Dコースでは、映像制作をこれから始めようと思っている人向けに、自分に必要な機材はどんなものかを知ることができるようにコースを設定した。映像クオリティを追求しながらも、手頃な価格のプロ機材であることが必要という設定で、数100万円もするような高価な機材は敢えて候補から外している。制作予算の低価格化が進行して厳しい状況にあるなか、ローバジェットなCMやVP、プロモーション映像や企業映像の制作にも活用できることと思う。

さて、「映像制作」とひとことで言っても、じっくりと編集して作り込んでいくものや、ライブで素材を組み合わせていくものなど、さまざまな種類がある。ここでは映像収録のトレンドとなっているファイルベース収録を核にしながらも、番組/CM/PV(プロモーションビデオ)の制作で活用するものだけでなく、デジタルシネマ撮影や、ライブストリーミングなど、映像制作分野を幅広く俯瞰できるような構成にしてみた。

オプションコースは、カメラ系、ノンリニア系、ビデオ入出力系、三脚系というように大枠での設定を行った。現場視点でより詳しく見てみたいという人はAコースやCコース、映像に欠かせないサウンド面はEコースも活用して欲しい。

1マトロックス

(ブース#7104)


MXO2 mini
Matrox_MXO2mini.jpg今回、アップルもアドビ システムズも出展していないが、マトロックスブースではFinal Cut Studio、Adobe CS4 Production Premiumの両製品を見ることが可能だ。マトロックスの新製品MXO2 miniは、HDMI入出力とアナログ入出力に対応したMac/Windows両対応の小型入出力デバイス。リアルタイムH.264エンコード技術Matrox MAXテクノロジー搭載モデルもあり、AVCHDカメラレコーダーとの連携に有効なソリューションだ。
2ローランド

(ブース#8002)


LVS-800、F-1
Roland_LVS-800.jpg今秋発売されたLVS-800は、PC2台からのRGB入力に対応し、最大6台のビデオカメラ映像とともに切り替えながら出力できるビデオミックス/ライブスイッチャーだ。残念ながらHDには対応していないが、PC入力は1600×1200まで対応できる。クロマキー/ルミナンスキー合成やトランジション処理、P in Pといったライブスイッチングに必要な機能を標準搭載する。Ver.2になったビデオ・フィールド・レコーダーF-1は、DV/HDVの記録に加え、1〜50MbpsのMPEG2 TSで記録が可能になった。ファンタム電源に対応したアナログ音声入力を2系統持ち、リニアPCM 2CHのオーディオを同時収録できるので有効に活用したい。
3アスク

(ブース#8302)


AJA Video Systems Io Express
AJA_iOExpress.jpgIo Expressは、Mac/Windows両対応のコンパクトな入出力デバイスで、デスクトップワークステーション用かノートブック用の2モデルがあり、PCI-eカードまたはExpress Card/34カードが付属する。SDI入出力とHDMI入出力に対応しているほか、HD/SDのコンポーネントビデオ出力を持つので、ファイルベース制作用にビデオキャプチャ用デバイスとしてだけでなく、安価なモニタリング/マスタリング環境も構築できることが特徴だ。
4日本ビクター

(アスクブース#8302)


ProHD GY-HM100
JVC_GY-HM100.jpgファイルベース化をして日本再上陸した業務用カメラレコーダーPro HDシリーズ。Final Cut Proで変換なしに利用できるQuickTimeフォーマットか、各種ノンリニア編集システムで利用可能なソニーSxSカード記録に使用されているMP4フォーマットで収録できる。QuickTimeフォーマットではFinal Cut Proで直接扱えるが、アスクが取り扱うAJA Video SystemsのディスクレコーダーKiProを使用することにより、本体でMP4フォーマット収録しつつ、KiProでProResコーデック同時収録も可能になる。複数のノンリニア編集システムを使うには有効な方法だ。
5西華産業

(ブース#8409)


RED Digital Cinema SCARLET
RED_Scarlet3K_3D.jpgデジタルスチルモーションピクチャーカメラ(DMSC)の草分けとなり、4K編集の可能性を広めたRED ONE。各社のノンリニア編集ソフトウェアがREDCODE RAWの取り扱いを可能にしてきた現在、満を持して、3K/5K/6Kに対応するSCARLETと5K/6K/9K/28Kに対応するEPICの2モデルが発表になりそうだ。従来のデジタルシネマカメラよりも充分に低価格化を果たしたRED ONEであったが、それ以上にコストパフォーマンスに優れた製品となりそう。3K SCARLETは、2/3型センサーを使用し、3Kで1〜120fps収録を可能にしており、ビデオ系ユーザーにとって要注目だ。
6ソニー

(ブース#8212)

ソニークリエイティブ
XDCAM EX PMW-EX1R/Vegas Pro 9
SonyCreative_VegasPro9.jpg今回のInter BEEで初披露となるのがXDCAM EX PMW-EX1R。PMW-EX1のリニューアル版で、DVCAM記録や1440×1080記録にも対応した。オプション製品で、民生用のメモリースティックを利用可能なメモリースティックアダプターも発売され、より広範囲な業務で利用しやすくなってきた。ソニークリエイティブのノンリニア編集ソフトウェアVegas Pro 9は、再生フレームをキャッシュしながらの編集方式。AVCHDやREDCODE RAWを変換すること無くネイティブで快適に扱える。
7エヌジーシー

(ブース#7111)


NewTek TriCaster XD300
NewTek_TriCasterXD300.jpgライブスイッチングからストリーミングまで対応した機器は意外と少ない。TriCasterは、複数のカメラ映像を切り替えながらリアルタイムでタイトルやグラフィックを追加できるほか、クロマキーを用いたバーチャルセットも搭載していることから、ライブストリーミングやビデオプレゼンテーションなどに活用されてきた。これまではDV入力を中心としたものだったが、ついにHD制作にも対応したTriCaster XD300が登場する。
8平和精機工業

(ブース#8509)


RS-450、RS-450M
Libec_RS-450.jpgビデオ収録の品質を向上させるには、安定した三脚が欠かせない。Libecブランドで提供されている定番のビデオ三脚に、新設計のトルクシステムとねじれ剛性を高めた三脚部を持つRSシリーズが新たに加わった。RS-450/RS-450Mは4.5〜10.5kgまで対応できるカウンターバランス機構を持ち、−40℃の極寒地での利用も可能になった。
9パナソニック

(ブース#8213)


AVCCAM AG-HMC45
Panasonic_AG-HMC45.jpgラインアップが充実してきた業務用カメラレコーダーAVCCAM。AVCHDコーデック記録のメリットは、プロ向けだけでなくエントリーレベルのノンリニア編集システムでも扱えるということ。今夏発売したAG-HMC45は、コンパクトなボディながら、AVCHDコーデック規格で規定される最大24Mbpsで、フルHD収録が可能だ。オプションでXLR入力にも対応している。
10ブラックマジックデザイン

(ブース#5107)


UltraScope
Blackmagic_UltraScope.jpg映像制作のクオリティを上げるには、映像の品質向上が第一歩。ブラックマジックデザインが発売したモニタ用ソリューションがUltraScopeは、3Gb/s SDI/光ファイバーSDIに対応し、ビデオプレビューしながら、RGBパレード、波形モニタ、ベクトルスコープ、ヒストグラム、オーディオレベルをモニタリングできるWindows用ソフトウェア。映像入出力用のPCI Expressカードも付属する。
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Dコースの基本コースでは、カメラ、ノンリニア編集システム、入出力カードなどからローバジェット制作にも対応可能な代表的な機器を集めた。基本コースでは紹介しきれなかったものは、まだまだ多くある。そこで、オプションコースでは、各分野の機器をより詳しく見れるように設定してみた。

Dコース オプション1:カメラ系

D基本コースはオーソドックスなハンディ型を紹介した。このオプションでは、コストパフォーマンスやファイルベースの視点を重視しながら、肩乗せ型やDSMCなどを紹介しよう。

1日本ビクター

(アスクブース#8302)
ProHD GY-HM700

QuickTimeとMP4フォーマットでノンリニアとスムースな連携。SxSカード記録にオプション対応

2キヤノン

(ブース#8408)
EOS 1Ds、EOS 5D Mark II、EOS 7D

ビデオカメラマンが受け入れた5D Mark IIの成功で、1Ds、7Dはドロップフレームに対応

3西華産業

(ブース#8409)
RED Digital Cinema SCARLET

2/3型センサーを搭載した3K解像度のSCARLET登場は、HDシネマ収録にとっては脅威な存在だ

4ソニー

(ブース#8212)
XDCAM EX PMW-350K/350L、AVCHD まめカム

カメラ部独立のまめカムは高所俯瞰収録に活用が進む。本格派の肩乗せ型XDCAM EXが新登場

5パナソニック

(ブース#6213)
AVCCAMレコーダAG-HMR10+カメラヘッド

AVCCAMレコーダーはカメラ部をオプション製品に。コード分離方式なので、活用範囲が広い


Dコース オプション2:ノンリニア/ディスクレコーダー系

DV/HDVといったテープベースのカメラレコーダーも、ディスクレコーダーをファイルベース化できる。ノンリニア編集システムとともに集めた。

1アミュレット

(ブース#6502)
Shinning Technology CitiDISK FlashMem

SSDを採用。DV/HDV/DVCPROからQuickTime/AVI収録、HDVからm2tで記録

2ローランド

(ブース#8002)
DV-7シリーズ(SDのみ、16:9対応)

再生しながら編集するダイレクト・リニア編集は快適。SD限定だが、ストリーミング用には充分

3トムソン・カノープス

(ブース#7212)
EDIUS Pro 5

EDIUS ProベースのターンキーREXEEDやHDWSは新型カメラへのオプション対応が速い

4報映産業

(ブース#5514)
FOCUS Enhancements FS-5

DV/HDVカメラに対応し、HDはQuickTime/m2t HDV/MXF HDVで記録可能なレコーダー

5アビッド テクノロジー

(ブース#5110)
Media Composer

新バージョンでAVC Intra、GFCAMにネイティブ対応した。ステレオス3Dオフラインも可能


Dコース オプション3:入出力カード/エンコーダー系

ファイルベース制作は、テープレスメディアを使ってファイルコピーする方法が一般的だが、SDI出力やHDMI出力を使用してビデオキャプチャをした方が効率的な場合もある。ここでは入出力カードについて採り上げる。また、H.264を使用した出力は負荷が大きいもの。書き出しを効率化するエンコーダーについても紹介しよう。

1アスク

(ブース#8302)
AJA Video Systems KiPRO

入出力カードで変換するよりも、収録時に制作コーデックに変換して記録するほうがスムースだ

2ブラックマジックデザイン

(ブース#5107)
DeckLink Studio

10bit SDI、HDMI、アナログコンポーネント、Sビデオ、コンポジットと対応範囲の広いカード

3クレッセント/カンバス

(ブース#5502)
Bluefish 444 EPOCK|2K ULTRA/Sirius Blu

RGB/YUV 10bit非圧縮が扱えるカード。Sirius Bluと組み合わせBlu-rayオーサリングにも対応

4フィックスターズ

(ブース#7404)
CodecSys、GigaAccel

PLAYSTATION 3やIBM PowerXCell 8i搭載PCI Expressカードで、H.264エンコードを高速化


Dコース オプション4:三脚系

1平和精機工業

(ブース#8509)
DVシリーズ

2kg前後のカメラ重量を想定し、最大4kgまで搭載できるビデオ三脚シリーズ

2ヴィンテン ジャパン

(ブース#7102)
ビジョンASシリーズ

ヴィンテンが今年発売したヴィジョン軽量ヘッド&システムの新製品

3ザハトラー・ジャパン

(ブース#5310)
フルーイドヘッドFSB8/FSB8T、DV10SB

ビデオ三脚の最高峰のザハトラーの新製品。最大荷重はそれぞれ9kg、13.4kgまで対応。



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