンズと比較しても重いため、高推力のVCMが必要不可欠でした。
――開放絞り値F1.4の単焦点Lレンズシリーズは軽量というイメージを持つ方もいるかと思いますが、フォーカスレンズの質量は比較的重いということでしょうか?
齋藤氏: イメージとしましては、例えば「RF100-300mm F2.8 L IS USM」という超望遠ズームレンズがあります。こちらのレンズは見た目からして重量がありそうに思われる方が多いと思いますが、およそ20g程度の質量のフォーカスレンズ群を動かします。「開放絞り値F1.4単焦点Lレンズシリーズ」では、この比較的小さなレンズの中で約80gという質量のレンズ群を動かす必要があり、そこでVCMが必要になりました。
つまり、重いものを動かすことができ、かつ動画対応レンズとして静かに駆動できる点がVCMの特長です。そのため、VCMを採用しているというわけです。
――非常に興味深い点ですが、他のレンズと比較してレンズ群が約80gと重くなっている理由は何でしょうか?
井野氏: 光学設計としましては、動画撮影にも対応するための「ブリージング現象」の抑制に加えて、「至近距離での撮影性能の確保」や「至近距離から無限遠まで、全ての撮影距離で高い光学性能を維持」という要件を満たす必要がありました。
これらの要件を考慮した結果、重量のあるレンズ群を駆動させ、さらに後ほど説明するフローティングフォーカス機構も搭載する必要が出てきました。これらの機構を追加しなければ、性能を両立させることは困難であったため、フォーカスレンズ群の重量が重くなるという形になりました。
――ちなみに、EFレンズの時代にも、フォーカスレンズは約80g程度の重量はあったのでしょうか?
齋藤氏: 確かに、過去には重量のあるレンズも存在しました。しかし、EFレンズ時代には、そういった重いレンズを駆動させるためにリングUSMが使用されていました。リングUSMは、EFレンズ時代や、VCMが登場する以前のRFレンズでも採用されていました。
リングUSMとVCMの主な違いは、構造にあります。リングUSMは円弧状のリング形状であるため、大きさが制約されてしまいます。つまり、内部構造の自由度が限られてしまうという課題がありました。一方、VCMを採用することで、レンズ内部構造をよりコンパクトに収めることが可能になり、小型化を実現できたという点が大きな特徴です。
また、動画対応という観点からも、駆動音に大きな違いがあります。VCMの方が圧倒的に静粛性に優れています。
――「開放絞り値F1.4単焦点Lレンズシリーズ」は、大変軽量かつコンパクトに実現できたと感じています。Lレンズの中でも、ここまで小型軽量化できたことに驚きです。ぜひ、開発者目線でその秘密をお教えいただければと思います。
大森氏: メカ設計の観点から、「CINEMA EOS SYSTEM」の「PRIME Lens」シリーズと比較した場合についてお答えします。「PRIME Lens」シリーズは、シネマ制作向けのレンズであり、マニュアル操作性を重視した設計となっています。そのため、チームオペレーションを前提とした価格設定やサイズ感であるため、ユーザー層が限られています。
一方、RFレンズは基本的に、動きを電子信号に変換してレンズ内のモーターを制御する「バイワイヤー構造」を採用し、AFを使用した少人数でのオペレーションを前提に開発されています。そのため、メカ設計の観点では、「PRIME Lens」シリーズと比較して大幅な軽量化を実現しています。また、光学設計においても広角レンズにおいて電子補正を活用することで、小型化を図っています。
井野氏: 特に今回(RF35mm F1.4 L VCMとRF24mm F1.4 L VCM)の小型化に大きく貢献した要素の一つとして、歪曲収差補正が挙げられます。歪曲収差補正を前提としたレンズ設計を採用したことが、小型化の最大のポイントです。
デジタル補正による歪曲収差補正は、周辺画像の圧縮を補正するために画像を伸ばす処理を行うため、どうしても画質劣化が発生してしまいます。そのため、デジタル補正による歪曲収差補正に対してはネガティブなイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、歪曲収差を光学的に許容することで、デジタル補正では取り除けない像面湾曲などの収差を光学的に積極的に補正することができます。結果として、デジタル補正による画質劣化はあるものの、全体としては歪曲収差補正を前提としないレンズ設計と同等以上の画質を実現することが可能となります。
今回の広角レンズでは、歪曲収差補正を積極的に活用した光学設計を採用しました。歪曲収差補正を前提とした設計を行うことで、光学補正であれば必要となる大きな前玉レンズが不要になりました。光学的に歪曲収差補正をした広角レンズと比較して、大幅な小型化を実現できた仕組みです。
小型化と高画質の両立を実現できたことが、今回のシリーズの大きな特長です。
――フィルター径、全長、重量、描画などを各焦点距離で統一することは、開発陣にとって大きな挑戦であったと思います。その背景や苦労した点、開発秘話などがあれば、お聞かせください。
大森氏: メカ設計の観点からお答えします。ご指摘の通り、シリーズ全体で統一感を出すため、全長や外装部品の共通化を開発初期からの目標としていました。メカ設計としては、外装部品だけでなく、内部部品の共通化も当初から目指していました。
部品の共通化を実現するために、光学設計チームに対して、レンズサイズや重量に関する厳しい制約をお願いしました。光学設計チームは大変苦労されたかと思います。光学設計をはじめ、チーム全体で密に連携を取り、試行錯誤を繰り返しながら設計を進めました。
その結果、RFレンズは高い描写性能と使いやすさを両立した製品になったと考えています。
井野氏: ここからは光学設計側の苦労についてお答えします。
通常のレンズ開発であれば光学設計を行い、それに合わせてメカ設計に調整してもらうという流れになります。しかし、今回のレンズに関しては、ある意味逆の側面があり、メカ設計が先に決まり、そこに光学設計を組み込んでいくという工程もありました。
もちろん、初期段階では光学設計側から共通化のための配置や光学的な提案を行いましたが、複数レンズを同時に設計する必要があったため、非常に大変でした。VCMの採用など、様々な意見を出し合い、VCMが採用されたからこそ実現できた部分も大きいです。
特に苦労したのは、複数レンズを同時に、しかも高精度に設計する必要があったことです。精度が低いと、後々レンズが組み込めなくなる可能性がありました。そのため、全てのレンズで最適な解を早い段階で高い精度で見つけることが非常に大変でした。
――ブリージング対策では、どのような点でご苦労されましたか?
井野氏: 光学設計の観点からお話させていただきます。苦労話というよりも、当初から動画・静止画のハイブリッド利用が想定されていたため、ブリージング現象の抑制は必須課題でした。今回のレンズでは、ブリージング抑制のために、2つのレンズ群を動かす必要があることが当初からわかっており、そのためのフローティングフォーカス機構をメカ・電気設計チームに搭載してもらうことになりました。
豊田氏: 電気設計の観点からお答えします。先ほど説明があったように、フローティングフォーカス機構が採用されたため、2つのレンズ群を制御する必要が生じました。今回はVCMでフォーカス群を制御し、ナノUSMでフローティング群を制御しています。
そのため、両レンズ群の位置が常に同期された関係になるよう、マイクロメートル単位での高精度な制御を実現することに苦労しました。これを達成したことで、ブリージング現象を大幅に抑制することができたと考えています。
―ワンマン撮影など様々な現場で、動画カメラマンとスチールカメラマンが分かれていた現場でも、一緒に撮影してほしいという機会が増えているとよく聞きます。そのような状況下において、このレンズシリーズは非常に最適であり、需要は今後ますます増えていくと思われます。キヤノンとして、動画と静止画のハイブリッドレンズが登場したことで、どのような方に使ってほしいか、あるいは何かアピールがあれば、最後にまとめ的な言葉で教えていただきたいのですが、いかがでしょうか?
齋藤氏: 静止画と動画のハイブリッドということで、静止画に求められるのは、やはりAFが高速で高精度なところだと思います。対して動画では、滑らかで静かなピント合わせができるというところを狙っています。そこを両立させるということを目指して、このF1.4シリーズは開発を進めてきています。
今回VCMを採用したことによって、大きな推力を得ることができ、リングUSMに代わって小型化を実現できました。静かなAFもVCMを採用したことによって実現できています。このレンズシリーズはフォーカス群でVCM、フローティング群でナノUSMを使っていて、2種類のアクチュエーターをうまく制御することによって、ピントをマイクロメートル単位で細かく制御しつつ、フォーカスブリージングを抑制することができているので、動画・静止画ともにユーザーに満足していただける性能に仕上がっていると思います。特にAF性能は自信があります。
加えて、開放F1.4ということで、非常に明るくボケ感が大きく被写界深度が浅いので、印象的に美しく撮っていただけると思います。また、弊社では「MF操作敏感度」設定という、他社のリニア・ノンリニア設定にあたるフォーカスリング設定がカメラ側にありますので、回転角度と回転速度で違った設定が使っていただけます。動画の時もユーザーの意図に合わせた表現が可能です。
さらには、外装の共通化によって撮影アクセサリーの共通化も容易となり、フィルター径も同じものを使えます。ジンバル撮影の時も、もしかしたら一回一回、重量バランスが違うので、調整は必要かもしれませんが、基本的には同じような構成で使えるはずで、非常に取り回しがよく、機動力の高いものに仕上がっていると思います。
奥村氏:私も現場に時々行くのですが、体感として、静止画のほかに動画も撮影するという方が増えてきていると感じています。フォトグラファーについても静止画7、動画3というように、静止画・動画双方を撮影されるプロの方も多くいらっしゃいます。
動画コンテンツのニーズが高まっているため、動画撮影へのこだわりやユースケースも多様になっています。最近ではソーシャルメディアの発達もあり、小さな機材で副業でもプロとして活躍される方も増えていると思います。
そういった方たちに向けて、小型軽量かつ手の届く価格帯で、ここまで高品質なものができたのが、弊社としてはラインナップとしての強みだと思っています。お客様の選択肢として、ぜひ用途に合わせて選んでいただけたらと思っています。
「なぜVCM?」話を聞くことができる前までは、そう思っていた。しかし、インタビューを通して、その疑問は解決した。しかも小型軽量化の背景をここまで丁寧に教えていただけたのは驚きだった。今後、確実に動画撮影の需要はますます増えていくはずである。そんな時、「開放絞り値F1.4単焦点Lレンズシリーズ」は、強い味方になってくれるに違いない。
今後登場が予想されるシリーズ展開にも期待が高まる。「開放絞り値F1.4単焦点Lレンズシリーズ」に注目だ。
クリエイティブ・ソリューション部門アクセサリー担当シニアディレクターのドミニク・アイエロ氏は次のようにコメントしている。
アイエロ氏:ソニー製カメラ用のアクセサリーを追加することは、当初からの計画の一部でした。
私たちは、ゴールドマウント・プラスやBマウントのような新しいバッテリースタイルに対応するアクセサリーを設計してきました。様々な機能を提供するアダプターであるD-Boxの人気が高まる中、私たちはその新バージョンを作る必要があると感じていました。
DC-In電源によるオンボードのホットスワップ機能により、このD-Boxは電源間のシームレスな移行を可能とする。アクセサリーの電源分配を拡張するために、5ピンEXTポートはVENICE電源タップへの接続を可能にし、複数のアクセサリーに効率的に電源を供給することができる。このアップグレードは、VENICE GoldまたはV-Mount D-Boxをすでに所有しており、システム全体を交換することなく電源効率の向上を望むユーザーに有効である。
また、Gold Mount Plus D-Boxには、15Vの安定化された2つのD-Tapコネクターが搭載されており、コネクター間で最大5.8Aの電流定格を共有することで、外部アクセサリーに電力を供給する柔軟性を提供する。その他のコネクターには、カメラ本体に電力を供給する4ピンXLRケーブルと、DC IN用の8ピン2Bコネクターが含まれる。
このD-Boxには、リアルタイムで更新されるLEDインジケーターも搭載されている。
Gold Mount Plus D-Boxは、単体のアクセサリーとして、またはケーブルと電源タップを含むシステムとして購入可能である。
ドミニク・アイエロ氏は次のようにコメントしている。
アイエロ氏:当初から、私たちはLPLマウントをソニーのコレクションに更新したいと考えていました。レンズデータがどれほど重要であるかを理解しているため、このマウントをリリースする前に、この機能が完璧であることを確実にするために、何度もテストを行う必要があることはわかっていました。
ARRI LPLマウント for ソニーVENICE、VENICE 2、BURANOは、ARRIシグネチャープライムレンズをソニーのハイエンドシネマカメラに統合し、レンズのポゴコネクタを直接接続して、メタデータのパススルーを可能にする。このマウントは、スマートレンズからの内部/iレンズデータまたはリモートフォーカスモータードライバーからの外部レンズデータをカメラに直接伝送する。
外部データ伝送の場合、DCSのワイヤレスレンズエンコーダー「LDT-R2」または「LDT-V2」を接続することで、カメラ映像のメタデータヘッダーにレンズのリアルタイム値を直接記録し、あらゆるレンズをスマートレンズに変えることができる。
このマウントは、高精度な製造と正確なフレア効果を特長とし、植毛加工されたアルミニウム構造により、不要な反射やフレアアーティファクトを最小限に抑える。業界標準に準拠した工場出荷時のキャリブレーションが施され、フランジバックの微調整が可能な設計となっている。
さらに汎用性を高めるため、ARRI LPL to PL Adapterは完全な互換性を備えており、データパススルーを維持しながら標準PLレンズからLPLレンズに切り替えることができる。
このマウントは、以下の製品と互換性がある。
詳細はWooden Camera公式サイトを参照してほしい。
]]>ソニーのPlayStationは、世界中のPS5コミュニティを結び付ける新しいライブスタジオイベントである「PlayStation Tournaments:XP」でeスポーツの地位を高めている。白熱のトーナメント式プレイとスタジオでの放送を組み合わせたイベントにおいて、プレイヤーは「EA Sports FC 25」、「鉄拳8」、「フォートナイト」、「アストロボット」で競い合う。
同イベントでは、世界中からのプレイヤーがオンライン予選を経て、ライブでの熾烈な決勝へ進むことになる。予選通過者は、PlayStationのボタンの形(トライアングル、サークル、クロス、スクエア)に基づく4チームに割り振られ、賞金と初代チャンピオンを目指して戦いを繰り広げる。
ビデオ制作会社「High Viz Media」はファンを夢中にさせるための綿密な計画と調整を行い同配信を行った。
High Viz Mediaと緊密に協力し、フリーランスの放送プロデューサー兼ディレクターであるサム・ディーンズ氏がディレクターと映像のミックスを担当した。同氏は、使用されたビデオ信号の量の多さなど、多数の難点について次のようにコメントしている。
ディーンズ氏:映像のミックスには42のビデオ入力が常に使用されていました。
リグ組みと撤収を含めて、会場にはわずか36時間しかいませんでした。これほど大規模で複雑な制作において、信じられないほど短い作業時間でした。
ATEM Constellation 8Kでは、入力が特定の解像度やフレームレートに固定やリファレンスされる必要がないため、ゲームプレイのフィードを扱う上で非常に便利だとディーンズ氏は説明する。
ディーンズ氏:スイッチャーは、ビデオ入力のエンベデッドオーディオ信号を扱えます。これは、eスポーツやゲームプレイの撮影に関してはとても重要です。
また、ATEM 4 M/E Advanced Panelでは、膨大な量のビデオ入力を処理しながら、映像のミックスを高速かつダイナミックに実行できたので、トーナメントの撮影に最適だったという。
ディーンズ氏:ダウンストリームのグラフィックとカスタムメイドのコントロールシステムにより、ATEMのAPIを用いたワークフローが活用され、マッチ間の複雑な複数のM/Eカットを実行できました。
円形のステージには12台のカスタマイズされたPlayStation 5(PS5)のステーションが設置され、それぞれにプレイヤーを撮影するビデオ、オーディオ、ネットワークシステムが装備された。さらに、専用のキャスタースタジオで実況中継が行われ、ミラー配信エリアでは5人のTwitchクリエイターが、メイン放送のゲームプレイとカメラフィードにアクセスできるシンプルなセットアップを使用して、別のスタイルで配信を行った。
同ワークフローでは、DeckLink Duo 2キャプチャー・再生カードがvMixソフトウェアにインジェストし、オールインワンのソフトウェアで映像のミックスを行い、SDIビデオルーターであるBlackmagic Videohub 40x40 12Gが、ホストの放送信号を5つのミラー配信セットアップすべてに分配した。
他の重要な要件が、各PS5のフィードがATEM Constellation 8Kに到達する前に、グラフィックのオーバーレイが追加されている必要があることだった。これは、DeckLink Quad 2キャプチャー・再生カードを用いて、4台のPCでvMixを使用して、3つのゲームプレイのフィードを処理することで実行された。
ディーンズ氏:これらのカードは、あらゆるSDIポートを入力または出力として使用できるため理想的です。プロダクションに12のグラフィックチャネルを追加できるコスト効率の高い、優れた方法です。