日立国際電気の正面で行われていたのがスーパーハイビジョンのデモだ。2011年から地上デジタルテレビ放送が始まるが、このデモはその先の15年後、20年後の映像はどのようなものになるのか? という実験を展示したものだ。NHKが音頭をとって研究をしているものだが、カメラは日立国際電気の協力で完成したという縁でブースに展示された。

デモでは遠方にあるお菓子を撮影しているのだが、モニタにはそのわずか一部がくっきりとした画像で写し出されている。現在のハイビジョンの品質は1920×1080ドットだが、スーパーハイビジョンはその4倍各の画素数を撮影できる。なので、モニタには、撮った映像をすべて表示することができない。デモではカメラで撮った1/4のみを表示して行われていた。

カメラのレンズやボディはとてつもない大きさだだが、現段階ではあくまでも試作で大きさや格好、使い勝手は無視してできたもの。3000万画素がどういう映像で、今なにをしなければいけないのかという検証のために1号機とのことだ。

ちなみに、イメージセンサーはフィルムサイズ(35mm相当)だが今後素子を小型化するという計画があり、それが実現すればレンズもボディもさらに小さくできるだろうと今後の見通しを語ってくれた。

hitachi-kokusai-1.jpg 超高精細カメラのスーパーハイビジョンカメラ。RGBとも3300万画素を実現

hitachi-kokusai-2.jpg 大型のモニタと大きさを比較してみてもその大きさがわかる

hitachi-kokusai-3.jpg 現行のHDTVと大きさを比べた図。16倍の画素を誇る

HiVDR-2000

HiVDR-2000は、従来のテープベースの代わりになる製品だ。ハードディスクで、テープと同じように編集をするためのものだ。RS-422をつないで従来の編集機の周辺機器という形で使うこともできる。エンコードをする機能も搭載されており、裏には同軸ケーブルもあるので、従来のHD-SDIの出力端子を持ったカメラであれば、簡単にデジタル化することができる。

hitachi-kokusai-4.jpg 衝撃などにも耐えられるように放送局向けにメディア「iVDR EX」。250MBと500MBのほかに電子ペーパ搭載のiVDRも参考出品されていた

hitachi-kokusai-5.jpg iVDRプレイヤーのHiVDR-2000

PROGRADEシリーズ

ブースにはネットワークビデオサーバの「PROGRADE CS」が参考出展されていた。PROGRADEシリーズは3種類のグレードがあるが、CSはもっとも大規模システム向きで、主に素材や番組送出、編集サーバに選ばれるモデルだ。

メディアストレージは用途に応じてハードディスクやSSDを選ぶことができ、SSDの場合は高信頼のSLCタイプを搭載する。書き込み回数に不安のあるMLCに比べて、10万回の書き込みに対応できるので、10年間のランニングに耐えられるようなサーバになっている。これは「ファイルベースのサーバになって寿命が4~5年でリプレース」と言われる問題に対処したもので、「従来と同じ10年もつものを作ろう」というコンセプトに基づいてこのような仕様になったとのこと。

サーバ本体には200GBのSSDを6個搭載でき、RAID5で組めば1TB搭載できる。拡張ストレージには倍の12本の2TB搭載できるので、合わせて3TB搭載が可能だ。1TBだと約40時間ぐらい、拡張ストレージの2TBで約80時間、合計120時間ぐらいのスタックができる。放送局のサーバとしてはコンパクトでありながら十分な容量をもっているといえるだろう。

また、「カメラとかの近くにエンコーダーを置きたい」「さらにデコーダはマスターの近くに置きたい」「サーバはサーバルームに置きたい」という現場の需要に応えるために、ネットワーク越しに分散配置できるのも大きな特徴だ。

hitachi-kokusai-6.jpg スポーツ専門テレビ局のジェイ・スポーツ・ブロードキャスティングなどに導入実績があるPROGRADE CS