前回予告した通り、目的に合わせたブースをピックアップし、最小限の力で最大の効果が得られる編集部謹製「Inter BEE 2009の歩き方」をお送りする。 歩き方は、5コース用意。それぞれInter BEE 2009会場内で新製品や最新ソリューションを効果的に見て回れるように、各コースにつき見逃せない10ブースピックアップしている。


Aコースは、読者の皆さんがもっとも関心度が高いファイルベース制作に焦点を当て、収録から編集までのワークフローに必要なものをピックアップした。基本コースは、利用範囲の広いハンディ型カメラレコーダーとその編集環境を紹介する。

ファイルベース制作は、現在の制作ワークフローのトレンドでもある。RED ONEの登場により、今年はデジタル一眼レフカメラを使用したビデオ撮影もクロースアップしてきた。すでに米国では、DSMC(=Digital Still & Motion Camera)として収録サポート用機材がサードパーティーから発売されるなど、今後の収録環境として検討/活用すべきものとして認知されるまでに成長してきている。

Aコースの10ブースだけでは、ファイルベース制作の全貌が分かるというものでもない。そこで、カメラ、レンズ、ディスクレコーダー、HDノンリニア、入出力カード/エンコーダー、メディア管理/共有といった分野ごとに、オプションのブース/製品を挙げておいた。それぞれの業務分野に応じて追加してもらえればと思う。それでは、Aコースを見て行こう。

1ブラックマジックデザイン

(ブース#5107)


UltraScope
Blackmagic_UltraScope.jpgビデオ入出力カード製品/ルーティングスイッチャー製品/コンバータ製品を扱ってきたブラックマジックデザインが、今年のNAB Showで発表したモニタ用ソリューションがUltraScopeだ。入出力用のPCI ExpressカードとWindows用ソフトウェアの組み合わせで提供される。3Gb/s SDI/光ファイバーSDIに対応し、ビデオプレビューしながら、RGBパレード、波形モニタ、ベクトルスコープ、ヒストグラム、オーディオレベルをモニタリングすることができる。
2アビッド テクノロジー

(ブース#5110)


Media Composer
Avid_MediaComposer.jpg新しい会社ロゴに変更してNAB Showに戻ってきたアビッド。ユーザー視点での開発というコンセプトを打ち出してから初の国内出展となる。ノンリニア編集システムの草分け的存在のMedia Composerも、より幅拾い分野での制作に対応できるように進化している。v3.5ではXDCAMとステレオスコピック3Dオフライン編集に対応したが、新バージョンv4.0では、GFCAM 100Mbネイティブ編集、パナソニックAVC-Iエンコードに対応したほか、Mac版でPro Tools Video Satelliteをサポートする。
3パナソニック

(ブース#6213)


AVCCAM AG-HMC45
Panasonic_AG-HMC45.jpgパナソニックはAVCHDベースの業務用カメラレコーダーAVCCAMのラインアップを充実させてきている。ハイエンド市場ではAVC IntraのP2HDが中心となるだろうが、プロ向けだけでなくエントリーレベルのノンリニア編集システムでも扱えるAVCHDは、広範囲な業務で活用できるカメラと言える。今夏発売したAG-HMC45は、コンパクトなボディながら、フルHD収録とAVCHDフルビットレート(最大24Mbps)での記録が可能で、オプションでXLR入力にも対応している。
4マトロックス

(ブース#7104)


MXO2 mini、Axio LE
Matrox_MXO2mini.jpgマトロックスは、Mac/Final Cut Studio用ソリューションとWindows/Adobe CS4 Production Premium用のソリューションを提供している。今年は、リアルタイムH.264エンコード技術Matrox MAXテクノロジーを発表。アクセラレーションカードCompress HDほか、入出力製品群にMatrox MAXテクノロジー搭載モデルを設定した。Mac/Windows両対応の小型入出力デバイスMXO2 Miniは、HDMI入出力とアナログ入出力に対応するエントリーモデルだ。WindowsのターンキーモデルAxio LE/RT.X2は、HP製Zシリーズで高速化/低価格化を図った。
5トムソン・カノープス

(ブース#7212)


EDIUS Pro 5、EDIUS Neo 2 Booster
ThomsonCanopus_EdiusNeo2.jpg近年、番組編集制作ソリューションで導入実績を伸ばしてきたのがトムソン・カノープスだ。ノンリニア編集ソリューションのEDIUS Pro 5ベースのターンキーHDWS/REXCEEDは、オプション対応で各社のカメラレコーダーに早期に対応してきた信頼感を得ている。放送業務用途でAVCHD制作が少ないことから、残念ながらAVCHDネイティブでの対応はなされていないが、AVCHD対応はエントリー向け製品EDIUS Neoシリーズで対応を強化している。11月中旬には新開発のAVCHDエンジンでネイティブ編集を可能にしたEDIUS Neo 2 Boosterが発売される。
6ソニー

(ブース#8212)

/ソニークリエイティブ
XDCAM EX PMW-EX1R、PMW-350K/Vegas Pro 9
SONY_PMW-EX1R.jpgソニーのファイルベースカムコーダーと言えば、XDCAM HD422/XDCAM EXシリーズだろう。アーカイブまで考えるならディスクベースのXDCAM HD422だろうが、メモリベースで小型のXDCAM EXは取り回しの良さは捨てがたい魅力だ。今年は、従来のEX1をリニューアルしたEX1Rに加え、2/3型センサー搭載の肩乗せタイプの本格派PMW-350Kも登場する。昨年のInter BEEで発表したカメラとメモリー記録部を分離しAVCHDを採用した まめカム も活用されるようになり、撮影内容に応じてカメラ機材を使い分けられるようになった。編集面で注目したいのはソニークリエイティブのVegas Pro 9だ。パナソニック系コーデックには対応していないが、AVCHDやREDCODE RAWはネイティブで扱える。再生フレームをキャッシュしながらの編集は快適だ。
7西華産業

(ブース#8409)


RED Digital Cinema SCARLET
RED_Scarlet.jpgDSMC分野を切り拓き、4K編集の可能性を広めたRED ONEの登場から2年が過ぎ、各社のノンリニア編集ソフトウェアがREDCODE RAWの取り扱いを可能にしてきている。撮影スタイルに合わせて組み合わせることが可能なオプション製品も増え、番組、CM、映画などさまざまな分野で活用が進んできている。RED Digital Cinemaの今秋のトピックは、新製品としてアナウンスされている3K/5K/6Kに対応するSCARLETと5K/6K/9K/28Kに対応するEPICがお披露目になるかどうかだろう。特にビデオカメラ系のユーザーにとっては、2/3型センサーを使用し、3Kで1〜120fps収録を可能にした3K SCARLETが興味深いのではと思う。
8アスク

(ブース#8302)


AJA Video Systems KiPRO
AJA_KiPRO.jpgアスクが取り扱うAJA Video Systems製品では、KiPROに注目だ。AJAはこれまで、アップルFinal Cut Studioのノンリニア編集サポート製品として入出力デバイスを提供してきた。今回発売されたKiProは、Final Cut Studioとの連携を維持しながらも、ビデオ収録サポート製品としての位置付けになる。ビデオキャプチャ段階で制作用コーデックProResに変換するのではなく、収録と同時にProRes記録することで編集作業を効率化する。カメラのビデオ出力を使用しているので、AVCHDからXDCAM HD/P2HD/GFCAMまで、DV/HDVからHDCAM/DVCPRO HDまで、ファイルベース/テープベース問わず利用が可能だ。
9日本ビクター

(アスクブース#8302)


ProHD GY-HM100/700
JVC_GY-HM100.jpg日本ビクターは、業務用機器ブランドをJVCに統一。業務用カメラレコーダーPro HDシリーズもファイルベース化を行って日本再上陸した。残念ながら、Inter BEEでのブース出展は行っていないが、パートナーブースのアスク、三友での展示をしている。ハンディ型カメラレコーダーGY-HM100/ショルダー型カメラレコーダーGY-HM700は本体記録メモリカードにSDHCカードを採用。Final Cut Proで変換なしに利用できるQuickTimeフォーマットか、各種ノンリニア編集システムで利用可能なソニーSxSカード記録に使用されているMP4フォーマットで収録できる。GY-HM700では、オプションのSxSメモリーカードレコーダーKA-MR100Gを使用して、SxSカードに記録することも可能だ。
10ローランド

(ブース#8002)


F-1、VC-50HD
Roland_F-1.jpgHDV/DVビデオカメラのファイルベース化に取り組んでいるのはローランドだ。音響機器メーカーとしての視点を採り入れ、大音響のライブ会場での収録にも対応可能な振動対策を施したハードディスクレコーダーF-1を発売している。記録部は、オプションでソリッドステートディスクも利用可能だ。今春登場したVer.2では、従来のHDV/DV 25Mbps記録に加えて、MPEG2 TS 2〜50Mbps記録にも対応し、同時に発表したビデオコンバーターVC-50HDと組み合わせて利用できるようになった。VC-50HDは、HDMI出力でモニター出力しつつ、HDV/DV 25MbpsまたはMPEG2 TS 2〜50MbpsのIEEE 1394と非圧縮のHD/SD-SDIを双方向変換できる。
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ファイルベース制作は大雑把に言えば、収録、ビデオキャプチャ(デジタイズ)、編集、出力といった流れになる。基本コースの10ブースだけでは紹介しきれないのは当然で、各工程ごとに見ておきたいブース/製品が複数存在してしまう。そこで、自分の担当する部分をより詳しく知ることができるようなオプションを6つ設定することにした。オプションは、カメラ本体、レンズ、ディスクレコーダー、HDノンリニア製品、入出力カード/エンコーダー、メディア管理/共有といった部門に分けているので、基本コースに加えて回ってもらえば、より深く、ファイルベース制作について見て行くことができるだろう。

Aコース オプション1:カメラ本体系

A基本コースでは,ハンディカメラを中心としていた。ここではよりハイエンドな制作にも対応できるカメラレコーダーを中心に紹介する。

1池上通信機

(ブース#5312)
GFCAM

データ送出用にも活用されるフラッシュメモリレコーダGFSTATIONとの連携でスムースな運用

2パナソニック

(ブース#6213)
P2HD Varicam AJ-HPX3700G

RGB4:4:4のP-10Logガンマ出力の非圧縮ディスクレコーダー収録で映像品質向上を提案

3ソニー

(ブース#8212)
CineAlta HDCAM-SR SRW-9000

NAB Showで参考出展された初の肩乗せ型カムコーダHDCAM SRがついに年内発売予定

4ナックイメージテクノロジー

(ブース#7109)
ARRIFLEX D21

35mmフィルムカメラと同サイズのセンサーを使用したデジタルシネマカメラ

5西華産業

(ブース#8409)
RED Digital Cinema RED ONE/EPIC

4Kデジタルシネマ普及機RED ONEと、次世代超高解像度シネマ制作に対応するEPIC

6キヤノン

(ブース#8408)
EOS 1Ds、EOS 7D、EOS 5D Mark II

デジタル一眼フルHD収録に道を開いた5D Mark IIに、兄弟機1Dsと7Dが新たに登場


Aコース オプション2:レンズ系

オプション1のカメラ系では、レンズ交換式の製品が多く含まれている。ここではレンズ取り扱いブースを中心に紹介する。

1ナックイメージテクノロジー

(ブース#7109)
ツァイスレンズ、angenieux OPTIMOレンズ

世界初のツァイス認定サービスセンター開設。OPTIMOは4K/5K収録対応のPLマウントレンズ

2フジノン

(ブース#8211)
35mmPLマウントズームレンズHK4.7×18

4Kデジタルシネマ/16mm・35mmフィルム両対応の4.7倍ズームレンズ

3西華産業

(ブース#8409)
RED Digital Cinema RED PRO PRIME SET

コストパフォーマンスに優れた25mm, 35mm, 50mm, 85mm, 100mmのプライムレンズセット

4キヤノン

(ブース#8408)
HDズームレンズKJ22e×7.6B、KT14×4.4B KRS

高解像度・高コントラスト22倍ズームレンズと、コストパフォーマンス重視の14倍ズームレンズ


Aコース オプション3:ディスクレコーダー系

ファイルベース制作に欠かせない機器と言えば、ディスクレコーダーだろう。テープベースのカメラであっても、ディスクレコーダーがあればファイルベース運用が可能になる。HDV/DVのファイルベース用から4K収録可能なものまで、さまざまなものが出揃ってきている。

1計測技術研究所

(ブース#5005)
UDR-D100

RGB4:4:4収録やHD2系統同期収録が可能。ARRIデータモードやVaricam P-10Logにも対応可能

2池上通信機

(ブース#5312)
GFSTATIONシリーズ

フラッシュメモリパックGFPAKのほか内蔵メモリにもMPEG2 MXF形式でフルHD収録可能

3報映産業

(ブース#5514)
FOCUS Enhancements FS-5

DV/HDVカメラに対応し、HDVはQuickTime/m2t HDV/MXF HDVで記録可能なレコーダー

4アミュレット

(ブース#6502)
Shinning Technology CitiDISK FlashMem

SSDを採用。DV/HDV/DVCPROからQuickTime/AVI収録、HDVからm2tで記録

5テクノハウス

(ブース#7103)
Convergent Design nanoFLASH、Flash XDR

市販コンパクトフラッシュにSONY MPEG2コーデック方式で記録可能なレコーダーデバイス

6ソニー

(ブース#7103)
HDCAM-SRディスクレコーダSRW-1、SRPC-1

デジタルシネマカメラと連携したRGB4:4:4収録、HDカメラ2台による同期収録が可能なレコーダ

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オプション4:HDノンリニア系

ファイルベース編集に欠かせないノンリニア編集システム。ここではよりハイエンドな製品に焦点を当てる。シーンのルックを設定/統一するのに必要不可欠な存在のカラーグレーディングシステムについても採り上げてみた。

1ブラックマジックデザイン

(ブース#5107)
DaVinci

DaVinci Systemsを取得して初の展示会。カラコレシステムやフィルムシステムの公開はあるか?

2アビッド テクノロジー

(ブース#5110)
Avid DS

コンフォーム用Media Composerとリモートプロセッシング用DS RPを活用可能な合成環境

3IMAGICAデジックス

(ブース#8409)
DVS製CLIPSTER4K

RED ONEの4K REDCODE RAWをレンダリングなしにリアルタイム再生できる

4オートデスク

(ブース#5110)
Inferno、Flame、Smoke、Lustre

3DCG連携やステレオスコピック3D制作、カラーグレーディング作業の効率化を推進


Aコース オプション5:ビデオ入出力系/エンコーダー系

収録された素材をノンリニア編集システムで扱えるようにするビデオキャプチャには、ビデオ入出力カード/デバイスが欠かせない。出力についても品質を向上させつつ、スピーディーに行うためにはエンコーダーも欠かせない。ここでは、こうしたビデオ入出力/エンコーダー関連製品を採り上げてみた。

1クレッセント/カンバス

(ブース#5502)
Bluefish 444 EPOCK|2K ULTRA/Sirius Blu

12bit非圧縮4:4:4RGB/10bit非圧縮4:2:2YUV素材から業務用Blu-rau Discオーサリング

2メインコンセプト

(ブース#5302)
MainConcept Reference

MPEG2, H.264, DVCPRO HD, JPEG2000など各種コーデック用のエンコーダを提供

3ブラックマジックデザイン

(ブース#5107)
DeckLink HD Extreme

HD/SD同時再生可能なハードウェアダウンコンバータ搭載の入出力カード。3Gb/s SDIにも対応

4フィックスターズ

(ブース#7404)
CodecSys、GigaAccel

PLAYSTATION 3やIBM PowerXCell 8i搭載PCI Expressカードで、H.264エンコードを高速化

5シリコンスタジオ

(ブース#8209)
Telestream Pipeline

Final Cutと連携し、SDI入力をネットワークを通じて素材伝送可能なインジェスト用ハードウェア

6アスク

(ブース#8302)
AJA Video Systems  Io Express

HDMI入出力、HD/SD-SDI入出力に対応した小型入出力デバイス。ビデオモニタリングも可能


Aコース オプション6:メディア管理/共有系

ファイルベース制作を効率的に行うためには、増え続ける素材ファイルをどう管理/共有して、複数のノンリニア編集システムで利用可能にしていくかがキーになる。Aコース オプションの最後はメディア管理/共有に焦点を当てる。

1朋栄

(ブース#6511)
MediaConcierge

メディアファイルを管理しながら、必要なフォーマットに変換/出力できる統合管理システム環境

2IMAGICAデジックス

(ブース#6511)
Signiant

管理、セキュリティ、自動化、高速化を網羅した統合型メディア転送/管理システム

3シリコンスタジオ

(ブース#6511)
EditShare

独自のUniversal Media FileによりAvidとFinal Cut Proから同時参照可能な共有システム

4オムニオンビデオネットワークス

(ブース#6511)
MediaGrid、Video Server、Pro Application Suite

メディア管理、メディア共有、メディア変換など、ハイエンドエンタープライズ向け環境を提案



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