CEATECでどこを押さえておけばいいの?という質問に鉄板の答えが、「NICTへ行け」だ。研究開発中だが、とにかく面白いものが用意されているのだ。NICT(独立行政法人情報通信研究機構)は、2004年に通信総合研究所と通信・放送機構が統合して発足したもので、情報通信分野における国の唯一の研究機関である。今回のCEATECでは、人の視覚、聴覚、嗅覚、皮膚感覚を通じて感じられる映像や音、やにおいなどを超臨場感体験できる展示など、主に研究成果の発表であり、製品への応用はこれからというものが多い出展であった。
超臨場感立体音響スピーカーシステム
異なる放射特性をもつスピーカーにより立体音響を実現したもので、写真は62ch球形スピーカー。後方にあるのは楽器のバック演奏を再生するもので、通常の音声と立体音響を同時に視聴可能となっていた。なお、収録には球形の特殊な収録システムで行うようになっている。
四つの感覚を統合した多感覚インタラクションシステム
視覚、触覚、聴覚、嗅覚の4つの感覚を実現したシステムで、立体視を通してマジックハンド状のインターフェースで仮想の物体を触ると重さやざらつきなどの質感や物に触れたときの音、更にはマイクロアロマシューターから香りが噴射され、リアルな体験ができる。サイバーミュージアムや医療などのシミュレーション、ネットショッピングなどへの応用が期待される。
4k3D超高精細3次元映像技術
独自のマルチチャンネル映像伝送システムを使った4k3D映像のライブ配信システム。写真のカメラはビクター製のもので、すでにNHK技研展などで公開されているもの。伝送に用いるPCは汎用のものでエンコード・デコード行い、マルチチャンネル映像の伝送を実現している。
概念辞書
多様な意味的関係をWebから自動習得し、ユーザーの要求にしたがって成長し続けるもので、通常の辞書にはない生きた情報を収集できるシステム。デモのイメージは人間関係を見せるSPYSEE(http://spysee.jp/)と似たイメージだった。
ナレッジクラスタシステム
分散データアクセス、計量機能群、知識表現メディアといった独自の技術を使い、特定の分野やアプリケーションに依存しない汎用的な知識処理プラットフォームを実現。デモでは、世界各地で起きている様々な出来事がどのように波及し影響を及ぼしているのかを分析・管理するグローバルリスクマネジメントシステムの研究を披露した。