ソニー、パナソニックなど主要メーカー各社が相次いで新製品を発表。ローコスト制作と3Dコンテンツ制作に向けた取り組みが加速

明日のエキシビション開始を前にして各ブースの工事がほぼ片付き、建設機械が会場から続々と撤収している。いよいよ本番開始かと胸が高鳴る。

エキジビション開幕前日となる日曜日は、プレスカンファレンスが目白押しだ。今年も、パナソニック、Autodesk、ソニーの各社が相次いで新製品を発表した。例年は、市内全域のホテルで開催されるプレスカンファレンスだが、今年はNAB Show会場のラスベガス・コンベンションセンター内が中心となった。

全体的な傾向としては、制作の多様化に対応するためのソリューションが進んできた。各社ともよりローコスト、より効率的な制作ワークフローの実現に向けた製品強化を行っている。ハイエンド制作ではソニーとパナソニックが3Dコンテンツへの対応を加速してきている。ローコスト制作への対応は、パナソニックが業務用市場に向けAVCCAMシリーズのAG-HMC45を発表したほか、ソニーが報道だけでなく映画やCM制作にも活用できる23.98p記録・再生に対応したXDCAM HD422シリーズのカムコーダー、レコーダー、フィールドステーションを発表した。

メディアのコストダウン面では、パナソニックがP2カードにEシリーズを追加する。現行のAシリーズの転送速度をさらに高速化し、1.2Gbpsの転送速度を実現しながらも、価格は約半分に抑えていることが特徴だ。編集面では、オートデスクが編集・コンポジット製品の新バージョン2010を発売し、カラーグレーディングのLustre 2009 Extention1を4月22日から提供する。さらに、Inferno/Flameユーザー向けに発売するコンパニオンソフトウェアFlareを発表した。Inferno、Flameと連携し、コンポジット作業を複数のマシンでサポートするためのソフトウェアになっている。

041901.jpg ブース工事がほぼ完了。なかには、まだ何も施工されていない部分も…。

RIMG0386.JPG NABの各カンファレンスは非常に充実しており定評がある。各セッションが多数行われているので機会があれば参加してみるのもよいだろう。

ソニープレスカンファレンス

ソニー XDCAM HD422カムコーダー新ラインアップを発表

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ソニーは、50Mbps・4:2:2サンプリング対応のXDCAM HD422シリーズの新製品として、カムコーダーPDW-F800、レコーダーPDW-F1600、フィールドステーションPDW-HR1の3機種を7月上旬に発売すると発表した。XDCAM HDが活用されてきた報道現場だけでなく、映画やCM制作にも活用できるように機能を強化。ディスクベース収録環境を、より広範囲で活用できるように機能改善してきている。23.98p記録・再生に対応したほか、ファイル転送をPCを使用せずに行うことが可能なダイレクトFTP機能を搭載している。MPEG HD422(50Mbps)、MPEG HD(35Mbps/25Mbps)、MPEG IMX(50Mbps/40Mbps/30Mbps)、DVCAM(25Mbps)の記録・再生に対応しているほか、MPEG HD(18Mbps)の再生、HD4:2:0・SDの記録・再生にも対応している。

パナソニック プレスカンファレンス

パナソニック よりローコストな業務制作に対応するAVCCAMを追加

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パナソニックは、よりローコストな業務制作に対応するため、AVCHDコーデックとSDカード記録を採用したAVCCAMシリーズのラインアップにAG-HMC45を追加する。1/4.1型305万画素プログレッシブ3MOS(動画有効画素は約200万画素)を採用し、AVCHD規格の最大ビットレートである最大24Mbpsでの記録が可能(平均21Mbps)。1kgの小型ボディーには、着脱式ハンドルを装着でき、オプションで着脱式XLRマイクロホンアダプタを追加できる。業務用ミニDVカメラレコーダーを使用しているユーザーにHD制作への移行を促す製品としても注目されそうだ。日本での価格は未定だが、8月に発売する予定。

オートデスク Inferno/Flameユーザー向けにコンパニオンソフトFlareを発売

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オートデスクは、制作を効率化するためのコンパニオンソフトウェアFlareを発売すると発表した。

コンポジティングシステムのInferno/Flameは、ノードを組み合わせるインタフェースを採用しているため、アーティストの育成には時間を要していた。同じインタフェースを使用し機能を限定したcombustionも発売しているが、より密接にInferno/Flameと連携し、ワークフローで分業可能なソフトウェアとしてFlameを投入することにした。

人材育成と生産性向上の視点からFlareはフローティングライセンスで提供するが、オートデスクでは初となるInferno/Flameユーザー限定という特殊な販売形式となる。従来の各製品2009年度版から、映像編集システムとしては Smoke が、VFXシステムとしては Flint がそれぞれ Smoke 2010、 Flint 2010 として、2010年版として発表され、3DCGソフトウェアとしては 3ds MAX が 3d smax 2010 として2010年版が発表される模様だ。

例年複数会場で開催され、梯子状態になる恒例のパーティーも今夜は数えるほど。オートデスクはラスベガス最高級ホテル「ウィーン」でユーザー会として開催した。ユーザーとメーカの人間が一堂に会し思わぬ発見やスニークレビューとなるのが好例だ。