いよいよエキシビションがスタート!ブース配置が大きく様変わり

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人でごった返す会場

人でごった返す会場

20日、エキシビションが開幕した。昨日までの閑散とした雰囲気には、いったいどんなエキシビションになるのかと不安もあった。しかし、実際に始まってしまえば、杞憂だったとも言える。苦しい状況だからこそ新しいものを求めて、続々と参加者が集まってくる。気付けば、プレスルームも席が足りないほどの大にぎわいだ。

今年のブース配置は昨年までと大きく様変わりした。大きなところでは、ソニー、キヤノンがセンターホールへと移動した。Thomsonは、Grass Valleyでの出展となり、赤から緑へコーポレートカラーが変更になって出展している。また、昨年は出展しなかったAvid Technologyは、サウスホールの2階で復活を果たした。

このAvid Technologyだが、今年はプレスカンファレンスや製品内覧会は実施しなかった。しかし、ユーザー向けのイベントとして、20時からハードロック・ホテル隣接のイベントホールThe Jointで、ユーザーイベントを実施した。

また同社は、その新しい局面に対して新しいCIも披露した。一見ゲーム機やリモコンの操作アイコンチックだが、非常にPOPで好感が持て、印象的なデザインだ。

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前のロゴからポップなデザインへと若返った印象だ。

3DCGアニメーション制作ツールを開発していた子会社のSoftimageをAutodeskに売却して初めてのNAB Showであったが、イベントには数千人が集まり、業界スタンダードの編集製品を開発してきた勢いは変わっていないことを見せつけられたようだった。

日本でユーザーイベントとなると、どことなくショボイ感じがするものだ。あまり制作技術を公開したがらないためでもあるのだが、米国におけるユーザーイベントは、盛り上がり方が違う。これは、Avidだけでなく、他のユーザーイベントでも同様だ。イベントで集まった人たちの中でコミュニティが成熟し、技術交換もなされていく。Avidのユーザー会では「Come Together!(さぁ、みんな一緒にやろうぜ!良い方に動こう!)」というテーマを掲げていたが、まさにコミュニティが技術を育て、生まれた技術がコミュニティで継承されていくことは言うまでもない。ユーザなくしてソフトウェアは育たないのである。

21日はリオ・ホテルで夕方から深夜に書けてFinal Cut User Groupの有料イベントが行われる。ユーザーコミュニティのパワーを垣間みたい人は、ぜひ覗いてみて欲しい。ユーザーコミュニティが成熟することによって、メーカー各社をも巻き込んで大きくなっていることが理解できるはずだ。

キーワードは3D、また新たに注目される3Dの隆盛!

会場を歩くとやはり3Dというキーワードが目につく、また注目されているのが3Dである。アメリカでは映画も3Dで上映される作品も多くなり、外せない分野となっている。今回のNABではいくつかの新機軸が導入された。その一つがこの3Dパビリオンと呼ばれる立体視関連製品を専門に扱う零細メーカーの集合ブースから気になるもをピックアップ!

3Dパビリオンにて、ETRI社など、UMPCでの立体視システム他を発表

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ETRI社による3DDMB(3D Digital Multimedia Broadcasting)はVAIO typeUを使い、無線LAN環境でのモバイル立体視を実現させて注目を集めていた。また、American Paper Optics社では、様々なデザインや印刷の立体視めがねの展示を行っており、従来の少々不格好な立体視めがねからの脱却を目指す製品発表を行っていた。

隣国韓国では国を挙げての営業ブースも出展

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3Dパビリオン参加企業などの分割ブース参加企業は、その多くが韓国メーカーである。韓国は自国製品を売り込むためのKOREAブースも出しており、国策として映像産業育成に力を注いでいることが伺える。昨今の韓流ブームなど、日本から見ると強力なライバル国だけに、国策としてこうした売り込みを積極的に行って急速に力をつける韓国映像業界の動向が気になるところだ。

Handsfree-Transpoter社、セグウェイベースのカメラトランスポートを発表

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Handsfree-Transpoter社は、セグウェイベースのカメラトランスポートを発表した。NAB会場のあちこちを走り回っていたので気がついた人も多いはずだ。このHandsfree-Transpoterは、ステディカムと組み合わせることにより機能を発揮し、人力ではスムーズな運搬の困難なステディカム付きのフルシステムのカメラ装備をセグウェイ特有の迅速さと静音さで運用することが可能だ。ステディカム装置以外の本体価格は、NAB期間中で15000米ドルとのこと。

BMS社、携帯型ダイバシティ映像レシーバー Carry-Viewer III を発表

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BMS社(Broadcast Microwave Services, Inc.)では、携帯型ダイバシティ映像レシーバー Carry-Viewer III を発表した。これは、同社製のCOFDM無線トランスミッター CTxx20シリーズなどと組み合わせて用いることが出来、それによりカメラから完全に切り離された完全無線環境下でのモニタリングが可能となる。BMS社では、たとえば撮影場所の制限されるスポーツ中継などだけでなく、上空のヘリで撮影している映像を地上からリアルタイムでモニタリングすることなども可能だとしている。Carry-Viewer III は1024×768のLCDハイレゾモニタを採用し、直射日光下での視認性も高い。バッテリー駆動時間は公称3時間、重量はバッテリー込みで約3ポンド(約1.36kg)となっている。

米陸軍、NAB会場で Broadcast Operationを展開

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米国陸軍は、Broadcast Operation としてNAB会場にブースを展開。在日米軍も含む全米国陸軍に関する広報活動を行っている。また、ブースでは陸軍機関誌「WARRIOR CITIZEN」を無料配布している。普段は米国陸軍関係者以外には入手が難しいものなので、興味のある人はこれを機に入手してみても良いだろう。

Content Commerce パビリオンで、映像作品買い付けを促進

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NABのもう一つの側面が、商業契約の場だ。今回のNABではそこをさらに推し進めた映像権利販売専門パビリオン「Content Commerce パビリオン」を設置し映画会社、映像制作各社との商談を進める体制を取っていた。日本のこの手の展示会では見られない光景だが、こうした支援策があって初めて3成り立つのが映像ビジネスというものではないだろうか。

ProPrompter社、iPhoneを使ったプロンプターシステムを発表

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ProPrompter社は、iPHONEを使ったプロンプターシステム「ProPrompter Software for iPhone」およびそのカメラ取り付け台「ProPrompter Wing」を発表した。「ProPrompter Software for iPhone」本体は、ネットからダウンロードして無料で利用でき、その管理ソフトウェアである「ProPrompter Producer management service」も30日間のフリートライアルを試すこともできる。「ProPrompter Producer management service」は1年間の保守料込みで通常995ドル。「ProPrompter Wing」は通常129米ドル。

Bell Helicopter社、Bell 206 L-4 撮影装備型を実機展示

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Bell Helicopter社は、Bell 206 L-4 撮影装備型をNAB会場内に実機展示した。Bell 206 L-4はBell社の誇る最新型ヘリコプターで、この撮影装備型は、軍用装備型の機銃ポッドの代わりにFLIRのHDカメラポッドを取り付け、後席にモニタ装置とカメラポッドコントロール装置一式を設置したものである。本機の特徴として、前席助手席側にも2面さらには縦席側にも1面のモニタを用意しており、操縦者が実際の撮影映像を見ながら飛行することが容易になっている。また、カメラポッドは操縦席足下の窓からも直接目視確認することが可能で、直感的な撮影飛行を容易なものとしている。本機の航続時間は3.7時間、航続距離は600kmの長大なものであり、操縦士を含めた7名のスタッフを乗せての撮影運用が可能となっている。

SiS Live社、カーボンファイバ製超軽量衛星アンテナを発表

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SiS Live社はカーボンファイバ製超軽量衛星アンテナを含む放送中継システムを発表した。アンテナ部の重量は30㎏。このアンテナを含んだuPodシステムを利用することにより、従来巨大な放送中継車が必要だった中継場面において小型車両一台での運用を可能にした。NAB会場には、超小型車であるMINI Clubmanへの実装車両が展示されており、話題を集めていた。日本では道交法の問題もあるが、物理的には軽ミニバン放送車などという実現可能性まで秘めた、画期的な軽量中継システムといえる。